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- 頼富 穰
リスティング広告の費用相場|初心者も安心の予算策定ガイド

リスティング広告の出稿を検討するなかで、「そもそも費用の目安がわからない」「予算の組み方に自信がない」といった悩みを抱える方も少なくありません。
- リスティング広告にどの程度予算をかけるべきか分からない
- 自社の目標に対して、適切な広告費の配分がイメージできない
- 初期予算としてどの程度を確保すべきか判断がつかない
そこで本記事では、リスティング広告の費用相場を中心に、予算設計の基本や考え方を丁寧に解説します。
この記事を読むことで、リスティング広告にかかる費用の構造と相場を正しく理解したうえで、自社の目的に合わせた予算の組み方と判断軸を持つことができるようになります。
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目次
リスティング広告の費用相場
リスティング広告の費用相場は、自社の目標や商材単価、競合状況、ターゲットの検索行動などによって大きく左右されるため、どの企業にも当てはまる「正解の金額」を断言することはできません。
一方で、弊社が実施した独自調査によると、Web広告を配信している広告主のうち、約7割が月額100万円以下の予算で運用しているという結果も出ています。
このことからも、必ずしも大規模な予算がなければ始められないわけではなく、少額から広告運用をスタートしている企業も多いことが分かります。
リスティング広告は、Web広告を初めて導入する企業にとっても比較的取り組みやすい施策のひとつです。
各媒体(Google広告、Yahoo!広告など)も最低出稿金額を設けていないケースが多いため、まずは少額の予算でテスト配信を行い、効果が見込めそうな場合に徐々に投資を拡大していく、という段階的な進め方が一般的です。
リスティング広告の費用はどのように決まる?
ここでは、リスティング広告の予算を検討する際に知っておきたい、費用決定の仕組みについて説明します。
リスティング広告は「クリック課金」
リスティング広告は「クリック課金型(CPC課金)」の仕組みを採用しており、広告が表示されるだけでは費用は発生せず、ユーザーが広告をクリックしたときに課金されます。
1クリックあたりの単価(クリック単価)はキーワードによって異なり、収益性の高いキーワードでは競合が多いためクリック単価が上昇しやすく、検索量の少ないロングテールワードではクリック単価が低い傾向にあります。
費用が決まる仕組み「広告オークション」
広告がどの位置に表示されるか、そしてクリック単価がいくらになるかは、「広告オークション」によって毎回リアルタイムで決定されています。
オークションでは、以下の3つの要素を総合的に評価した広告ランクが算出され、それによって掲載順位が決まります。
- 入札単価
- 広告の品質
- その他の要素(ユーザーの検索背景、広告アセットやフォーマットの効果など)
重要なのは、「入札額が高い=必ずしも上位表示されるわけではない」という点です。
広告オークションでは、入札単価だけでなく「広告の品質」も掲載順位を決める重要な要素になります。
広告の品質をどのように評価しているかは明確に開示されていないため、あくまで参考材料でしかありませんが、管理画面で見れる「品質スコア」は広告の品質改善の参考にできます。
- 広告と検索キーワードとの関連性
- ランディングページ(LP)の利便性や内容の整合性
- ユーザーがクリックしたくなる見込み(推定クリック率)
品質が高い広告は、同じ入札額でも高い広告ランクを獲得しやすく、少ない予算でも上位に表示される可能性が高まります。逆に、品質の低い広告は高めの入札額を提示しても掲載順位が上がりにくく、費用対効果が悪くなってしまう恐れがあります。
参考記事:品質スコアとオークションの関係
広告費以外にかかる「隠れコスト」に注意
リスティング広告の費用を考える際、つい広告費だけを見てしまいがちですが、利益を最大化するには広告費以外の“隠れたコスト”にも目を向ける必要があります。
代表的なものとして、以下のようなコストが発生するケースがあります。
- 代理店への運用手数料
- 広告クリエイティブの制作費用(広告文やバナー、LPなど)
- ランディングページの制作・改善にかかる費用
- 社内担当者の人件費や管理・分析にかかる稼働工数
広告運用をトータルで見るときは、“成果に対して、実際にかかったすべてのコスト”で評価する視点が不可欠です。
表面的なCPAやROASだけで判断すると、黒字に見えて実は赤字だった、という事態にもなりかねません。
予算を決める前に整理すべき3つのポイント
この後はリスティング広告の予算を決める手順について説明しますが、実際に金額を検討する前に、前提として整理しておくべきポイントが存在します。
これらをあらかじめ決めておくことで、予算の妥当性や意思決定の基準が明確になり、配信後の評価や方針転換もスムーズに行えるようになります。
リスティング広告の予算を設計する際は、以下の3つのポイントを事前に定めておきましょう。
1.達成したい目標を定める
まず最初に、「広告で何を達成したいのか」を明確にすることが不可欠です。目標は単にCV数やCPAといった広告指標だけでなく、売上・商談数・受注率などの事業成果にまで落とし込んでおくのが理想です。
たとえば、「月間〇件の資料請求を獲得したい」「広告経由で〇万円以上の売上を作りたい」といったゴールを設定しておくことで、逆算的に必要な予算を算出できます。
2.撤退ラインを決めておく
次に重要なのが、「撤退ライン」をあらかじめ決めておくことです。予算を投入したものの、成果が出ない状態をズルズルと続けてしまうケースは少なくありません。
たとえば、「CPAが目標値を20%超えた状態が2ヶ月続いたら一時停止する」など、撤退や配信見直しの基準を定めておくことで、損失の最小化と柔軟な方向転換が可能になります。
一方、リスティング広告は成果が安定するまでに最低でも2週間~3週間程度はかかるケースが多いため、配信直後の1週間など短期で撤退を判断するのは早計なことも多いです。
3.予算増減の判断基準を決めておく
広告の成果が見えてきた段階で、予算を増やす/減らすといった意思決定が必要になる場面も出てきます。
その際、何をもって予算の増減を判断するか、基準をあらかじめ決めておくと迷いがなくなります。
例としては「CPAが〇円以下で安定すれば月5万円ずつ増額」「CVRが想定より大幅に低ければ配信を縮小」といったルールを設定しておくことで、広告運用が属人的にならず、戦略的な予算配分を行うことができます。
3ステップで理解!リスティング広告の予算の決め方
リスティング広告にかける予算は、「いくらあれば成果が出るのか」といった一律の基準があるわけではなく、自社の目標・商材・ターゲット等に応じて個別に設計する必要があります。
そのため、達成したい成果から逆算して必要な予算を割り出すという考え方が一般的です。
ステップ1|目標CPAを定める
まず、1件の獲得(コンバージョン)にかけられる金額=**目標CPA(顧客獲得単価)**を定めます。
これは商材単価と利益率などから、以下のように算出できます。
- 目標CPA = 商材単価 ×(1 – 目標利益率)
- 例:1件あたりの販売単価が1万円、利益率を30%とする場合
- → 10,000円 ×(1 – 0.3)= 7,000円が目標CPA
ステップ2|月間の目標CV数を設定する
次に、月に何件のコンバージョンを獲得したいかを定めます。広告費は目標CPA×目標CV数で計算できるため、たとえば月に50件のCVを獲得したい場合は、7000円×50件=350,000円が必要な広告費となります。
ステップ3|CPC・CVRを仮置きしてシミュレーション
上記で算出した広告費はあくまで仮の予算です。実際の予算はクリック単価(CPC)やコンバージョン率(CVR)などの影響を受けるため、これらの間接指標もシミュレーションした上で予算を決めましょう。
中間指標も含めた広告予算の算出は、以下の計算式で算出できます。
広告費 = 目標CV数 ÷ 想定CVR × 想定CPC
- Googleの「キーワードプランナー」を使えば、キーワードごとの平均クリック単価(CPC)が確認できます
- 一般的には100〜300円前後が多いですが、BtoB商材や競合が多い領域では1,000円以上になることもあります
- すでに広告を出稿している場合は、自社アカウントの過去データを参照しましょう
- 業種やLPの質によって異なりますが、リスティング広告における平均的なCVRは3〜5%程度が一般的です
- 不安な場合は、業界別CVRの参考データを仮置きとして活用しましょう
- 顕在層キーワードでは高く、潜在層キーワードでは低くなる傾向があるため、キーワードの性質に応じて分けて考えるのも有効です
なお、上記は達成したい目標から逆算して予算を決定する考え方を採用していますが、他にも「売上高の一定比率(%)を広告予算にする」「競合他社と同程度の予算を設定」「固定費など避けられない支出を引いて残った金額を広告予算に充てる」といった考え方もあります。
実際の広告運用現場では、目標から逆算して決める考え方が一般的ですが、それ以外の方法も組み合わせて複合的な視点で予算を決めることもあります。
相場感をつかむ!業界・媒体別CPCの傾向
リスティング広告の費用は、業界や商材の単価、競合の多さによって大きく異なります。
特にクリック単価(CPC)は、広告主同士の入札競争の影響を強く受けるため、競合が多い市場ほどCPCが高騰しやすい傾向にあります。
以下は、業界・目的別に見たクリック単価の目安と、それに基づく月額予算感の一例です。
業界・媒体別のクリック単価の相場
業界/媒体 | Google広告 | Yahoo!広告 | Microsoft広告 | 特徴・補足 |
---|---|---|---|---|
BtoC(EC・美容) | 100〜200円 | 80〜150円 | 50〜120円 | Microsoftは比較的低CPC傾向 |
BtoB(IT・SaaS) | 300〜800円 | 250〜700円 | 200〜500円 | 高CPCだがLTVも高く見合う投資 |
士業・不動産 | 500〜1,000円 | 400〜800円 | 300〜700円 | 高単価商材はどの媒体でも高CPC |
採用・人材 | 200〜500円 | 150〜400円 | 100〜300円 | エリア/職種によってばらつき大 |
※あくまで目安です。実際にはキーワードや地域、広告品質などの要因でもCPCは変動します。
月10万/50万/100万の配信で何ができる?シミュレーション解説
広告予算を考える際は、「この金額でどこまでできるのか」を具体的に把握しておくことが重要です。
ここでは、平均クリック単価150円/CVR3%を仮置きし、予算別に3段階でシミュレーションしてみます。
- 想定クリック数:約667回
- 想定CV数:約20件(CVR3%)
この水準では媒体が推奨する機械学習の最適化基準(目安CV数30〜50件)に届かず、自動入札やターゲティングの最適化が進まない恐れがあります。
テスト配信のつもりでも、成果評価や意思決定に必要なデータが集まりにくく、「検証にならないテスト」で終わってしまう可能性があります。
- 想定クリック数:約3,333回
- 想定CV数:約100件
この水準であれば、CV数を30件以上確保できる可能性が高く、自動入札や配信アルゴリズムの学習も進みやすくなります。
また、キャンペーンやキーワード単位でのABテスト、広告文やLPごとの改善検証も行いやすくなり、改善サイクルを回せる配信設計が可能になります。
- 想定クリック数:約6,667回以上
- 想定CV数:約200件以上(目安)
100万円以上の予算が確保できれば、状況に応じてキャンペーン・媒体の追加配信を検討しても良いでしょう。
また、十分なCV数をもとに、商談率やLTVといったオフライン指標を活用したROI評価もしやすく、広告の投資判断をより高いレベルで行えるフェーズに移行できます。
広告予算を増やすと、最初はCVが伸びやすいものの、一定のラインを超えるとCVの伸び率が鈍化したり、CPAが上昇するケースも多く見られます。
そのため、「予算を増やせば必ず効果が上がる」と考えるのではなく、どこまでの予算が費用対効果の高いゾーンなのかを見極めることが重要です。
費用対効果の高いゾーンを見極める上では、Excelの対数近似を使ってシミュレーションする方法があるため、必要に応じて活用しましょう。
代理店を利用する場合のリスティング広告費用
リスティング広告を運用する際、「代理店に依頼すべきか? 自社でやるべきか?」は、多くの企業が直面する判断ポイントです。
まずは、費用構造に大きく関わる代理店手数料の仕組みから整理していきましょう。
代理店の手数料の仕組み
手数料体系 | 概要 | 向いているケース | 注意点 |
---|---|---|---|
料率型 | 広告費の一定割合(例:20%)を手数料として支払う | 広告費が一定以上あり、スケーラブルな支援を期待したい場合 | 成果が出なくても手数料が発生するため、支援の実態や貢献度を見極める必要がある |
固定報酬型 | 月額定額で支援費を支払う(例:月10万円) | 広告費の増減にかかわらず安定した支援を受けたい場合 | 広告費が少ないと割高に感じやすい。成果に連動しない点に納得できるかがポイント |
時間単価型 | 時間やプロジェクト単位で報酬が決まる(例:1時間2万円) | インハウス運用中で戦略レビューや一部支援だけを依頼したい場合 | 工数管理がシビアになるため、発注内容と目的を明確にしておく必要がある |
成果報酬型 | 獲得件数や売上などの成果に応じて支払う | ECやBtoCなど、短期で成果が出やすく測定しやすい領域 | 成果の定義が曖昧なまま契約するとトラブルの原因になる。BtoBなどでは相性が悪いケースも |
手数料は「安ければお得」というものではなく、「支援内容と費用のバランス」が重要です。
仮に低額の手数料でも、成果に直結する改善が行われていなければコストパフォーマンスは低くなりますし、高額の手数料でも、しっかりと成果改善につながっていればコストパフォーマンスは良くなります。
両者のメリット・デメリットを表で比較
どちらにもメリット・デメリットがあるため、以下の表を参考に、自社の状況やリソースに照らし合わせて検討しましょう。
観点 | 代理店に依頼 | 自社で運用 |
---|---|---|
専門性 | 媒体の仕様やトレンドに精通したプロが運用 | ノウハウ不足だと成果に結びつきにくい |
工数・スピード | 作業負荷を外部に移せるが、調整に時間がかかる場合も | 意思決定から配信までをスピーディーに実行できる |
コスト構造 | 手数料が発生する(広告費の20%前後が一般的) | 手数料は不要だが、人件費・学習コストは発生 |
ナレッジの蓄積 | ナレッジは代理店に蓄積されやすい | 社内に知見が残り、長期的な資産になる |
柔軟性 | プロの視点で最適化されるが、融通が利かないケースも | 自社判断で柔軟に施策変更できるが属人的になりやすい |
また、運用フェーズや目的によって選ぶべき体制は変わります。
たとえば、初期は代理店に依頼し、成果が安定したら内製化に切り替えるなど、段階的な移行も一つの選択肢です。
リスティング広告の費用対効果を高める7つのポイント
リスティング広告の成果は、一般的に「CPA(顧客獲得単価)」や「ROAS(広告費用対効果)」といった指標で評価されます。
どちらにも共通する考え方として、「いかに少ない費用で、より大きな成果を得るか」を考え続けることがリスティング広告の成功の鍵です。
また、近年のWeb広告では、AIによる自動最適化が主流となっており、その学習効率を高めるための設計・運用が重要なカギを握っています。
ここでは、その前提を踏まえたうえで、成果改善につながる実務的なテクニックを7つご紹介します。
1.媒体選定|相性の良い媒体を選定する
広告の配信先をどの媒体にするかは、最適化の起点とも言える重要な設計要素です。
同じキーワードを配信していても、Google・Yahoo!・Microsoftでクリック単価(CPC)やコンバージョン率(CVR)は大きく変わります。
以下は主要3媒体の特徴と向いているケースの一例です。
媒体 | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|
Google広告 | ユーザー数が多く、機械学習が高度 | BtoC商材/初めての広告運用 |
Yahoo!広告 | 国内中高年層に強く、競合が少なめ | 40代以上が主要ターゲット |
Microsoft広告 | CPCが安く、BtoBやPCユーザーに強い | エンタープライズ向け/低CPCで検証したい |
費用対効果を重視するなら、まずはGoogle広告から始め、相性の良さを見ながらYahoo!やMicrosoftに拡張する「段階的配信」が基本戦略となります。
2.自動入札の活用|ターゲティング精度を引き上げる
近年のリスティング広告では、媒体側のAIが入札単価を自動で調整する「自動入札」が主流になっています。
自動入札は、ユーザーの属性・行動履歴・検索語句の文脈といった膨大なシグナルをリアルタイムで解析し、「コンバージョンに繋がる確度が高いユーザー」に絞って入札を行う仕組みです。
特に、自動入札とインテントマッチを組み合わせることで、ユーザーの検索意図に基づくターゲティング精度がさらに向上し、コンバージョン数の増加やCPA改善が期待できます。
ただし、自動入札の効果を最大限に引き出すには、十分なデータ量の蓄積と、明確なコンバージョン設定が不可欠です。初期段階では学習期間を設け、データを蓄積させる運用設計が重要となります。
3.キーワード設計|CVに繋がる検索意図の見極め方
リスティング広告の成果は、どのキーワードに広告を表示するかで大きく左右されます。
特に予算が限られている場合は、顕在性の高いキーワードから配信を始めるのが基本方針です。
顕在性の高いキーワードとは、すでにサービスや商品を比較・検討しているユーザーが検索しそうな語句のことを指します。
たとえば、「サービス名+申込」「商品名+購入」「資料請求」「〇〇 比較」などは、コンバージョンに直結しやすい代表的な例です。
キーワードを設定する際は、検索語句に対して広告をどの程度拡張して表示するかを決める「マッチタイプ」も併せて設定します。
現在の運用では、一部の例外を除き、インテントマッチ(旧:部分一致)が基本的に推奨されます。
インテントマッチは、他のマッチタイプでは使用できない独自のシグナルを活用して、ユーザーの検索意図に合致すると判断された場合に、類似キーワードにも広告を表示することができる仕組みです。
これにより、より広いリーチを確保しつつも高い費用対効果を維持しやすく、AIによる自動入札・最適化との相性も良いのが特徴です。
ただし、自社の商品名やブランド名に対する指名検索など、一部の検索語句に限定して配信したい場合は、完全一致やフレーズ一致といった厳密なマッチタイプの方が適しているケースもあります。
4.広告文のABテスト|CTRを地道に改善する
広告文はクリックされなければ意味がありません。そこで重要なのが、広告文の継続的なABテストです。
- 複数パターンを用意し、レスポンシブ広告(RSA)で学習を促進
- 訴求軸(価格・スピード・信頼性など)を変えてパターン設計
- 効果が出ていないアセットは定期的に差し替える
CTRとCVRの両方を意識して広告文を改善することで、AIがより良い配信判断を行い、費用対効果の高い状態へと最適化されやすくなります。
また、近年のリスティング広告ではレスポンシブ検索広告(RSA)が主流となっており、RSAでは設定した広告アセットをAIが自動で組み合わせて最適化してくれます。
RSAでは、見出しは少なくとも10個、説明文は少なくとも3個以上のアセットを作成し、複数の訴求パターンを含めることが推奨されています。
5.LP最適化|広告と遷移先の“ズレ”を無くす
広告文で期待値を高めておきながら、ランディングページ(LP)でその期待が裏切られると、ユーザーが離脱してしまう可能性があります。
この「広告とLPのメッセージのズレ」が、費用対効果悪化の大きな原因になります。
- 広告で訴求した要素(例:料金・実績・スピードなど)がLP冒頭にちゃんと載っているか?
- CTA(申し込みボタン)は迷わずたどり着けるか?
- モバイル表示は快適か?
広告とLPの整合性を高め、ユーザーの行動導線をスムーズにすることで、同じクリック数でもCV数が増え、CPAを下げることができます。
LPは一度制作したら終わりではなく、広告の配信実績と照らし合わせながら継続的に改善してくことが重要です。(LPO:ランディングページ最適化)
LPO(ランディングページ最適化)は、1.現状把握→2.課題抽出→3.改善案の検討→4.効果検証の4ステップで進めます。
継続的な検証と改善を繰り返し、成果向上を図ることがLPO成功の鍵です。
6.除外キーワード設定|AIの学習効率を下げない工夫
費用対効果が悪化する原因のひとつが「意図しないクリックの発生」です。
たとえば、BtoB製品の訴求をしているのに、一般消費者からのクリックが発生しやすい検索語句などに配信していると、費用対効果が悪化する可能性があります。
リスティング広告では媒体の管理画面で除外キーワードの設定をすることができ、除外キーワードを設定しておくことで、AIの学習対象からCVしにくいユーザーを除外でき、限られた広告費で効率よく成果が出せる状態を保ちやすくなります。
7.「予算による制限」の回避|獲得の機会損失を減らす
広告を運用していると、管理画面に「予算による制限」というアラートが表示されることがあります。
これは、設定した1日の予算上限に達してしまい、広告が表示される機会を一部逃している状態(機会損失)を示唆しています。
この状態が続くと、コンバージョンを獲得できるはずだったユーザーを逃してしまい、成果の最大化を妨げる原因となります。
「予算による制限」が表示された場合は、以下のいずれかの対処法を検討しましょう。
- 日予算を引き上げる: 最も直接的な解決策です。機会損失分をカバーできるまで予算を増額します。
- 入札単価を引き下げる: クリック単価(CPC)を下げることで、同じ予算でもより多くのクリックを獲得し、表示機会を増やすことができます。
- 配信対象を絞り込む: 成果の高いキーワード、地域、時間帯、デバイスなどに配信を集中させ、費用対効果の低い部分への支出を抑えることで、予算を効率的に活用します。
- キーワードのマッチタイプを見直す: 意図しない検索語句への表示が多い場合は、マッチタイプをより厳密なもの(例:部分一致→フレーズ一致)に変更し、無駄なクリックを抑制します。
予算が合わないときに見直すポイント
リスティング広告を運用していくと、「思ったより費用がかからなかった」「予算が足りなさそう」といった、当初の予算設計と実績が乖離するケースがあります。
このような場合には、予算の進捗や獲得成果などに応じて柔軟に運用調整をおこなうことが重要です。
ここでは、「予算が余りそうなケース」と「予算が不足しそうなケース」の2つに分けて代表的な対応策を解説します。
予算が余りそうなケース
広告が想定より低コストで配信できていたり、クリック単価(CPC)やCPAが低く抑えられていたりする場合、予算が余ってしまうことがあります。
そのような場合には、以下のような対応を検討することで、より多くの成果や検証機会を得ることができます。
- 媒体・キャンペーンの拡張を検討する
まずは同一媒体内でターゲット拡張やキーワード追加を行い、獲得機会を広げましょう。すでに学習が進んでいれば、他媒体(Yahoo広告、Microsoft広告など)への展開も選択肢になります。 - 入札戦略や予算配分の見直し
限定的な配信になっていた可能性もあるため、入札上限の緩和や、日予算の増額を行うことで表示機会を最大化できます。 - キーワード・マッチタイプの拡張
まだ配信していない獲得が見込めそうなキーワードを追加するのも有効な手段です。また、完全一致やフレーズ一致で設定しているキーワードは、インテントマッチに拡張することも検討しましょう。
予算が不足しそうなケース
一方、クリック単価が想定より高かったり、CVRが伸び悩んだりして、予定していた予算では十分な配信ができないケースもあります。
そのような場合には、「選択と集中」を意識した運用に切り替える必要があります。
- 配信対象の絞り込み
地域(都市部のみ)、デバイス(PCまたはモバイルに限定)、時間帯(CVRが高い時間に集中)などでターゲットをセグメントし、無駄な表示やクリックを抑えます。 - 高CPCキーワードの見直し or 一時停止
特定のキーワードが費用を圧迫している場合は、一時的に配信を止める/別の類似キーワードに差し替えるなどしてコストをコントロールします。 - 顕在層キーワードへの集中
購買意欲の高いキーワード(「申し込み」「比較」「資料請求」など)に絞って配信することで、少ないクリックでも成果が出やすくなります。 - キャンペーン数・媒体数の削減
複数のキャンペーンや媒体に分散していた場合は、成果の見込めるものに絞ることで、学習効率と費用対効果が改善します。 - 除外キーワード設定の強化
意図しないクリックを防ぐために、「価格」「無料」「バイト」などCVに繋がりにくい検索語句を除外し、AIの学習効率を高めます。
少額予算で成果を出すための基本戦略
限られた予算でリスティング広告の成果を最大化するには、「選択と集中」を徹底した戦略的な運用が不可欠です。
そもそも目標達成に必要な予算が捻出できない場合は、まず他のマーケティング施策や他部署から予算を融通できないか、あるいは不要不急の施策を削減できないか検討しましょう。
それでも難しい場合は、SEOやSNSなど、より少ない予算で実施できる施策に切り替える判断も必要です。
その上で、少額でもリスティング広告を実施する場合は、特に以下のポイントを意識した運用がカギになります。
- 顕在性の高いキーワードに絞る
- 「資料請求」「申し込み」といったコンバージョン意欲の高い検索語句や、自社名などの指名キーワードに予算を集中させます。
- 配信対象をセグメントで絞る
- 成果の高いエリア・デバイス・時間帯に配信を限定し、無駄な広告表示を抑制します。
- 除外キーワードを徹底する
- 無駄なクリックの原因となる検索意図の薄い語句を徹底的に除外設定し、費用対効果を高めます。
- LPや広告文の改善でCVRを高める
- 同じクリック数でも成果数が増えれば、結果的にCPA(顧客獲得単価)は下がります。広告と遷移先ページのメッセージを一致させ、ユーザーがスムーズに行動できるよう最適化しましょう。
- 媒体やキャンペーンを絞る
- 予算が分散しないよう、まずは1つの媒体・1つのキャンペーンに集中して配信し、十分なデータを蓄積させることが重要です。
よくある質問|リスティング広告の費用に関する疑問に回答
最後に、リスティング広告の費用に関してよくある質問と回答をまとめました。
リスティング広告に最低出稿金額はある?
多くの広告媒体(Google広告、Yahoo!広告、Microsoft広告)では、最低出稿金額の「ルール」は設けられていません。そのため、理論上は1円~でも配信可能です。
ただし、実際に成果を出すにはある程度のクリック数やコンバージョン(CV)の蓄積が必要です。
媒体の自動入札や最適化機能を活かすためには、月間30〜50件程度のCVが目安とされており、これらの水準を確保できる予算は最低限確保すべきでしょう。
まとめ|リスティング広告の費用を最適化して成果につなげよう
本記事では、リスティング広告の費用相場や予算の決め方、成果を出すための設計・運用のポイントまでを整理してご紹介しました。
成果を高めるには、媒体選定・キーワード設計・LP最適化など、AIの学習効率を意識した設計が重要です。
配信の目的や予算感が整理できた方は、自社に合った運用方法(自社運用/代理店活用)を検討し、まずは小さく始めてみるのがおすすめです。
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