Web広告の予算の決め方|代表的な4つの考え方と計算方法を解説

Web広告の予算の決め方|代表的な4つの考え方と計算方法を解説

Web広告のパフォーマンスを最大化する上では、適正な広告予算を投資することが重要です。

一方、適正な予算は自社の商材やターゲットなどの個別事情に左右されるため、

  • 広告予算を考える際は、どのような考え方をもとに決定すべき?
  • 広告予算をシミュレーションするには、具体的にどのような手順で進めればよい?
  • はじめて広告配信をする際は、まずどれぐらいの予算帯でスタートすればよい?

のように、広告予算の検討にあたって疑問を抱える方もいらっしゃると思います。

そこで本記事では、「広告予算の考え方」「代表的な予算の決め方」「広告予算のシミュレーション方法」など、Web広告の予算を考える上で参考材料となる情報をまとめています。

前半はWeb広告の予算を検討する上で押さえたい前提情報について触れているため、具体的な予算の考え方や計算方法から知りたい方は「ベースとなる予算策定の考え方4つ」からご覧ください。

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前提として知っておくべき3つのポイント

具体的な広告予算の算出方法について説明する前に、まずはWeb広告の予算を決める際に前提として知っておくべき重要なポイントをお伝えします。

適正予算は自社の個別事情に左右される

まず、Web広告の適正予算は、自社の商材目標ターゲットなどの個別事情によって左右されるため、一律に「これぐらいの予算をかけるべき」という目安を示すことは難しいです。

広告予算の決め方の代表例としては「売上高の一定の割合(%)を広告予算に充てる」「競合他社と同程度の予算を割り当てる」などの方法などがありますが、適正な広告予算は自社の市場フェーズや広告の獲得目標などの変数によって可変するため、基本は自社の個別事情を踏まえてカスタマイズで予算を決めることが重要です。

そのため、後述する代表的な予算の決め方はあくまで考え方の参考であり、自社の個別事情に応じて適宜組み合わせたり、別の考え方を活用することも必要になる場合があるのでご注意ください。

シミュレーションはあくまで「予想」でしかない

広告予算を決める際に、Excelなどで費用対効果のシミュレーションを行う方もいらっしゃるかと思います。

シミュレーションを行うことで、具体的な数字をもとに判断ができるため、予算策定の意思決定がしやすくなることは間違いありませんが、ここで注意が必要なのは、シミュレーションはあくまで「予想」でしかないという点です。

広告予算のシミュレーション手順は後述しますが、広告の費用対効果の算出において、CPC(クリック単価)やCVR(コンバージョン率)などの数字は仮置きで計算を進める必要があるため、これらの数字が実態と乖離するとシミュレーションの精度も低下します。

そのため、シミュレーションはあくまで数字を仮置きした上での推定値である旨は押さえた上で、議論のたたき台として参考にする程度に留めておくのが良いでしょう。

上限費用を決めておき、効果の高い施策に再配分する

上述のように、シミュレーションは数字を仮置きした上での推定であるため、実態とぴったり一致するレベルの精度の高い算定をおこなうことは難しいです。

Web広告の費用対効果は実際に広告を配信してみないと分からないことがほとんどなので、Web広告の予算を決める上では、まずは損益分岐点などから広告に投資できる上限費用を決めておきましょう。

その上で、実際に広告配信の結果を見ながら効果の高い施策に追加投資を行い、効果の低い施策は予算を削るなどして、施策間の予算配分を流動的に見直すことが重要です。

ベースとなる予算策定の考え方4つ

予算策定の前提となるポイントを理解した上で、ここからは広告予算をどのように決めるのか、まずは考え方からご紹介します。

なお、下記4つの考え方のうち、より妥当性の高い予算策定を行いたい場合は目標/タスク設定法がおすすめです。

目標/タスク設定法をベースとしながら、予算策定の妥当性を担保するためのシミュレーション方法については後述します。

1.目標/タスク設定法

特定のマーケティング目標を達成するために必要なタスクを特定し、それを達成するために必要な費用を算出する方法です。

目標に用いる数値は、売上や利益、LTV、認知率などが考えられ、「1年間で○○を□%アップさせる」といった目標を起点に、そのために必要なプロモーション施策と、各施策で必要な費用を算出する方法です。

戦略的で目標達成に直結する考え方である一方で、算出のために必要なデータが不足している場合は予算策定が難しくなることもあるため、この方法を活用する場合は広告代理店に相談して決めるケースも散見されます。

2.売上高百分率法

名前の通り、売上の一定の割合(%)を広告予算に割り当てる方法です。(売上高比率法とも呼ばれています)

基準となる売上は前期の売上高で算出する場合が一般的で、広告費の割合(%)は自社の過去実績や競合他社の広告費をベンチマークとする場合が多いため、比較的市場の競争環境が安定している成熟市場で活用しやすい算出方法だと言えます。

簡単に算出でき、売上と広告費の関係がわかりやすい点はメリットと言えますが、売上と広告費の関係が常に一定であるとは限らず、市場環境の変化に弱い点はデメリットだと言えます。

3.競合同率法

競合他社と同程度の金額を広告予算とする方法です。競合他社と同程度の金額を広告費として投資することで、広告における業界内での競争力を維持することができます。

一方で、競合の予算戦略が適切でない場合にその影響を受けてしまう点や、競合の戦略に依存するため独自性に欠ける点には注意が必要です。

4.可能額配分法

主に中小企業で使われる予算策定方法で、売上から固定費などの避けられない支出を差し引いた後に残った金額を基に広告予算を配分する方法です。

利用可能な資源を最大限に活用しやすい点は大きなメリットだと言えますが、状況によって広告費が不安定になる点や、中長期的な戦略や成果に基づいて算出する方法ではないため、長期的な活用が難しいという弱点があります。

広告予算の妥当性を高めるシミュレーション方法

ここからは、代表的な予算の決め方4種類で定めた予算をより妥当性の高いものにするための方法を紹介します。

以下でご紹介する方法の前提としては、

  • 目標/タスク設定法をベースとしている
  • リスティング広告を例として計算している

ため、上記に留意した上でご覧ください。

なお、認知拡大を目的としたディスプレイ・動画広告の予算策定などは、以下の方法ではシミュレーションをすることが難しいため、この記事を読んでも納得のいく広告予算の策定が難しい場合は、以下でご紹介しているような代理店に相談するのもおすすめです。

広告の配信実績がない場合

Web広告の配信実績が無い場合は、参考に出来る過去データが無いため、自社の売上高や損益分岐点などのマーケティング目標から逆算して必要な広告予算を計算します。

ここでは具体的なイメージをもっていただく上で、以下のようなサンプルケースを想定して計算します。

例:あるECサイトがリスティング広告を配信するケース
・ 目標CV数:50件

販売単価:1万円
目標利益率:30%

⑴顧客獲得単価(目標CPA)を算出する

まずは、広告で1件のコンバージョン(成約)を得るために許容できる獲得単価(目標CPA)を計算します。

CPAは、以下の計算式で算出できます。

CPA=販売単価×(1-目標利益率)

上記のサンプルケースでは、

CPA=10,000円×(1-0.3)=7,000円

となり、目標利益率の範囲内で運用するには7,000円以内で1件以上の成約を獲得する必要があることが分かります。

そのため、目標CV数を50件とした場合、7000×50=350,000円が目標達成に必要な広告費用となります。

ただし、広告予算は後述するCPCやCVRなどの中間指標の改善によって、上記より少ない費用で目標達成できるケースもあるため、CPCやCVRなどの中間指標も考慮した上で複数パターンの予算プランを算出して比較し、どれぐらい予算をかけるべきか判断するのがおすすめです。

⑵クリック単価(CPC)を仮置きする

目標CPAが決まったら、広告を出稿するキーワードを選定して、それぞれのキーワードのクリック単価(CPC)をリサーチします。

各キーワードの平均CPCは、Google広告が提供している無料ツール「キーワードプランナー」で調べることが出来ます。

キーワードプランナーで任意のキーワード入力をすると、各検索キーワードの検索量の平均値を確認することが出来ます。

各キーワードのCPC相場が分かったら、平均CPCを仮置きします。

⑶CVRを仮置きする

次に、CVR(コンバージョン率)を仮置きします。

CVR(コンバージョン率)とは、広告で得られたクリックのうち、何件が成約に至ったかを示す割合(%)です。

海外サイトのWordStreamの調査によれば、Google広告の平均CVRはリスティング広告(検索広告)では約3.75%というデータが示されています。

CVRは商材やLP、フォームの導線などによって左右されるため一概にこの数値を信頼すべきとは言い切れないですが、上記のサイトに業界別の平均CVRが示されているため、CVRをどの程度に仮置きすべきか判断が難しい場合は参考にするのも良いでしょう。

なお、より正確に必要予算を求めたい場合は、顕在キーワードと潜在キーワードで想定CVRを分けて考えたほうが良いです。

⑷目標CV数、想定CVR、平均CPCから広告予算を算出する

ここまでの情報をもとに、必要な広告費を算出していきます。必要な広告費は以下の計算式で求められます。

必要予算 = 目標CV数 ÷ 想定CVR × 平均CPC

ここで想定CVRを5%、平均CPCを100円と仮定した場合は、

目標CV数(50件)÷想定CVR(5%)×平均CPC(100円)=100,000円

が目標達成のために必要な広告予算となります。

ただし上記の予算はCPCやCVRを仮置きした場合の必要予算なので、⑴で算出した広告予算(350,000円)とあわせて現実的にどこまで予算を確保すべきか落としどころを見つけるのが良いでしょう。

広告の配信実績がある場合

すでにWeb広告の配信実績がある場合、Excelの対数近似という関数を使って必要な広告予算をシミュレーションすることも可能です。

対数近似と聞くと数学的な知識などが必要に感じるかもしれませんが、テンプレートを活用すれば、専門知識が無くても誰でもシミュレーションすることが可能です。

①日別や週別の広告配信金額②同じ時系列での広告KPI(CV数など)のデータを用意することが出来れば、5分程度で手軽に予算シミュレーションをおこなうことが出来るため、Web広告の配信実績がある場合はおすすめの方法です。

Excelの対数近似を使って広告予算をシミュレーションする手順

Excelの対数近似を用いた広告予算シミュレーションは、過去の広告費と成果(例:コンバージョン数)との関係をもとに、どれぐらいの予算をかけると費用対効果が高くなるのか定量的に予測する方法です。

分析にあたっては、①日別や週別の広告配信金額②同じ時系列での広告KPI(CV数など)のデータを用意する必要があります。以下のリンクから予算シミュレーションに使えるExcelテンプレートをダウンロードできますのでご活用ください。

予算シミュレーション用Excelテンプレート

まず、広告費と成果の実績データを準備し、Excelの散布図グラフを作成します。

次に、グラフ上で右クリックをし、「近似曲線のオプション」から「対数近似」を選択し、数式とR²値(決定係数)を表示させます。

なお、R²値(決定係数)とはデータの予測精度を表す数値で、値が大きいほどデータの信頼性が高く、値が小さいほどデータの信頼性が低いという意味になります。

あくまで目安ではありますが、R²値(決定係数)が0.6以下の場合は誤差が大きすぎてシミュレーションの予測精度が低下するため、データの期間を伸ばすなどして対応しましょう。

表示された関数式はy=AIn(x)-Bという形式で表示されており、下記の画像ではA=4.925、B=35.966です。

A、Bの値を⑤のセル内に入力します。

⑥の赤枠部分に任意の予算を入力すると、どれぐらい予算をかけるとどの程度のCPAでコンバージョンがどれぐらい獲得できるか自動で算出されます。

表の見方としては、たとえば上記の画像で言えば、日予算を4万円かけるとCV数が16.22件、CPAは¥2,466となりますが、日予算を6万円まで伸ばすとCV数が18.22件、CPAは¥3,293となります。

日予算を2万円増額することで獲得できるCVは2件であるため、純増分のCV数だけを加味した増分CPAは¥10,015となります。(上記画像では想定CV数の少数第3位以下を表示していないため、CPAは1万円にはなりません)

このように、対数近似を使うと広告費が増えるほど成果の伸びが鈍化する「費用対効果の低減」を反映しながら予算シミュレーションを行うことが出来るため、Web広告の配信傾向を反映した上で根拠をもって予測を行うことが可能です。

一方で、

  • 実績データに異常値や外れ値が多く含まれている場合
  • 過去と現在の間で大きな環境変化が起こっている場合
  • これまでの5倍以上の予算増額など、もとにするデータと分析対象の間で差分が大きい場合

などは対数近似の予測精度が低下する傾向にあるため、本シミュレーションを過信すると誤った意思決定につながってしまう恐れがあります。そのため、対数近似のシミュレーションはあくまで議論のたたき台として活用するにとどめ、「ベースとなる予算策定の考え方4つ」でご紹介したようなフレームワークも参考にしながら、実際の広告予算を決定することを推奨します。

予算を決める際の3つの注意点

ここからは、Web広告の予算を決める上であわせて認識しておきたい3つの注意点について触れます。

撤退ラインを決めておく

広告予算を決める上では、広告に投資できる限界費用を考慮した上で、事前に撤退ラインを定めておきましょう。

撤退ラインを設定する上では、広告の費用対効果を検証する期間と評価指標を明確にし、「いつまでにこれぐらいの成果が出なければ配信を停止する」といった基準を定めます。

一方、検証目的やアカウント状況などによりますが、広告配信の検証期間が数日程度など、極端に検証期間が短い場合は正しい意思決定につながらないケースもあるため注意が必要です。

広告に縛られない

Web広告を含むマーケティング施策の目的は、自社の売上を拡大させることです。

そのため、本来的には広告以外のマーケティング施策の費用対効果も踏まえた上で、どの施策に投資すべきか判断することが重要です。

もちろんご自身が広告領域のみ担当しており、広告施策の改善のみ期待されているケースでは別の施策の予算まで考慮することを求められていない場合もあると思いますが、施策領域を横断して投資判断ができる場合は、広告以外の施策も考慮に入れた上で予算策定をするようにしましょう。

媒体社や代理店の提案を鵜呑みにしない

Web広告の運用をしていると、媒体社や代理店の担当者から予算増額の提案を受ける機会があると思います。

通常、媒体社や代理店はクライアントの広告成果の拡大を目指しており、広告主の目標達成に必要な戦略や戦術の提案をしてくれることが一般的です。

一方、頻発することは少ないかもしれませんが、たとえば代理店の担当者のKPIが広告費(≒代理店の売上高)となっており、組織体制や社内カルチャーなどの事情によってKPI達成へのプレッシャーが大きい場合などは、状況によっては必ずしも合理的とは言えない予算増額の提案を受けることもあるかもしれません。

そのため、広告運用のプロフェッショナルだからといって、媒体社や代理店の担当者の提案を妄信するのではなく、

  • 自社の事業目標の達成において本質的な提案をしてくれているか?
  • 担当者が提案する予算増額で、どの程度の費用対効果が得られそうか?
  • 担当者のロジックは合理的で社内説明の上で関係者を腹落ちさせられるか?

などの視点で、媒体社・代理店の担当者の予算増額の提案が妥当か慎重に判断する姿勢は持っておきましょう。

広告予算を適正に保つ4つのポイント

上述のように、Web広告の予算は一度決めたら固定で運用していくものではなく、広告配信後の実績を確認しながら、施策間の予算を柔軟にアロケーションしてROIを最大化していくことが重要です。

ここからは、広告配信後に予算を最適化するための4つのポイントをご紹介します。

費用対効果の高い施策に予算を回す

広告全体のROIを向上させる上では、費用対効果の高い施策に予算をアロケーションすることが重要です。

広告配信後の実績を確認しながら、費用対効果の高い媒体やキャンペーンを特定し、費用対効果の低い媒体などに割り当てている予算を再配分していきます。

一方、広告の費用対効果の考え方は企業によって多種多様であり、一概にどれぐらいの期間で効果測定すべきと断定することが難しいですが、短期の顧客獲得や売上拡大のみを重視しすぎると、中長期の顧客基盤の拡大がおろそかになり、徐々に売上が停滞するケースも散見されています。

以下の記事では、短期の広告効果を重視する運用をおこなったことで売上停滞が起きたケースと、中長期の売上拡大をはかるうえで広告の効果をどのように評価し、運用していくべきなのか解説しています。

ECサイトの広告運用を例とした記事となっていますが、EC以外の事業者でも同様に起こり得る事象だと思いますので、ご興味のある方はあわせてご覧ください。

費用対効果は媒体CV以降も考慮する

上述のように、広告の費用対効果を評価する上では評価期間も重要な視点ですが、どの指標をもとに評価するかで費用対効果の捉え方が変わる場合もあります。

たとえば、以下は過去に弊社でご支援していたBtoB業界のクライアントの事例ですが、総リード単価(媒体CPA)で評価をすると、指名キャンペーンに次いで、ブロード配信のキャンペーンの獲得効率が良いことがわかっていました。

一方、媒体CPAだけでなく、有効リード単価(ターゲットユーザーのCV獲得単価)で再評価をすると、効果が良いと思われていたブロードキャンペーンは有効リード率が低く、ターゲット外のユーザーからのCV割合が高いことが分かりました。

そこで、有効リード単価や商談単価など、媒体CPA以降のデータも踏まえて広告の費用対効果の再評価をおこない、媒体CPA以降の効果が高い施策に予算をアロケーションしていった結果、その後4か月で予算を13%削減しながら、商談単価を20%改善することが出来ました。

ECなど媒体CVが商品購入などの最終成果と直結している場合は不要な考え方かもしれませんが、BtoBなど広告のCVと売上が直結しない業種の場合は、媒体CV以降の指標も評価に含めることで、より売上に繋がりやすい施策を正しく評価することが出来るようになります。

予算による制限を発生させない

Google広告を運用していると、「予算による制限」というアラートが管理画面レポートに表示されることがあります。

Google広告の予算による制限とは、設定した日予算がGoogleの推奨額よりも低く、広告の配信機会が十分に確保できていない状態を指します。

予算による制限が発生している状態では、予算不足により本来参加できたはずの広告オークションに参加できず、コンバージョンの獲得機会の損失につながる恐れがあります。

また、十分な表示機会が得られないことで、機械学習が必要なデータを蓄積できず、広告配信の最適化が進まなくなるという弊害もあります。

さらに、正確な分析データが得られなくなることで、配信結果の判断を誤るリスクもあるため、管理画面にアラートが表示されている場合はすぐに対応しましょう。

また、予算による制限が発生している場合、以下のようにGoogleから推奨予算の提案が表示されますが、推奨予算に設定したからといって、必ず費用対効果が向上するとは限りません。

日予算を引き上げる以外にも、入札単価の引き下げ入札戦略の変更ターゲティングの精査広告の品質向上などを行うことで、予算不足による機会損失を回避できる可能性があります。

日予算による制限が発生している場合は、予算の増額以外の選択肢も検討した上で対応するようにしましょう。

自社で判断が困難な場合は代理店に相談する

自社でWeb広告の適正予算を判断することが難しい場合は、代理店に相談するのも有効です。

特に、ベースとなる予算策定の考え方4つで解説した目標/タスク設定法は、事業やマーケティング目標から逆算して必要な広告費を算出する方法です。

関係者の間で納得のいく投資計画を立てやすい一方で、計算方法が複雑になる場合もあるため、広告運用の経験が少ない場合は判断に迷うことも少なくありません。

そのため、Web広告に投資すべき適正予算について、自社だけで判断することが難しい場合は、一度代理店に相談することも検討しましょう。

また、広告代理店では、広告予算の相談だけでなく、ターゲティングやクリエイティブ戦略に対するアドバイスアカウント設計運用改善などについてもサポートしてもらうことが可能です。

依頼できる内容は代理店によって様々ですが、一般的には、以下のような業務についてサポートを受けることが出来ます。

そのため、自社で運用するよりも代理店に運用委託したほうがパフォーマンスを改善できそうな場合には、代理店に支払う手数料も考慮に入れた上で、運用代行を検討しましょう。

広告運用を代理店に委託すると以下のようなメリットを享受できます。

  • プロが運用するため無駄なく最短距離で成果を実現することが出来る
  • 経験豊富な運用者が課題設定と施策の取捨選択を行うため、実行スピードを早めやすい
  • 各媒体のアップデート情報や最新手法・事例など、広告運用の最新情報をキャッチアップしやすい
  • 過去の支援経験をもとにして自社の勝ちパターンを明確化し、商材や予算、ターゲットなどの個別事情をふまえてカスタマイズ運用をしてくれる

なお、相談先の代理店を選ぶ際は、以下のような選定ポイントを参考に、3〜5社程度の候補から最終的に依頼する会社を選定するのがおすすめです。

  • 類似業界や予算帯の広告運用実績がどれくらいあるか
  • 自社の課題や商材など、個別事情に対する解像度が高いか
  • 担当者は自社の事業成長に寄り添ってくれるか、コミュニケーションに問題が無いか
  • 運用者1人あたりの担当社数が10社以上など、極端に多すぎないか
  • 広告アカウントは自社保有にできるか

一方、たとえば月の広告予算が100万円を下回る場合など、少額予算で効果検証を行いたい場合などは、まずはインハウス運用で改善を行いながら、さらにパフォーマンスを向上させたい場合に代理店へ運用委託するのがおすすめです。

あわせて知っておきたい広告媒体の予算仕様

Google広告やYahoo!広告では、キャンペーンごとに「日予算」を設定して広告費を管理します。

これは1日あたりに使う広告費の目安であり、広告の費用対効果を最大化する上で重要な設定項目です。

日予算の仕様

広告運用の初学者の方にご理解いただきたい注意点としては、キャンペーンに設定している日予算を変更すると、1日あたりの費用のほか、1か月の費用にも影響が出るという点です。

たとえばGoogle/Yahoo!検索広告の場合、1日の広告費用は、その日に設定された最も高い日予算に基づいて決定されます。

また、広告の機械学習が広告を配信することで高いパフォーマンスが見込めると判断した場合には、設定した日予算以上に広告が配信されることがありますが、実際の広告費用は、設定した日予算のなかで最も高い日予算の2倍を超える料金が発生することはありません。

そのため、たとえば

  • 1日を通して日予算が1万円だった場合
    • 1万円×2=2万円まで配信される可能性がある
  • 午前中は日予算が1万円、午後は2万円に変更した場合
    • 最も高い日予算は2万円なので、2万円×2=4万円まで配信される可能性がある

となります。

参考:費用の上限について(Google広告ヘルプ)
参考:キャンペーンの1日の予算と請求について(運用型)

1か月の請求費用の仕様

上述の通り、Google・Yahoo!検索広告では設定した日予算の最大2倍まで広告配信されることがありますが、1か月の請求費用(広告費)の上限は、日予算×1か月の平均日数(30.4日)を超えることは無いためご安心ください。

たとえば以下のようなケースですと、1か月の請求費用は以下のように計算できます。

  • 9/1~9/30の1か月間、広告配信をした場合で、
    • キャンペーンの日予算が1か月を通して1万円だった場合
      • 月の請求費用は1万円×30.4=30.4万円が上限
    • キャンペーンの日予算1万円を、9/21に2万円に変更した場合
      • 9/20までの配信金額が19万円だった場合、20日までに消化した費用(19万円)+(9/21以降の日予算1万円×残り日数10日)=請求費用の上限は39万円となる

広告予算に関してよくある質問

最後に、広告予算の策定や運用に関してよくある質問と回答をまとめました。

十分な予算を捻出できないときは?

すでに広告に充当できる予算が決まっており、目標に対して必要な予算が捻出できない場合は、以下のような方法で予算を追加できるか検討してみましょう。

  • 他のマーケティング施策から予算を持ってこれるか検討する
  • 他事業や部署から予算を持ってこれるか検討する
  • 不要不急の施策へ投資している予算を削減して、使える予算を捻出する

上記のような取り組みを図れる余地が無い場合は、そもそも広告で目標達成をすることが難しいと考えられるため、SEOやSNSなど、より少ない予算で実施できる施策が無いか検討することをおすすめします。

媒体やキャンペーンごとの予算配分はどう考える?

複数の媒体やキャンペーンの配信を想定している場合は、各媒体やキャンペーンごとで期待できる費用対効果を算出し、効果の高いものから優先的に予算を割り振っていくのがおすすめです。

たとえば、CPCに関しては、媒体が異なると同じ商材でも相場が変わることが一般的ですし、CVRに関しては、顕在層への広告配信をするキャンペーンなのか、潜在層向けのキャンペーンなのか等で相場が異なってきます。

そのため、理想としては各媒体やキャンペーンごとでそれぞれ予算のシミュレーションを行い、広告全体で目標達成するためには総額でどれぐらいの予算が必要か算出の上、広告配信後のデータを見ながら予算を再配分して調整していくのがおすすめです。

まとめ:適正な予算を設定し、広告のパフォーマンスを向上させよう

本記事でご紹介したように、Web広告の予算を算出する方法は多様に存在するため、初めて広告配信をする場合などはどれぐらいの予算を確保すべきか判断に迷うケースもあるかと思います。

上述のように、まずは損益分岐点や目標CPAから広告に投資できる費用の上限と撤退ラインを決めておき、広告の配信後は各施策の費用対効果を見ながら予算を柔軟に再配分していくやり方がおすすめです。

なお、弊社オーリーズでは、顧客の事業や戦略、ターゲットなどの個別事情にあわせた予算プランのご提案が可能です。

自社だけでは納得のいく予算案が策定出来ない場合は、以下のお問い合わせボタンよりお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト

頼富 穰

新卒でパーソルキャリア株式会社に入社。社内ベンチャーとして立ち上がった顧問紹介サービスのコンサルタントに従事。 IT・メディア関連企業の経営層に対して顧問活用の提案を行う中で、データリテラシーを高め、経営・事業・組織を根幹から変えていくことの重要性を認識。 枠に縛られず顧客の事業成長に伴走する姿勢、アジャイルに物事を推進していくオーリーズのスタイルに共感し入社を決意。

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