- ナレッジ・ノウハウ
- 頼富 穰
Microsoft広告とは|GYとの違いと成功事例を紹介

Web広告と言えば、Google広告やYahoo!広告をイメージする人は多いですが、近年、新たな広告施策のひとつとして、Microsoft広告(マイクロソフト広告)の配信を検討する人が増加しています。
一方で、Microsoft広告はリリースしてから日が浅い媒体であり、GoogleやYahoo!と比べると公開情報が少ないことから、以下のような疑問を抱えるケースも散見されます。
- Microsoft広告の配信を検討しているけど、本当に効果が出るの?
- Microsoft広告はGoogle/Yahoo!と比べてどのような特徴がある?
- Microsoft広告を配信する際の注意点や運用ポイントは?
そこで今回の記事では、「Microsoft広告のメリット/デメリット」「Microsoft広告の始め方」「Microsoft広告の運用ポイント」など、Microsoft広告の配信を検討している方の参考となる情報をご紹介します。
目次から各見出しに飛べるようになっているので、気になる章からご覧ください。
Microsoft広告の出稿・成果改善なら
スピーディーな実行と検証力が強みの「オーリーズ」
オーリーズではMicrosoft広告の特性にあわせた運用ノウハウを発信しています。
アカウント設計から成果改善までお気軽にご相談ください
【広告成果を最大化するオーリーズの特徴】
- 顧客の課題にコミットするため、担当社数は最大4社
- 運用者=顧客窓口だからスピーディーな仮説検証が可能
- 顧客の半数以上が「強く」おすすめしたいと評価
目次
Microsoft広告とは
Microsoft広告は、Microsoft社が提供する広告配信サービスです。日本では2022年5月31日からサービス提供を開始しました。
Microsoft広告の主な配信先としては、以下があります。
- Microsoft社独自の検索エンジン「Bing」
- Microsoft社が提供するブラウザ「Microsoft Edge」
- ニュースポータルサイト「MSN」
- Office製品「Outlook」
参考:Microsoft Advertising による広告の表示場所
Microsoft広告は欧米圏ですでに幅広く利用されており、2021年度の時点で広告収入は100億ドルに達しています。国内外を問わず、今後も成長すると期待されている新興媒体です。
種類
Microsoft広告には、「検索」「オーディエンス」「ショッピング」「アプリ」「パフォーマンス最大化」と、5つのキャンペーンタイプがあります。
各キャンペーンタイプの特徴や入札戦略について確認しましょう。
検索
「検索」はBingに検索広告を配信できるキャンペーンタイプです。
基本的な仕組みはGoogle検索広告やYahoo!検索広告と同様ですが、Microsoft広告では、テキストに加えて画像を表示できる「マルチメディア広告」という広告フォーマットを利用することが出来ます。
ブランドや製品のイメージを画像を使って視覚的に伝えることが出来るため、ユーザーの理解促進やクリック率向上が期待できます。
「検索」における広告タイプと特徴は以下の通りです。
広告タイプ | 特徴 | 設定内容 |
---|---|---|
レスポンシブ検索広告 | 自動設定されたアセットで時間を節約 | ・見出し:15個 ・説明文:4つ |
マルチメディア広告 | ビジュアル画像で潜在的な顧客の注目を集める | ・見出し:15個 ・説明文:5つ ・画像:16個 |
動的検索広告 | 関連性の高い広告を自動的に作成し簡単に試せる | ・説明文:2つ |
配信面

「検索」はBingの検索結果画面の広告枠に配信可能で、見出し・説明文・パス・広告表示オプションが表示されます。
検索結果の広告占有率はGoogleやYahoo!の検索よりも高い傾向で、広告枠は4割以上、サイトリンクは6つ以上表示されるケースもあります。
課金形態
「検索」キャンペーンの課金形態はクリック課金のみで、広告がクリックされるたびに費用が発生します。
入札戦略
「検索」キャンペーンで選択できる入札戦略は、以下の通りです。
- 拡張クリック単価
- クリック数の最大化
- コンバージョン数の最大化
- 目標コンバージョン単価
- コンバージョン値の最大化
- 目標費用対効果
- 目標インプレッションシェアによる入札
参考:レスポンシブ検索広告について
参考:マルチメディア広告
参考:動的検索広告について
オーディエンス
「オーディエンス」はディスプレイ広告を配信できるキャンペーンです。
「オーディエンス」はディスプレイ広告1種類のみで、設定内容は以下の通りです。
- 見出し:15個
- 説明文:5つ
- 画像:16個
配信面

「オーディエンス」は、 Microsoft Edge や MSN のトップページ、Outlook のメール受信ボックスの上部などに表示されます。
課金形態
「オーディエンス」の課金形態は①クリック単価と②表示回数によるインプレッション③動画視聴課金の3つが存在します。
なお、動画広告は日本国内でまだ実装されていないため現在は利用できません。
入札戦略
「オーディエンス」キャンペーンで選択できる入札戦略は以下の通りです。
- 手動CPC(クリック単価)
- 手動CPM(インプレッション単価)
- 手動CPV(視聴単価)
参考:オーディエンスの作成
ショッピング
「ショッピング」キャンペーンは、Bingで商品名を検索した場合に店舗や商品情報を表示できるキャンペーンです。
「ショッピング」は手動で入札価格や商品概要を設定する「ショッピング広告」と、入札やターゲティングが自動で最適化される「スマートショッピング」の2種類が存在します。
広告タイプ | 特徴 | 設定内容 |
---|---|---|
ショッピング広告 | 視覚的要素の利用により、 エンゲージメント・クリックスルー率 ・コンバージョン率を向上 | ・商品名 ・価格 ・最終URL |
スマートショッピング | 入札やターゲティングを自動化 | – |
配信面

ショッピング広告枠は、検索結果に商品名・価格・広告主名・送料が表示され、Google広告同様の無料のショッピング枠も用意されています。
課金形態
「ショッピング」の課金形態は、通常のショッピング広告の場合クリック課金のみです。
スマートショッピングの場合は、コンバージョン値の最大化が自動で選択されますが、目標のROAS(広告費に対する収益や売上の割合)または、CPA(コンバージョン単価)を設定可能です。
入札戦略
「ショッピング」の入札戦略は以下の通りです。
- 拡張クリック単価
- クリック数の最大化
- 目標広告費用対効果
- コンバージョン値の最大化
参考:ショッピング広告とは
なお、Bingに検索広告を配信する場合はYahoo!広告からも配信することが出来ますが、ショッピング広告に関してはMicrosoft広告のショッピングキャンペーンからのみ配信が可能です。
Microsoft広告でショッピングキャンペーンを配信する際は、以下のようなポイントを押さえて運用すると安定したパフォーマンスが得やすいです。
- 検索結果上で綺麗に表示される高品質の商品画像を用意する
- サイズは220×220ピクセル以上
- 透かしやプロモーションテキストは画像内に入れない
- 画像の余白は10%~60%の範囲にとどめる
- まずは手動入札(拡張クリック単価)で運用する
- Google広告と比べてユーザー数が少なく学習の最適化が進まないケースもあるため、最初は自動入札ではなく手動入札がおすすめ
- 商品フィードにはできるだけ多くの属性を登録しておく
- カスタムラベルやBingカテゴリ、マーチャントカテゴリを適切に設定する
アプリ
「アプリ」は、指定したキーワードで検索された場合に広告が表示され、クリックされるとインストール画面に遷移する形式のキャンペーンです。具体的にはアプリインストール広告と、Microsoft Storeの2種類があります。
広告タイプ | 特徴 | 設定内容 |
---|---|---|
アプリインストール広告 | Bing の検索結果画面に配信される | ・広告タイトル:1つ ・説明文:1つ |
Microsoft Store | Windowsのアプリストア「Microsoft Store」に表示できる | – |
配信面
「アプリ」広告にディスプレイやストアの枠はなく、純粋なアプリインストールに限られます。
アプリインストール広告では、広告作成時にタイトル・説明文・アプリID・パッケージ名・リンクテキスト・リンクURLなどの情報が必要です。
Microsoft Store 広告はMicrosoft Store内で配信され、事前にアプリを公開する必要があります。
課金形態
「アプリ」の課金方式はクリック課金のみです。広告がクリックされるたびに広告費用が発生します。
入札戦略
「アプリ」の入札戦略は手動CPI(インストール最大化)で、決められた費用によってインストール数を最大にすることが目的です。
参考:アプリのインストール広告
パフォーマンス最大化
「パフォーマンス最大化」は「検索」や「オーディエンス」など、他のキャンペーンを組み合わせてターゲティングや収益を最適化するキャンペーンです。
ターゲティングの内容は地域・言語など任意で設定可能ですが、キーワードやユーザー属性は設定できません。
「パフォーマンス最大化」はアセットと呼ばれる形で広告の情報を決定します。キーワードやユーザーはアセットを参考に自動で決まり、アセットの設定項目は以下の通りです。
- 短い見出し:3~15個
- 長い見出し:1~5個
- 説明文:2~5個
- 画像:1~20枚
- ロゴ画像:1~5枚
- 会社名:1社
- 最終ページURL:1つ
配信面
「パフォーマンス最大化」では「検索」や「オーディエンス」など、他の広告すべての配信面が対象です。
したがって、検索画面だけでなくMicrosoft StoreやOutlook のメール受信ボックスにも配信されます。
課金形態
「パフォーマンス最大化」の課金形態は配信面に合わせ、①クリック課金②表示回数によるインプレッション③動画視聴課金などが選択されます。
入札戦略
「パフォーマンス最大化」の入札戦略は以下の通りです。
- コンバージョン数の最大化
- 目標コンバージョン単価
- コンバージョン値の最大化
- 目標費用対効果
「パフォーマンス最大化」はアセットと、シグナル(ユーザーの属性・興味関心)を設定すれば、ターゲティングや配信内容を自動で最適化してくれるメリットがあります。
費用相場
あくまで当社の運用経験を踏まえた所感ですが、Microsoft広告は後発の広告媒体であり、GoogleやYahoo!と比べるとユーザー数が少ないことから、費用はGoogle広告の同一キャンペーンの約1/3~1/10程度におさまるケースが一般的です。
適正予算は目標や商材、ターゲットなどによって変動するものであり、一概に「これぐらい予算をかけるべき」といった基準を示すことは難しいですが、Microsoft広告は最低出稿金額が無いため、まずは数十万円~など、スモールスタートで始めるのが良いでしょう。
なお、Web広告の予算の代表的な決め方には以下のようなものがありますが、Microsoft広告にどの程度予算をかけるべきか判断が難しい場合には、Google広告やYahoo!広告の配信実績をもとにしてシミュレーションをするのもおすすめです。
- 目標/タスク設定法
- 特定のマーケティング目標を達成するために必要なタスクを設定し、それらを遂行する上で必要な予算を策定する考え方
- 売上高百分率法
- 売上の一定割合(%)を広告予算とする考え方
- 競合同率法
- 競合の広告予算額と同程度の金額を予算とする考え方
- 可能額配分法
- 売上から固定費などの支出を引いた上で、使用可能な金額を広告予算とする考え方
予算シミュレーションのやり方
広告予算は①目標CPA×②コンバージョン数で算出できるため、目標CPAと目標コンバージョン数を決めてかけ合わせれば必要な広告予算が算出できます。
しかし、これらの数値はCPCやCVRなどの中間指標によって数値が変動するため、より妥当性の高い予算を策定したい場合は予算シミュレーションを行うことをおすすめします。
まず、予算シミュレーションにあたって目標CV数を決めます。目標CV数については、自社の目標売上や販売単価、LTVなどを考慮して決定します。
次に、仮置き数値としてCPC(クリック単価)の平均値を設定します。
以下は弊社で運用している一部のアカウントの平均CPCをGoogle広告・Microsoft広告で比較したデータです。
Google広告 | Microsoft広告 | |
製造業A社 | 300円 | 115円 |
小売業B社 | 150円 | 90円 |
通信業C社 | 280円 | 60円 |
あくまで目安ではありますが、Microsoft広告の平均CPCはGoogle広告の平均CPCの約1/2~1/5程度におさまることが多い傾向にあります。
CPCの推定値を決定したら、CVR(コンバージョン率)についても同様に仮置き数値を設定します。
CVRについてもあくまで参考値ではありますが、おおよそGoogle広告のCVRの約1/2~1/3程度で推移するケースが多い傾向です。
最後に、設定した数値をもとに広告予算を計算します。広告予算は以下の計算式で算出できるため、先ほど設定した仮置き数値を入れて計算します。
広告予算=目標CV数÷想定CVR×平均CPC
予算シミュレーションを行う際の注意点としては、シミュレーションの数値はあくまで予測値であるという点です。
CPCやCVRなどの中間指標は、実際に広告配信をしてみないと分からない部分も多く、事前にシミュレーションを行っても実態と乖離するケースも散見されます。
そのため、予算シミュレーションは議論のたたき台として活用するにとどめ、一定の予算を確保した上でテスト配信をして効果検証をしながら、予算を増額・減額すべきか判断することをおすすめします。
Microsoft広告3つのメリット
Microsoft広告は、Google広告やYahoo!広告にない特徴を持っています。
まずは、他媒体と比べた際のMicrosoft広告のメリットについて解説します。
Bingに出稿できる
Microsoft広告は、マイクロソフト社が提供する検索エンジンである「Bing(ビング)」に広告を出稿することが出来ます。
BingはWindows標準ブラウザのEdgeと連携されているため、主にPCでの利用比率が高く、国内のデスクトップにおける検索エンジンシェアでは、Googleに次いで第2位となっています。

日本におけるBingのシェアはここ数年増加傾向にあり、2020年代はデスクトップで8%程度のシェアでしたが、2025年現在は16%と約2倍まで伸長しています。
Bingの利用者は今後も増加していく可能性があるため、さらなるCV獲得を狙っていきたい場合はMicrosoft広告の配信を検討してみましょう。
参考:Desktop Search Engine Market Share Japan
CPCが低い傾向にある
あくまで一般的な傾向ですが、Microsoft広告はCPC(クリック単価)がGoogleやYahoo!広告より低い傾向にあります。
これは、GoogleやYahoo!と比べてまだ広告を出稿する企業が少ないため競合性が低いことが影響していると考えられます。
詳しくは「配信ボリュームが少ない」で説明しますが、Microsoft広告は低単価でCV獲得が期待できる一方で、配信ボリュームも少ない傾向にあります。
そのため、基本はGoogle広告などボリュームの大きい媒体の改善に注力しつつ、さらにCV獲得を増やしたい場合にMicrosoft広告を配信することをおすすめします。
エンプラリードを獲得しやすい
BtoB企業の場合は、Microsoft広告の配信によって、エンタープライズ企業からのリード増加が期待できます。
あくまで一般的な傾向ではありますが、大企業や官公庁では、セキュリティの兼ね合いから社用PCへのアプリのインストールに制限がかかることが多いです。
そのため、Google Chromeをはじめとする主要なブラウザを導入できず、WindowsのデフォルトブラウザであるEdgeを利用するケースが一般的です。
あくまでBtoB商材での一般的な傾向であり、すべてのケースで当てはまるわけではありませんが、エンタープライズ企業のリード獲得を狙っている場合は、Microsoft広告の配信をおすすめします。
Microsoft広告3つのデメリット
ここまでMicrosoft広告のメリットについて見てきましたが、デメリットもいくつか存在します。
今後の機能開発によって軽減される可能性はありますが、参考としてご覧ください。
Googleと比べると機械学習が未発達
Googleはユーザーニーズに合致する広告を表示するため、自社の機械学習アルゴリズムに膨大な投資を行い、これまで数多くの改良を重ねて、その質を向上させてきました。
一方、Microsoft広告は後発の広告媒体であることから、Googleと比べるとアルゴリズムへの投資やアップデートの回数も少ないため、機械学習の質は発展途上と言えます。
実際、Google広告では自動入札によって高いパフォーマンスを期待できる場合でも、Microsoft広告ではパフォーマンスが停滞するケースが散見されます。
Google広告と同じ設定・運用では効果が出づらいケースもあるため、可能な範囲でMicrosoft広告の挙動にあわせたカスタマイズを行うことを推奨します。
配信ボリュームが少ない
Microsoft広告は、Google広告をはじめとする他媒体より配信ボリュームが少なめです。
これは、Googleと比べてサービスの利用者数が少ないため、そもそもの広告在庫が限られることが影響していると考えられます。
実際、当社の運用実績から言える傾向としては、Microsoft広告は、Google広告の約1/3~1/10程度の配信ボリュームにとどまる傾向が見受けられます。
そのため、基本はGoogleの改善を最優先にした上で、さらにCV獲得を増やしていきたい場合にMicrosoft広告の配信にチャレンジするのがおすすめです。
公開情報が少ない
Microsoft広告は、日本では2022年5月にリリースされた、比較的新しい広告媒体です。
そのため、Microsoft広告の情報を発信しているメディアや企業は限定的で、運用ノウハウや事例を収集するのが難しいです。
また、公式サイトのヘルプ情報やサポート担当の対応も発展段階と言えるため、自社に広告運用ノウハウが無いと、期待するパフォーマンスを得ることが難しい場合があります。
効率的に成果改善につなげたい場合は、Microsoft広告の運用実績が豊富な代理店やパートナーに相談するのも良いでしょう。
Microsoft広告はどういう人におすすめ?
ここまでMicrosoft広告のメリット/デメリットについて見てきましたが、Microsoft広告は具体的にどのような場合におすすめできる媒体なのか解説します。
以下に示す内容はあくまで目安なので、条件に当てはまっていないからといってMicrosoft広告を配信すべきではない、というわけではありません。
予算と期間を決めて、まずは検証目的で配信してみるというやり方もありますので、自社で配信すべきか判断する参考材料としてご覧ください。
配信を推奨するケース
すでにGoogle広告やYahoo!広告で期待水準の成果が上がっている場合、Microsoft広告の配信によって、低CPCでCV数を増加させられる可能性があります。
また、上述の通り、Microsoft広告は他媒体と比べてエンタープライズリードの獲得がしやすいため、BtoB商材を扱う事業者とは総じて相性が良いと言えるでしょう。
一方、BtoC商材でも「分譲マンション」「保険」「健康食品」など、ミドル・シニア層をメインターゲットとする商材では効果が上がったケースも報告されています。
商材に限らず、Google広告やYahoo!広告に次ぐ第二・第三の矢として、さらなるCV獲得を目指す場合には配信を推奨します。
配信を推奨しないケース
Web広告の運用経験がない場合、Microsoft広告の配信はおすすめしません。
上述した通り、Microsoft広告は機械学習の質が発展段階にあり、GoogleやYahoo!と比べて癖のある挙動をする場合があるため、運用者のチューニングによって機械学習の挙動を制御する必要性が高いです。
また、管理画面についても、日本語版では翻訳が不自然な表現になっている部分も多く、GoogleやYahoo!広告の運用経験が無いと扱いづらいと感じることも多いです。
そのため、自社に広告運用のノウハウが十分に無い場合は、Microsoft広告の運用を運用代行会社に委託するのもおすすめです。
広告運用をプロに運用委託する主なメリットとしては、
- 広告運用の専門知見を持つ人材に運用を任せることが出来るため、無駄なく最短距離で成果へと繋げやすい
- 経験豊富なプロが課題設定・施策の取捨選択をおこなうため、実行スピードの向上が期待できる
- 各媒体のアップデート情報や最新の広告手法など、Web広告の最新情報を収集しやすい
といったメリットがあります。
Microsoft広告の始め方
ここからは、Microsoft広告の配信の流れについて説明します。
アカウント作成から配信開始までの流れは、おおむねGoogle広告やYahoo!広告と同様です。
Google広告/Meta広告を配信している場合は、キャンペーンの内容をMicrosoft広告にインポートして自動設定をおこなうことも出来るため、既に配信済の場合は活用を検討しましょう。
1.アカウント作成
Microsoftアカウントの作成
まずは、Microsoft公式サイトにアクセスし、Microsoftのアカウントを作成します。
画面の指示に沿って、メールアドレス・パスワード・名前を入力しましょう。
メールアドレスに本人確認メールが届き、認証が完了すればアカウント作成は完了です。
広告アカウントの作成
Microsoftのアカウントを作成したら、Microsoft広告の公式サイトにアクセスして、広告アカウントの作成をおこないます。
画面の指示に沿って、ビジネス情報の登録や支払い設定をおこないます。「エキスパートモードで最初のキャンペーンを作成する」を選択し、「キャンペーンを作成せずにアカウントを作成」をクリックしましょう。
なお、広告の目標や予算などは後から変更することも可能なので、仮で設定する形で問題ありません。
2.アカウント設定
広告アカウントの作成が完了したら、キャンペーンや広告グループの設定を行っていきます。
- キャンペーン設定
- キャンペーン名
- キャンペーン予算(1日当たり)
- 広告表示地域
- 言語
- 対象者
- 広告グループ設定
- 広告グループ名
- 広告に関連するキーワード(「完全一致」「語句一致」「広範一致」から選択)
- ターゲット(「地域」「デバイス」「性別」「年齢」などを選択)
- 広告スケジュール(「広告開始日」「終了日」を選択)
また、Google広告やFacebook広告のアカウントを持っていれば、キャンペーン設定をインポートしてMicrosoft広告に自動設定することが可能です。
一部自動で引き継がれない設定もありますので、インポートする際は以下の公式ヘルプページをあわせてご覧ください。
参考:Google広告からインポートされるもの(Microsoft広告ヘルプ)
3.広告入稿・審査
キャンペーンや広告グループの設定が完了したら、広告および広告表示オプションを設定します。
主な設定項目は以下の通りです。
- 広告タイプ
- 最終的なURL
- ヘッドライン(広告見出し)
- パス
- 説明文
- 画像
広告作成後に審査が開始されます。審査は基本的に1日以内で完了します。
4.タグ設置
Google広告やYahoo!広告と同様に、広告のコンバージョンなどWebサイト訪問後のユーザー行動データを計測するには、タグの設置が必要です。
Microsoft広告では「UETタグ」と呼ばれるコードをWebサイトに設置する必要があります。
タグの設置方法は、
- WebサイトのHTMLコードに直接埋め込む方法
- Googleタグマネージャー経由で設置する方法
の2通りがありますが、設置の簡便さやメンテナンスのしやすさの観点から、基本はGoogleタグマネージャーで設置をすることをおすすめします。
5.配信開始
すべての設定が完了したら、広告を配信します。配信直後は、インプレッションが出ているか、クリックが発生しているかなど、配信実績を確認しながら意図通りの挙動をしているかチェックします。
Google広告などと同様に、配信開始から2~3週間程度は学習期間になることが一般的なため、過度な入札調整や設定変更は避け、明らかに挙動が意図通りでない場合に調整するようにしましょう。
配信前に押さえたい4つの注意点
Microsoft広告は比較的新しい広告媒体のため、まだまだ未発達な部分があります。
他の広告媒体と同じ感覚で運用すると、無駄なコストが発生したり効果が見込めなかったりするリスクも考えられます。事前に注意点を確認しておきましょう。
オーディエンス広告は自動作成される
オーディエンス広告はMicrosoft Audience Networkに配信される広告で、配信先のページにあわせて広告が自動で調整されます。
オーディエンスキャンペーンを配信していない場合でも、オーディエンス広告は検索/ショッピングキャンペーンの設定内容を参照して自動で配信がされる仕様となっているため注意しましょう。
現時点ではオーディエンス広告の自動配信を停止する方法は無いのですが、除外するWebサイトにMicrosoft Audience Networkのサイトを追加することで実質的にオーディエンス広告を停止することができます。
また、検索キャンペーンではBing以外の検索ネットワークにも配信される仕様となっているため、配信したくない場合は除外リストを活用するか、キャンペーン/広告グループ単位で除外設定をしておきましょう。
デフォルトのタイムゾーンがヤクーツクになる
Microsoft広告アカウントに紐づくタイムゾーンが、ヤクーツクに設定される不具合が確認されています。
タイムゾーンが変わると広告のパフォーマンスデータが正しく集計できなかったり、配信開始日や終了日にずれが生じたりする可能性が考えられます。
配信時のトラブルを避けるためにも、広告配信をする前に、アカウントのタイムゾーンが日本であるかどうか確認しましょう。
参考:アカウントのタイム ゾーンを変更(Microsoft広告ヘルプ)
インポート機能を使うときは注意
Microsoft広告は、Google広告やMeta広告のキャンペーン設定をインポートすることが可能です。
ただし、インポートを行うと意図せず広告が自動配信されたり、パラメータの設定が予期しない内容になったりする不具合が確認されています。
インポート機能により他媒体の広告設定を引き継ぐ場合、意図した設定となっているか、広告配信前に必ず確認しましょう。
プレースメント除外は広告グループ設定が優先される
ディスプレイ広告を配信する際、費用対効果の向上やブランド保護の観点から、特定のWebサイトやアプリへの広告配信を除外(プレースメント除外)するのが一般的かと思います。
Microsoft広告では、広告グループでプレースメント除外の設定をしていると、キャンペーンに設定しているプレースメント除外が無視されるため注意しましょう。
たとえば、以下のようにキャンペーン/広告グループでプレースメント除外の設定をしたとします。

これを見ると、広告グループでは「tenki.jp」を除外していて、キャンペーンでは「nifty.com」「tenki.jp」「livedoor.jp」・・・などの複数サイトを除外できているように見えます。
しかし、Microsoft広告では広告グループの除外設定とキャンペーンの除外設定が同時に効力を発揮することは無く、上記の設定ではtenki.jpのみが除外されることになります。
Microsoft広告のヘルプページにも以下のように記載されており、広告グループでプレースメント除外の設定が行われている場合はキャンペーンのプレースメント除外設定は反映されません。
広告グループレベルのWebサイトの除外により、キャンペーンレベルのWebサイトの除外がオーバーライドされます。
出典:広告が特定のユーザーに表示されないようにする方法
Microsoft広告2つの運用ポイント
Microsoft広告を運用する際に注意したいポイントをご紹介します。
機械学習に任せすぎない
上述の通り、Microsoft広告は後発の広告媒体であり、自動化が進んだGoogle広告と比べると、機械学習アルゴリズムもまだ発展途上と言えます。
Google広告では自動入札やレスポンシブ広告によって高いパフォーマンスが期待できることが多いですが、Microsoft広告では期待水準の効果が見込めないケースも散見されます。
そのため、機械学習に任せるだけではなく、その挙動に応じて、運用者が手動で配信を制御するなど、機械学習を補完してあげることが重要です。
なお、弊社の事例では、媒体推奨と異なる運用を取り入れたことで、CPAを維持しながらCV数を約1.2倍まで増加させた事例があります。
とあるBtoBのクライアントにて、Microsoft広告でRDA(レスポンシブディスプレイ広告)を自動入札で配信していました。
従来、自動入札で運用しており機械学習が有効に機能していれば、理論上はクリック率×コンバージョン率の高い広告に配信の比重が寄っていくことが一般的です。
実際、該当クライアントのGoogle広告アカウントではパフォーマンスの高い広告に配信比重が重くなるように配信されていたのですが、なぜかMicrosoft広告では均等に広告配信される事象が続いており、広告運用の課題点のひとつとして議論していました。

Google広告とMicrosoft広告間で広告の設定について大きな差異は無かったため、何らかの原因でMicrosoft広告は機械学習が有効に働いていない可能性が考えられました。
そこで、試験的にGoogle広告で媒体評価が高い広告アセット以外を削除し、RDAで表示できるアセット本数を絞ったところ、配信量が増加しながらもCPA維持でCV数を1.2倍に増加させることが出来ました。(※)
※一般的に、広告のアセット本数を削減することは媒体からは非推奨とされています

このように、Microsoft広告では機械学習がうまく働かないケースも散見されるため、Google広告と同じ感覚で自動化を前提とした設定・運用をおこなうのではなく、意図的に媒体推奨とは異なる運用を取ることでパフォーマンスが改善することもあります。
運用代行を活用する
自社の運用体制が心もとない場合や、より効率的に成果を上げていきたい場合は、広告運用代行サービスを提供している代理店/個人事業主に運用を委託するのも有効な手段です。
特に、はじめて広告配信をする場合や、自社に広告運用の経験者がいない場合などは、インハウス運用から運用代行に切り替えることで成果改善するケースが多くあります。
媒体への広告費の支払いに加えて、初期費用や手数料が発生しますが、広告運用経験の豊富なプロに運用を任せることが出来るため、無駄なく最短距離で成果を実現することが出来ます。
Microsoft広告は認定代理店制度などを公にしていないため、候補となる代理店の選定が難しい可能性がありますが、その際は、「Microsoft広告 運用」「BtoB Microsoft広告 事例」などのキーワードで検索して、検索上位に出てくる会社に問い合わせしてみるのも有効です。
GoogleやYahoo!と比べて、Microsoft広告はまだ公開情報が少ない媒体ではありますが、Microsoft広告の配信や運用に強い代理店では、運用ナレッジや事例など、支援経験をもとにした具体的なナレッジを情報発信していることが多いです。
Microsoft広告の成功事例
Microsoft広告の配信によって、具体的にどのような成果が得られたのか、事例を通してお伝えします。
事例の詳細について知りたい場合は、この記事の下部にあるお問い合わせからご連絡ください。
エンプラリードの獲得数が増加
商材 | BtoB SaaS |
施策 | 検索/ディスプレイキャンペーンの新規配信 |
結果 | 社員数1000名以上のエンタープライズ企業のリード数が伸長 |
BtoB企業向けに業務用アプリケーションの提供をおこなっているA社では、Google、Yahoo!広告に次ぐ新たな広告施策として、Microsoft広告の配信を開始しました。
最初は月数十万円~のスモールスタートでの配信でしたが、成果が軌道に乗ってきたタイミングで予算を追加。
その後、GoogleやYahoo!と比較して、エンタープライズ企業からのリード獲得比率が高いことに着目し、広告全体の収益性を高めるため、徐々に他媒体の予算をMicrosoft広告にアロケーションしました。

結果として、社員1000名以上のエンタープライズ企業からのリード数が約1.3倍に伸長し、広告経由での売上を大きく伸ばすことが出来ました。
よくある質問
Microsoft広告に関するよくある質問をまとめました。Microsoft広告を導入してから困らないよう、事前に確認しておきましょう。
Google広告やYahoo!広告との違いは?
Microsoft広告と、Google広告やYahoo!広告の違いは以下の通りです。
広告媒体 | Microsoft広告 | Google広告 | Yahoo!広告 |
---|---|---|---|
配信媒体 | ・Bing ・Microsoft Edge ・MSN ・Outlook など | ・GoogleChrome ・YouTube ・Gmail など | ・Yahoo! JAPAN ・LINEアプリ ・Bing など |
特徴 | ・クリック単価が安い ・BtoB商材に強い | ・広告枠が豊富 ・機械学習の精度が高い | ・広告枠が豊富 ・LINEにも広告を出せる |
Microsoft広告はクリック単価が安く、Edgeをメインブラウザとして利用していると予想される、エンタープライズ企業へリーチしやすい媒体です。
一方で、Google広告やYahoo!広告は自社サービス内で豊富な広告枠を抱えており、Microsoft広告と比べてリーチできるユーザー数が多いです。
機械学習の精度や管理画面の扱いやすさの観点などでも、GoogleやYahoo!広告に分があるため、Google広告やYahoo!広告で成果が頭打ちとなってきた場合にMicrosoft広告の配信を検討するのが良いでしょう。
Yahoo!広告を出していればMicrosoft広告は配信する必要はない?
Yahoo!のパートナーサイトにBingがあるため、「わざわざMicrosoftでアカウント開設をしなくてもYahoo!経由で広告を出稿すれば良いのでは?」と疑問を持つ方もいらっしゃるかと思います。
結論からお伝えすると、配信プラットフォームが異なれば広告配信の最適化に使われるユーザーのシグナルが変わるため、Microsoftならではのシグナルが作用することにより、Yahoo!広告から配信するよりも低単価でCV獲得できる可能性があります。
また、「Yahoo!とMicrosoftの両方で広告を出すと競合するのでは?」と言った指摘もありますが、配信ネットワークが別であるため、両者がオークションで競合することはありません。
インハウス運用と運用代行はどちらがおすすめ?
以下はおおよその目安ですが、
- 社内に運用経験者がおり、広告運用の体制が整備されている場合
- 自社内に広告運用のノウハウを蓄積したい場合
- 月の広告予算が少額(100万円以下)である場合
などはインハウス運用を推奨します。
一方、運用代行を活用すると、広告運用の専門スキルを保有する人材にサポートしてもらうことが出来るため、インハウス運用よりも早期に成果に結びつく可能性があります。
運用業務をパートナーに委託することで、工数を確保することも出来るので、マーケティング戦略の立案や、他施策の遂行などに時間を充てることも可能になります。
インハウスか運用代行か迷っている方は、以下の比較表も参考にしてください。
インハウス運用 | 運用代行 | |
---|---|---|
体制 | 自社で広告運用を内製する | 代理店や個人に運用を委託する |
メリット | ・意思決定と実行を社内でおこなうためPDCAを高速化しやすい ・自社の運用経験をもとにナレッジを蓄積しやすい | ・プロが運用するため無駄なく最短距離で成果を実現しやすい ・外部リソースの活用によって施策の実行スピードを早めることが出来る |
デメリット | ・体制構築と維持の難易度が高い ・運用経験者がいないと誤った設定・運用により成果が停滞する可能性がある | ・担当者によってパフォーマンスにムラがある ・広告費と別で初期費用や手数料が発生する |
コスト | 体制構築や維持が出来れば、中長期的には運用代行よりコストメリットが生まれるケースが多い | 支援が継続する場合は、手数料が発生し続ける |
なお、施策や媒体領域で実行者を棲み分け併用する「ハイブリッド運用」という運用形態もあり、インハウス運用で中長期的に成果を上げ続けている事業主では、ハイブリッド運用をおこなっているケースも多いです。
まとめ:Microsoft広告を配信して広告パフォーマンスを向上させよう
Microsoft広告は、日本でサービスリリースしてから日が浅い媒体であり、GoogleやYahoo!広告と比べるとその効果はまだ限定的です。
しかし、競合が少ないため低単価でCV獲得ができる点や、エンタープライズ企業のリード獲得が期待できる点など、他媒体には無い独自の強みも存在します。
機械学習の精度についてはまだ発展途上と言えますが、今後Bingのシェアが拡大し、アルゴリズムアップデートが進んでいけば、Google同様に自動化を前提とした高いパフォーマンスが期待できるかもしれません。
なお、当社オーリーズでは、業種や予算規模を問わず、これまで数多くの企業の広告運用支援をおこなってきました。
Microsoft広告に関しても、日本でリリースされた直後から運用支援をおこなっており、アカウントの設計や運用、タグマネジメントなどを一気通貫で支援することが可能です。
本記事をご覧いただいた上で、Microsoft広告の運用についてご相談がある場合は、以下のお問い合わせよりご連絡ください。
Microsoft広告で広告成果をあげるなら
スピーディーな実行と検証力が強みの「オーリーズ」
「Microsoft広告を始めたい」「Microsoft広告の成果に課題がある」なら、
BtoB事業者の支援実績豊富なオーリーズにお任せください
【広告成果を最大化するオーリーズの特徴】
- 顧客の課題にコミットするため、担当社数は最大4社
- 運用者=顧客窓口だからスピーディーな仮説検証が可能
- 100社以上のBtoB事業者のコンサルを経験