広告予算はどうやって決める?予算算出の考え方と具体的なシミュレーションの方法を解説

広告予算はどうやって決める?予算算出の考え方と具体的なシミュレーションの方法を解説

自社のマーケティングを担当している中で「自社の広告予算はどれくらいであるべきか?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?特に決まった予算額の決め方がなかったり、事業フェーズや環境の変化によって、改めて考えることが必要なケースもあると思います。
本記事は、企業のマーケティング担当者や責任者の方を対象に、広告予算の総額を決定する際の考え方をご紹介し、予算策定のご参考としていただく目的で作成しました。特に、売上高比率法や競合比較法など、実践で広く採用されている予算策定のアプローチを取り上げ、目的や状況に応じた予算策定方法を解説します。
記事の後半では、運用型広告の適正予算を過去実績からシミュレーションする方法についても解説しています。ぜひ最後までご覧ください。

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広告予算を算出する4つの方法

まず、広告予算を策定する際の代表的な方法を4つご紹介します。4つの考え方には、それぞれメリット・デメリットがあります。自社の目的や条件を踏まえて使いやすいものを選択するようにしましょう。

1.売上高百分率法(売上高比率法)

名前の通り、売上の一定の割合(%)を広告予算に割り当てる方法です。
基準となる売上は前期の売上高で算出する場合が一般的で、広告費の割合(%)は自社の過去実績や競合他社の広告費をベンチマークとする場合が多いため、比較的市場の競争環境が安定している成熟市場にマッチする算出方法だと言えます。
簡単に算出でき、売上と広告費の関係がわかりやすい点はメリットと言えますが、売上と広告費の関係が常に一定であるとは限らず、市場環境の変化に弱い点はデメリットだと言えます。

2.可能額配分法

主に中小企業で使われる予算策定方法で、売上から固定費などの避けられない支出を差し引いた後に残った金額を基に広告予算を配分する方法です。利用可能な資源を最大限に活用しやすい点は大きなメリットだと言えますが、状況によって広告費が不安定になる点や、中長期的な戦略や成果に基づいて算出する方法ではないため、長期的な活用が難しいという弱点があります。

3.競合同率法

競合他社と同程度の金額を広告予算とする方法です。競合他社と同程度の金額を広告費として投資することで、広告における業界内での競争力を維持することができます。
一方で、競合の予算戦略が適切でない場合にその影響を受けてしまう点や、競合の戦略に依存するため独自性に欠ける点には注意が必要です。

4.目標/タスク設定法

特定のマーケティング目標を達成するために必要なタスクを特定し、それを達成するために必要な費用を算出する方法です。目標に用いる数値は、売上や利益、シェア率、認知率などが考えられ、「1年間で○○を□%アップさせる」といった目標を起点に、そのために必要なプロモーション施策はA、Bとあり、それらにx円、y円必要というようなプロセスで算出します。
戦略的で目標達成に直結する考え方である一方で、広告費の算出が複雑で正確な見積もりが難しい場合もあるため、この方法を活用する場合は広告代理店やコンサルティング会社に依頼するケースが多いです。

広告費を算出する際の注意点

広告予算を算出する代表的な4つの方法をご紹介しましたが、実際のマーケティング現場ではひとつの方法だけで算出するケースは少なく、複数の考え方を組み合わせながら自社にとって妥当性のある広告費を算出するケースが一般的です。その他、広告予算を算出するうえで注意すべき点を解説します。

利益への影響を考慮する

認知獲得のみを目的とした広告投資の場合は別ですが、顧客獲得を目的として広告投資をする場合は、売上だけでなく利益に対する影響も考慮した上で予算策定をするようにしましょう。

LTVを考慮する

特にサブスクリプション型課金の商品やサービスの場合、LTV(Life Time Value:顧客が生涯でもたらす価値)も加味した上で広告予算を策定することで、長期的な売上成長も含めた戦略的な予算策定が可能になります。

市場における自社の立ち位置を考慮する

市場における自社製品の立ち位置によって、どの程度の広告予算を用意すべきかが変わってきます。一般的には、すべての条件が同じであれば、SOV(Share of Voice:カテゴリー内の広告総量に占める自社の広告量)がSOM(Share of Market:マーケットシェア)を上回ると市場シェアを伸ばす可能性が高くなるとされています。

運用型広告の予算シミュレーションを行う方法

最後に、リスティング広告やディスプレイ広告など、運用型広告の予算をシミュレーションする方法についてもご紹介しておきます。これらはいずれも過去の広告配信データを基に、Excelの対数近似曲線という機能を使って将来の期待値(=どれくらいの予算をかければ何件のコンバージョンが期待できるのか)をシミュレーションする方法となります。参照元となる広告配信データが少ない場合や、過去と将来で条件が大きく異なる場合などは予測精度が下がる点は理解しておきましょう。

対数近似曲線で広告予算のシミュレーションを行う方法

Excelの対数近似曲線という機能を使って、過去の広告配信のデータを基に広告予算によってどれくらいのCPAで何件のコンバージョンが期待できるのかシミュレーションできる方法です。以下の記事では簡単にシミュレーションができるExcelテンプレートも用意していますので、具体的な手順もあわせてぜひご確認ください。

新規顧客の獲得予算をシミュレーションする方法

上述の対数近似曲線のシミュレーションをベースとして、新規顧客の獲得予算をシミュレーションする方法です。以下はEC企業を想定としたテンプレートにはなりますが、短期の売上目標を達成できる範囲で、中長期の顧客基盤も拡大していきたいと考えている方にはおすすめの方法となります。
具体的な手順については以下の記事をご覧ください。

まとめ

広告予算の策定は、マーケターの頭を悩ませる命題の一つです。
今回は広告予算の策定で参考となる4つの代表的な考え方についてご紹介しましたが、実際に広告予算を策定する場合は、複数の考え方を組み合わせたり、自社や競合の実績を参照したりなど、複雑なプロセスをたどります。自社だけでは妥当性のある予算策定が難しいと感じる場合は、一度広告代理店やコンサルティング会社に相談するのもひとつの手です。
オーリーズでは新規・既存媒体を問わず広告予算の計画段階からサポートをしていますので、広告予算の策定でお悩みのある方は以下の問い合わせボタンよりご相談をいただけると幸いです。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト/チーフ

室伏 翔太

新卒で大手輸送機器メーカーに入社し、営業職としてキャリアをスタート。国内販売会社における販売店への卸営業の経験を経て、海外営業として海外子会社に対する事業管理、需給調整、製品輸出に従事。 データを活用するアジャイルマーケティングに魅力を感じ、専門性を身に付け、事業を深く理解して価値提供ができる人材になりたいという想いからオーリーズへの入社を決意。

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