- ナレッジ・ノウハウ
- 肥田 悟志
Web広告代理店の選び方ガイド|生成AIを活用した選定方法も紹介

広告代理店の選定は、企業のマーケティング戦略において重要なステップですが、実は多くの企業が最初の選定で満足のいく結果を得られていないのが実情です。
SO Technologiesによる調査では、広告主の約8割が3年以内に代理店を切り替えており、4割は1年以内に変更しているというデータが示されています。
こうした事態を避けるためには、代理店選定のプロセスや判断基準を明確にし、自社の目的や課題に最適なパートナーを見極めることが重要です。
本記事では、失敗しない代理店選びのための具体的なステップとチェックポイントを解説していきます。
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代理店を選ぶなら、「どんな成果を出してきたか」と「なぜ選ばれ続けているか」を知ることが大切です。
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目次
失敗を防ぐための代理店選定5ステップ
広告代理店選びで失敗したくない——そう考える方にとって、「なんとなく良さそう」で決めてしまうのは最も避けたいパターンです。
ここでは、石橋を叩いて渡りたい慎重派の方に向けて、代理店とのミスマッチを防ぐための5つの選定ステップを紹介します。
STEP1|目的と課題の明確化
まず最初に行うべきは、自社の広告出稿の目的や抱えている課題を言語化することです。
「とりあえず代理店に任せたい」といった曖昧な状態では、的確な提案が受けられず、成果が上がりにくくなります。
場合によっては、そもそも代理店への外注が最適ではなく、自社運用(インハウス)やコンサルティング支援の方が効果的なケースもあります。
目的と課題を明確にすることで、パートナー選定における判断軸が定まり、無駄なやり取りや機会損失も防げます。
STEP2|運用体制の検討
自社の課題や体制に応じて、どのような運用体制が最適かを見極めることが重要です。
運用体制には大きく4つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありますが、中でも「代理店に運用委託する」体制は、実行リソースを補いながら、一定の成果を安定して狙いたい企業にとって有力な選択肢です。
体制 | 概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
インハウス | 自社で広告運用を行う体制 |
・意思決定が早くPDCAが回しやすい ・運用ノウハウが社内に蓄積される |
・経験者がいないと成果悪化のリスク ・人材の採用・育成のハードルが高い ・ナレッジ蓄積の仕組みが必要 |
代理店委託 | 広告代理店に手数料を支払って広告運用を代行してもらう体制 |
・専門スキルを持つ人材に任せられる ・社内リソースを抑えられる |
・予算少額だとコストパフォーマンスが合いづらい ・ノウハウを社内に蓄積しづらい |
個人委託 | フリーランスや業務委託の個人に運用を依頼する体制 |
・コストを抑えつつ外部支援を受けられる ・柔軟な対応が期待できる |
・担当者の品質にバラつきがある ・期待外れでも担当変更が難しい |
ハイブリッド運用 | インハウス・代理店・個人委託を組み合わせ、領域ごとに最適な体制で広告運用を行う |
・各体制の強みを活かせる ・柔軟かつ戦略的な運用が可能 |
・ディレクション人材が不可欠 ・連携や整合性が取りづらい可能性があり ・戦略と戦術が分断されるリスクも |
代理店委託では、他の体制と比べて大きく以下のようなメリットがあります。
媒体特性や成果改善のセオリーを理解した運用者が設計・改善を担うため、無駄のない施策設計が可能。自社にナレッジがない場合でも、短期間での成果創出が期待できます。
2.社内リソースの補完で実行スピードが向上
広告運用には、アカウント設計、クリエイティブ改善、レポート作成など多くの業務が発生します。これらを代行してもらうことで、限られた社内リソースを戦略立案などに集中させられます。
3.最新情報・事例をもとに改善できる
媒体アップデートや他社事例の情報を常に収集しているため、自社単独では気づきにくい改善機会も提案してもらえる。媒体社との関係性が深い代理店であれば、新機能の早期活用も可能です。
代理店に広告運用を委託することは、専門性・スピード・情報力という3つの観点から、大きなメリットを得られる体制です。
ただし代理店ごとに得意領域や運用力には差があるため、後述する選定基準をもとに、適切なパートナーを見極める視点が不可欠です。
STEP3|代理店への期待事項を明確化
広告代理店によって、提供する支援のスタイルや深さはさまざまです。
まずは、代理店に「何を」「どこまで」「どのように」支援してもらいたいのかを明確にすることが重要です。
以下に、代表的な支援タイプと、それぞれに適したケースの目安を示します。
支援タイプ | 特徴 | 適したケース例 |
---|---|---|
運用代行型 | 広告アカウントの設定・運用改善・分析など、運用の実務を一貫して代行 |
・広告運用の経験者が社内に少ない ・リソースが限られているため外部のプロに運用を任せたい |
コンサルティング型 | 戦略立案やKPI設計、改善提案などを行い、実行は社内or他パートナーで対応 |
・施策の方向性に悩んでいる ・インハウス運用中だが成果に伸び悩んでいる |
インハウス支援型 | 自社運用を支援しながらノウハウを移転し、将来的な内製化を見据えて伴走 |
・広告担当者を育てたい ・長期的には代理店依存から脱却したい |
総合支援型 | 広告だけでなく、LP改善・CRM、SEOなど広告運用以外のマーケ施策までサポート |
・1社で包括的に支援してもらい、マーケ戦略と個別戦術の整合性を合わせたい ・新規事業やターンアラウンドなど、広告以外も含めた事業全体の支援が必要 |
STEP4|代理店のリサーチ
支援タイプが定まったら、いよいよ実際の代理店候補を探していきます。ただし「代理店」と一口に言っても、企業ごとに強みや提供範囲、得意な商材・業界は大きく異なります。
ここでは、代理店を4つのタイプに分類し、それぞれに向いているケースの目安を紹介します。
代理店タイプ | 特徴 | 向いているケース |
---|---|---|
大手総合代理店 | 豊富な実績と幅広い媒体対応、体制の堅牢性が強み。広告運用以外も幅広く支援できる |
・大手企業、ブランド案件で安定性重視 ・多媒体の同時運用が必要 ・広告以外も支援してほしい |
専門代理店 | 業界や課題に応じた専門性に特化。柔軟かつ実務に強い |
・業界や課題特化の専門性を期待したい ・広告運用の成果をスピーディーに改善したい |
中小特化型 | 少額案件を専門に運用代行を行う |
・まずは低額でお試し運用をしたい ・小規模予算の運用実績が豊富な代理店に任せたい |
コンサルファーム型 | 課題の構造化やKPI設計など戦略的支援が中心で、運用は別リソースに任せることも |
・インハウス運用に課題を感じている ・戦略や指標設計に課題がある |
代理店候補を探す際は、Google検索や比較サイト、知人経由の紹介などで探していきます。
あらかじめ「どんな代理店にお願いしたいか」という目線を持っておくことで、探しやすさと比較の精度が格段に上がります。
STEP5.代理店の比較検討
候補が絞れたら、最後は具体的なチェックポイントをもとに比較検討します。
運用体制、費用、アカウント権限、担当者の質や対応スピードなど、評価すべき観点を明確にした上で、主観ではなく客観的な基準で比較しましょう。
この比較ステップを雑に済ませてしまうと、結果的にミスマッチが起きやすくなります。
チェックポイントの詳細は後述しますが、事前に「どんな基準で比較するか」を持っておくことが、後悔しない代理店選びに不可欠です。
代理店選定6つのチェックポイント
ここからは、代理店選びをする際に重視すべきポイントを解説します。
ここで注意すべきは代理店選定は選ぶことをゴールとするのではなく、その後の支援によって成果を継続的に上げてくれるかまで確認することが重要です。
そのため、代理店選定をする際は選定時のポイントだけでなく「支援開始後もうまくいきそうか?」という視点もあわせて確認することが重要です。
以下は代理店選定時の確認事項をまとめたチェックリストです。(画像をクリックするとテンプレートを閲覧できます)
自社の目的や課題に応じて代理店への期待事項は変わるため、「ここは100点を求めたいけどこれは70点くらいで良い」など、優先順位をつけながら確認するようにしましょう。
以下よりチェックリストの中で、代理店選定の際に特に重要となるポイントを5つご説明します。
1.運用実績の豊富さ
広告成果を最大化する上では、運用実績が豊富な会社に委託するのが一番です。
しかし、代理店のHPに掲載されている情報や提案資料の実績記載だけだと、どの代理店が本当に実力のある会社なのか判断するのが難しいこともあります。
その場合は、以下のような観点で代理店から情報を引き出し、どの程度実力がある会社なのか判断すると良いでしょう。
- 自社と近しい商材での運用経験がどれくらいあるか
- 自社と近しい予算帯での運用経験がどれくらいあるか
- 類似の課題感を持ったクライアントで成果改善した事例がどれぐらいあるか
- クライアントの満足度/平均継続期間/解約率がどれくらいかetc.
2.提案内容のマッチ度
はじめてWeb広告を出稿する場合など、基本的なアカウント改善が求められる場合は事業や商材による個別性はそこまで出ませんが、広告運用で成果を最大化する上では、必ず自社の個別事情を踏まえた運用改善が必要になってきます。
そのため、代理店からの改善プランの提案を受ける際は、
- 課題や商材特性など、提案の前提理解がズレていないか
- 成果実現までの道筋や期間が妥当で、納得できる改善プランを描けているか
- 自社の予算や人員など社内事情を踏まえた上で実現可能なプランとなっているか
といった観点で判断すると良いでしょう。
また少し意地悪な質問かもしれませんが、効果があまり期待できない広告手法について、あえて意見を聞いてみるのも良い方法です。
広告代理店が安易に賛成せず、「あまりおすすめはできない…」とはっきり言えるかどうかを確認できれば、その代理店があなたの会社の成長に真剣に向き合ってくれるかどうかまで見極めることができます。
3.担当者との相性
意外と忘れがちな視点として、担当者との相性も重要なポイントです。
広告運用支援で重要なことは仕事の丁寧さや広告に詳しいことだけではありません。
例えば、
- 担当者のリテラシーに合わせて伝え方を調整してくれそうか
- 自社の事業や戦略に対して深く理解をしてくれそうか
- 一緒にプロジェクトを進める仲間として、背中を預けて良さそうか
- 相手にとって心地よいコミュニケーションができるかどうか
など、同じ目標を追求するパートナーとして好ましいかを考える必要があります。
支援のやりとりのなかで、会話のテンションをあわせられたり、共感したりして、双方が「楽しい、心地よい、気分が良い、前向きな気持ちになれる」と感じあえる状況になれそうかも、定性的ですが一緒に働くうえでの重要な判断基準になります。
代理店によっては、営業担当者と運用者が別である場合もあるため、支援開始前に運用者との相性を確認する機会を相談するのも良いかもしれません。
4.支援にかかる費用
多くの方が気にするであろう「費用体系」にも考慮すべきポイントがあります。
まず費用体系そのものは代理店によってさまざまですが、一般的に広告費の20%程度を手数料として設定しているケースが多いです。
手数料に対する捉え方としておすすめしているのは、その金額の高低だけで判断しないことです。
具体的には、費用の安さだけを重視して代行会社を決定することは避けた方が良いと考えています。
もちろん、同レベルの支援品質が期待できる代理店間で比較する場合、手数料が低い方を選択することは合理的だと思います。
一方で、支援品質を考慮せず手数料の低さそのものを優先条件として代行会社を選定することは、広告効果を考えると望ましい結果にならないことがあります。
その理由は、代行会社の手数料は提供される支援品質や投下されるリソース量に直結しており、広告効果そのものに大きく影響するためです。
各企業のシステム化やプロセス化などの努力によって低い手数料を実現できている企業もありますが、手数料の低さが「支援にかける工数の削減」や「経験の浅い担当者の配置」によって実現されているケースも少なくありません。
例えば、一人の担当者が多数のアカウントを兼任せざるを得ず、細かな運用改善が行われないことや、テンプレート的な対応に終始し、広告主の特性に合わせたカスタマイズが不十分になる可能性があります。
このようなケースでは手数料が低い代わりに期待できる広告効果も低くなってしまうため、代行会社選びにおいては、手数料の高低ではなく「適正価格の範囲内であるか」を基準に選定することを推奨しています。
適正価格の判断には、提供されるサービス内容と手数料のバランス、実際に運用に携わる担当者の経験・スキルレベル、運用改善にかけられる時間と工数、カスタマイズされた提案・分析の有無などを総合的に考慮する必要があります。
5.運用者1人あたりの担当社数
代理店選定の際は、運用者1人あたりの担当社数もあわせて確認するようにしましょう。
たとえば運用者1人で多くの顧客を担当している場合は、物理的な工数の制約から、1社のアカウントに時間をかけて分析・運用することが難しい場合があります。
代理店に期待する成果や支援内容にもよりますが、アカウントの個別課題に向き合って改善活動を続けるには、運用者1人あたりの担当社数は10社程度が上限だと思います。
1人当たりの担当顧客数が極端に多い代理店の場合、基本的なアカウント設定と入札調整、月1のレポート送付など、簡易的な運用・分析が中心となる場合が多いです。
自社の課題にしっかり向き合って、パートナーとして伴走してくれる代理店にお願いしたいと考えている場合は、運用者1人当たりの平均担当社数が少ない代理店を探すと良いでしょう。
6.広告アカウントの保有権
代理店委託をする場合、①自社で広告アカウントを保有して代理店に権限を渡すのか②代理店保有のアカウントで運用するのか、どちらの運用方法となるのかは事前に確認しておきましょう。
Web広告は機械学習が広告成果に大きな影響を与えるため、自社のものとしてデータを蓄積できる自社保有のアカウントのほうが、将来的なインハウスや代理店切替時に、成果が悪化してしまう可能性を避けることができます。
影響幅を理解いただくため、配信データの適切化によって成果改善した事例を共有します。
適切化前後の事例を示すことで擬似的にアカウントの配信データを引き継げなかった場合と捉え、影響度を理解いただけますと幸いです。
本事例では配信データをより活かせるような変更を加えた下記の取組みにより、CV数を49%増加させるとともに、CPAの30%改善を果たしました。
- 配信開始から3か月間の実績データを分析し、ユーザーニーズを分類
- ユーザーニーズの分類によってアカウント構成を変更
- ユーザーニーズ毎に整理したことで、機械学習が進み、広告効果が改善
このように昨今のWeb広告では配信データを蓄積し続け、いつでも活用できる状況にすることが重要なため、広告代理店の切り替えなどの際に配信データを失ってしまう可能性のある代理店保有のアカウントは避けるほうが無難と言えます。
代理店によっては、アカウントの中身を精査されたくない、他代理店にスイッチングされるリスクを減らしたいという動機から、代理店保有のアカウントで運用することを推奨する場合もありますが、上記で示したように広告主保有のアカウントで運用する方が自社のメリットは大きいです。
そのためアカウントについてはできるだけ自社保有で進められるよう相談するのがおすすめです。
生成AIで「理想の一社」を見つける方法

広告代理店の選定方法は多岐にわたりますが、近年では生成AIを活用した代理店選定が注目されています。
実際に、まだ全体の母数に対する割合は高くありませんが、生成AI経由で弊社をご認知いただき、直接お問い合わせをいただくケースも増えてきています。
比較サイトや検索エンジン、知人の紹介などの情報源は確かに有効ですが、それらを正しく活用するには、そもそも自社にとっての選定基準や優先順位を明確に持つことが前提となります。
一方で、「何を軸に比較すればいいのか分からない」「提案内容をどう評価すればいいか判断がつかない」といった課題を感じている方も多いのではないでしょうか。
そんなときに有効なのが、ChatGPTなど生成AIとの対話を通じて、選び方の“思考プロセス”そのものを深めていくアプローチです。
代理店選定の“考え方”を整理できる
生成AIは単なる検索の代替ではなく、以下のように広告代理店選びにおける思考の整理役として活用できます。
- 選定基準を明確にしたいとき
「広告代理店を選ぶうえで重要な基準は何がありますか?」と質問すると、目的別・規模別に整理された判断軸を提示してくれます。 - 失敗を避けるための視点を得たいとき
「代理店選びで失敗した事例にはどんなものがありますか?」と尋ねれば、よくある落とし穴や対処法を教えてくれます。 - 自社の状況に合ったアドバイスが欲しいとき
「BtoBかつリード獲得目的の企業に合う代理店選びのコツを教えて」と聞けば、自社の前提条件に応じた視点を補ってくれます。
AI活用で「個別性」を踏まえた判断が可能
従来の広告代理店選定では、検索エンジンや比較メディアを活用して「一般的に良いとされる代理店像」を集め、それを自社の状況に照らし合わせて判断するというプロセスが主流でした。
しかしこうした手法には、自社の課題や目的、体制といった前提条件が加味されにくく、情報は集まっても、判断が難しいという状況に陥りがちです。
一方で、ChatGPTのような生成AIは、自社の業種や目的、運用体制などを入力したうえで、「どのような代理店が合っているか」を一緒に対話しながら整理していける点が特徴です。
- 自社の課題やリソースを踏まえるとどういう関わり方が良いか
- 最短で成果実現するためにはどのような代理店に依頼すべきか
- 自社と代理店の役割・責任範囲はどのように考えるべきか
上記のような問いをAIと一緒に深掘ることで、「自社にとって最適な代理店とはどういう条件を満たすべきか?」を個別性を踏まえて言語化できるようになります。
比較メディアや検索結果が「一般解」を与えてくれる存在だとすれば、生成AIは「自分なりの答え」を導き出すための思考支援ツールです。
ハルシネーションを防ぐための再確認
しかし、生成AIを活用する際には注意が必要です。生成AIには、実際には存在しない情報や誤った内容をもっともらしく生成してしまう「ハルシネーション」というリスクが伴います。
特に広告代理店に関する情報は、生成のもとになるデータソース自体が更新されていない場合や、生成AIが文脈に応じて架空の情報を生成する可能性もあります。
そのため、生成AIが提供する情報を鵜呑みにするのではなく、意思決定の核となる情報については必ず代理店に確認するようにしましょう。
代理店選定で陥りがちな3つの失敗ケース
この章では、代理店選定時によく見られる失敗ケースをご紹介します。
支援開始後に後悔しないよう、事前にチェックして同じ轍を踏まないようにしましょう。
失敗ケース1|費用の安さだけで判断する
「とりあえず手数料が安いところに頼もう」といった判断軸で代理店を選ぶのは、特に失敗につながりやすいパターンです。
代理店の多くは、月額広告費に対して一定割合(例:20%)の手数料を報酬とし、その中から人件費=支援工数を配分するビジネスモデルになっています。そのため、手数料が安い=支援にかけられる工数が限られる可能性が高いです。
そのため金額のみを見て手数料が安い代理店に発注すると、運用改善は週に一度だけ、月1で配信実績レポートが送られてくるのみなど、必要最低限の支援しか受けられない可能性もあります。
費用は確かに重要な判断材料ですが、単純な「高い・安い」ではなく、支払う費用に対してどんな支援・成果が得られるか=費用対効果の視点で判断するのがおすすめです。
失敗ケース2|運用担当者とコミュニケーションしていない
意外と見落とされがちなのが、「契約前に実際に担当する運用者と話していない」というケースです。これは、代理店によって営業担当と運用担当が完全に分業されていることが多いという構造的な背景も関係しています。
営業担当は商談段階でやり取りをする相手であり、契約後は別の運用担当者がつくというケースが一般的です。そのため、営業時点では感じがよくても、運用開始後に担当者との相性や対応に不安を感じるという事態も起こり得ます。
こうしたミスマッチを防ぐためにも、可能であれば契約前に実際の運用担当者との打ち合わせや質疑の場を設けることをおすすめします。その際には以下の点をチェックしましょう。
- 担当者の運用経験や得意な領域は何か
- コミュニケーションスタイルが合っていると感じるか
- 自社サービスや業界への理解度は高いか
広告運用は継続的な改善が必要な領域だからこそ、「この人となら長期でやっていけそうか?」という視点も選定の大切な軸となります。
失敗ケース3|とりあえずで大手代理店を選んでしまう
「名前を聞いたことがあるから安心」「とりあえず大手なら失敗しないだろう」といった理由で、大手代理店を選んでしまうのもよくあるミスの一つです。
もちろん、大手代理店には実績や体制の堅牢さ、媒体社との強い関係性といった強みがあります。ただし、その一方で以下のような注意点もあります。
- 予算が少額だと優先度が下がりやすい(=レスポンスが遅い/提案頻度が少ない)
- 担当者の入れ替わりが多く、運用の一貫性が失われることも
- 定型的な運用になりがちで、柔軟な改善提案が得られにくい
大手だからといって万能ではなく、自社のフェーズや課題、求める支援スタイルにマッチしているかどうかを冷静に見極めることが大切です。
代理店を切り替えるべきタイミング
理想をいえば、最初の選定段階で長期的に信頼できる代理店と出会い、安定して伴走してもらえるのがベストです。
ただ、現実には「なんとなく成果が伸びない」「意思疎通がうまくいかない」といった小さな違和感が積み重なり、徐々にストレスを感じてしまうケースも少なくありません。
たとえば、以下のような状況が続いている場合は代理店の切り替えを検討するタイミングかもしれません。
- 半年以上目標未達が続いているが、明確な改善方針が見えない
- 提案内容に納得感が持てず、しっくりこないケースが多い
- 施策の実行スピードが遅く、チャンスを逃している
- 担当者変更を依頼しても、状況が根本的に改善しない
特に、成果や対応スピードなどの課題が担当者レベルの問題ではなく、会社全体の方針や体制に起因している場合は、代理店を変えたほうが良い結果につながることがあります。
とはいえ、すぐに切り替えるのが正解とは限りません。場合によっては、広告主側の関わり方に改善の余地があるケースもあります。たとえば以下のような状況です。
- 前提となる事業や戦略について情報連携が取れていない
- フィードバックの頻度が少なく、丸投げ状態になっている
- 自社の意思決定が遅く、スムーズな施策進行を妨げている
こうした場合は、切り替えを判断する前に、現在の代理店と率直に課題を共有し、改善策をすり合わせてみることも重要です。
代理店の切り替えは一定の工数や引き継ぎ負荷、立ち上げコストを伴うため、頻繁な乗り換えは望ましくありません。
しかし、関係性の継続が成果を妨げていると感じた場合は、代理店の変更がパフォーマンス改善の第一歩になることもあります。
よくある質問
最後に、代理店選定に関してよくある質問とその回答をまとめました。
手数料はどれぐらいが適正?
広告運用における手数料の業界相場は「広告費の20%前後」です。
この水準が主流となっているのは、代理店の利益構造上、20%程度の手数料がないと、運用者の工数や品質を確保できず赤字になりやすいためです。
一部では5%〜10%といった極端に安い手数料の代理店もありますが、以下のようなリスクがあります。
- 担当者1人が数十〜数百社を同時に担当しており、十分な時間をかけられない
- 改善提案や分析レポートが最低限しか出てこない
- コミュニケーション頻度が低く、進行スピードが遅くなりがち
価格の安さに惹かれる気持ちはわかりますが、支援の質と成果に直結する部分でもあるため、“安ければお得”とは限らない点に注意が必要です。
二社択一で迷ったら、どう判断すればいい?
最終的な判断基準は「誰に支援してもらうか」です。広告運用は無形商材であり、同じサービス内容でも“誰が担当するか”によって成果が大きく変わる領域です。
どちらの代理店も支援内容に大差がない場合は、以下のような観点で比較してみましょう。
- 自社の事業や課題に対する理解度
- 提案の納得感・論理性
- 担当者の信頼感や誠実さ
- 長期的に寄り添ってくれそうかどうか
“この人なら安心して任せられる”という実感を持てるかが、最終判断の決め手になります。
おすすめの代理店はありますか?
以下の記事では、弊社に所属する広告運用者60名にアンケートを実施し、プロの目線から「安心して任せられる」と評価された代理店のみを厳選して10社紹介しています。
本記事をご覧の皆さまにも、弊社を一つの選択肢としてご検討いただければと思い、手前味噌ながらおすすめ企業に加えさせていただきました。
【参考記事】運用者60名がおすすめするWeb広告代理店10選
少額予算の場合はどのような代理店を選ぶと良い?
代理店のなかには月数万円程度の安価な手数料で支援をおこなっている企業もありますが、月数万円~数十万円などの少額予算の場合は自社で運用(インハウス)することをおすすめします。
理由として、代理店は手数料に応じて支援に割り当てる工数を調整していることが多いため、少額予算の場合は支援に使える工数が限定的となり、必要最低限の支援しか受けられないケースが多いためです。
運用者の採用・育成が難しい、自社だけで納得のいく戦略や体制構築が難しい場合などは、インハウス支援を受けながら組織力を強化していく選択肢もあります。
リソースが足りないためどうしても運用代行を活用したい場合は、他施策から予算をアロケーションするか、より柔軟な契約を図りやすい個人(フリーランス)に委託するのが良いでしょう。
【参考記事】広告運用のプロが選ぶインハウス支援おすすめ企業
小規模な代理店と大手代理店、どちらを選ぶべき?
代理店選定で最も重要なのは、その後の支援によって成果が上がるかどうかです。そのため、代理店の規模がその後の成果にどれほど影響を与えるかは一概には言えません。
確かに、選定の際に代理店の規模を重視する広告主は多いですが、実際には、規模よりも「誰が支援するか?」の方が成果に直結する場合が多いです。
例えば、小規模な代理店でも、長年経験を積んだエースプレイヤーが在籍しているケースもありますし、大手代理店でも、予算が小さい案件では経験が浅い担当者がアサインされることもあります。
そのため、代理店選びでは、規模にとらわれるのではなく、実際に担当する人材の能力と経験を重視することが重要です。
まとめ|理想の1社を見つけて成果を最大化しよう
広告代理店の選定では、目的や課題の明確化、支援スタイルの見極め、比較検討のプロセスが重要です。
手数料や知名度だけで判断せず、自社に合った支援が得られるかという視点で判断することで、ミスマッチを防げます。
まずは自社の現状を整理し、どんな支援を期待するのかを明確にすることから始めましょう。
なお、以下の記事では具体的な代理店の候補をご紹介しています。現役の広告運用者にアンケートをして厳選した10社をご紹介していますので、代理店選定の候補を探している方はあわせてご覧ください。
口コミが生まれる「オーリーズの広告運用支援」
まずは資料で他社との違いをご覧ください
広告運用代行なら、NPS平均30pt超の代理店オーリーズへ
オーリーズは、積極的な新規営業はせず、顧客からの紹介で成長する代理店です。

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