【広告運用研究会】LPOの打ち手をどう選ぶか? ── 4社の事例から見えた判断軸

【広告運用研究会】LPOの打ち手をどう選ぶか? ── 4社の事例から見えた判断軸

LPOには、小さな改善から大きな改善まで、打ち手の幅があります。

その中で、広告支援の現場では何を基準にLPOの打ち手を選んでいるのか。4社の事例を持ち寄って議論した内容を整理しました。

広告運用研究会について

オーリーズでは、コンサルタントが特定のテーマについて運用事例をディスカッションする「広告運用研究会」という取り組みをおこなっています。

AIの進化で、広告運用の知識やベストプラクティスは以前より手に入りやすくなりました。一方で、特定の状況下で誰が何を判断し、その結果どうなったかという一次情報は、なかなか表に出てきません。

この記事では、研究会で議論した内容を公開することで、現場の一次情報を比較できる場を作れればと考えています。

同じ「LPOをやる」でも、選ばれる打ち手はさまざま

LPOと一口に言っても、打ち手は様々です。

小さな改善で言えば、「FVの訴求変更」「コンテンツの追加」「CTAの見直し」「フォーム項目の削減」など。

大きな改善なら、「LP全体の構成変更」「ターゲットごとにLPを分ける」「ブリッジLPを挟む」などの選択肢があります。

これだけ幅があると、何をやるかを決める前に、「どんな基準で選ぶか」が重要になってきます。

今回の広告運用研究会では、そのテーマで議論しました。

実際に事例を持ち寄ってみると、選ばれた打ち手は「LPを丸ごと作り分ける」「LPの手前に別ページを挟む」から、「FVのコピー変更」「ユーザー自身に選んでもらう導線設計」まで、打ち手の大きさが違いました。

ケース選んだ打ち手
ケースALPを3パターンに分ける
ケースBメインLPの手前に記事LPを挟む
ケースCFVのメインコピーを変える
ケースDユーザー自身が情報を選択できるタブを追加する

ただ、打ち手を決める前に見ていたものは、4ケースとも共通しています。ターゲットとする顧客が、ファネルのどこにいるかです。

狙う顧客のファネルが変わるなら、大きな変更(LPそのものを変える)。ファネルが変わらないなら、小さな変更(ファーストビューのマイナーチェンジなど)で対応する。

これに加えて、検索クエリからはファネルのどこにいるか見分けられない場合は、ユーザー自身に選んでもらう、という打ち手もありました。

本記事では、この4社の事例を題材に、それぞれがどんな背景で、どんな判断をして、どんな結果が得られたのかをご紹介します。

ケースA|選び方が定まっていないなら、LPで得られる体験を変える

項目概要
ビジネス形態BtoC無形商材
LPOの目的比較検討の手前にいる準顕在層の獲得
起きていたズレ既存の顕在層向けLPだけでは、準顕在層を受け止められなかった
打ち手3タイプのLPを制作し、ファネル別で有効なLPを検証した

ケースAは、複数のサービスを扱う無形商材の事例です。

既存LPは、主に比較検討フェーズの顕在層に向けたものでした。サービスごとの機能やスペックを説明し、申込前の判断を後押しするLPです。

一方で、今回狙いたかったのは、まだ比較検討に入りきっていない準顕在層でした。この層は、自分に合う選び方が定まっていない状態で、いきなり複数サービスのスペックを並べても、比較に入る前に離脱してしまう可能性がありました。

何をやったか

そこで、比較検討に入る前のユーザーと、比較検討が進んだユーザーで、どのLPがよいかを検証するために、3タイプのLPを制作しました。

  • アンケート型:質問に答えながら、自分に合うプランを見つけてもらう
  • タイプ別提案型:自分の状況に近いタイプを選び、合うプランを見てもらう
  • スペック比較型:複数サービスの違いを一覧で比較し、申込判断を後押しする

検証結果

まず、比較検討に入る前のユーザー向けには、「LP冒頭で離脱せず次の情報まで進めるか」「申込フォームまで進めるか」で評価しました。

LPタイプ評価FV通過率フォーム到達率
アンケート型74.3%5.26%
タイプ別提案型66.4%4.48%
スペック比較型×53.6%2.04%

※FV通過率はLP冒頭で離脱せず次の情報まで進んだ割合、フォーム到達率は申込フォームまで進んだ割合。データ期間は約1か月

この観点では、アンケート型が最も高い結果でした。事前の仮説どおり、比較検討に入る前のユーザーには、質問に答えながら選択肢を絞れる体験が機能したと考えられます。

一方で、比較検討が進んだユーザー向けには、「フォーム内で情報入力まで進むか」「最終的に申込まで完了するか」で評価しました。

LPタイプ評価情報入力率申込完了率
アンケート型1.00%0.30%
タイプ別提案型0.97%0.30%
スペック比較型1.36%0.36%

※情報入力率はフォーム内で情報入力段階まで進んだ割合、申込完了率は最終的に申込まで完了した割合。データ期間は約1か月

この観点では、スペック比較型が最もよい結果でした。複数サービスの違いを一覧で確認できるため、申込前の判断を後押ししたと考えられます。

このケースから言えること

このケースでLPを分けたのは、準顕在層と顕在層では、LPに求められる役割そのものが違っていたからです。

前者には、まず「どう選べばいいか」を提供する必要があり、後者には、複数サービスの違いを整理して判断を後押しする必要がありました。

つまり、既存LPの一部を直すだけでは、比較検討前のユーザーを受け止めきれない。LP上で得られる体験そのものを変える必要があったため、3タイプのLPを作るという判断につながりました。

ケースB|自分ゴト化できていないなら、LPの手前で文脈を作る

項目概要
ビジネス形態店舗型ビジネス
LPOの目的比較検討フェーズにいないユーザーが来店するきっかけを作ること
起きていたズレ既存LPを見る前に、ユーザーが自分ゴト化する文脈が不足していた
打ち手既存LPはそのまま使い、広告クリック後に記事LPを挟んだ

ケースBは、店舗型ビジネスの事例です。

このケースで課題だったのは、LPの中身ではありません。既存LPは、すでにサービス検討に入っているユーザーには機能していました。課題はその手前。

まだ「これは自分に関係がある」と自分ゴト化できる文脈が不足していたことです。

このサービスは、悩みや違和感を持っている人は一定数いる一方で、それを来店して相談することに結びつけている人は限られていました。まだ必要性を感じていない人には、既存LPを見る前に「自分にも関係があるかもしれない」と思えるきっかけが必要でした。

何をやったか

そこで、既存LPを作り替えるのではなく、広告クリック後にまず記事LPが表示される導線にしました。記事LPでは、いきなりサービスの説明をするのではなく、ユーザーが抱えていそうな悩みから入りました。

たとえば、

  • どういう状態なら相談対象になるのか
  • その悩みを放置するとどうなるのか
  • 自分も当てはまる可能性があるのか

を順に読める構成にし、記事を読んで「これは自分にも関係があるかもしれない」と思った人が、メインLPに進む流れです。

検証結果

フィード系媒体で、広告クリック後にメインLPへ直接遷移させた場合と、記事LPを挟んでからメインLPへ進んだ場合を比較しました。

結果、記事LP経由の導線では、メインLP到達後のFV離脱率の低下やマイクロコンバージョンの増加が見られました。

記事LPによってCPAが大きく改善したわけではありませんが、フィード上で接触したユーザーを、次の検討行動に進める入口として機能する可能性は確認できました。

このケースから言えること

このケースでは、既存LPの内容を変えるよりも、既存LPを見る前の情報を補うことが重要でした。

ケースAがLP上で「選び方」の体験を提供した事例だとすると、ケースBは、LPの手前で「自分ゴト化」の文脈を作った事例です。

まだ「自分に関係ある」と思えていないユーザーには、LPを直す前に、悩みを自分ゴトとして考えてもらう文脈を作る必要がありました。

ケースC|関心の入り口だけが違うなら、FVの訴求を揃える

項目概要
ビジネス形態BtoC学習系サービス
LPOの目的検索広告のCVR改善
起きていたズレ検索ユーザーの関心に対して、LP冒頭のメインコピーが合っていなかった
打ち手LP本体は変えず、広告グループごとにFVのメインコピーと広告見出しを変更した

ケースCは、BtoCの学習系サービスの事例です。このクライアントでは、学びたい人のニーズに合わせて、広告グループを3つに分けていました。

  • 広告グループA(特定用途のために学びたい人向け)
  • 広告グループB(特定スキルを磨きたい人向け)
  • 広告グループC(それ以外のニーズ向け)

この3グループのユーザーは、学習サービスへの申込みを検討しているという点では共通しています。違うのは関心の入り口だけです。

一方、遷移先のLPは広告グループを問わず共通で、LP冒頭のメインコピーは広告グループBのニーズに寄った内容でした。

そのため、広告グループAやCのユーザーには、LPを開いた直後に「自分の目的に合うサービスなのか」が見えにくい状態でした。

何をやったか

LP全体は変えず、広告グループごとにファーストビューのメインコピーだけを変えました。

  • 広告グループA:用途ニーズに寄せたメインコピー
  • 広告グループB:スキル習熟ニーズに寄せたメインコピー
  • 広告グループC:幅広い学習ニーズを受け止めるメインコピー

さらに、広告見出しもそれぞれの関心に合わせ、広告をクリックする前後で訴求がつながるように変更しました。サービス説明や体験申込までの流れは共通でよかったため、メインコピー以外のLP要素は変えていません。

検証結果

FVのメインコピーと広告見出しを広告グループごとに合わせたところ、全広告グループでCVRが上昇しました。特に、広告グループA(特定用途ニーズ向け)では改善幅が大きくなりました。

広告グループ変更前変更後
広告グループA0.30%1.45%
広告グループB0.41%0.65%
広告グループC0.48%0.59%

※データ期間:FV変更前後の約1か月間

広告グループAは、変更前のCVRが最も低かった広告グループです。LP冒頭の訴求を特定用途向けの内容に変えたことで、広告クリック直後の期待外れが減り、離脱が抑えられた可能性があります。

なお、この期間は入札戦略の変更なども同時に行っていたため、CVRの上昇をFV変更だけの効果と断定することはできません。

一方で、ヒートマップを見るとファーストビュー通過率も10ポイントほど改善しており、少なくとも今回のLPOがポジティブに作用した可能性は高そうです。

このケースから言えること

このケースでLP全体を作り直さなかったのは、関心差が入り口だけの違いで、本筋の流れは共通だったからです。どのニーズのユーザーも、サービスを知ってから申込に至るまでの流れは同じ。ズレていたのは、LPを開いて最初に目に入る訴求だけでした。

もうひとつポイントになるのは、検索語句によって「どの関心か」が運用側から見えていたことです。

特定用途のニーズで検索した人は広告グループA、特定スキルの習熟ニーズで検索した人は広告グループB、それ以外は広告グループCと、広告グループで事前に分類できていた。

そのため運用側でFVを出し分けることができました。

関心の差が運用側で見えている場合は、LP全体を作り直すよりも、まず入口の訴求を揃えることが有効な打ち手になります。

ケースD|運用側で分類できないなら、ユーザーに選ばせる

項目概要
ビジネス形態BtoB
LPOの目的検索広告のCVR改善
起きていたズレユーザーごとに知りたい情報が違うのに、LPは1つの順序で全員に同じ情報を見せていた
打ち手ページ最上部にタブ型ナビを追加し、ユーザー自身が見たい情報を選べるようにした

ケースDは、BtoB製品の事例です。

このケースでは、ユーザーの多くが製品名や製品カテゴリ名で検索していました。検索語句だけを見ると、流入時点の違いは見えにくい状態です。

ただ実際には、LPで知りたいことはユーザーごとに異なっていました。

  • まず製品の概要やできることを知りたい人
  • すでに製品を知っていて、最短で資料をダウンロードしたい人
  • 特定の用途や強みに関心がある人

検索語句からは「誰がどの背景か」が見えないため、ケースCのように広告グループで出し分ける手がかりがありません。流入時点で、ユーザーの状態も関心も事前に分類しきれないという難しさがありました。

何をやったか

そこで、LPを複数に分けるのではなく、既存LPの構成をベースに、ページ最上部へタブ型のナビゲーションを追加したLPを用意しました。

タブでは、たとえば次のような情報を選べるようにしました。

  • まず製品の概要やできることを知りたい人向けの情報
  • すでに製品を知っていて、資料取得に進みたい人向けの導線
  • 用途や課題に合わせて、見たい強みを確認できる情報

検索語句だけでは「この人にはこの情報」と決め打ちする手がかりがなかったため、LP上でユーザー自身に見たい情報を選んでもらう構造に変更しました。

検証結果

検索広告のすべての広告グループにおいて、タブ型ナビを追加したLPの方がCVRが高い傾向が見られました。

広告グループ既存LP①既存LP②タブ型LP
広告グループA1.34%2.45%3.07%
広告グループB※2.29%5.88%20.59%
広告グループC1.25%1.65%2.28%
広告グループD1.60%3.25%3.79%

※広告グループBは流入量が少なく、数字の振れが大きい。データ期間は約1か月

なお、その後タブ型LPを他事業部の別製品にも横展開したところ、別製品でもCVRが改善し、CV数も約1.3倍に増加しました。

異なる製品でも同じ構造が機能したことから、運用側で分類しきれないユーザーに対して、ユーザー自身に選ばせる構造が有効だったと考えられます。

このケースから言えること

このケースでLP上に選択肢を置く設計を選んだのは、運用側ではユーザーの関心差を事前に見分けられなかったからです。

検索語句から「この人はこの情報を見たい」と判断できるなら、ケースCのように広告グループごとに出し分ければよい。

しかしそれができない以上、LP上でユーザー自身に選んでもらう必要がありました。

同じように関心の入り口にズレがあっても、そのズレが運用側で見えているかどうかで打ち手は変わります。

4社のケースから見える判断軸

4社の事例から見えてきたのは、LPOの打ち手は、狙いたい顧客がファネルのどこにいるかによって変わるということです。

ケースファネル上の位置選んだ打ち手
A比較検討の手前にいて、まだ選び方が定まっていないLP上で選び方を体験できるように、3タイプのLPを制作
Bまだ来店を自分ゴトとして捉えられていないLPの手前に記事LPを挟み、自分にも関係があると思える文脈を作る
Cすでに比較検討に入っていて、関心の違いを検索語句から見分けられる広告グループごとに、FVの訴求を出し分ける
Dすでに比較検討に入っているが、関心の違いを事前に見分けにくいLP上で、ユーザー自身に見たい情報を選んでもらう

まず見るべきなのは、既存LPが受け止めているユーザーと狙いたいユーザーが、ファネル上でどれくらい離れているかです。

既存LPが受け止めているユーザーと、今回狙いたいユーザーのファネル上の位置が大きく離れているなら、LPの一部を直すだけでは足りないことがあります。

ケースAでは、LP上で選び方を体験できるようにし、ケースBでは、LPを見る前に自分ゴト化できる文脈を作りました。

一方で、既存LPが受け止めているユーザーと今回狙いたいユーザーのファネル上の位置が近いなら、既存LPの部分改善が中心になります。

ケースCのように関心の違いを事前に見分けられるなら、FVの訴求を出し分ける。ケースDのように見分けにくいなら、LP上でユーザー自身に選んでもらう。

LPOの打ち手に迷ったときは、まず狙いたい顧客がファネルのどこにいるかを見る。既存LPが受け止めているユーザーとの距離を見ることで、大きな変更をするべきか、小さな変更で対応すべきかが見えてきます。

今回の内容が、LPOの打ち手を見直すきっかけになれば嬉しいです。広告運用研究会では、今後もこうした現場のディスカッションを共有していきます。