顧客ニーズを理解するためのテキストマイニングツール活用方法

顧客ニーズを理解するためのテキストマイニングツール活用方法

「テキストマイニング」とは

「テキストマイニング」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。簡単に説明すると、大量のテキストデータを自然言語処理(NLP)の技術を使って解析し、有益な情報を見える化するAI技術のことを「テキストマイニング」と言います。

ユーザーが投稿した口コミやアンケート、SNS、メール、カスタマーサポートでの記録などが解析をするデータの対象となります。

テキストマイニングとは?活用方法やアウトプット例までご紹介! | 見える化エンジン

「テキストマイニング」は、文章を細かく解析をすることで顧客インサイトを掴むことができるため、現在、マーケティングの現場で多く利用されています。

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テキストマイニング」最大の利点は、効率性

従来の定性データ分析は人間が目視で行っていたため、多くの時間が割かれ、情報の取りこぼしも発生していました。「テキストマイニング」では、大量のテキストデータを短時間で処理でき、取りこぼしもなく、バイアスを排除して客観的にデータ分析が行えるため、正確な結果を得ることができます

顧客ニーズの正確な理解は、マーケティングの基本です。ニーズに合った製品やサービスの提供に反映され、顧客満足度の向上、売上やリピート率の向上につながります。また、顧客ニーズの変化に素早く対応できるかどうかで、競合他社との差別化、市場での優位性が変わるのです。

そこで本記事では、検索広告の検索語句を「テキストマイニング」にかけることで、顧客ニーズを知り、それらを広告アカウントの成果向上に繋げる3つの方法をご紹介します。

顧客ニーズを把握する手段

「テキストマイニング」の話に入る前に、そもそも、顧客ニーズを把握する手段にはどのようなものがあるのか、おさらいしておきましょう。

顧客ニーズを把握する代表的な手段として以下の4つが挙げられます。

顧客ニーズを把握する手段(1)アンケート調査

アンケート調査は、調査項目に対して事前に仮説設計を行い、収集したい情報を明確にすることが重要です。知りたい情報に対し、どのような質問をすれば効果的に情報収集ができるかを事前に考える必要があるため、自社にアンケート調査のノウハウが少ない場合は、外部の調査会社に依頼をかけるケースもあります。

手軽に大量のアンケート回答を集めたい場合には、Googleフォーム等のアンケート作成ツールを活用するのも良いでしょう。

顧客ニーズを把握する手段(2)インタビュー調査

インタビュー調査にはいくつかの代表的な方法があります。

例えば、複数の同質の対象者に対して、一度にまとめてインタビューを行うグループインタビュー、対象者1名に対してインタビュアーがヒアリングを行うデプスインタビュー、Web会議ツールや電話などオンラインコミュニケーションで情報収集を行うオンラインインタビューなどがあります。

顧客ニーズを把握する手段(3)行動観察調査(エスノグラフィー)

調査対象者の自宅に訪問したり、外出先での行動の様子を観察するなどして、対象者の行動の裏にある潜在的な欲求やインサイトを発掘する調査方法が「行動観察調査」です。

対象者の言葉だけでなく行動観察を行うことができるため、言葉に表れない示唆的な情報から新たな気づきを得ることができるのが特徴です。

顧客ニーズを把握する手段(4)ソーシャルリスニング

SNS上で不特定多数の対象者に声をかけ、特定の企業やプロダクトに対する消費者の印象や評価に関する情報収集を行う調査手法です。

リアルタイムに消費者の「生の声」を収集できるため、季節や世代間ごとのトレンドを押さえた商品開発をおこなう場面や、企業ブランディングの実態調査などで活用されます。

これら4つの代表的な手法はすべて「テキストマイニング」を使うことができますが、特にソーシャルリスニングのように1日のデータ収集量が数万件など膨大で、すべてを人の目で読むことが困難な手法において短時間で収集した情報を整理し、効果的なインサイトを得る際に「テキストマイニング」の活用が便利です。

代表的な「テキストマイニングツール」

「テキストマイニング」を行う際は、「テキストマイニングツール」を利用します。代表的なところでは以下のようなものがあります。

見える化エンジン

国内シェアNo.1のSaaS型テキストマイニングツール。SNSをはじめ、クチコミやアンケート、音声認識データなど、さまざまな顧客の声を取り込み・分析し、レポートの一本化までスピーディーにおこなうことができる。初期費用(60万円~)、基本利用料(15万円~)。

TextVoice

テキストマイニングツールとしての基本機能を搭載。言葉の意味をより詳細に捉えることができる「組み合わせ表現機能」や「類義語辞典の自動生成機能」を持ち、単語同士のつながりをマップやネットワーク、ランキングなどさまざまな方法で可視化できるのが特徴。初期費用(20万円)、月額利用料(10万円~)。

AIテキストマイニング

無料で行えるテキストマイニングツール。初期設定は不要。ソフトのインストールをしなくてもブラウザから使える手軽さが特徴。分析したいテキストをコピペ、もしくはファイルをアップロードするだけで使用できるため、テキストマイニングを始めてみたいという初心者におすすめ。

実践!「テキストマイニングツール」で検索語句を分析する

ここからは実際に、ユーザーローカル社が提供する『AIテキストマイニング』を使って、検索広告における傾向の把握から、ユーザーニーズの仮説立てまでを行ってみましょう。今回は、ユーザーが実際に検索していることから、ニーズが現れやすいと考えられる「検索語句」をもとに分析をします。

サンプルとして、広告の検索語句の代わりにスポーツ用品メーカーのECサイトの流入キーワード約2万語をローデータとし、「テキストマイニングツール」にかけました。

【今回使用したサンプルデータ】

  • スポーツ用品メーカーのECサイトへの流入キーワード
  • 2023年2月~4月に検索された約2万語

以下の図は、検索したキーワードが品詞単位で分解され、出現頻度別に大きさが分けられています。青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞を表しています。

「テキストマイニングツール」は、2万語を超える検索語句をすべてチェックし、出現頻度や品詞単位のグルーピングを行うという多大な作業を、数秒程度でアウトプットできます。

ほかにも、以下の図のように、単語同士の関連性を分析して関係が近いものをマッピングしたり、膨大な文章を要約する機能もあります。

分析結果から仮説を立てる

次に、前章の結果を材料に、ユーザーニーズの仮説を立てていきましょう。この際、分析結果をそのまま流用するのではなく、必要に応じて品詞別で再成形し直すなどして「分析しやすい形」にする工夫も重要です。

今回はあくまで仮想問題ですので仮説の精度は緩いですが、「テキストマイニング」の分析結果とその他データを組み合わせると、例えば、以下のような着想が得られます。

仮説例(2023年2月~4月の検索語句の分析結果を参照)

  • 2月~4月にバスケットシューズ、ゴルフシューズの新作発売に合わせてディスプレイ・SNS広告の露出を増やしており、該当商品の検索量自体が増加している中で、検索広告で一定の新規ユーザーを獲得できたことがサイト流入数の増加に繋がっているのではないか
  • 「Paidy(ペイディ)」を利用可能な他社オンラインサイトが増加しており、後払い決済という選択肢が一般化しつつあるため、これまでは予算が足りず購入をあきらめていたユーザーの流入数増加に役立っているのではないか
  • 気候が温かくなり、ユーザーの年齢を問わず体を動かすことの需要が高まっており、特に学生は2月~3月のタイミングで部活動のウェアや運動靴を買い替える動きが強まった可能性があるのではないか

💡 テキストマイニングで分析をする際の注意点
ここで、「テキストマイニングツール」を利用した分析での注意点をお伝えします。

1. 品詞ごとの出現頻度
普段みなさんがキーワード検索をする場合をイメージしてもらえるとわかりやすいのですが、掛け合わせキーワードでは名詞が主軸語句になることがほとんどです。そのため、検索語句を「テキストマイニング」にかけると、名詞の頻出度が高く出ます。

動詞や形容詞は名詞の修飾表現として使用されることが多く、名詞と比べると検索語句内の頻出度も高くないため、「どの単語がよく使われているのか?」を分析する際は、品詞ごとの頻出度を分析する方が良いでしょう。

2. 広告におけるインプレッションが考慮されていない
上記のように検索語句をコピペして分析素材にする場合、その検索語句でのインプレッションは「テキストマイニング」の結果に反映されません。対象とした検索語句の中から分解された単語単位での出現頻度しか分析できないのです。

テキストマイニングはあくまで膨大なテキストを品詞単位に分割したうえで、「それぞれの語句がどの程度頻出するのか?」「それらの単語はどの程度関連性を持っているのか?」を分析するツールです。

「テキストマイニング」において頻出とされているキーワード=インプレッションが多い検索語句に多く含まれるとは限らないということを念頭におき、媒体の管理画面でインプレッションをあわせてチェックするようにしましょう。

「テキストマイニング」を広告アカウントの成果向上に活用する3つの方法

1. ターゲティングに活かす

広告配信を始めて日が浅く、配信成果が安定していないアカウントであればあるほど、ターゲティングの見直しは重要です。

アカウントの構築段階で精緻なターゲティングができていることが理想ですが、実際は、始めからこまかなニーズまで把握しきれないケースがほとんどです。多くは、仮説をもとにターゲティングを行い、配信成果をもとに徐々に精度を上げていくという運用スタイルになるでしょう。

検索語句のデータを「テキストマイニング」にかけることで、見込み顧客が実際にどのような語句で情報収集をしているか計ることで「どのようなユーザーが自社の広告を見ているか」の仮説立てができ、より精緻なターゲティングに大きく役立ちます。

2. 広告文に活かす

検索語句の分析は、広告文の訴求を考える際のヒントにもなります。

テキストマイニングでは、実際にユーザーがどのような語句で検索行動をおこなっているか、分析しやすい形で可視化できるため、目視で検索語句の分析をおこなう場合と比較して、現状の広告文の訴求とユーザーニーズのズレに気づきやすくなります。

また、広告の品質の向上を図ることで、CPC(クリック単価)を抑制し、効率的に広告のインプレッションを拡張することができます。検索語句の分析から現状の広告文のテコ入れ要素を探ることは、広告の配信成果を向上させる上でも重要な観点です。

3. LPの導線設計に活かす

ユーザーがLPにどのような検索語句で流入しているかを分析すれば、オンライン上での顧客の検索意図や、欲求に対するインサイトを得ることができます。

リアル店舗で得られる定性情報や顧客インタビュー等の情報と組み合わせれば、顧客インサイトに合わせて訴求の出し分けをおこなったり、より効果的な商品・サービス訴求の導線改修のヒントを得ることができます。

LPに流入したユーザーの離脱防止を図ることで、CVR(コンバージョン率)の向上にも繋がる可能性があるため、検索語句の分析を行った際には、積極的に検討することをおすすめします。

おわりに

ここまで、大きな効率性を発揮する「テキストマイニング」についてご紹介しました。「テキストマイニング」は、それ単体よりも管理画面上で観測できる各種データや、店舗の販売実績等のオフラインデータなど、複数の切り口から分析を行うことで、仮説の精度を高めることができます。

「テキストマイニング」の特長を理解して、ぜひ活用していただければと思います。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト

頼富 穣

新卒でパーソルキャリア株式会社に入社。社内ベンチャーとして立ち上がった顧問紹介サービスのコンサルタントに従事。 IT・メディア関連企業の経営層に対して顧問活用の提案を行う中で、データリテラシーを高め、経営・事業・組織を根幹から変えていくことの重要性を認識。 枠に縛られず顧客の事業成長に伴走する姿勢、アジャイルに物事を推進していくオーリーズのスタイルに共感し入社を決意。

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