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BtoB広告とは?成果につながる戦略と手法を解説
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近年、BtoB企業がマーケティングに注力する必要性は高まっており、BtoB事業者の広告出稿も増加しつつあります。
一方、BtoB事業者が広告を出稿するにあたって、以下のような悩みを抱える方が多いのも事実です。
- BtoBの商材で広告配信をするのが本当に効果的かわからない
- たくさんの広告媒体の中でどの媒体を選んだらいいのかわからない
- BtoBならではの広告配信の注意点や成功パターンについて知りたい
そこでこの記事では、「BtoB広告の重要性や特徴」「BtoB事業者におすすめの広告媒体」「BtoB事業者ならではの注意点」について解説します。
BtoB広告の導入を検討されている方や、効果の最大化に悩まれている方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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目次
BtoB広告とは?
BtoB(Business to Business)広告とは、企業が他の企業を対象としたサービスや商品を宣伝・販売するための広告活動を指します。
プロダクトの購入やサービスの申し込みを目的とするものだけでなく、製品カタログやサービス資料のダウンロード、セミナーの予約など見込み顧客との接触を目的にする広告もあります。
配信する意義
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デジタル化やコロナ禍の影響で、顧客行動に大きな変化が起こっています。
これまでは自社のサービスや商品の説明を営業担当者が直接顧客に行うことが一般的でした。しかし、デジタルが普及した今日では、「BtoB企業の購買意思決定のうち57%が営業に会う前に完了している」と言われるほど、顧客がWEB上で能動的に情報収集をするようになっています。
そのため、BtoBマーケティングでは、適切なチャネルとタイミングで顧客とのコミュニケーションを取り、購買意欲を高める戦略が重要となります。
BtoC広告との3つの違い
ここからは、BtoB広告の基本的な特徴について説明します。BtoB広告の特性をつかむための前提知識として、まずBtoC広告との違いを説明します。
1. 顧客数が少ない
一般的に、BtoB商材はBtoC商材と比べてターゲットとなる見込み顧客の総数が少ないため、限られた顧客に対してピンポイントでアプローチする必要性があります。
たとえば、Googleキーワードプランナーで「化粧水」というキーワードの検索量を調べると月間
74,000ですが、「広告運用」というキーワードでは月間1,900しかありません。
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このように、BtoB事業とBtoC事業では商品・サービスカテゴリに関心を持つ顧客数に大きな違いがあるため、BtoB事業者は限られた見込み顧客に効率よくアプローチできる広告手法・媒体の選択が鍵になります。
詳しくは、「BtoB広告の種類と選び方」で解説します。
また、たとえば食材の卸売や企業向け制服のように、BtoB事業者が提供しているサービスであっても、BtoCユーザーも検索する商材があります。ここで貴重な広告費を無駄にしないためにも、BtoB広告ではBtoCユーザーの流入をいかに防ぐかという視点も必要です。
2. リードタイムが長期化しやすい
BtoC商材では、広告を見た本人がその場で購入やサービス利用を判断するケースが多い一方で、BtoB商材では購買までの意思決定者が多い傾向にあります。
また、取引の多くは高額でリスクも大きいため、比較・検討が慎重に行われます。
そのため、購買プロセス全体で、広告だけでなく、商談などの営業活動、ウェビナー、メールマーケティング、展示会など、複数のタッチポイントを通じて信頼を築く必要があります。広告戦略も、これらの特性を踏まえた施策が求められます。
3.獲得数だけで評価してはいけない
BtoB広告では、多くの場合、リード獲得後のインサイドセールスや営業活動の状況によって売上につながる確率が変わります。そのため、オンラインで獲得したリードが商談や受注に繋がっているか確認したうえで広告成果を評価することが重要です。
広告では多くのリードが取れているものの、無効リードや失注が多く、売上ベースでROI評価をすると投資効率が悪かったというケースも少なくありません。
詳細は、「BtoB広告で抑えるべき考え方」で解説します。
BtoB広告の種類と選び方
この章ではBtoB広告に最適な広告の種類と媒体の特徴について解説します。自社の状況に合わせてどの広告に注力し、どの媒体に配信をするかを検討しましょう。
リスティング広告
自社サービスが属するカテゴリの検索量が大きい場合は、最優先でリスティング広告に予算を割り当てることを考えましょう。
リスティング広告は、「今まさに検索しているユーザー」にアプローチできる点が最大の特徴です。検索するユーザーは特定の課題やニーズを持ち、解決策を探している可能性が高いため、自社のプロダクト・サービスに興味を持ってくれる確率の高い顕在層に向けた広告配信が可能です。
自社サービスが属するカテゴリの検索量は、Googleが提供している「キーワードプランナー」というツールを活用すれば確認できます(事前にGoogle広告のアカウント作成が必要です)。
リスティング広告の媒体については、予算や工数の余裕があれば、Google・Yahoo!・Microsoft広告のすべてを活用したほうがよいですが、最も優先度が高いのはユーザー数の多いGoogle広告です。
また、BtoB事業者にはGoogleの次にMicrosoft広告の活用がおすすめです。
WindowsのデフォルトブラウザであるEdgeの検索エンジン「Bing」に配信できるため、ビジネスパーソンにリーチすることが期待できます。
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「リスティング広告に注力してみよう」と思われた方は、リスティング広告で成果をあげるためのノウハウを体系的にまとめたこちらの記事をご覧ください。
これからリスティング広告を始める初心者から、成果が伸び悩みいま一度基本的な項目から網羅的に見直したいと思っている方にも参考にしていただける項目をご紹介しています。
ディスプレイ・SNS広告
自社サービスに誘導可能なキーワードの検索ボリュームが小さく、リスティング広告での成果が見込みにくい場合や、広告予算に余裕があり、リスティング広告以外の手法にも取り組む余地がある場合は、SNS広告やディスプレイ広告の活用を検討することをおすすめします。
これらの広告手法は、リスティング広告ではリーチが難しい潜在層へのアプローチや、ブランディング目的での認知拡大にも効果的です。
リスティング広告と同様、ディスプレイ・SNS広告においても、Google・Yahoo!・Metaなどの大手プラットフォームが提供する広告サービスを活用するのが有効です。
近年、ITPなど個人情報保護規制の強化に伴い、3rd Party Cookieを利用した広告配信は困難な状況に直面しています。
一方で、GoogleやMetaなどの大手プラットフォームはアクティブユーザーが多いサービスを提供しており、自社サービス内での検索行動を含む独自データを活用できるため、ターゲティング精度と広告配信ボリュームを両立できるのです。
番外編:タクシー広告
タクシー広告は、タクシー車両内外で広告を配信できるユニークな媒体で、BtoB広告戦略にも幅広く活用されています。
近年では特に、車両内のデジタルサイネージで動的なコンテンツを提供する広告形式が急速に普及しています。
タクシーはビジネスパーソンが多く利用するため、BtoB広告においては決裁権を持つ管理職や経営陣といったターゲット層に直接訴求する手段として優れています。
特に、タクシーの稼働台数が多く利用頻度も高い都市部では、認知度を効果的に拡大するための有力な媒体と言えるでしょう。
一方で認知を獲得しても、商品の購入やサービスの利用につなげるための動線整備ができていなければ売上につながらないため、目的に合わせて検討しましょう。
おすすめの媒体
ここでは、ディスプレイ・SNS広告などで注力すべき優先度の高い媒体を4つご紹介します。
1. Google
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Googleは、国内で最大のシェアを持つ検索プラットフォームです。Chrome、YouTube、Gmailなどの人気サービスを提供しており、多くのアクティブユーザーにリーチできるうえ、豊富なアカウント登録データを活用したターゲティング精度の高さが特徴です。
BtoBのリード獲得を目的とする場合、ターゲティング精度と広告配信ボリュームのいずれの点でも優れているGoogleは、最優先で選ばれるべきです。
2. Meta
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「Facebook」「Instagram」「Threads」などのサービスを提供しているMetaは、多くのアクティブユーザーを集めています。
また、ビジネス関連の情報を発信するユーザーが多く、プロフィール情報や投稿内容から「勤務先」「業務内容」「会社規模」などのデータを収集・推測できるため、ビジネス関連のターゲティングを行いたいBtoB商材においては、積極的に活用したい媒体です。
FacebookとInstagramというシェアの大きいSNSを抱えていることもあり、広告配信在庫はGoogleを上回ります。
しかし、Meta広告の配信対象はMetaのサービス利用者に限られるため、3rd Partyでの広告配信に関してはGoogleに劣るという側面があります。
3. Microsoft
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Microsoft広告は、2022年に日本市場でサービスが開始された比較的若い広告媒体で、近年注目度が高まっています。
Windowsのデフォルト検索エンジンである「Bing」や、デフォルトブラウザであるEdgeのホーム画面「MSN」などに広告を配信できる点が特徴です。
特に大手企業では、セキュリティ面から社用PCでEdgeを使用するケースが多いことから、Microsoft広告はエンタープライズ企業の含有率が高く、リードの質が高いという弊社での運用データもあります。
ただし、Microsoft広告は歴史が浅く、GoogleやYahoo!のように検索履歴データを活用したターゲティングができないなど、ディスプレイ広告のプラットフォームとしては発展途上と言えるでしょう。
4. Yahoo!
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Yahoo!は、Googleと同様に検索プラットフォームを提供し、Yahoo!ニュースなど多くの1st Party面へのディスプレイ広告配信が可能です。
しかし、検索エンジンの国内シェアはGoogleと比べて限定的であり、Metaのような豊富なプロフィール情報も持たないため、ターゲティングに活用できるデータは限られています。
今後、LINEとの統合により1st Partyデータが増加する可能性はありますが、LINEとBtoBビジネスの相性がよいとは言えないため、その進化には限界があると考えています。
ディスプレイ・SNS広告の媒体選定についてより深く理解したい方、さらに媒体の選択肢を広げたい方は、こちらの記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
また、各媒体でBtoB事業者が広告成果を最大化するために、最低限抑えていただきたい基本的なノウハウをまとめました。
どの媒体でも共通して使える知識と、BtoB事業者にとって注力する優先度の高い媒体のアカウント設計について解説していますので、こちらの記事もあわせてご覧ください。
BtoB広告で抑えるべき考え方
ここではBtoB広告を配信し、成果につなげるにあたって必ず抑えておくべき考え方を3つ紹介します。
リード獲得以降のROIで評価する
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BtoBの広告運用においては、広告でのリード獲得効率だけを追求するだけでは不十分なことがほとんどです。
広告経由で獲得したリードが、受注につながっているのかまでを把握しなければなりません。
リード数の最大化を目的としてリード獲得単価のみで評価するのではなく、商談単価や受注単価を含めて評価することで、質の高いリードの獲得やフォローアップが可能になり、最終的にはROIを最大化することにつながります。
一方で、広告の成果をその後の歩留まりを含めて評価している事業者は多くはないのが現状です。
以下の記事では、BtoB企業のリード獲得施策においてマーケティング全体の最適化を行うメリットを事例つきでご紹介しています。まだリード獲得以降を含めた広告の評価ができていないという方はぜひご覧ください。
受注に近い指標で広告を最適化する
リード獲得以降の歩留まりを含めて広告を評価することの重要性は先述のとおりですが、日々の広告運用でも、この視点を活かし、受注に近い指標で広告を最適化することが望ましいです。
そのために必要な行動を2つ紹介します。
①オフラインコンバージョンを活用する
上記のように、BtoB広告を商談単価や受注単価で評価しROIを最大化するには、オフラインコンバージョン(CV)の活用が必要です。
オフラインCVとは、商談や受注データなど、広告配信の領域外で顧客が行動した実績を指します。
このオフラインCVを活用して歩留まりを考慮しながら運用することや、広告媒体にインポートして機械学習の最適化に活用することも可能です。
また、BIツール等を用いてROIを可視化し媒体予算のアロケーションに活用することで、ROI最大化を図ることができます。
以下の記事では、オフラインCVを導入すべき理由について詳細に解説していますのでご覧ください。
オフラインCVを活用することでどう変わるのか、具体的にイメージしたい方は、以下の事例記事もあわせてご覧ください。
②リード獲得後も含めたモニタリング環境を整備する
先述のように、リード獲得後の歩留まりを含めて広告効果を評価することは重要です。これを実現するためには、マーケティングROIを可視化するのが効果的です。
まとまった期間の広告施策や展示会施策などの大きな単位でROIを可視化することはイメージできる方も多いと思いますが、より細かい粒度でROIを可視化し、モニタリングすることも可能です。
広告・GA4とCRMのデータを統合することで、広告の媒体ごとやキャンペーンごとにROIをモニタリングし、運用調整に活かせるようになります。
このようなモニタリング環境を整備することで、広告運用担当者とマーケティング担当者の目線を合わせ、より売上につながる広告運用が実現できます。
以下の記事では、リード獲得以降の行動も含めた広告効果を可視化するために必要な準備や、設定手順を詳しく解説しています。
エンプラリードの獲得を狙う
特にアカウント単価で料金設定されることの多いSaaS企業においては、売上拡大、マーケティング施策の費用対効果を高めるには人数規模の多いエンタープライズ企業の開拓が重要です。
Web施策においては、意図的にエンプラ企業の従業員を狙うことは難しいです。しかしながら、マーケティング施策や広告媒体・キャンペーンごとに、獲得したリードのエンプラ企業率を調べられる環境を整えることは可能です。
施策ごとにエンプラ企業の含有率が明らかになれば、それをもとに次に注力する施策を判断することができます。
実際、弊社での運用経験からは、Microsoft広告は他の媒体と比べてエンプラ企業のリードを獲得しやすい傾向にあります。
エンプラリードの獲得について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
BtoB広告の成功事例
オーリーズでは、BtoB事業者のみなさまの事業成長のために、運用型広告を起点に質の高いご支援を実現すべく、社内にBtoB事業者専門のチーム抱えノウハウを蓄積しています。
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ここでは弊社の支援事例の一部をご紹介いたします。
KAKEAI様
KAKEAI様とのお取組みでは、広告運用にとどまらず、レポート構築もご支援しました。
広告・GA4・HubSpotのデータを統合し、広告で獲得したリードを、有効リードや商談化率の観点でROI評価できるレポートを作成したことで、広告の投資効率や仮説の質を向上させることにつながっています。
詳細につきましては下記よりご覧ください。
WAKUWAKU様
WAKUWAKU様とのお取組みでは、コンバージョン獲得やCPAの低減だけでなく、広告接触以降のフェーズを見込んでSalesforceの設計もご支援し、広告以外の展示会やBDR施策も含めたマーケティング施策全体のROIの見える化をしています。
詳細につきましては下記よりご覧ください。
まとめ
この記事では、BtoBマーケティングにおけるBtoB広告の重要性と戦略、リード獲得単体の評価にとどまらないROI最大化などの手法について紹介しました。
オーリーズでは、広告施策だけでなく、インサイドセールスやレポート構築など幅広い領域でのご支援が可能です。
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