広告運用代行の導入や代理店の見直しを検討する中で、何から調べればよいか分からず不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

特に初めて外部に委託する際は、以下のような悩みを抱える方も散見されます。

そこで本記事では、広告運用代行を検討する際によくある質問とその回答を30項目にわたって整理しました。

基本的な仕組みから費用、選定のコツ、依頼後の対応までを網羅しているため、「まず何を知っておくべきか」を短時間で把握できます。

広告運用代行に関する基本的な疑問

広告運用代行を検討し始めたばかりの方に向けて、まずは「そもそもどんなサービスなのか」「依頼するメリット・デメリット」「向いているケース」などの基本事項を解説します。

Q.広告運用代行では何をしてもらえますか？

媒体選定、アカウント設計、キーワード選定、広告文作成、入札調整、レポーティングなど、広告運用に関する一連の業務を代行してもらえます。

代理店によっては、クリエイティブ制作や分析環境の構築なども支援範囲に含まれる場合があります。

Q.広告運用代行のメリットは？

専門知識と経験を持つプロが運用を担うことで、効率的に成果を実現しやすい点が最大のメリットです。

また、自社で担当者を育成する時間やコストを削減でき、スピーディに運用改善できるのも利点です。

通常、代行会社は媒体社との繋がりもあり、社内にノウハウ・事例を蓄積しているため、最新のトレンドを反映した運用も実現しやすい点が魅力です。

Q.広告運用代行のデメリットは？

運用代行会社へ支払う手数料が発生するため、コスト面での負担が増える可能性があります。

また、自社運用と比べると、社内にノウハウが蓄積されにくい、施策のスピード感が合わない、意図が伝わりづらいといった課題を感じるケースもあります。

一方で、これらのデメリットは依頼する会社や連携の仕方によって回避できる可能性もあるため、後ほどご紹介する選定のコツなども参考にしてください。

Q.依頼したほうが良いケースは？

広告運用のノウハウが社内にない、あるいは人的リソースが不足している場合は、運用代行の活用が効果的です。

また、自社で運用しているが成果が出ない場合や、外部の視点を取り入れて改善したい場合にも有効です。

複数媒体の同時運用が必要になったり、できるだけ無駄なく早く成果を出したいときも、代行を検討する価値があります。

Q.逆に、依頼しないほうが良いケースはありますか？

まずは少額でテスト配信したい段階や、社内に経験豊富な運用担当がいて十分にリソースが確保できている場合は、インハウス運用のほうが柔軟に対応しやすいでしょう。

また、広告がマーケティング戦略上サブ的な役割にとどまる場合は、外部委託せずに最小限の自社運用で済ませるという判断も現実的です。

Q.問い合わせから契約までの流れは？

一般的には、問い合わせ → ヒアリング → 支援プランの提案 → 契約締結 → 運用開始という流れです。

初回の打ち合わせでは、広告の目的・ターゲット・過去の運用状況などを共有するのがスムーズです。

既に別の会社に広告運用代行を依頼しており、別の会社に切り替える場合は、提案にあたってアカウントの閲覧権限を求められることが多いです。

広告運用代行会社の選定に関する疑問

ここでは、「どうやって代理店を探すべきか」「選定時に見るべきポイント」など、代理店をリサーチ・比較検討する際によくある悩みにお答えします。

Q.運用代行会社の候補はどうやって探したらいい？

主な探し方としては、

1. 広告運用経験のある知人からの紹介
2. 検索・比較メディアの活用
3. 生成AIに相談して候補をリストアップ
4. Googleなどの認定代理店一覧から探す

の4つの方法が一般的です。

「自社に合った理想の1社」を見つけるには、紹介や比較に加え、各社の発信内容や支援実績を比較しながら複合的に検討するのが理想的です。

Q.何社ぐらいに問い合わせしたほうが良いですか？

すでに意中の会社が決まっているなら、1社のみの問い合わせでも問題ありませんが、基本的には2～3社に問い合わせして比較することをおすすめします。

一方で、たとえば10社以上など比較候補が多い場合は、比較検討の難易度やディレクションの手間が増えるためおすすめしません。

Q.問い合わせ時に整理しておくべき情報はある？

問い合わせ時には以下の情報は整理しておくと良いです。

• 対象サービス（LPも添付すると尚良い）
• 配信中または配信予定の媒体
• 月間の広告予算
• 広告配信の目的（CV獲得や認知向上など）
• 現在の運用体制（自社/代理店/フリーランスなど）
• 配信開始時期（配信中の場合、契約開始希望時期）
• 現状抱えている課題と代理店への期待事項

また、複数社に声をかける前提で、各社に同条件で情報を渡して比較したい場合は、以下のような項目でRFP（提案依頼書）を作成するケースもありますが、必須ではありません。

Q.代理店選定はどのようなポイントを見ればいい？

代理店選定のポイントは、自社の目的や課題などにより差異があるため一概には言えませんが、はじめて広告運用代行を依頼する場合は以下のポイントを確認しましょう。

1. 広告運用実績の豊富さ
2. 提案内容の妥当性
3. 担当者との相性
4. 支援にかかる費用
5. 運用者1人あたりの担当社数
6. 広告アカウントの保有権

その他の確認事項については以下の代理店選定のチェックリストを参考にしてください。

Q.おすすめの運用代行会社はありますか？

ここでは、弊社内の現役運用者60名にアンケートした結果を参考に、「広告運用を生業とする私達がおすすめする、Web広告運用代行会社10社」の特徴をまとめました。

ロゴ	代理店	特徴	おすすめポイント
	オーリーズ	・顧客満足度（NPS）をKPIに設定 ・非分業制で運用者と直接話せる ・BtoB・ECなど業種特化の専属チーム	顧客の約半数が強く推奨する「まるで内製のような広告運用支援」
	アナグラム	・専任担当制で透明性の高い支援 ・運用者が直接クライアント対応 ・ブログや書籍など豊富な情報発信	全施策を一人の専任担当が支える「透明性とスピードに優れた運用支援」
	サイバーエース	・「極予測AI」等のツールを活用 ・小規模案件やスタートアップにも対応 ・サイバーエージェントの豊富なノウハウを活用	AI×膨大な運用データを活かした「テクノロジー駆動の広告運用支援」
	Hakuhodo DY ONE	・国内初のGoogle認定代理店 ・データドリブンな改善提案が得意 ・緻密な戦略設計と社内連携力に強み	広告プラットフォームを熟知した「運用のプロによる改善提案」
	電通デジタル	・総合力：広告/SNS/オウンドを一貫支援 ・自社DMPやAIを活用した高精度分析 ・大規模プロモーションとの連携も可能	広告・SNS・オウンドまで一貫支援できる「業界最大手の総合力」
	セプテーニ	・SNS広告に特化したクリエイティブ制作 ・認知〜獲得までフルファネルで支援 ・電通グループとの連携による総合力	認知～顧客獲得まで一気通貫で支援するフルファネルマーケティング支援
	オプト	・業界特化チームが商材理解をサポート ・EC・人材・金融など領域特化に強み ・LTVや事業KPIに基づいた運用提案	業界特化チームによる「ビジネス課題に刺さる広告戦略提案」
	JADE	・固定報酬制で広告費に左右されない支援 ・SEO・コンテンツ支援との連携も可能 ・アクセス解析・インハウス支援も提供	広告費に関係なく支援が受けられる「固定報酬制の透明な運用支援」
	キーワードマーケティング	・PR×広告を組み合わせた提案が可能 ・150業種・1500社以上の支援実績 ・自社メディアでの発信も活発	PR×広告の知見を活かした「話題性と獲得を両立する広告設計」
	アユダンテ	・GA4・GTMなどの技術支援に強み ・1stパーティーデータ活用に精通 ・SEOやタグ実装など横断支援も可能	GA・GTMまで含めて支援できる「データ活用に強い広告パートナー」

各企業の詳細は以下の記事で解説していますので、代理店の候補を探している方は参考にしてください。

Q.実力のある代理店を見極めるコツは？

広告運用の実力があり、しっかりと成果に繋げてくれる代理店を見極める際は、代理店が発信しているブログを参考にするのがおすすめです。

SEO対策目的の記事だけでなく、

• 難易度の高い課題に対する対応策を示した記事があるか
• 業種や予算帯などの個別性を踏まえた運用コラムがあるか
• 広告媒体の数値改善事例だけでなく、事業成果への貢献事例があるか

など、発信している情報の広さ・深さを確認することで、代理店の実力を推察する参考にできます。

Q.逆に、避けたほうが良い代理店の特徴は？

手数料が極端に低く（例：5％以下）、十分な工数がかけられない代理店は要注意です。

また、営業担当としか話せず運用者と接点が持てない、どんな提案にも肯定しかしない、広告主名義でアカウント運用ができないといった特徴も、後々トラブルになるケースがあります。

Q.小規模な代理店と大手代理店、どっちを選べばいい？

代理店選定で最も重要なのは、その後の支援によって成果が上がるかどうかです。そのため、代理店の規模がその後の成果にどれほど影響を与えるかは一概には言えません。

確かに、選定の際に代理店の規模を重視する広告主は多いですが、実際には、規模よりも「誰が支援するか？」の方が成果に直結する場合が多いです。

例えば、小規模な代理店でも、長年経験を積んだエースプレイヤーが在籍しているケースもありますし、大手代理店でも、予算が小さい案件では経験が浅い担当者がアサインされることもあります。

そのため、代理店選びでは、規模にとらわれるのではなく、実際に担当する人材の能力と経験を重視することが重要です。

Q.二者択一で迷ったら、どう判断すればいい？

最終的な判断基準は「誰に支援してもらうか」です。広告運用は無形商材であり、同じサービス内容でも“誰が担当するか”によって成果が大きく変わる領域です。

どちらの代理店も支援内容に大差がない場合は、以下のような観点で比較してみましょう。

• 自社の事業や課題に対する理解度
• 提案の納得感・論理性
• 担当者の信頼感や誠実さ
• 長期的に寄り添ってくれそうかどうか

“この人なら安心して任せられる”という実感を持てるかが、最終判断の決め手になります。

費用・契約に関する疑問

代理店を選ぶ際は、契約形態や費用体系についての理解も欠かせません。このセクションでは、費用感や契約条件に関するよくある疑問にお答えします。

Q.代理店との契約形態は？

契約形態は代理店によって様々ですが、一般的には以下の4種類の契約から選択することができます。

1. 料率型（広告費の一定％を代理店の手数料として支払う）
2. 固定報酬型（月〇万円など固定の費用を支払う）
3. 時間単価型（1時間あたりの費用単価を決めて稼働時間に応じて計算）
4. 成果報酬型（コンバージョン1件あたり〇万円など、成果に応じて計算）

一般的には、料率型で契約するケースがほとんどです。

Q.費用相場はどれぐらい？

費用相場は広告費の20%前後が一般的ですが、手数料率は代理店によって幅があります。

一般的には、手数料の多寡に応じて支援工数を調整しているケースが多いため、割引などを積極的に行っていたり、極端に少額の手数料で運用代行を受けている場合は、必要最低限の支援しか受けられない可能性もあります。

Q.最低契約期間・出稿費用はありますか？

最低契約期間の有無や、出稿費用の縛りは代理店によって様々であるため一概には言えません。

後々のトラブルを防ぐためにも、代理店と契約する前に確認するようにしましょう。

Q.少額でも広告運用代行を依頼できますか？

依頼自体は可能ですが、月数万円～数十万円程度の少額予算では手数料に見合う工数がかけられず、支援内容が限定的になることもあります。

この場合は、媒体の無料サポートやインハウス支援などを活用する方が費用対効果が合うケースが多いです。

Q.手数料の範囲でどこまで支援してもらえる？

支援範囲は代理店によって様々であるため一概には断定できませんが、一般的には以下のような業務を支援してもらえるケースが多いです。

多くの代理店では、KGI・KPI設計や媒体選定などのプランニング、アカウント構築〜運用など、広告運用の成果向上に向けた戦略設計から運用実務の代行までを担うケースが多いです。

一方、クリエイティブ制作や効果計測環境の構築などの周辺業務は別途費用が発生するケースもあるため、契約前に確認しておきましょう。

Q.金額交渉はしても良い？

代理店の手数料が予算を超えてしまう場合、金額交渉をしたくなるケースもあると思いますが、基本的には金額交渉を避けるべきです。

なぜなら、代理店の手数料と支援に使える工数は連動していることが多いからです。手数料を削減すると、代理店がかけるリソースや支援の質に影響が出る可能性が高く、結果的に期待する成果が得られなくなるリスクがあります。

また、金額交渉を何度も行うと、代理店との関係性が悪化する可能性もあります。代理店は信頼できるパートナーとして一緒に運用を進めていく存在ですので、関係性を良好に保つことが重要です。

おすすめは、予算内でどこまで支援してもらえるかを最初に確認し、その範囲内でできる最適な提案をしてもらうことです。

事前に予算感を伝えた上で、その予算内でどこまで実現可能かを代理店に確認し、その範囲で依頼する代理店を決めることで、不要なトラブルを避けることができます。

Q.代理店を切り替えたいときはどうしたらいい？

まずは「本当に切り替えるべきか」を見極めることが重要です。成果の伸び悩みや対応品質に不満がある場合でも、改善余地があるかを一度話し合ってから判断するのが望ましいです。

切り替えを決断したら、現代理店との契約条件（解約期限や違約金）を確認した上、新しい代理店には過去の運用実績や方針も共有し、スムーズな運用再開ができるよう引き継ぎします。

現代理店との契約によってはそのままアカウントを移管することが出来ず、1から広告アカウントを作り直すケースもあるため注意しましょう。

焦って切り替えるのではなく、「切り替え後に何を改善したいか」を明確にしておくことが、後悔しない代理店選びにつながります。

Q.契約時に確認しておくべきポイントは？

手数料体系、最低契約期間、アカウント保有形態、支援範囲、成果が出なかった場合の対応などは事前に確認しましょう。

また、運用担当者の体制（1人あたりの担当社数）やレポート頻度も含め、自社の期待値とすり合わせておくとトラブルを防げます。

依頼後の支援に関する疑問

広告運用代行を依頼したあと、どのくらいで成果が出るのか、どんな体制で支援してもらえるのかといった「運用開始後」の不安や疑問にお答えします。

Q.最短どれぐらいで成果が出ますか？

商材や目標、予算などによって差はありますが、早ければ初月〜2か月以内に初期成果が見え始めるケースもあります。

ただし、本質的な改善や安定的な成果を目指す場合、一般的には3〜6か月程度のスパンで改善効果をはかることが多いです。

Q.担当者は途中で変更できますか？

基本的には可能です。多くの代理店では、担当者変更を希望する際は理由をヒアリングしたうえで調整してもらえます。

ただし、交代には一定の引き継ぎ期間が必要なため、頻繁に担当変更を依頼することはおすすめしません。

担当者の変更でも期待する支援品質を担保してもらえない場合は、代理店を切り替えることも選択に入れましょう。

Q.クリエイティブ制作も依頼できますか？

対応範囲は代理店によって異なりますが、バナーや動画、LPなどの制作をワンストップで請け負う代理店も多くあります。

特に運用とクリエイティブが連動する形でPDCAを回せる体制は、成果向上につながりやすいです。

必要な制作物や工数を事前に確認し、対応可否を相談するとよいでしょう。

Q.どれぐらいの頻度でMTGやレポート連携してもらえる？

一般的には月1回程度の定例MTGとレポート提出が多いですが、運用の密度や予算規模に応じて、日次や週次でやり取りをしているケースもあります。

施策フェーズや緊急対応の必要性によっても変動するため、「何を、どれぐらいの頻度で連携してほしいか」を事前に共有しておくのがおすすめです。

Q.対面でのやり取りは依頼できる？

代理店によって対応可否は様々ですが、一般的には、月1回程度の定例ミーティングやスポットでの来社訪問にも柔軟に対応してくれるケースが多いです。

なお、完全リモート体制の代理店も存在しますので、所在地だけで判断せず、対応可否は契約前に確認しておくことが重要です。

Q.複数の代理店の併用や、インハウスとの両立はあり？

結論から言うと、併用や両立は可能ですが、目的と体制によって良し悪しが分かれます。

良い併用パターンは、各代理店や自社が得意領域で明確に棲み分けされており、かつ密に連携・ディレクションできているケースです。

また、段階的にインハウス化を進めるための一時的な併用や、スムーズな移管を見据えた代理店の併用も合理的です。

一方で、たとえば月100万円以下などの少額予算で複数社を併用するのはおすすめできません。各社の支援工数が限定的となり、成果改善が進みにくくなるためです。

併用を検討する際は、「成果を最大化できる体制として最適か？」という視点で設計することが重要です。

Q.代理店を切り替えるべきタイミングは？

理想を言えば、長期的に信頼できる代理店と安定的に伴走してもらうのがベストですが、現実には「成果が伸びない」「連携がうまくいかない」といった違和感が徐々に蓄積されるケースもあります。

たとえば、半年以上目標未達が続いているのに改善策が見えない、提案に納得感がない、施策スピードが遅い、担当変更しても改善しないなどの場合は、切り替えを検討するタイミングかもしれません。

一方で、広告主側の情報共有不足や意思決定の遅れが原因となっているケースもあるため、まずは現在の代理店と率直に課題をすり合わせることが重要です。

関係性の見直しが成果改善につながるかどうかを見極めつつ、切り替えによるコストや負荷も踏まえて判断するのが望ましいです。

まとめ｜広告運用代行で成果を向上させよう

広告運用代行は、外部の専門知識を活用して効率的に成果を伸ばす有効な手段ですが、代理店の選定や契約条件、支援体制など事前に確認すべきポイントも多くあります。

本記事で紹介したFAQを参考に、自社にとって何を重視すべきかを整理したうえで、信頼できるパートナーを見つける準備を進めてみてください。

比較検討の際は、まずは2～3社に問い合わせて提案を受けてみるのがおすすめです。