- ナレッジ・ノウハウ
- 頼富 穰
リスティング広告のやり方入門|出稿・運用改善の手順を解説

リスティング広告を始めようと思っても、「最初に何をすればいいのか分からない」と感じる方は少なくありません。
特に初めて運用に取り組む方の場合、成果を出すために必要なステップが分からず、不安を感じるケースも散見されます。
- 出稿の手順や設定項目が多く、どこから手をつければいいのか分からない
- 適切なキーワードや広告文の作り方が分からず、成果につながるか不安
- 運用開始後、何を見てどう改善すればよいかの判断がつかない
そこで本記事では、リスティング広告のやり方を「出稿」「運用」「改善」の3ステップで整理し、最初の1件の成果獲得までの具体的な手順を解説します。
「成果につなげる運用」を目指す方にとって、本記事がリスティング広告の成功への第一歩となれば幸いです。
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目次
まず押さえたいリスティング広告の基本
まずはリスティング広告の概要について要点をお伝えします。
リスティング広告の仕組み
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで、ユーザーが検索したキーワードに連動して表示されるテキスト型の検索連動広告です。
クリックされるごとに費用が発生する「クリック課金型」が基本で、少額から始められるのが特長です。
広告の表示順位は「入札単価」だけでなく、広告文の関連性やリンク先ページの利便性などを加味した「広告の品質」によっても決まります。
つまり、単にお金をかければ勝てる広告ではなく、ユーザーにとって有益な広告を作ることが成果につながる仕組みです。
詳細は以下の記事で解説していますので、まずは全体像から理解したいという方はあわせてご覧ください。
リスティング広告を配信できる3媒体
リスティング広告は主に以下3媒体で配信できます。
媒体名 | 特徴 |
---|---|
Google広告 | 日本での検索シェアが最も高く、配信ボリュームも多い。 自動化機能も充実しており、初めて配信するなら最有力候補。 |
Yahoo!広告 | 国内2位の検索エンジン。シニア層へのリーチがしやすく、 UIもGoogleに近いため初心者にも扱いやすい。 |
Microsoft広告 | Bingへの配信が可能。PC比率が高く、BtoB商材や中高年層向け 商材と相性が良い。 |
基本的にはGoogle広告から始め、必要に応じてYahoo!やMicrosoftへの配信を追加するのが一般的です。
メリット・デメリットと他広告との違い
リスティング広告のメリット・デメリットは以下の通りです。
- 顕在層にピンポイントでアプローチでき、CVにつながりやすい
- 画像・動画素材が不要で、準備工数が少ない
- 少額から始められ、クリックされた分だけ費用が発生するため無駄が少ない
- 検索語句データを分析し、商品企画や他施策の改善にも活用できる
- 検索行動が前提なので、潜在層へのアプローチには不向き
- ビジュアル訴求が難しく、画像で魅力を伝えたい商材には不利
- 競合が多い市場ではクリック単価が高騰し、費用対効果が悪化することも
- 広告であることを敬遠され、クリックされづらいケースもある
他の広告と比べた違いは以下の通りです。
広告種別 | タイミング | 表示形式 | 主な目的 |
---|---|---|---|
リスティング広告 | ユーザーが検索した瞬間 | テキスト中心 | 顕在層の獲得(CV) |
SEO | 検索後に自然表示 | サイト内テキスト | 長期的な集客・信頼構築 |
ディスプレイ広告 | サイト閲覧中 | 画像・動画 | 潜在層への認知獲得 |
準備編|アカウントを設計する
リスティング広告を始める前に、まず知っておきたい準備事項について解説します。
この段階を飛ばすと、後のアカウント設定で無駄な時間が発生してしまう恐れがあるため、はじめてリスティング広告を配信する場合は必ず確認しておきましょう。
アカウント構造と設定項目を理解する
リスティング広告は「キャンペーン → 広告グループ → キーワード・広告文」という階層構造で成り立っており、広告を配信するためにはそれぞれを適切に設計・設定する必要があります。
- キャンペーン:配信目的や予算、地域、入札戦略などを管理する単位
- 広告グループ:キーワードと広告文をセットで管理する単位
- キーワード・広告文・LP:実際のユーザー接点となる要素
たとえば「資料請求数を増やす」という目的でリスティング広告を配信する場合、アカウント構成は以下のようになります。(名称は自由に設定できます)
- キャンペーン:「資料請求獲得」
- 広告グループ①:指名検索キーワード
- 広告グループ②:商品カテゴリ系キーワード
広告配信を開始するには、媒体アカウントの開設後、これらの設定を1つずつ行っていく必要があるため、事前に全体像と構成の方針を考えておくことが重要です。
準備段階で考えておくべき設計ポイント
リスティング広告のアカウント設計には「これが正解」という型はありません。業種や商材、目標、予算に応じて最適な構成は異なるためです。
ただし、そうした個別性を排除した一般的な原則としては、アカウント構造をなるべくシンプルにするのが基本です。
これはGoogle公式も推奨しており、その理由は主に以下の通りです。
- 自動入札や広告最適化の学習スピードが上がりやすくなる
- データが分散せず、媒体側の最適化アルゴリズムが正しく機能する
- 設定ミスや管理の煩雑さを避け、改善・調整の判断がしやすい
こうした背景から、まずは最も成果につながりやすい検索語句に絞った構成でスタートし、運用しながら必要に応じて拡張していくのが現実的な進め方です。
たとえば売上獲得を目的とするなら、以下のような構成から始めるのが一般的です。
- 広告グループ①:自社名・商品名などの指名検索キーワード
- 広告グループ②:「○○ 比較」「○○ 導入」などの購買意欲が高い一般キーワード
このような設計であれば、ユーザーの検索意図と広告表示のズレが少なくなり、少ない予算でも効率的な成果を目指しやすくなります。
キーワード・広告アセット・LPはセットで考える
アカウント設計を考える際は、「キーワード」「広告アセット」「LP(ランディングページ)」の対応関係をセットで考えることが重要です。
なぜなら、ユーザーは検索語句→広告→LPという流れで行動するため、各要素のつながりが自然であるほど広告の効果が出やすくなるからです。
- 優先的に広告を表示したい見込み顧客は、どのような検索語句で調べているか
- それらの語句に対応するキーワードをどう設計するか
- 検索ニーズに応じて、どんな広告文・どんなLPを見せるべきか
とはいえ、LPを検索意図ごとに複数用意するのが難しいケースもあるかと思います。
その場合は、特定の商品・サービスの訴求を中心にした汎用的なLPを1本作成し、複数の広告グループで共有するというアプローチでも問題ありません。
ただし、その場合でも「広告文で過度な期待を煽りすぎない」「検索意図とLP内容が著しく乖離しない」ように注意する必要があります。
なお、リスティング広告の基本的なアカウント設計と推奨設定については以下の記事で網羅的にまとめています。
10人運用者がいれば8人以上が「そうすべき」と言える水準の一般解をまとめているため、初心者がまず優先的に押さえるべき項目について理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
設定編|アカウントを作成・設定する
ここでは、リスティング広告をはじめて出稿する方向けに、広告配信までの設定の流れを説明します。
管理画面の操作方法だけでなく、各設定項目の選び方なども解説しています。
1.アカウント作成
リスティング広告の配信を始めるには、まず広告アカウントを作成する必要があります。
作業自体は画面の案内に従えば数分で完了しますが、設定項目の中には後から変更できないものもあるため注意が必要です。
以下では、広告アカウント開設の基本的な流れと、設定時に気をつけたいポイントを簡潔に解説します。
①Google広告にアクセスし「今すぐ開始」をクリック
公式サイト(https://ads.google.com)にアクセスし、「今すぐ開始」ボタンから手続きをスタートします。
② ビジネス情報を入力
会社名やサービス名、LP(ランディングページ)のURLを入力します。ここで入力した情報がアカウントの初期情報として反映されます。
③ 連携アカウントの設定(任意)
YouTubeやアプリなど、連携したいGoogleサービスがあればここで追加可能です。
該当がなければスキップして問題ありません。
④ キャンペーンの作成画面は「スキップ」でOK
初回ログイン時にキャンペーン目標やタイプを設定する画面が表示されますが、今回は設定せず「スキップ」を選びましょう。
「キャンペーンの作成を中止しますか?」というポップアップには「キャンペーンの作成を中止」を選択してください。
この時点ではまだ広告配信の準備は整っていないため、一度キャンペーン作成を飛ばしてから、後ほど設計した内容で改めて設定するのが安全です。
⑤ アカウント設定(国・通貨)の確認
「日本」や「日本円」がデフォルトで選択されていれば、そのまま「続行」で問題ありません。
※この設定だけは後から変更できないため、海外向け配信などを予定している場合は要注意です。
⑥ 支払い情報の入力
広告費用の支払い方法を登録します。基本的にはクレジットカード払いが便利ですが、銀行振込やコンビニ決済にも対応しています。また、支払い方法には2種類あります。
- 自動支払い:費用が一定額に達するか、毎月1日に請求される方式(一般的はこちら)
- 手動支払い:あらかじめチャージした金額から費用が引き落とされる方式
特別な理由がなければ、自動支払いを選ぶのがスムーズです。
⑦ サポートやメルマガの選択(任意)
最後に、無料のサポート相談やメルマガ配信を希望するかのチェック欄があります。必要に応じて選択しましょう。どちらも後から変更可能です。
2.入札戦略の選び方
リスティング広告では、「いくらで広告枠を買うか」を決める入札戦略の選択が、成果を左右する重要な要素のひとつです。
近年はGoogle・Yahoo!ともに自動入札を推奨しており、手動入札は特殊な事情がない限り主流ではなくなっています。
項目 | 自動入札 | 手動入札 |
---|---|---|
入札単価の調整 | 媒体が自動で調整 | 広告主がキーワードごとに手動調整 |
最適化の軸 | コンバージョン・クリックなど目標に応じて最適化 | コントロールは可能だが属人的 |
運用の難易度 | 初心者でも成果が出やすい | 上級者向け、設定ミスのリスクも |
自動入札が主流になっている3つの理由
自動入札が推奨されるようになった背景には、以下のような明確なメリットがあります。
1. 機械学習による高度な最適化
Google広告では、ユーザーの検索語句だけでなく、「時間帯・デバイス・地域・直近の閲覧履歴・CV傾向」など、人では把握しきれない膨大なシグナルをもとに、リアルタイムで最適な入札を行います。
そのため、手動では絶対に届かないレベルの調整が、全自動で行われるのが最大の強みです。
2. 最適化の学習が早く、成果改善が早期に見込める
一定のCVデータが蓄積されれば、媒体が「どんなユーザーがCVしやすいか」を学習し、自動的に配信対象や入札額を調整してくれます。
設定次第では数週間程度で効果改善が見られるケースもあり、特にリソースの限られる中小企業や少人数体制の担当者にとっては非常に有用です。
3. 運用ミスが減り、改善のPDCAに集中できる
手動入札の場合、調整ミスや判断ミスで成果が悪化することも珍しくありません。
自動入札を使えば入札の調整そのものに時間をかける必要がなくなり、運用者は構成改善や広告文の検証など、より本質的な改善業務に集中できます。
3.キーワードとマッチタイプの設定
広告を配信するには、ユーザーの検索語句に対して広告が表示されるよう「キーワード」と「マッチタイプ」を設定する必要があります。設定は主に次の流れで行います。
1. メインとなるキーワードを決める
2. 関連する掛け合わせキーワードを追加する
3. 各キーワードのマッチタイプを設定する(どこまで一致させるか)
4. 配信したくない語句を除外キーワードとして設定する
この章では、特に判断に迷いやすい「マッチタイプ」と「除外キーワード」の考え方を中心に解説します。
判断に迷いやすい設定項目とその考え方
媒体の自動化が進んだ現在では、基本的にはインテントマッチを使い、検索意図とのズレがある場合のみフレーズ一致や完全一致を使うという考え方が主流です。
また、除外キーワードも成果に直結する重要な設定です。広告を表示したくない語句をあらかじめ指定しておくことで、無駄なクリックを防ぎ、費用対効果を高められます。
特にインテントマッチを使う場合は、配信範囲が広がりやすいため除外設定が不可欠です。
なお、除外キーワードには拡張性(表記ゆれ・類義語のカバー)がないため、「返品」「返金」「キャンセル」など、バリエーションも含めて手動で登録する必要があります。
事前に完璧なキーワード設計を行う必要はありません。むしろ、初期はシンプルな構成にとどめ、配信データを見ながら調整していく運用スタイルが、初心者にとっては現実的かつ効果的です。
4.広告アセットの設定
現在のリスティング広告では、RSA(レスポンシブ検索広告)が主流となっています。
RSAは、複数のタイトルと説明文を入力しておけば、媒体が自動で最適な組み合わせを表示する広告形式です。
- タイトル(見出し)最大15個まで入力可能(推奨8個以上)
- 説明文(ディスクリプション)最大4個まで入力可能(推奨3個以上)
- 媒体が検索語句やユーザーの行動に応じて最適な組み合わせを表示
媒体による最適化が働くことで、手動よりも成果が出やすい構造になっていますが、「適当に入れておけば勝手に最適化してくれる」というわけではありません。
以下はRSAで成果を出すために意識すべきポイントです。
媒体のアルゴリズムは検索語句と広告文の関連性が高いタイトルを優先的に表示します。
そのため、想定しているキーワードをそのままタイトルに盛り込むことが基本です。
- NG例:「あなたの課題を解決します」← 汎用的すぎて関連性が弱い
- OK例:「Web広告 運用代行|初期費用0円から対応」← 検索語句に直結
同じようなタイトルばかりを入れてしまうと、組み合わせのバリエーションが機能せず、最適化が進みません。
各タイトル・説明文には「伝えるべき訴求のバリエーション」を意識して構成しましょう。
たとえば以下のように整理します。
役割 | 例文 |
---|---|
ベネフィット訴求 | 「最短3日で成果実感|Web広告支援」 |
競合との違い | 「専任担当が伴走|平均CPA35%改善」 |
権威性・実績 | 「導入企業1,200社以上|成果報酬型も対応」 |
不安解消 | 「運用代行は初めてでも安心サポート」 |
CTA(行動喚起) | 「まずは無料相談からお気軽にどうぞ」 |
RSAでは特定のタイトルや説明文を「1行目に必ず表示」などとピン留め(固定)することができますが、固定設定が多いと最適化の自由度が下がり、成果が出にくくなることがあります。
- 固定は必要最低限(例:ブランド名など)にし、基本は媒体の組み合わせ最適化に委ねる
成果を安定させるためには、初期段階で3〜4本のRSAを用意して配信データを比較し、
CTR(クリック率)やCVR(成約率)の高い傾向を把握するのが効果的です。
その上で「よく表示されるタイトル/説明文」と「まったく表示されないもの」の差を見て、表示回数が極端に少ない要素は入れ替えていく形で、徐々に改善を進めていきましょう。
5.コンバージョン計測の設定
広告配信で成果を出すうえで、コンバージョン計測(CV計測)は欠かせません。計測が正確に行われていないと、どの広告が効果的か分からず、運用の改善ができません。
特に自動入札を使う場合、媒体が学習するための基盤データとなるため、CV計測の正確さは運用成果に直結します。
また、CV計測を行うことで、成果の出ている広告を可視化できるため、費用対効果の改善に役立ちます。
逆にCV計測ができていないと、以下のようなリスクがあります。
- 効果の低い広告に予算を投下し続けてしまう
- 改善ポイントが分からず、成果を伸ばせない
- 媒体の最適化が進まず、自動入札のパフォーマンスが落ちる
コンバージョン計測を行うには、媒体で発行する「コンバージョンタグ」というHTMLコードを自社サイトに設置する必要があります。
コンバージョンタグを自社サイトに設置する方法は以下の2通りです。
方法 | 特徴 |
---|---|
タグを直接埋め込む | 単体設定に適しているが、複数媒体では煩雑になりやすい |
Googleタグマネージャー(GTM)を使う | 初心者でも管理しやすく、複数タグを一元管理できる |
特に今後広告媒体を増やしていく可能性がある場合や、開発リソースが限られている場合は、GTMの導入がおすすめです。
1. GTMアカウントを作成し、タグマネコードをサイトに埋め込む
2. Google広告の管理画面から計測したいCVアクションを作成
・ ウェブサイト/電話/アプリなど用途に応じて選択
・ “メイン/サブ”の目的設定や、カウント方式(すべて/初回のみ)を指定
3. GTMでコンバージョンタグを設定
・ タグタイプ「Google広告のコンバージョントラッキング」を選択
・ コンバージョンIDとラベルを入力
・ トリガー(例:完了ページのURL、送信ボタンのクリック)を設定
4. プレビュー&公開
・ GTMのプレビューモードで動作確認を行い、問題がなければ本番反映
なお、再訪問ユーザーへの広告配信(リマーケティング)を検討する場合は、あわせてリマーケティングタグの設置も行っておくのがおすすめです。
Google広告では、GTM上で「Google 広告のリマーケティングタグ」を追加し、サイト全体に発火するよう設定すれば準備は完了です。
広告配信の有無にかかわらず、データ蓄積は早い段階で始めておくことで、将来の配信精度が向上します。
リマーケティングはコンバージョン獲得を強化する重要な手段なので、タグの準備だけでも早めに進めておくと安心です。
運用編|配信後に成果を高めるテクニック
広告の初期設定が完了したら、次に重要なのは「運用フェーズ」です。広告は配信して終わりではなく、配信結果をもとに改善を重ねていくことが成果につながる鍵です。
ここでは、広告成果の読み取り方や、改善に使える代表的なテクニック、初心者がつまずきやすいポイントについて解説します。
配信結果の正しい読み方
まずは、広告運用における基本指標(KPI)を正しく理解し、それぞれのつながりを意識することが重要です。
指標名 | 意味 | 見る目的 |
---|---|---|
インプレッション(IMP) | 広告が表示された回数 | 露出のボリューム確認 |
クリック率(CTR) | 表示に対するクリックの割合 | 広告文の訴求力を確認 |
クリック単価(CPC) | 1クリックあたりの広告費 | 費用効率の把握 |
コンバージョン率(CVR) | クリックからの成約率 | LPやターゲティングの適合性 |
獲得単価(CPA) | 1件のCVあたりの費用 | 最終的な費用対効果 |
費用対効果(ROAS) | 売上 ÷ 広告費 × 100 | 売上に基づく費用対効果の把握 |
これらの指標は単体で見るのではなく、因果関係をもってセットで考える必要があります。以下は成果改善を考える際のロジックツリーの一例です。
たとえば「CVを増やしたい」となった場合でも、アプローチはひとつではありません。
- 日予算や入札単価を引き上げてIMP改善を狙う
- まずはキーワードや広告文を見直してCTRを改善する
- またはCVRを高めるためにLPの導線や訴求を強化する
このように、目的に対してどのKPIをどう動かすかを考えることで、日々の改善に明確な方針を持つことができます。
キーワード・広告アセット・LPの見直し
リスティング広告では、AIによる自動最適化が進んでおり、学習の質を高めるアカウント設計や、学習方針を定める入札戦略の選択が重要です。
そのうえで、学習されたデータをもとに成果を最大化していくためには、ユーザーとのコミュニケーションを構成する3要素(検索語句・広告・LP)の最適化が不可欠です。
改善活動において、まず見直すべき3要素は以下の通りです。
1. キーワードの最適化
・ 成果につながっていないキーワードの停止
・ 成果の出ているキーワードのマッチタイプ見直し(完全一致化など)
・ 除外キーワードの強化で無駄なクリックを防止
2. 広告アセットの改善(RSAの最適化)
・ 表示回数が少ない見出しや説明文の入れ替え
・ 訴求軸をベネフィット型・ 権威性型などでバリエーション化
・ 成果の高いパターンを複製し、微調整テストを継続
3. LPの改善
・ 検索意図とのズレがないか(情報不足・訴求過剰など)
・ ファーストビューの訴求整理、CTA位置の調整
・ 不安要素の払拭(FAQ、口コミ、実績)
これら3点をPDCAで回すことで、広告→LPまでの導線がスムーズになり、CVやCPAの改善につながりやすくなります。
少額予算で成果を上げるには
予算が限られている場合、闇雲に配信しても成果は上がりません。むしろ、条件を絞り込み「成果が出やすいポイントに予算を集中させること」が重要です。
1. エリア・デバイス・ターゲットの絞り込み
・ 例:首都圏のみでサービス提供しているのに全国配信している場合、非対応地域は除外する
・ ただし、時間帯や曜日などは、人間の思い込みで絞りすぎると機会損失のリスクも。初期は絞りすぎず、データで判断するのがおすすめ
2. キーワードの選定は「指名系」「顕在層系」に限定
・ まずはCVにつながりやすい自社名・商品名などの指名検索
・ 次に「○○ 比較」「○○ 導入」など購買意欲が高いキーワードを優先
3. 成果の出ている広告グループに予算を集中
・ 配信結果からCPAやCVRが良い広告グループを見極め、優先的に予算配分する
・ 逆に一定期間成果が出ていない広告グループは停止する
4. ディスプレイ広告は初期はオフでも可
・ 検索広告での成果が出てからリマーケティングなどで再検討するのが無難
このように「最初は成果が出やすい箇所に絞ってスタート」→「配信結果を見ながら拡張する」アプローチが、少額予算でも堅実に成果を伸ばすポイントです。
事例から学ぶリスティング広告の改善ポイント
「設定したけど成果が出ない」「何から改善すればいいかわからない」──そんなときは、他社の事例を参考にしてみましょう。
ここでは、初心者でも再現しやすい工夫で成果につながった3つの事例を紹介します。
より詳細な事例は以下の記事で解説していますので、ご興味のある方はあわせてご確認ください。
① 人材業A社|アカウント構成の再設計でCV数1.5倍&CPA30%改善
背景と課題
総合人材サービスを展開するA社では、非指名キーワードによるキャンペーン運用を行っていましたが、広告グループのターゲティングが曖昧で重複が多く、機械学習の最適化が進みにくい状態でした。
また、RSA(レスポンシブ検索広告)のアセットもどの広告グループでも共通の内容で構成されており、ユーザーのニーズに応じた訴求の出し分けができていない点も課題でした。
実施した施策
- 検索語句データと顧客インタビューをもとにユーザーニーズを分類
- ニーズ別に広告グループを再編(例:認知層/ライト層/準顕在層)
- 広告文(RSAアセット)もニーズごとに作成し、訴求軸を明確に出し分け
結果
- CV数:約1.5倍に増加
- CPA:約30%改善
- ユーザーごとの“検索文脈”に応じた広告グループの再構成
- RSAのアセットは使い回さず、ニーズ別に最適化する設計にすること
- 検索語句分析と定性調査を併用し、ユーザー像の解像度を高める
② 通信業B社|インテントマッチ導入でCPA20%改善・CV数1.2倍
背景と課題
通信系商材を扱うB社では、キーワード構成が完全一致・フレーズ一致に偏っており、配信ボリュームが頭打ちになっていました。
そのため、新規獲得の拡大には「配信対象をどう拡張するか」が課題となっていました。
実施した施策
- インテントマッチ(旧:部分一致)を段階的に導入
- 拡張によって広がった検索語句を日々モニタリング
- 意図しない検索語句に対しては除外キーワードを徹底設定
結果
- CV数:約1.2倍に増加
- CPA:約20%改善(CPC低下がCVR低下を上回った)
- インテントマッチは一気に広げず、段階的な導入が安全
- 除外KW設定をこまめに行い、配信精度を担保する
③ 製造業C社|RSAアセットの調整でCTR改善・CV獲得数増加
背景と課題
製造業を営むC社では、RSAの表示回数が特定の「指名系アセット」に偏っており、同じ訴求軸が重複表示されることで訴求のバリエーションが少なくなっている状態でした。
訴求のバリエーションが少ないことで、本来獲得できたであろうユーザーの取りこぼしが発生しているのではないか?と仮説を立てました。
実施した施策
- サイト名を含む指名アセットの同時表示を固定機能や削除で制御
- 他のアセットが表示される機会を増やすことで訴求の幅を拡大
- 表示データを定期的に分析し、表示比率の最適化を実施
結果
- CTR:約20%向上
- CPC:低下 → CPAが改善
- CV数:増加(流入層の拡張に成功)
- RSAは放置せず、表示されているアセットの偏りを定期的に確認
- 類似アセットが重複表示されていないかチェックする
- 見出しの固定や削除も含めて、“自動最適化を支援する設計”を心がける
よくある質問|リスティング広告の疑問に答えます
最後に、リスティング広告のやり方に関してよくある質問をまとめました。
リスティング広告って難しいのでは?
確かに、最初は専門用語や設定項目が多く、難しく感じるかもしれません。ただし、広告の基本構造や仕組みを理解して、シンプルな構成で始めることができれば、決して手が出ないものではありません。
近年は媒体側の自動化も進んでおり、設定さえ正しければ初心者でも成果を出せる設計になっています。最初から完璧を目指さず、「仮説→改善」を繰り返すスタンスで取り組めば、徐々に理解と成果はついてきます。
最低いくらから始められる?
Google広告をはじめとする各媒体では最低出稿金額を設けていないものが多いため、理論上は月数万円などの少額予算でスタートすることも可能です。
一方で、リスティング広告ではAIが広告配信の最適化を図っており、AIの学習を促進するためには一定のCVデータを蓄積する必要があります。
予算が少額すぎる場合、必要な学習データが集まらず、AIの効率が不十分な状態で広告配信をすることになるため、満足のいく成果につながらないこともあるため、事前に予算シミュレーションを行うことをおすすめします。
SEOとリスティング広告、どちらが効果的?
どちらが「効果的か」は、目的とタイミングによって変わります。
観点 | SEO | リスティング広告 |
---|---|---|
成果実現 | 遅い(数ヶ月~) | 早い(数週間~) |
コスト | 人件費のみ | 広告費が継続的に発生 |
見込み客の質 | キーワードで一定調整可 | ターゲティング次第で調整可 |
安定性 | ストック資産になりやすい | 広告費をかけ続ける必要がある |
短期で成果を出したい場合はリスティング広告、長期的に資産を作りたいならSEOという考え方が一般的です。
どちらもコンバージョン獲得を目的として実施されることが多いですが、既にSEOで十分な成果を実現できている場合は、無理にリスティング広告を出稿する必要はありません。
ディスプレイ広告との違いは?
リスティング広告とディスプレイ広告の主な違いは、「ユーザーの能動性」にあります。
比較項目 | リスティング広告 | ディスプレイ広告 |
---|---|---|
ユーザーの状態 | 課題が顕在化している(自ら検索) | 情報収集・娯楽中(受動的) |
表示形式 | テキスト中心 | 画像・動画が主流 |
向いている目的 | CV獲得(申込・購入など) | 認知拡大・潜在層へのアプローチ |
即効性 | 高い | 中~長期で成果を積み上げる傾向 |
そのため、リスティング広告は「今すぐ顧客」に強く、ディスプレイ広告は「そのうち顧客」に強いという関係性です。目的に応じて使い分けるのが成功のポイントです。
自社運用と代理店委託はどっちがおすすめ?
結論としては、「自社の体制・予算・目的」によって変わります。まずは以下の簡易比較をご覧ください。
項目 | 自社運用(インハウス) | 代理店運用 |
---|---|---|
向いているケース | ・社内に運用経験者がいる ・月予算が少額(例:〜100万円) ・ノウハウを社内に残したい |
・早期に成果を出したい ・広告運用に割ける時間がない ・月予算が大きくなってきた |
メリット | ・PDCAが速く回せる ・社内に知見が蓄積する |
・プロに任せることで効率的 ・リソースを他業務に回せる |
デメリット | ・体制構築・運用のハードルが高い ・誤設定のリスクがある |
・初期費用・手数料が発生 ・依頼内容によって成果に差が出る |
はじめて広告を出す場合や月予算が少額なうちは、まず自社で小さく始めて、検証・学習を重ねるのがおすすめです。自社で運用経験を積んでおくことで、将来的に代理店へ依頼する際も議論がスムーズに進みやすくなります。
ただし、自社での限界を感じたタイミングや広告費が増えてきたタイミングでは、代理店の力を借りてスピードや成果を伸ばす選択肢も有効です。
まとめ|まずは小さく始めて、改善を重ねよう
リスティング広告は、「検索された瞬間」にユーザーへアプローチできる即効性の高い手段です。
しかし、設定すれば勝手に成果が出るものではなく、ユーザーとの接点(キーワード・広告文・LPなど)をいかに設計し、改善できるかが成果を大きく左右します。
本記事では、出稿準備から改善の考え方まで、初心者がつまずきやすいポイントをカバーしました。
すべてを完璧に理解してから始める必要はありません。むしろ、仮説を立てて、配信して、振り返る。この小さなPDCAを地道に積み重ねることが、成果への一番の近道です。
はじめは少額でも構いません。まずは手を動かしてみることで、自社の商材やターゲットに合った最適解が見えてきます。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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