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- 頼富 穰
5分で分かるリスティング広告|やるべきか判断できる入門ガイド

リスティング広告はWeb広告の一丁目一番地と言える媒体であり、はじめてWeb広告を配信する際に検討されることが多いです。
一方、多くの広告主に検討されやすい媒体であるがゆえに、
- リスティング広告は他の集客手段と比べてどんな特徴があるのか?
- リスティング広告の成果を最大化するにはどうしたらよいのか?
- リスティング広告を配信するにはどういう手続きを踏めばよいのか?
など、リスティング広告に関して悩みを抱える方が多いことも事実です。
そこで今回は「リスティング広告とは何か」「リスティング広告のメリット・デメリット」「リスティング広告の成功のポイント」など、リスティング広告の全体像を解説していきます。
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目次
5分で分かるリスティング広告|全体像を手早く理解

「リスティング広告」と聞くと、なんとなく“検索したときに出てくる広告”というイメージを持っている方も多いかもしれません。
実際そのイメージは間違っておらず、広告運用の現場では「リスティング広告=検索結果に表示されるテキスト広告(=検索連動型広告)」という意味で使われることが一般的です。
厳密には、ショッピング広告やディスプレイ広告などを含めて「リスティング広告」と呼ぶケースもありますが、この記事では検索連動型広告を前提に解説します。
まずは、どんな仕組みで広告が表示され、どんな媒体を使って配信されるのか、初めての方でも5分で理解できるようにポイントを絞ってご紹介します。
広告配信のされ方

リスティング広告は、ユーザーが検索エンジンで特定のキーワード検索をおこなった場合に、検索結果にテキスト広告を表示します。
上記の画像のように、「スポンサー」と表記があるものがリスティング広告です。
多くの場合は検索結果の上部に表示されますが、場合によっては検索結果の中部や下部に表示されることもあります。
なお、どのような検索語句に広告配信するかは事前に設定することができるので、自社の見込み顧客が検索しそうな語句にあわせて配信範囲をコントロールすることも可能です。
広告配信の仕組み
リスティング広告が配信される仕組みを図解するとおおむね以下のようになります。

初心者の方向けにさらに抽象化して流れを分解すると、
- あらかじめ配信したいキーワードを広告アカウントに設定しておく
- ユーザーが該当の検索語句で検索するとオークションが発生する
- オークションによって表示される広告と掲載順位が決定される
という流れです。
ここで言う「オークション」とは、広告を表示する枠(検索結果のリスティング広告枠)に対して表示する広告や掲載順位を決定するための仕組みです。(媒体のAIが自動でおこないます)
オークションと聞くと、Yahoo!オークションやフリマアプリのように、「入札額が高い人が落札する」仕組みを思い浮かべるかもしれませんが、広告オークションでは、入札金額だけではなく「広告の品質」も非常に重要な評価軸となります。
つまり、単に高額で入札しても、品質が低ければ上位表示されにくくなります。逆に、関連性の高い広告を作れば、比較的低い入札額でも上位に表示されるチャンスがある仕組みです。
このためリスティング広告では、入札金額を上げる以外にも、「ユーザーニーズと合致する広告を作ること」が広告掲載を左右します。
配信できる3つの媒体
リスティング広告は「Google広告」「Yahoo!広告」「Microsoft広告」で配信することが出来ます。
配信精度やオプション機能など、細かい機能面でいくつか違いがありますが、基本的な仕組みは概ね同様です。
日本における検索エンジン市場シェアは2025年時点で以下の通りとなっており、Googleがシェアの大部分を占めています。

参照元:statcounter|Search Engine Market Share Japan
そのため、リスティング広告はまずボリュームが見込めるGoogle広告から配信し、効果が見込めそうであれば、Yahoo!やMicrosoftにも出稿することをおすすめします。
リスティング広告の活用ケース
リスティング広告は強力な集客手段の一つですが、どんな商材・目的にも万能というわけではありません。
ここでは、リスティング広告が「向いているケース」と「向いていないケース」を具体的に整理してご紹介します。
向いているケース5つ
以下のような条件に当てはまる場合、リスティング広告は効果を発揮しやすくなります。
1. 商品・サービスカテゴリに検索ニーズがある
リスティング広告は、ユーザーが検索したタイミングで広告を表示する仕組みのため、検索ニーズが一定以上あるジャンルにおいて強みを発揮します。
検索量が豊富なカテゴリであれば、広告を通じてユーザーの需要に効率よくアプローチでき、コンバージョン獲得を期待しやすい点がメリットです。
なお、検索ニーズの有無は、Google広告の「キーワードプランナー」を使って調べることが可能です。
2. コンバージョンを増やしたい場合
購入・資料請求・問い合わせなど、購買行動につながるアクション(=コンバージョン)を目的とする場合、リスティング広告は非常に効果的です。
検索時点でニーズが明確なユーザーにアプローチできるため、売上への即効性を期待しやすい配信形式です。
3. 検討期間が短い商材の場合
貸会議室、展示会ブース制作、アルバイト求人など、ユーザーの検討期間が短い商材では、即時性の高いリスティング広告が相性抜群です。
ニーズが発生したタイミングでピンポイントに広告訴求できるため、顕在層のユーザーにアプローチしやすく、高いコンバージョン率が期待できます。
4. 少額から始めたい場合
リスティング広告は最低出稿金額が低く、配信する検索語句も広告主側である程度コントロールできるため、月数万円〜数十万円などの少額予算でテスト配信を行いやすいです。
「まずは小さく試してみたい」「効果が出たら徐々に拡大したい」といった段階の企業にもマッチしているため、はじめてWeb広告に挑戦する場合におすすめです。
5. 準備工数を抑えたい場合
リスティング広告では広告配信の際に画像や動画素材を用意する必要がなく、広告文の設定のみで配信できるため、他の広告と比べて準備の手間が少ないです。
社内に十分なクリエイティブリソースが足りていない場合でも始めやすい点が特徴的です。
向いていないケース4つ
一方、以下のようなケースでは、リスティング広告が期待通りの成果を出しにくい可能性があります。
1. 市場認知が低い新サービスや新ジャンル
リスティング広告はユーザーの検索行動が発生しないと広告を表示できないため、「検索されづらい商品・サービス」には向きません。
まだ市場に知られていない新規性の高いサービスでは、まずディスプレイ広告やSNS広告での認知施策から始めるほうが効果的です。
2. 認知拡大を主目的とする場合
商品やサービスを知ってもらうことが目的の場合、検索をトリガーとするリスティング広告では「検索しているユーザー」にしかリーチできません。
潜在層へのアプローチが必要な場合は、動画広告やSNS広告などを検討しましょう。
3. 商材の単価やLTVが低い場合
リスティング広告はクリック課金型のため、1クリックあたり数百円の費用が発生します。
そのため、商品単価が低い場合や、LTVが見込めないビジネスモデルでは、広告費が利益を圧迫しやすくなります。
4. 競合が激しいジャンルで差別化が難しい場合
同じキーワードに多数の企業が出稿しているジャンルでは、クリック単価が高騰しやすく、費用対効果が悪化しやすくなります。
特に大手が多数参入しているジャンルでは、価格や訴求で明確な差別化ができないと苦戦するケースが多くなります。
一方で、検索していないユーザーにはアプローチできないため、潜在層への認知拡大や他チャネルのユーザーへリーチしたい場合はディスプレイ広告や動画広告などの併用を検討しましょう。
リスティング広告のメリット・デメリット
ここでは、具体的にどのような便益が得られ、どのような注意点があるのか、メリット・デメリットをそれぞれご紹介します。
リスティング広告の配信メリットについては以下の記事で詳細を解説していますので、より理解を深めたい方はあわせてご覧ください。
リスティング広告5つのメリット
リスティング広告を配信する代表的なメリットは以下の4つです。
1. 顕在層にピンポイントで訴求でき、CV獲得しやすい
リスティング広告は、ニーズが明確なユーザーが検索したタイミングに広告を表示できるため、コンバージョン(購入・問い合わせ)につながりやすいのが特徴です。
広告を配信する対象となる検索語句も広告主側である程度コントロールすることが可能なため、貴重な広告費を無駄にせず効率的に広告配信することができます。
特に「指名検索(=サービス名などの検索)」においては、非常に高いCVRが期待できるため、リスティング広告を配信する際は優先的に配信しましょう。
しかし、稀に競合他社が自社の指名キーワードに広告出稿するケースも散見されるため、競合他社への顧客流出を防ぐ目的で指名検索キーワードに広告配信するケースもあります。
2. 画像や動画は不要で、準備の手間が少ない
上述の通り、リスティング広告は動画やバナー素材が不要なため、配信準備の手間が少ない点が特徴的です。
また広告配信後も、管理画面上でテキストをいつでも変更できるので、バナー素材や動画素材の編集と比較すると手軽にPDCAを回しやすいです。
3. 検索語句の分析が商品企画や施策改善に活きる
広告管理画面では「どのような検索語句で広告が表示・クリックされたか」を細かく確認できます。ユーザーの検索語句データをもとに、商品企画や他施策(例:ディスプレイ広告・LP改善)に活用できる点も大きなメリットです。
たとえば以下の記事で紹介しているケースでは、Google広告の検索語句を分析してディスプレイ広告の訴求軸やCVポイントを見直した結果、CV数の増加につなげることができました。
リスティング広告の検索語句のデータは商品企画や他の広告媒体の成果改善にも活用することが出来るため、検索語句のデータから示唆を得たい方にもおすすめです。
4. 少額から配信でき、リスクを最小化できる
リスティング広告は少額から始めやすく、クリックされなければ費用が発生しない「クリック課金制」を採用しています。
また、予算はいつでも変更でき、1ヶ月単位の上限もコントロール可能なため、無駄な出費を防ぎながらテストできます。
5.配信の制御がしやすく、狙ったユーザーに届けやすい
リスティング広告では、他のWeb広告と同様に配信期間・予算・地域・デバイス・年齢層などを管理画面で柔軟に設定できるのに加えて、「どの検索語句に対して広告を出すか」までコントロールできるという特長があります。
キーワードやマッチタイプを活用して「出したい検索語句」に絞って広告配信することができるため、他の配信形式と比べて高い費用対効果が期待しやすい点が大きな強みです。
リスティング広告4つのデメリット
リスティング広告の代表的なデメリットは以下の4つです。
1. 認知拡大には不向き
リスティング広告は検索が起点になるため、商品カテゴリ自体を知らない潜在層には広告が届きません。
新しいサービスや市場浸透度が低い商材の場合は、ディスプレイ広告や動画広告での認知施策が必要です。
2. 画像や動画での魅力訴求ができない
リスティング広告は基本的にテキストベースなので、ビジュアル訴求が必要な商材(装飾品・インテリアなど)には不向きです。
例外的にMicrosoft広告には画像付きの「マルチメディア広告」という配信形式が存在しますが、Google広告やYahoo!広告では類似機能がありません。
画像や動画を用いて広告配信したい場合はディスプレイ広告や動画広告の併用も検討しましょう。
3. 競合が多い市場ではクリック単価が高騰するケースも
リスティング広告は売上への即効性が高く初心者でも参入しやすい配信形式なので、他の広告と比べて競合性が高くクリック単価が高騰することもあります。
すでに大手企業が多数参入している成熟市場では、後発参入しても期待する成果を得られないケースもあるため、自社で配信すべきか判断しきれない場合は媒体社・代理店などに相談することをおすすめします。
4. 一部ユーザーからは敬遠されやすい
広告を掲載しても、すべてのユーザーが好意的な印象を持ったり、クリックするというわけではないので、オーガニック検索結果でも上位表示を狙うなどの対策が必要です。
海外サイトの調査によれば、リスティング広告はオーガニックページ(SEO)と比べてクリック率が低い傾向にあります。
検索順位 | リスティング広告 | オーガニックページ(SEO) |
---|---|---|
1位 | 2.1% | 39.8% |
2位 | 1.4% | 18.7% |
3位 | 1.3% | 10.2% |
4位 | 1.1% | 7.2% |
AI Overviewsはオーガニックページより上部表示されるケースが多いため、自然検索経由のクリック率は減少傾向にあります。
リスティング広告は従来と変わらず検索結果の最上部に表示されるケースも多いため、自然検索でのコンバージョン獲得を補填する文脈でリスティング広告を配信するケースも散見されます。
リスティング広告の始め方|4ステップで流れを理解
「Web広告の配信設定って、なんとなく難しそう…」と感じる方もいるかもしれません。
ですが、リスティング広告の配信は、大まかな手順と注意点さえ押さえれば、誰でもスタートできます。
ここでは、広告を配信するまでの4つのステップを、初心者向けにやさしく解説します。
ステップ1|アカウント作成
まずは配信する媒体で広告アカウントを作成する必要があります。広告アカウントの作成は無料で行うことができ、初期設定も含めて5分〜10分程度で完了します。
各媒体の広告アカウントを作成する手順は以下のヘルプページをご覧ください。
ステップ2|アカウント設定
広告アカウントを作成したら、アカウントの配信設定をして広告配信の準備をします。
リスティング広告はアカウント階層が以下のように別れており、各階層で広告配信に関する設定をすることができます。
アカウント設定が完了したら、キャンペーンを公開します。キャンペーンを公開したらすぐに広告配信することができるわけではなく、媒体による広告審査をパスする必要があります。
通常、審査は1営業日程度で完了しますが、審査落ちした場合は審査落ちしている箇所を修正しましょう。
ステップ3|タグ設定
Web広告の費用対効果を正しく評価する上では、ユーザーがWebサイト訪問後にコンバージョン(問い合わせや商品購入などの特定行動)に至ったかどうかを計測する必要があります。
コンバージョンを計測するためには、タグと呼ばれるコードをWebサイトに設置する必要があります。
初心者の方には難しく感じるかもしれませんが、タグは媒体の管理画面で簡単に発行することができ、設置自体もGoogleタグマネージャーという専用のツールを使えば数分程度で完了できます。
コンバージョンタグの設置手順は以下の記事で解説していますので、気になる方はあわせて御覧ください。
ステップ4|広告配信
広告配信に必要な設定が完了し、広告審査を通過すれば自動的に広告が配信されます。
広告が配信されているかどうかは、広告レポートの表示回数(IMP)に数字がついているかで確認することができます。
広告設定をオンにしても設定に誤りがある場合には配信が出ないことがあるので、配信開始後も配信状況は逐一チェックしましょう。
リスティング広告を成功させる2つのキーポイント
リスティング広告の成果を左右する重要なポイントは、大きく以下の2つです。
- 機械学習が機能しやすいアカウント設計になっているか
- ユーザーとのコミュニケーションを意識した訴求設計ができているか
広告配信の最適化は「入札単価や配信面を人間が細かく調整する時代」から、「広告媒体の機械学習に任せて成果を最大化する時代」へと変化しています。
その中で、媒体側がうまく学習できるような環境を整え、ユーザーに刺さる情報設計ができているかどうかが、成果の明暗を分ける大きなポイントになります。
以下、それぞれ詳しく解説します。
1. 機械学習がはたらきやすいアカウント設計
近年のWeb広告では、広告配信の内容やタイミングなどを「機械学習」が調整しています。
機械学習も決して万能な機能ではなく、学習の仕方によっては成果につながらないケースもあるため、リスティング広告の配信の際は「媒体が学習しやすい状態を整えてあげること」が重要です。
具体的には、以下のような観点が挙げられます。
- 広告グループやキャンペーンを細かく分けすぎない
機械学習には一定量のデータが必要です。細分化しすぎると1つの単位で十分な学習が行われず、成果が安定しにくくなります。 - 自動入札の活用を前提とした設計にする
近年では、機械学習による自動入札(例:目標CPA、コンバージョン数最大化)が主流です。特に月間で一定数(目安として30件以上)のコンバージョンが見込める場合、自動入札の方が成果を出しやすい傾向があります。 - 目標とするコンバージョンポイントを明確に定義しておく
媒体が「何を成果とみなして最適化すべきか」を明確に伝えることで、広告配信が狙った方向へ進みやすくなります。
参考記事:広告運用における機械学習の基本
2. ユーザーコミュニケーションを意識した訴求設計
機械学習を意識したアカウント設計は重要ですが、もう1点重要なのは、検索ユーザーのニーズに対して適切な訴求ができているかどうかです。
広告配信におけるコミュニケーションとは、ユーザーが入力した検索キーワードに対して、それに適した広告文を表示し、その内容と一致したランディングページ(LP)へとスムーズに誘導する、一連の流れの整合性を指します。
具体的には、以下の点を意識すると効果的です。
- ユーザーの検索意図を想定しキーワードを選定する
同じキーワードでも、ユーザーの意図は様々です。たとえば「マーケティング支援」と検索するユーザーが「具体的な依頼先を探している」のか、「他の手段と比較している」のかで刺さる訴求は異なります。 - 検索意図にあわせて広告訴求をカスタマイズする
広告文ではその検索意図に応じた内容で、「誰に」「何を」「どう役立つのか」をひと目で伝える必要があります。よくあるテンプレート文の使い回しでは、ユーザーに刺さりづらく、クリックにもつながりません。ニーズごとに訴求内容を変えることで、より高い反応が得られます。 - ユーザーの行動を後押しするランディングページの設計
広告がクリックされても、広告とランディングページ(LP)の訴求がずれていては離脱につながる可能性が高いです。また、LPの内容自体が分かりづらい、フォーム項目が多く入力の手間が多いなど、ユーザー目線で離脱につながり得る要素はできるだけ排除することが重要です。
このように、リスティング広告では「機械学習がはたらきやすい設計にすること」「ユーザーにとって魅力的なクリエイティブを用意すること」の2点が重要です。
どちらか一方が重要というわけではなく、上記はリスティング広告の最適化をはかる上での前提条件となる重要なポイントであるため、アカウント設計の際は必ず押さえるようにしましょう。
リスティング広告3つの成功事例
リスティング広告は配信して終わりではなく、運用の工夫によって成果が大きく変わる配信形式です。
ここでは、実際にリスティング広告を運用し、成果につながった3つの事例をご紹介します。
なお、各事例の詳細は以下の記事で解説していますので、さらにイメージを深めたい方はあわせてご覧ください。
人材業A社「アカウント構成見直しでCV数が約1.5倍に増加」
求職者向けに転職支援サービスを提供していたA社では、求職者の会員登録を増やすためにリスティング広告を活用していました。
当初は広告グループの設計が曖昧で、どの広告も似た内容だったため、機械学習による最適化が進まず、思うように成果が出ていない状況でした。
そこで、実際の検索語句やユーザーインタビューの結果をもとに、以下のような改善を実施しました。
- ユーザーニーズ別に広告グループを再編成
- キーワードの重複を整理し、より明確なマッチ設計に
- 広告文もニーズごとに最適化し、出し分けを徹底
その結果、CV数は月300件→450件(1.5倍)に増加し、CPAも30%改善しました。
- 媒体の機械学習が最適化しやすいアカウント設計になっているか
- ユーザーコミュニケーションを踏まえて最適な訴求設計になっているか
通信業B社「インテントマッチ導入でCPA20%改善」
個人向けインターネット回線を提供していたB社では、新規申し込み数の獲得を目的にリスティング広告を活用していました。
当初は「完全一致」や「フレーズ一致」による配信が中心で、広告の表示回数が伸び悩んでいました。
そこで導入したのが、インテントマッチ(旧・部分一致)というキーワードの一致方式です。
これは検索ユーザーの意図を推定して、表記ゆれや関連語でも広告が表示される仕組みです。
施策としては以下のような取り組みを実施。
- インテントマッチの比率を段階的に増やして配信範囲を拡大
- 検索語句レポートをこまめに確認し、不要な語句は除外設定
- 配信効率と精度のバランスを見ながら運用者が配信調整
この結果、広告のクリック率(CTR)が上昇し、クリック単価(CPC)が低下。さらに、CPA(コンバージョン単価)も20%改善するという成果につながりました。
製造業C社「RSAの改善でCTR・CVRともに向上」
BtoB製品を製造・販売していたC社では、法人からの資料請求獲得を目的にリスティング広告を利用していました。
リスティング広告の広告機能であるRSA(レスポンシブ検索広告)は複数の見出しや説明文を登録しておくと、自動で最適な組み合わせを表示してくれる仕組みですが、設定を見直してみると以下のような課題がありました。
- 同じような見出しが複数登録されていて、広告表示のパターンに変化が出にくい
- 訴求軸が重複しており、ユーザー獲得の機会損失が発生している可能性があった
そこで実施した改善は以下の通りです。
- 訴求内容がかぶらないよう、見出し・説明文の組み合わせを見直し
- 見出しの固定機能と重複見出しの削除を行い配信成果を比較検証
検証の結果、広告のCTR(クリック率)とCVR(コンバージョン率)がともに改善しました。
見出しや説明文の内容を定期的にチェックし、ユーザーにとって魅力的な広告となっているか確認・調整することが成果向上の鍵になります。
よくある質問|初心者が抱く疑問に回答
最後に、リスティング広告に関してよくある質問と回答をまとめました。
他の集客方法との違いは?(SEOやディスプレイ広告など)
リスティング広告は、検索行動を起点に広告を表示できるため「今すぐニーズがある」ユーザーに届けやすいのが特徴です。
たとえばSEOは、検索結果の上位表示までに時間がかかる場合もあり、すぐに成果を出したいときには向かないこともあります。
また、ディスプレイ広告は「サイトやアプリを見ている人」に対して視覚的に訴求する手法で、認知拡大には向いていますが、購入意欲が高くない層にも配信されやすい側面があります。
手法 | 向いている目的 | 主な掲載面 | 費用発生のタイミング | 表示のきっかけ |
---|---|---|---|---|
リスティング広告 | 顕在層の獲得 | 検索結果ページ | クリック課金 | ユーザーの検索行動 |
SEO(検索エンジン最適化) | 長期的な集客・信頼構築 | 検索結果ページ | 広告費はかからない | ユーザーの検索行動 |
ディスプレイ広告 | 認知拡大・リマーケティング | Webサイト・アプリの広告枠 | クリックまたは表示課金 | ユーザーの閲覧行動 |
最初はどれぐらいの予算からスタートすべき?
配信予算は自社の事業内容や目標に応じて大きく変動しますが、初めての場合は少額(数万円〜)からテスト配信を行うのが一般的です。
ただし、予算が少なすぎると広告の学習が進まず、効果が安定しないこともあるため注意が必要です。
費用対効果を高めるには、成果を見ながら段階的に予算を調整するのが理想的です。
広告の配信準備はどれぐらいかかる?
広告の準備期間は、用意する素材(広告文やLPなど)や社内の意思決定スピードにもよりますが、最短で数日〜1週間程度で配信開始できます。
GoogleやYahoo!の広告アカウントを開設し、キーワードや広告文を設定するだけで最低限の配信は可能です。
自社での対応が難しい場合は、代理店に相談するのもひとつの方法です。
広告配信後には何をすればいい?
広告は配信して終わりではなく、定期的なチェックと改善が必要です。以下のような観点で振り返りましょう。
- どのキーワードで成果が出ているか?
- 広告文はクリックされているか?
- 想定した費用対効果になっているか?
必要に応じてアカウント設定やクリエイティブを再調整します。
効果が出るまでどれぐらいかかる?
リスティング広告は、配信を始めてすぐに効果が出るケースもありますが、安定して成果を出すまでには1〜2ヶ月程度かかることが多いです。
特にGoogle広告などではAIによる機械学習が働き、配信データをもとに広告の表示タイミングや相手を最適化していく仕組みがあるため、ある程度のデータ蓄積が必要です。
運用体制にはどのようなものがある?
リスティング広告の運用は、「インハウス運用(自社運用)」と「運用代行(外部委託)」の2パターンがあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自社の状況や目的に応じて選ぶことが大切です。
運用体制 | 特徴 | メリット | 向いているケース |
---|---|---|---|
インハウス運用 | 自社の担当者が広告の設計・配信・改善を行う |
・外部手数料がかからない ・自社理解を反映した柔軟な設計ができる |
・広告予算が少額で、手数料負担を避けたい場合 ・社内に一定の広告知識やリソースがある場合 |
運用代行 | 専門パートナーに広告運用を委託する |
・短期間で成果を出しやすい ・最新の運用ノウハウを活用できる |
・社内にノウハウがない場合 ・成果を出すために早期に改善サイクルを回したい場合 |
自社で運用したいが成果がついてこない場合は、広告代理店や専門家によるコンサルティング、インハウス支援を受けながらノウハウを蓄積していくやり方もおすすめです。
まとめ|リスティング広告で売上を増加させよう
リスティング広告は、特定のキーワードで検索している能動的なユーザーにアプローチすることが出来るため、適切に設定・運用すれば、売上増加が期待できます。
リスティング広告の成果を最大化するには、目標や予算、商材、ターゲットなど、自社の状況に応じた運用のカスタマイズが重要です。
リソースを十分に確保できない、ノウハウが少ないため正しい運用をできるか不安な場合などは、代理店や個人事業主に相談するのもおすすめです。
広告運用代行サービスに興味がある方は以下の記事もあわせてご覧ください。
リスティング広告が有効か迷っているなら
広告にとらわれない支援「オーリーズ」
広告施策のお悩みは顧客理解が強みのオーリーズへ。顧客の目的・商材特性に合わ
せて、広告にしばられないマーケティングプランを検討。戦略設計・運用までしっかり伴走。
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