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- 頼富 穰
Google広告 ターゲティング入門ガイド|自社に最適な配信設計の考え方

Google広告のターゲティングは、配信成果に直結する重要な要素である一方、最適な設定がわからず、手探りで進めているケースも散見されます。
特に、広告運用の初心者の方は以下のような悩みを抱える方も少なくありません。
- どのターゲティング手法を選べばよいのか判断に迷っている
- 自社の商材や目的に合ったターゲティング設計の考え方がわからない
- 設定はしているものの、成果につながっているか確信が持てない
そこで本記事では、Google広告における各種ターゲティング手法の特徴や使い分けの考え方、設定のポイントについて体系的に解説します。
自社でどう設定すべきか落とし込みやすいように、キャンペーンの種類ごとの違いや、自動化が進む中で人がコントロールすべき領域など、実務で判断に迷いやすい論点についても言及しています。
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目次
Google広告のターゲティングとは
Google広告におけるターゲティングとは、広告を「誰に」「どこで」「どのような条件で」配信するかを設定することを指します。
配信対象となるユーザーや表示場所、配信環境を制御することで、広告の成果に大きく影響を与える重要な要素です。
たとえば検索広告では、同じキーワードで検索していても、その人が今まさに購入を検討しているのか、ただ調べ物をしているだけなのかによって、広告に対する反応は大きく異なります。
ディスプレイ広告でも、ビジネス系メディアを読んでいるときと、趣味のブログを見ているときでは、ユーザーの態度が異なり、クリック率やコンバージョン率に影響します。
このように、「誰に・どこで・どう届けるか」を適切に設定することは、限られた広告費でより高い成果を出すための基盤となります。
Google広告3種類のターゲティング
Google広告で設定できるターゲティングには、大別すると「配信条件ターゲティング」「オーディエンスターゲティング」「コンテンツターゲティング」の3種類があります。
1.配信条件ターゲティング
広告の配信対象を「地域・デバイス・時間帯」などの条件で絞る方法です。
サービス対象地域のみに配信したり、海外ユーザーを除外する場合などに使われます。
ターゲティング | 概要 |
地域 | 国、都道府県、市区町村、半径指定などで配信対象エリアを限定/除外 |
デバイス | PC、スマートフォン、タブレットなど、デバイス別に配信を調整 |
曜日・時間帯 | 曜日や時間帯を指定して広告配信 |
言語 | ユーザーが使用しているGoogleのインターフェース言語に基づく設定 |
2.オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングは、広告を届けたいユーザーの属性を軸に配信対象を指定する方法です。
年齢・性別・興味関心・検索履歴などの情報をもとに、関心度の高いユーザーに広告を届けられます。
ターゲティング | 概要 |
ユーザー属性 | 年齢・性別・子どもの有無・世帯収入などに基づくターゲティング |
アフィニティ | ユーザーの習慣や興味関心に基づくターゲティング |
ライフイベント | 結婚・引越し・大学卒業など、特定の人生イベントに基づくターゲティング |
データセグメント | リマケ、カスタマーマッチなど |
カスタムセグメント | 任意の検索語句・興味関心・閲覧サイトをもとに独自にオーディエンスを構成 |
購買意向の強いセグメント | 特定のカテゴリで購買を検討している可能性が高いユーザー層への配信 |
参考:オーディエンス セグメントについて(Google広告ヘルプ)
3.コンテンツターゲティング
コンテンツターゲティングは、広告が表示される場所などのコンテンツの利用文脈をもとに配信先を決める方法です。
ユーザーではなく、広告が掲載される場所に着目する点が特徴です。
ターゲティング | 概要 |
トピック | 予め定義されたコンテンツのテーマカテゴリ(例:旅行、ビジネスなど)に配信 |
プレースメント | 特定のウェブサイト・YouTubeチャンネル・動画などを個別に指定して配信 |
キーワード | 広告と関連性の高い語句が含まれるページに配信 |
なお、Google広告では選択するキャンペーンタイプによって利用できるターゲティングの手法や粒度が異なります。
以下の表は代表的なキャンペーンタイプ別のターゲティング可否を整理したものです。
キャンペーン | 配信条件 | オーディエンス | コンテンツ |
検索 | 〇 | △(一部使えない) | ◯ |
ディスプレイ | 〇 | 〇 | |
動画 | 〇 | 〇 | |
ショッピング | △(一部使えない) | × | |
アプリ | × | × | |
デマンドジェネレーション | 〇 | × | |
P-MAX | △(シグナル活用) | × |
P-MAXではオーディエンスシグナルを追加することでAIの学習を促進することができますが、追加したセグメントよりも他セグメントのほうがパフォーマンスが高いと判断された場合には、別のセグメントにも広告配信されるため注意しましょう。
なお、当社で運用していたアカウントでは、過去にサービスを利用した経験のあるユーザーを顧客リストとしてシグナル追加したところ、予約完了率が改善した事例があります。
ターゲティングの設定方法
Google広告では、キャンペーンでターゲティング設定を行います。管理画面では特定のターゲットの追加だけでなく除外も行うことが出来ます。
なお、ユーザー属性など基本的な項目は画面上で簡単に指定することが出来ますが、自社データなどに基づいて配信するターゲティング設定は別途準備が必要です。
すぐに設定できるターゲティング
たとえば以下のような項目は、管理画面上のセレクトボックスから選択するだけで設定できます。
- ユーザー属性(年齢・性別・子どもの有無など)
- 配信条件(地域、言語、デバイス、時間帯など)
- オーディエンスセグメントの選択
Googleが用意している「購買意向の強いユーザー層」や「ライフイベント」などのセグメントは、一覧から選ぶだけでそのまま利用できます。
事前準備が必要なターゲティング
一方で、自社データや独自設計に基づいてオーディエンスを作成する場合は、あらかじめ設定を行っておく必要があります。
これらはGoogle広告の「オーディエンスマネージャー」から事前に作成し、キャンペーンに紐づける形で利用します。
以下は、特に準備が必要な代表的なターゲティング手法と、それぞれのポイントです。
手法 | 設定方法 | 補足 |
リマーケティング | Googleタグをサイトに設置し、訪問者や特定の行動に基づいてリストを生成 | GoogleタグマネージャーやGA4と連携して設定することが一般的。対象ページや行動条件の設計に注意。 |
カスタマーマッチ | メールアドレスや電話番号を含むCSVファイルをGoogle広告にアップロード | アップロードには一定のアカウント要件(支出実績やポリシー遵守)があり、業種によっては利用制限もある。 |
カスタムセグメント | 検索語句や興味関心、訪問サイトなどの条件を任意に入力してオーディエンスを作成 | 配信対象が広がりすぎたり狭まりすぎたりしないよう、定期的な見直しとテストが重要。仮説設計力が問われる。 |
なお、カスタマーマッチは従来手動でオーディエンスリストを作成して設定する必要がありましたが、現在は対象に設定せずとも自動で利用できるキャンペーンが増えています。
また、検索とディスプレイキャンペーンでは、オーディエンスを「ターゲティング(絞り込み)」ではなく「モニタリング」モードで設定することも可能です。
モニタリング設定では、特定のターゲットで配信をした場合にどの程度のパフォーマンスが得られるか確認することが出来ます。
ターゲティングと異なり実際の広告配信の結果には影響を与えないため、特定のターゲットでの成果を確認して入札単価調整の参考にしたり、新たな広告グループの作成などに活かすことが出来ます。
自動化時代のターゲティングへの向き合い方
ここからは、Google広告のターゲティング設定について、具体的にどう設定すべきか?という判断基準の参考を示します。
前提として、AIによる自動化が発展した近年のGoogle広告においては、自動入札戦略を利用した運用が主流となっています。
手動運用がベースであった時代と比べ、人間が細かくターゲティング設定をおこなう重要性は低くなっていますが、そのような自動化を前提とした運用において、どのようにターゲティングと向き合うべきかをお伝えします。
ターゲティングは「選ぶ」ではなく「制限しすぎない」
機械学習による自動入札が前提となった現在のGoogle広告では、従来のように人がターゲティングを「選ぶ」こと自体が、かえって成果を阻害するケースも少なくありません。
特にコンバージョンの傾向がまだ見えていない初期フェーズでは、セグメントを狭く絞るよりも、広く配信して学習を進める方が合理的です。
実際、弊社で運用していたアカウントでも、「BtoB商材だから土日は配信しない」といった判断がなされていたものの、実際に配信してみると土日のほうがCPAが安かったという例もあります。
このように、思い込みや過去の経験則で配信対象を制限しすぎると、機械学習の探索を妨げ、機会損失につながる恐れがあります。
そのため、現代の運用においては、人がターゲティングを「選ぶ」という発想そのものを一度フラットにする視点が重要です。
それでもターゲティング設定すべきケースとは?
とはいえ、どんな状況でも機械学習に完全に任せるべきかというと、そうとも言い切れません。
「明確なビジネス上の前提」や「現場での制約」が存在する場合には、人の手でターゲティング設定を行うべき局面もあります。
代表的な例は以下の通りです。
- 地理的な制約がある場合
例:首都圏にしか営業所がないのに、地方エリアでCVが発生しても対応できない→ 顧客満足や営業効率に悪影響 - 商材上、明らかに不適合なユーザー層が存在する場合
例:高単価BtoBのSaaSを扱っているのに、学生や趣味嗜好のユーザーに広告が出てしまう → 無駄なクリックコストが増える - ブランド毀損のリスクがある配信先を避けたい場合
例:アダルトサイトなどブランド保護の観点で配信したくないプレースメントがある場合
このようなケースでは、「成果以前にビジネスとして成立しない」リスクがあるため、ターゲティングによる除外設定が不可欠です。
モニタリング設定は「分析」のために使う
検索広告などでは、「モニタリング設定」で追加しておくことが可能です。これは配信を制限せずに、どのオーディエンスが成果に寄与しているかを後から分析するための設定です。
たとえば、年齢や性別など特定のセグメントをモニタリングで設定しておくことで、「この属性のユーザーはCPAが低い」「CV率が極端に悪い」などの傾向を把握できます。
配信を絞るのではなく、学習の幅を確保しつつ、判断材料としてデータを取得するという観点で、モニタリング設定は分析に活用すべきです。
ターゲティングは、広告配信の成果を“直接的にコントロールするもの”というより、「成果を出すための環境を整えるもの」という位置づけで捉える必要があります。
すべてを自動化に任せるのではなく、人間が判断すべき前提条件や制約を見極め、必要最小限だけ制限を加える。そして、それ以外の探索・最適化は機械学習に委ねる。
自動化が進む今の広告運用では、「どこまで機械に任せて、どこを人が制御するか」を見極める視点が、運用の質を左右する場面も増えてきています。
こうした視点を持っておくことが、これからのターゲティング設計においても有効ではないでしょうか。
まとめ
本記事では、Google広告におけるターゲティングの考え方や設定方法、そして自動化時代の向き合い方について解説しました。
特に重要なのは、過度な制限を避けつつ、必要な場面では人が明確に制御するというバランス感覚です。
配信成果を高めるためには、媒体の仕組みを理解したうえで、目的や事業要件に応じた設計判断が欠かせません。
まずは観察設定などを活用し、実際の配信データから自社に合う設計を見極めていくことをおすすめします。
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【広告成果を最大化するオーリーズの特徴】
- 顧客の課題にコミットするため、担当社数は最大4社
- 運用者=顧客窓口だからスピーディーな仮説検証が可能
- 顧客の半数以上が「強く」おすすめしたいと評価