Meta広告でCVRが落ちたとき、持つべき視点|フィジカルアベイラビリティとしてのMeta広告
Meta広告では、予算を増やすとCVRが下がることがよくあります。
自動最適化が前提のいま、予算を増やすことはターゲティングを広げることとほぼ同じと言えます。なので、配信が購入確度の低い人にまで広がり、CVRが低下しがちです。
では、そうなったときにどう考え、何をするべきか。
ある支援で 2つの異なる打ち手を試したところ、成果に大きな差が出ました。
その理由を考えるとき手がかりになったのが、Meta広告を「フィジカルアベイラビリティ(買い求めやすさ)を高める仕事」として捉える視点です。
今回はその話を書いてみます。
目次
「ハードル」を下げても、CVRは上がらなかった
私たちが支援しているウエディング施設で、ある月にMeta広告の配信量を大幅に増やしたところ、CVRが大きく低下しました。
そこで、「ターゲティングが広がったことで、興味の薄い人に届いているからだろう」と考えて、最初にやった対策が資料請求訴求の強化でした。
広告バナーで「まずはお気軽に資料請求」を強調し、広告の誘導先も、それまでは施設のメインページだったところを、資料請求フォームに変えました。
興味の薄いターゲットでも、求める行動のハードルを下げれば効率は維持できるのではないか、と考えたからです。
この訴求を2ヶ月ほど続けてみましたが、CVRは期待するほど上がらず、CPAも悪化してしまいました。
「障害」を取り除いたら、CVRが2.5倍になった
一方で、同じ時期に試していた施策で、明確に成果が上がったものがありました。
こちらも、変えたのは広告の訴求と誘導先だけです。
この施設は都心から遠く、お客様に見学に来ていただくのに交通費がかかります。そのため、都内の主要駅から往復の交通費を補助する送迎付きのフェアを開催していました。
このフェアの存在は、これまでもバナー内で告知していました。ただ、訴求は控えめで、広告の誘導先も、開催中のフェアがすべて並ぶページにしていたので、特典を見てクリックしても、その送迎付きのフェアを探さないと見つからない状態でした。
そこで、バナーで送迎付きフェアを強調し、誘導先をこのフェアのページにして、広告クリック後に迷いなく申し込めるようにしました。
すると、CVRが大きく向上しました。
| 送迎付きフェア訴求の強化 | 変更前(誘導先:フェア一覧) | 変更後(誘導先:送迎付きフェア) |
|---|---|---|
| CVR | 0.98% | 2.46% |
| CPA | 5.1万円 | 2.0万円 |
配信拡大によるCVR低下への対策としては、ほかにもいろんな訴求を試しましたが、もっとも成果が上がったのはこの変更でした。
なぜ、この2つの施策でこれだけの差が出たのか
それぞれやったことだけ見れば、大した話ではないと思います。ただ、この結果から学べることは多いと思います。
資料請求訴求のアイディアは、「興味の度合い」という視点で考えた打ち手でした。配信が広がって増えた「興味の薄い人」にもアクションしてもらえるように、来館予約という行動を、資料請求というハードルの低いアクションに置き換えました。
一方で、特典訴求のアイディアは、「障害」を起点にした打ち手でした。興味を持ってもらう、振り向いてもらうことを狙うのではなく、すでに興味がある人にとっての障害を取り除いてあげるアプローチです。今回のケースでは、障害は「距離」と「交通費」でした。
どちらもシンプルな打ち手ですが、問題解決の視点が異なります。では、なぜ障害の視点の方が成果につながったのか。
広告プラットフォームは「買いたい人」を見つけるマッチングシステム
Metaのような昨今の広告プラットフォームは、「その商品・サービスをいま必要としている人、買いたい人」を見つけて広告を届けることが、とても上手いです。
経験のある方も多いと思いますが、ネットで調べものをすると、SNSのフィードがあっという間にそのカテゴリーの広告で埋め尽くされます。
つまり、買いたいと思った瞬間を捉えて、目の前に広告を表示できます。広告を打つというより、オンライン上の棚を取りにいく活動に近いと思います。その意味で、検索広告やMeta広告などのダイレクトレスポンス広告の役割は、「買い求めやすさ(フィジカルアベイラビリティ)」を高めること、とも言えます。
そう考えると、コンバージョンに最適化した配信は、買いたい人を増やすことよりも、買いたい人を逃さないことに向いています。
CVRが下がったら、まず「障害」から見る
予算が小さいうちは、「何の障害もなく購入できる人」からコンバージョンしていくのだと思います。
そこから予算を増やすと、購入確度の低い人が増えていきます。ただ、増えているのは、興味の薄い人だけではありません。買いたい気持ちはあるのに、障害があって申し込めない人も混ざっているのだと思います。
つまり、コンバージョン目的の配信でCVRが下がっているときは、買いたい人を逃している可能性が高いです。
式場の検討なら、距離、交通費、式の時期など、どれか一つが引っかかるだけで、申し込みを躊躇してしまいます。
例えば、式の時期が決まっていない人には、「会場の空き状況を見てから、時期を決められます」と伝える。式を挙げるか迷っている人には、「見学してから決める人も多いです」と伝える。交通費のフェアと同じ、障害を取り除くコミュニケーションです。
もちろん、広告を通じて興味を高めていくアプローチもあります。ただ、コンバージョン目的の配信で成果を上げやすいのは障害の方です。
2つの障害を取り除く
買い求めやすさを妨げる障害には、2つの種類があります。
一つは、商品・サービスの中にある障害。距離や交通費のような、「買いたい人の負担」です。これには、交通費を補助するフェアのような、負担を軽くする仕組みが必要になってきます。
もう一つは、広告体験の中にある障害。見つけにくさや申し込みにくさのような、「買いたい人の手間」です。仕組みがあっても、探さないと見つからなければ、買いたい人にとっては無いのと変わりません。
バナーで伝えて、クリックした先でそのまま申し込めるところまでが、買い求めやすさだと思います。
今回の支援で言えば、フェアという仕組みはすでにあったので、広告の訴求と誘導先を変えるだけで成果を得ることができました。
*
コンバージョン目的の配信を増やして成果が伸び悩んだときは、まず「障害」という観点から見てみるのがいいのかもしれません。
買いたい人の負担を軽くする仕組みが、商品・サービスの中にあるか。広告を見てから申し込むまでに、買いたい人の手間が残っていないか。この2つが、広告運用にとってのフィジカルアベイラビリティだと思います。
同じ状況に向き合っている方の、参考になれば幸いです。