O2Oと運用型広告の交差点~すぐに始められる施策も存在~

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ある日のこと

先日、私は洋服の青山に行きました。

スーツを探しにいくために訪問しましたが、事前に洋服の青山通販ウェブサイトを閲覧すると、そこから商品が直接購入できるのはもちろん、気に入った商品(サイズ指定を行った上で)を自分の住んでいるところの最寄りの店舗に取り寄せられるサービスがありました。

肩幅が大きく、お腹周りも大きいため、なかなかサイズの合うスーツがない私にとって、ネットで気に入った商品を取り寄せて、店頭で試着できるというのはとても便利でした。

(写真のように私の体型は、スーツのBB体がぎりぎり入るサイズです。店舗に商品在庫がないことが少なくありません)

特にスーツは、裾の長さを変更するなど、ネットで購入をしても、即着られるものではないため、ネットで選んで、店頭で試着して、気に入れば、丈を調整して購入できるというのは私にとっては革命的でした。

このようにオンラインからオフラインに行動を促す仕組みをウェブマーケティング用語でO2O(※1)といいます。

この実体験ののち、私は、O2Oについて思考を巡らせることになりました。

(※1)

『O2Oは「Online to Offline」の略で「On2Off」と表現されることもある。

ネット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフライン)での行動へと促す施策のことや、オンラインでの情報接触行動をもってオフラインでの購買行動に影響を与えるような施策のことを指す。

ウェブ担当者フォーラムより引用(http://web-tan.forum.impressrd.jp/g/o2o)』

垣根が崩れたオンラインとオフライン

これからO2Oは、スマートフォンやタブレットの普及などのマルチデバイス化の波にのって、ますます、多様化し、盛りあがりをみせるはずです。

実際、2012年時点にGoogleが行ったアメリカでの調査では、下記の結果となりました。

買い物前に90%の顧客はスマートフォンで情報収集を行う。

店内で84%の顧客は、商品についての情報収集を行うためにスマートフォンを使う。なお、電化製品に至っては97%の顧客がスマートフォンを用いて、商品の情報収集を行う。

そして、82%の顧客は検索エンジンで情報を収集する。また、顧客が情報収集に割く時間は15分程度である。

もっとも多い検索項目は、店舗地の検索で58%である。

続いて多い検索項目は、開店時間57%、値段の比較44%、プロモーション(何らかの優待)の有無44%、商品検索43%、目的の商品が売られている場所32%、製品についての情報31%、製品の店舗での在庫状況31%、製品のレビュー30%、商品の取り置きについての情報19%の順となっている。

(参考:https://ssl.gstatic.com/think/docs/mobile-in-store_research-studies.pdf

もはや、商品を購入する際に、ウェブで検索しないという顧客は少数派です。多数派の顧客は、気になることをウェブでくまなく調べています。

外出前はもちろん、そして外出先においてもオンラインの情報を探すことは、常識となっているのです。
オンラインとオフラインの垣根は、もうほとんどなくなっているといっていいでしょう。

この状況は、アメリカのみならず、全世界的に常識となりつつあります。
その中には、もちろん日本も含まれています。

押し寄せるO2Oの波

今や、O2Oはウェブマーケティング手法の中でも確実に一角を占めています。
特に、スマホアプリ領域では、O2Oのためのアプリが数多くリリースされています。

下記のスマホアプリが代表的な例です。

この他にも、O2O領域では、無数のスマホアプリがリリースされています。

また、Googleは下記の記事でO2Oが進んでいる背景と最新事例をあげています。
https://www.google.co.jp/ads/experts/blog/o2o-event-160804.html

記事中で指摘されているように、デジタルシフトはとてつもないスピードで進んでいます。
デジタル対応、スマホ対応はもはや若年層を対象にしたビジネスだけの問題ではないことが改めて理解できます。

O2Oは、Googleが紹介するようにスマホアプリ領域だけに留まらず、運用型広告の領域にも広がってきている概念です。

記事を確認すると、運用型広告は、検討や来店、購入フェーズ以前の認知フェーズにおいても、きわめて有効だと理解できます。従来までは、テレビCM、雑誌広告、チラシ、屋外広告が担っていた役割を代替する広告としても、運用型広告は機能するのです。

例えば、日本では2015年にGoogleアドワーズ広告での、来店コンバージョン計測事例が発表されました。
https://support.google.com/google-ads/thread/4844660?hl=ja

来店コンバージョン計測機能がリリースされたことは、Googleが運用型広告をO2O施策の手段として、活用できることを示唆したとも言えるでしょう。

GDN広告を超低単価で来客誘導に活用できる?〜明日から始められるデジタルチラシ爆弾!〜

運用型広告のO2O施策として、GDN広告をチラシのように有効に活用した事例があります。

Micro-Momentsを捉える GDN 広告で、西友商圏ユーザーの 41% に低単価でリーチし、店舗の売り上げ増加に成功

紹介事例では、広告を配信するタイミングと場所を実店舗の情報を踏まえて、詳細にターゲティングしています。

また、ユーザー情報ごとに広告バナーを出し分けています。

一般的なチラシの単価が5円~15円であることに比べ、GDNでは、表示単価が0.025円と数百分の一の単価で来店を誘導するメッセージを表示できています。

GDNに従来から備わっている機能をもとに運用するだけで、来店人数や売上高を上昇させることに成功しています。

これは、今すぐにでも実践できる運用型広告を用いたO2O施策と言えるでしょう。

その上、きちんと施策について練って実行できれば、非常に効率良く目標を達成することができます。

事例を確認すると、すでにGDN広告がチラシを代替する広告として、活用できることがわかります。このことからも、デジタルシフトが進む中で、チラシからウェブ広告へと広告媒体が変わっていくことは容易に想像できるでしょう。

その中でも、店舗型ビジネスへの集客は、ターゲティングが重要なため、運用型広告との相性が良いと考えられます。

「おいでおいで光線」で誘惑!顧客が気になる商品の在り処を発信〜Facebook小売業向けダイナミック広告〜

Facebookは小売業向けダイナミック広告をテスト運用しています。

(Abercrombie & FitchほかArgos、Macy’s、Pottery Barn、Targetといったブランドでテスト運用されています)

https://www.facebook.com/business/news/dynamic-ads-for-retail-launch

(日本においては、まだ運用が開始されていません)

Facebookの小売業向けダイナミック広告は、従来からFacobookで運用が可能なダイナミックプロダクト広告などとは異なり、製品そのものだけを広告するのではなく、店舗誘導を目的とした広告を配信することができるようになっています。

具体的には、商品の概要だけでなく、近くの店舗に連絡する、オンラインで購入する、商品を保存して後で検討するなど、アクション喚起に使える機能があります。

また、製品について各店舗毎の在庫を確認することができる上、近くの店舗に在庫がある類似商品を確認することもできます。

画像:Facebook社公式ページより引用

小売業向けダイナミック広告が一般公開されると、店舗型ビジネスの広告運用はガラっと変わることが予想されます。

欲しい・買いたいと思っている商品についての情報が、店舗での取扱い状況を含めて、表示されると、顧客は、見に行きたい、製品を手にとってみたいという感情を強くするでしょう。

特に質感を確かめたい衣料品、使用感を知りたい電化製品などの商材を扱う企業においては、オンライン上で各店舗の在庫状況さえもが表示される運用型広告に、高い来店誘導効果があるのではないかと期待できます。

O2Oと運用型広告のこれから

スマホアプリなどでは、特に盛り上がりを見せるO2Oですが、当記事を執筆している中で、運用型広告のプロダクトはまだまだ発展途上であるという印象を受けました。

現在でも運用型広告を用いたO2O施策は可能ですが、施策の効果計測が自動化できるものが少なく、少々ハードルも高いと感じました。

ただし、これほどオンラインとオフラインの垣根がなくなっている現在。

そう遠くない未来に、運用型広告におけるO2O施策のためのプロダクトは、加速度的に増加してくるのではないかと考えられます。

そのような近い未来において、ただ漫然と広告を出すのではなく、顧客がリアルタイムに求めている情報にたどり着ける広告、そしてリンク先ページを用意することがこれまでよりシビアに広告の成果に直結してくるでしょう。

そして、運用型広告は、もともとリアルタイム性が求められる状況に特に強い種類の広告であるため、これから、よりO2Oと密接な関係になっていくと考えられます。

記事を執筆しながら、私は、多様化するチャネル・デバイス、そして既存の広告プロダクト・新規に登場してくる広告プロダクトについて、深度を持って理解できたものこそが運用型広告における運用者としてだけではなく、O2O施策の仕掛け人として、ますます必要とされてくる時代が来ると、確信を深めました。

参考

『平成28年版 情報通信白書 第2部 基本データと政策動向
第2節 ICTサービスの利用動向
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc252510.html)』

『報道資料 統計トピックス No.92
急増するネットショッピングの実態を探る
-「家計消費状況調査」、「平成 26 年全国消費実態調査」の結果から-
http://www.stat.go.jp/data/joukyou/topics/pdf/topi920.pdf)』

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