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- 頼富 穰
Google広告の適正予算は?費用相場と予算の決め方を解説

Google広告をはじめて配信する際、まずはどの程度予算をかけて配信すべきか迷う方もいらっしゃると思います。
広告予算を決めるうえで、
- Google広告の最低出稿金額や費用相場はどれぐらいなのか?
- そもそもWeb広告の予算はどのような考え方、計算によって算出できるのか?
- 予算を決めるうえで注意すべきポイントや運用する際の注意点は?
のような疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、「Google広告の費用相場」「代表的な予算の考え方や計算方法」「予算を決める際の注意点」など、Google広告の予算を決める際のポイントを記事にしました。
Google広告を配信する上で、まずはどれぐらい予算をかけるべきか、判断に迷っている方の参考となれば幸いです。
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目次
Google広告にはどれぐらい予算をかける?
Google広告の予算を検討する上で、まず前提として知っておきたい「最低出稿金額」「費用相場」「課金方式」の3点を説明します。
最低出稿金額
Google広告は最低出稿金額について明確にアナウンスをしていませんが、広告アカウントの仕様上、1円から広告を出稿することが可能です。
一方、詳しくは後述しますが、たとえば月間の広告予算が1万円を下回る場合など、明らかに広告予算が少額の場合は注意が必要です。
Google広告では広告のターゲティングや掲載順位・内容の決定などに機械学習というAI技術が使われています。
機械学習のパフォーマンスを最大化するには、学習データとなるコンバージョンデータが必要であり、極端に広告予算が少ない場合は、学習の促進に必要なコンバージョンデータが収集できず、広告の配信実績が停滞する可能性があります。
なぜこのようなことが起きるのかというと、
- 予算が極端に少ないことで、広告の掲載順位を決めるオークションで勝ちづらく、掲載機会が少なくなるor掲載上位が取りづらい
- 掲載機会が少ないと、広告がクリックされる機会が少なくなる
- クリックが少ないとLPに流入するユーザーも少ないのでコンバージョンが取れない
といった流れで、機械学習の促進に必要な学習データが蓄積しづらいためです。
そのため、Google広告の予算を検討する上では、後述する予算シミュレーションをおこなって、機械学習の最適化に必要な推奨CV数を獲得できそうか?という観点も踏まえて判断することが重要です。
費用相場
広告にかけるべき最適な予算は、自社の商材や目標、ターゲットなどの個別事情によって左右されるため、一概に「Google広告にはこれぐらい予算をかけるべき」といった費用相場を示すことは難しいです。
広告予算を決めるための代表的な考え方や、妥当性を高めるための予算シミュレーション方法については「代表的な予算策定の考え方4つ」「予算の妥当性を高めるシミュレーション方法」で触れますが、目安として、月間で30件~50件程度のCVを獲得できる予算か?という視点も参考になります。
機械学習の促進に必要な最低CV数について、Googleは詳細を開示していないため鵜呑みには出来ないですが、Google広告のヘルプページでは以下のように記載されています。
スマート自動入札を導入すると、すべてのキャンペーンのデータに基づいて最適化が行われるため、独自のデータがない新しいキャンペーンの場合でも掲載結果が向上します。
掲載結果を正確に評価するには、1 か月以上の長い期間に 30 回以上のコンバージョン(目標広告費用対効果の場合は 50 回以上)を獲得していることが推奨されます。
課金方式
Google広告の課金方式は「インプレッション課金」「クリック課金」「コンバージョン課金」の3種類を選択できます。
課金方式 | 概要 | |
インプレッション課金 | 広告が1,000回表示されるごとに課金される方式で、ブランドの認知度を高めたり、特定のターゲット層に広告を大量に配信したりしたい場合に向いています。 | |
クリック課金 | ユーザーが広告をクリックする度に課金される方式で、入札単価によって表示されやすさが決まります。入札単価を自身で設定できる個別単価設定と、予算内でクリック数が最大となるよう、入札単価を自動的に調整できる自動入札から選択できます。 | |
コンバージョン課金 | ユーザーの問い合わせ・購入・サイトへの流入など、行動に伴って課金される方式です。どのアクションをコンバージョンにするかは広告主が自由に設定可能で、成果が出た場合のみに費用が発生するため、効率的に運用できます。 |
目的にあった課金方式を選ぶことで費用を抑え、広告の費用対効果を上げられます。あくまで一例ですが、以下のように目的に応じた課金方式を選びましょう。
- 露出を増やし商品やサービスの認知度を上げたい・・・インプレッション課金
- 興味を持ったユーザーにコンバージョンさせたい・・・クリック課金
- ユーザーに特定のアクションを起こさせたい・・・コンバージョン課金
参考:インプレッション単価(CPM)とは
参考:クリック単価(CPC)
参考:ディスプレイ キャンペーンでコンバージョンに対するお支払いを使用する
なお、Google広告のコンバージョン課金とは、ユーザーが実際に成果(コンバージョン)に至ったときのみ広告費が発生する仕組みです。(広告の表示やクリックには費用がかかりません)
コンバージョン課金は現在、ディスプレイ広告(通常またはスマートディスプレイキャンペーン)でのみ利用可能で、目標コンバージョン単価(tCPA)をもとに自動で最適化が行われます。
ただし、すべてのアカウントで使えるわけではなく、過去30日間に100件以上のコンバージョン実績があるなど、利用要件があります。
また、オフラインコンバージョンやクロスデバイスでの成果は最適化対象外となるため、これらを重視する場合は従来のクリック課金が適しています。
さらに、目標単価を低く設定しすぎると広告配信量が大幅に減る可能性があるため、最初は実績をもとに適切な金額を設定するのがポイントです。
成果報酬型でリスクを抑えられる一方で、仕組みや注意点を理解した上で導入することが大切です。
代表的な予算策定の考え方4種類
予算策定の前提となるポイントを理解した上で、ここからは広告予算をどのように決めるのか、まずは考え方からご紹介します。
なお、下記4つの考え方のうち、より妥当性の高い予算策定を行いたい場合は目標/タスク設定法がおすすめです。
目標/タスク設定法をベースとしながら、予算策定の妥当性を担保するためのシミュレーション方法については後述します。
1.目標/タスク設定法

特定のマーケティング目標を達成するために必要なタスクを特定し、それを達成するために必要な費用を算出する方法です。
目標に用いる数値は、売上や利益、LTV、認知率などが考えられ、「1年間で○○を□%アップさせる」といった目標を起点に、そのために必要なプロモーション施策と、各施策で必要な費用を算出する方法です。
戦略的で目標達成に直結する考え方である一方で、算出のために必要なデータが不足している場合は予算策定が難しくなることもあるため、この方法を活用する場合は広告代理店に相談して決めるケースも散見されます。
2.売上高百分率法

名前の通り、売上の一定の割合(%)を広告予算に割り当てる方法です。(売上高比率法とも呼ばれています)
基準となる売上は前期の売上高で算出する場合が一般的で、広告費の割合(%)は自社の過去実績や競合他社の広告費をベンチマークとする場合が多いため、比較的市場の競争環境が安定している成熟市場で活用しやすい算出方法だと言えます。
簡単に算出でき、売上と広告費の関係がわかりやすい点はメリットと言えますが、売上と広告費の関係が常に一定であるとは限らず、市場環境の変化に弱い点はデメリットだと言えます。
3.競合同率法

競合他社と同程度の金額を広告予算とする方法です。競合他社と同程度の金額を広告費として投資することで、広告における業界内での競争力を維持することができます。
一方で、競合の予算戦略が適切でない場合にその影響を受けてしまう点や、競合の戦略に依存するため独自性に欠ける点には注意が必要です。
4.可能額配分法

主に中小企業で使われる予算策定方法で、売上から固定費などの避けられない支出を差し引いた後に残った金額を基に広告予算を配分する方法です。
利用可能な資源を最大限に活用しやすい点は大きなメリットだと言えますが、状況によって広告費が不安定になる点や、中長期的な戦略や成果に基づいて算出する方法ではないため、長期的な活用が難しいという弱点があります。
予算の妥当性を高めるシミュレーション方法
ここからは、代表的な予算の決め方4種類で定めた予算をより妥当性の高いものにするための方法を紹介します。
以下でご紹介する方法の前提としては、
- 目標/タスク設定法をベースとしている
- リスティング広告を例として計算している
ため、上記に留意した上でご覧ください。
なお、認知拡大を目的としたディスプレイ・動画広告の予算策定などは、以下の方法ではシミュレーションをすることが難しいため、この記事を読んでも納得のいく広告予算の策定が難しい場合は、以下でご紹介しているような代理店に相談するのもおすすめです。
広告予算のシミュレーション手順
Web広告の配信実績が無い場合は、参考に出来る過去データが無いため、自社の売上高や損益分岐点などのマーケティング目標から逆算して必要な広告予算を計算します。
ここでは具体的なイメージをもっていただく上で、以下のようなサンプルケースを想定して計算します。
例:あるECサイトがリスティング広告を配信するケース
・目標CV数:50件
・販売単価:1万円
・目標利益率:30%
⑴顧客獲得単価(目標CPA)を算出する
まずは、広告で1件のコンバージョン(成約)を得るために許容できる獲得単価(目標CPA)を計算します。
CPAは、以下の計算式で算出できます。
CPA=販売単価×(1-目標利益率)
上記のサンプルケースでは、
CPA=10,000円×(1-0.3)=7,000円
となり、目標利益率の範囲内で運用するには7,000円以内で1件以上の成約を獲得する必要があることが分かります。
そのため、目標CV数を50件とした場合、7000×50=350,000円が目標達成に必要な広告費用となります。
ただし、広告予算は後述するCPCやCVRなどの中間指標の改善によって、上記より少ない費用で目標達成できるケースもあるため、CPCやCVRなどの中間指標も考慮した上で複数パターンの予算プランを算出して比較し、どれぐらい予算をかけるべきか判断するのがおすすめです。
⑵クリック単価(CPC)を仮置きする
目標CPAが決まったら、広告を出稿するキーワードを選定して、それぞれのキーワードのクリック単価(CPC)をリサーチします。
各キーワードの平均CPCは、Google広告が提供している無料ツール「キーワードプランナー」で調べることが出来ます。
キーワードプランナーで任意のキーワード入力をすると、各検索キーワードの検索量の平均値を確認することが出来ます。
各キーワードのCPC相場が分かったら、平均CPCを仮置きします。
⑶CVRを仮置きする
次に、CVR(コンバージョン率)を仮置きします。
CVR(コンバージョン率)とは、広告で得られたクリックのうち、何件が成約に至ったかを示す割合(%)です。
海外サイトのWordStreamの調査によれば、Google広告の平均CVRはリスティング広告(検索広告)では約3.75%というデータが示されています。
CVRは商材やLP、フォームの導線などによって左右されるため一概にこの数値を信頼すべきとは言い切れないですが、上記のサイトに業界別の平均CVRが示されているため、CVRをどの程度に仮置きすべきか判断が難しい場合は参考にするのも良いでしょう。
なお、より正確に必要予算を求めたい場合は、顕在キーワードと潜在キーワードで想定CVRを分けて考えたほうが良いです。
⑷目標CV数、想定CVR、平均CPCから広告予算を算出する
ここまでの情報をもとに、必要な広告費を算出していきます。必要な広告費は以下の計算式で求められます。
必要予算 = 目標CV数 ÷ 想定CVR × 平均CPC
ここで想定CVRを5%、平均CPCを100円と仮定した場合は、
目標CV数(50件)÷想定CVR(5%)×平均CPC(100円)=100,000円
が目標達成のために必要な広告予算となります。
ただし上記の予算はCPCやCVRを仮置きした場合の必要予算なので、⑴で算出した広告予算(350,000円)とあわせて現実的にどこまで予算を確保すべきか落としどころを見つけるのが良いでしょう。
なお、前述のとおり、広告予算を決める際は、広告アカウントの機械学習が促進できる程度にCVデータを蓄積できそうか?という視点も重要です。
機械学習の促進に必要なCV数は、商材やアカウントのステータスなどによって変動するため一概に基準を示すことは難しいですが、Google広告のヘルプでは月30~50件程度のCV数を確保することが推奨とされています。
予算を決める際の3つの注意点
ここからは、Web広告の予算を決める上であわせて認識しておきたい3つの注意点について触れます。
撤退ラインを決めておく
広告予算を決める上では、広告に投資できる限界費用を考慮した上で、事前に撤退ラインを定めておきましょう。
撤退ラインを設定する上では、広告の費用対効果を検証する期間と評価指標を明確にし、「いつまでにこれぐらいの成果が出なければ配信を停止する」といった基準を定めます。
一方、検証目的やアカウント状況などによりますが、広告配信の検証期間が数日程度など、極端に検証期間が短い場合は正しい意思決定につながらないケースもあるため注意が必要です。
広告に縛られない
Web広告を含むマーケティング施策の目的は、自社の売上を拡大させることです。
そのため、本来的には広告以外のマーケティング施策の費用対効果も踏まえた上で、どの施策に投資すべきか判断することが重要です。
もちろんご自身が広告領域のみ担当しており、広告施策の改善のみ期待されているケースでは別の施策の予算まで考慮することを求められていない場合もあると思いますが、施策領域を横断して投資判断ができる場合は、広告以外の施策も考慮に入れた上で予算策定をするようにしましょう。
媒体社や代理店の提案を鵜呑みにしない
Web広告の運用をしていると、媒体社や代理店の担当者から予算増額の提案を受ける機会があると思います。
通常、媒体社や代理店はクライアントの広告成果の拡大を目指しており、広告主の目標達成に必要な戦略や戦術の提案をしてくれることが一般的です。
一方、頻発することは少ないかもしれませんが、たとえば代理店の担当者のKPIが広告費(≒代理店の売上高)となっており、組織体制や社内カルチャーなどの事情によってKPI達成へのプレッシャーが大きい場合などは、状況によっては必ずしも合理的とは言えない予算増額の提案を受けることもあるかもしれません。
そのため、広告運用のプロフェッショナルだからといって、媒体社や代理店の担当者の提案を妄信するのではなく、
- 自社の事業目標の達成において本質的な提案をしてくれているか?
- 担当者が提案する予算増額で、どの程度の費用対効果が得られそうか?
- 担当者のロジックは合理的で社内説明の上で関係者を腹落ちさせられるか?
などの視点で、媒体社・代理店の担当者の予算増額の提案が妥当か慎重に判断する姿勢は持っておきましょう。
広告予算を適正に保つ5つのポイント
上述のように、Web広告の予算は一度決めたら固定で運用していくものではなく、広告配信後の実績を確認しながら、施策間の予算を柔軟にアロケーションしてROIを最大化していくことが重要です。
ここからは、広告配信後に予算を最適化するための5つのポイントをご紹介します。
費用対効果の高い施策に予算を回す
広告全体のROIを向上させる上では、費用対効果の高い施策に予算をアロケーションすることが重要です。
広告配信後の実績を確認しながら、費用対効果の高い媒体やキャンペーンを特定し、費用対効果の低い媒体などに割り当てている予算を再配分していきます。
一方、広告の費用対効果の考え方は企業によって多種多様であり、一概にどれぐらいの期間で効果測定すべきと断定することが難しいですが、短期の顧客獲得や売上拡大のみを重視しすぎると、中長期の顧客基盤の拡大がおろそかになり、徐々に売上が停滞するケースも散見されています。
以下の記事では、短期の広告効果を重視する運用をおこなったことで売上停滞が起きたケースと、中長期の売上拡大をはかるうえで広告の効果をどのように評価し、運用していくべきなのか解説しています。
ECサイトの広告運用を例とした記事となっていますが、EC以外の事業者でも同様に起こり得る事象だと思いますので、ご興味のある方はあわせてご覧ください。
費用対効果は媒体CV以降も考慮する
上述のように、広告の費用対効果を評価する上では評価期間も重要な視点ですが、どの指標をもとに評価するかで費用対効果の捉え方が変わる場合もあります。
たとえば、以下は過去に弊社でご支援していたBtoB業界のクライアントの事例ですが、総リード単価(媒体CPA)で評価をすると、指名キャンペーンに次いで、ブロード配信のキャンペーンの獲得効率が良いことがわかっていました。
一方、媒体CPAだけでなく、有効リード単価(ターゲットユーザーのCV獲得単価)で再評価をすると、効果が良いと思われていたブロードキャンペーンは有効リード率が低く、ターゲット外のユーザーからのCV割合が高いことが分かりました。
そこで、有効リード単価や商談単価など、媒体CPA以降のデータも踏まえて広告の費用対効果の再評価をおこない、媒体CPA以降の効果が高い施策に予算をアロケーションしていった結果、その後4か月で予算を13%削減しながら、商談単価を20%改善することが出来ました。
ECなど媒体CVが商品購入などの最終成果と直結している場合は不要な考え方かもしれませんが、BtoBなど広告のCVと売上が直結しない業種の場合は、媒体CV以降の指標も評価に含めることで、より売上に繋がりやすい施策を正しく評価することが出来るようになります。
予算による制限を発生させない
Google広告を運用していると、「予算による制限」というアラートが管理画面レポートに表示されることがあります。
Google広告の予算による制限とは、設定した日予算がGoogleの推奨額よりも低く、広告の配信機会が十分に確保できていない状態を指します。
予算による制限が発生している状態では、予算不足により本来参加できたはずの広告オークションに参加できず、コンバージョンの獲得機会の損失につながる恐れがあります。

また、十分な表示機会が得られないことで、機械学習が必要なデータを蓄積できず、広告配信の最適化が進まなくなるという弊害もあります。
さらに、正確な分析データが得られなくなることで、配信結果の判断を誤るリスクもあるため、管理画面にアラートが表示されている場合はすぐに対応しましょう。
また、予算による制限が発生している場合、以下のようにGoogleから推奨予算の提案が表示されますが、推奨予算に設定したからといって、必ず費用対効果が向上するとは限りません。

日予算を引き上げる以外にも、入札単価の引き下げ、入札戦略の変更、ターゲティングの精査、広告の品質向上などを行うことで、予算不足による機会損失を回避できる可能性があります。
日予算による制限が発生している場合は、予算の増額以外の選択肢も検討した上で対応するようにしましょう。
不正クリックが多い場合はアドフラウドツールを導入する
Web広告を配信する際に注意が必要なのは、不正・無効クリックの対策です。
不正・無効クリックとは、一般的には以下のようなクリックが該当します。
- 広告をクリックするつもりは無かったが、誤操作でクリックしてしまった
- 不正ソフトウェアを活用してbotで広告を自動クリックさせる(アドフラウド)
前提として、Googleは意図的な不正トラフィックや誤操作によるものと思われるクリックをシステムで検知・除去する仕組みを設けていると言われていますが、具体的にどのように対応しているのかは明らかにされていません。
後者のアドフラウドに関しては、Web広告の普及に伴って年々被害が増加しており、Spider AFによる調査によれば、国内のWeb広告費のうち最大35.8%がアドフラウドの被害にあっている可能性があり、被害額の推計は1,667億円を超えると言われています。
参考:デジタル広告の不正被害は年間で推計1,667億円超え、Spider AFが「2023年アドフラウド調査レポート」を発表(PR TIMES)
アドフラウドによる不正クリックが増えると、広告のクリック(=請求費用)は増える一方でコンバージョンにつながらないため、貴重な広告費が無駄になってしまう可能性があります。
このような不正・無効クリックへの対応としては、以下のようなものがありますが、アドフラウドによるクリックが多いと考えられる場合は、専用のツールを導入するのも有効です。
- 媒体に不正・無効クリックを報告する
- Google広告には「クリック品質フォーム」という窓口があり、不正と考えられる事象について調査を依頼できます。実際に不正が認められれば、広告費が返金される可能性があります。
- Googleアナリティクスを活用したIPアドレスの確認・除外
- Googleアナリティクスの設定で流入したIPアドレスを取得し、不正なトラフィックと判断したIPアドレスをGoogle広告の管理画面から除外することで、以降の不正なクリックを回避できます。
- 不正・無効なクリックを検出するツールの導入
クリック周りのパフォーマンスに不審な点が見られる場合は、上記の対策を検討し、無駄な広告費の発生を抑えるように努めましょう。
自社で判断が困難な場合は代理店に相談する
自社でWeb広告の適正予算を判断することが難しい場合は、代理店に相談するのも有効です。
特に、ベースとなる予算策定の考え方4つで解説した目標/タスク設定法は、事業やマーケティング目標から逆算して必要な広告費を算出する方法であるため、関係者の間で納得のいく投資計画を立てやすい一方で、計算方法が複雑になる場合もあるため、広告運用の経験が少ない場合は判断に迷うことも少なくありません。
以下の記事では、広告運用を主業務とする弊社のコンサルタントが自信をもっておすすめできるWeb広告代理店を10社ご紹介しています。
広告予算の策定にあたり、代理店への相談も視野に入れている方はあわせてご覧ください。
Google広告の予算に関してよくある質問
最後に、Google広告の予算に関してよくある質問をまとめました。
キャンペーンはどれがおすすめ?
はじめてWeb広告を配信する場合、まずどのキャンペーンから配信すべきか判断に迷うこともあると思います。
配信すべきキャンペーンは、広告配信の目的や商材、ターゲットなどの諸条件によって変わるため一律の判断基準を示すことは難しいですが、あくまで一般的な目安として、以下の判断基準を参考にキャンペーンを選択してみてください。
- 検索
- コンバージョンや売上を増やしたい場合におすすめ
- ディスプレイ
- 潜在層へリーチし、認知拡大をしたい場合におすすめ
- ショッピング
- オンラインで小売販売をしている事業者におすすめ
- アプリ
- アプリのインストールを促したい場合におすすめ
- 動画
- 認知拡大や、ブランドのエンゲージメントを高めたい場合におすすめ
- P-MAX/デマンドジェネレーション
- コンバージョン獲得をしながら、潜在層へリーチを広げたい場合におすすめ
なお、はじめて広告配信をする場合は、まずは検索キャンペーン(リスティング広告)から配信するのがおすすめです。
リスティング広告をおすすめする理由は以下の4点です。
①コンバージョン獲得に効果的
リスティング広告は、商品やサービスのキーワードで検索しているユーザーに広告を配信できるため、購買意欲の高いユーザーに直接アプローチできます。
リスティング広告はユーザーの主体的なアクションをトリガーにする施策のため、「サービスに興味がありそうな人」や「自社の顧客属性と似ている人」などをターゲットとするディスプレイ広告やSNS広告と比較しても、コンバージョンにつながりやすいです。
②準備物が少なく、配信開始しやすい
リスティング広告は配信にあたって広告テキストを作成するのみで配信できます。
ディスプレイ広告やSNS広告などは画像や動画素材が配信にあたって必要となりますし、これら素材は制作費用がかかることも多いです。
広告テキストは変更も容易であり、配信後の改善も容易なため、始めやすいだけでなく、効果改善にも向き合いやすい施策です。
③データに基づいた分析と改善がしやすい
リスティング広告はユーザーの検索語句に対して配信実績が紐づくため、検索語句ごとの表示回数やクリック数を確認できます。
そのため成果の良し悪しをそれぞれの検索語句単位で確認できるのが強みです。
一方で他の広告施策では、そこまで細かく確認することが難しく、広告クリエイティブや配信ターゲット単位での配信結果になります。
そのため、検索語句ほどニーズが明確でないため、分析を行う難易度が少し高くなってしまいます。
実際のユーザーニーズに近い検索語句の配信結果が確認できるのは、リスティング広告の大きな強みになっています。
④低予算から始められ、無駄になりにくい
リスティング広告は少額から始められ、予算はいつでも変更可能です。
クリック課金制のため、広告がクリックされた場合のみ費用が発生し、予算を効率的に活用できます。
また、先述したように検索語句によってユーザーニーズに応じて配信するキーワードを選べるため、広告の費用対効果を高めやすいのが特徴的です。
少額で配信すると良かったか悪かったかわからなかったという悩みもよく聞くのですが、そういった状態を避けやすいのもおすすめしやすい理由の1つです。
キャンペーン間の予算配分はどう考えたら良い?
複数のキャンペーンを配信している場合は、キャンペーン間の予算配分について判断に迷うケースもあると思います。
キャンペーン間の予算配分を考える際の原則としては、
- 効果の高い施策から優先的に予算を割り当てる
- 媒体の管理画面の数字(CV数やCPAなど)以外の数字も踏まえて判断する
が基本的な考え方です。
業種や予算帯などにもよりますが、基本は売上貢献度の高い検索キャンペーン、なかでも自社の商品やサービスに関連するキーワードに広告を配信する指名キャンペーンに優先的に予算を当てるケースが一般的です。
また、Google広告には「共有予算」という複数のキャンペーンで広告予算の配分を自動調整してくれる機能もあるため、必要に応じて活用するのもおすすめです。
十分な予算を捻出できない場合はどうする?
すでに広告に充当できる予算が決まっており、目標に対して必要な予算が捻出できない場合は、以下のような方法で予算を追加できるか検討してみましょう。
- 他のマーケティング施策から予算を持ってこれるか検討する
- 他事業や部署から予算を持ってこれるか検討する
- 不要不急の施策へ投資している予算を削減して、使える予算を捻出する
上記のような取り組みを図れる余地が無い場合は、そもそも広告で目標達成をすることが難しいと考えられるため、SEOやSNSなど、より少ない予算で実施できる施策が無いか検討することをおすすめします。
設定した日予算よりも多く配信されるのはなぜ?
Google広告を配信していると、設定した日予算より多く広告のコストが消化されるケースが散見されます。
結論からお伝えすると、上記は媒体の不具合などではなく、Google広告の予算の仕様が関係しています。
Google広告では、機械学習が「設定した予算を超えてでも高いパフォーマンスが期待できる」と判断する場合は、設定した日予算の2倍程度まで配信されることがあります。
一方、1か月の広告配信金額は、設定した日予算×1か月の平均日数(30.4)を超えて請求されることはありません。
まれに1日および1か月の上限費用を超えて広告が配信されることがありますが、これらの上限を超えた金額はGoogleが負担する形となるためご安心ください。
まとめ:予算を最適化してGoogle広告の成果を向上させよう
広告予算は、はじめて広告配信をする場合はどの程度かけるべきなのか判断が難しく感じることもあると思います。
Google広告は最低出稿金額を設けておらず、検索キャンペーンなどはキーワード選定によって広告出稿の範囲を限定できるので、まずは少ない金額からスモールスタートで効果検証するのもおすすめです。
一方、予算が少なすぎると機械学習の促進に必要なコンバージョンデータが蓄積できず、Google広告の強みである自動化機能を活用しきれずパフォーマンスが停滞する可能性もあります。
そのため、Google広告を配信する際は、できるだけ事前に費用対効果をシミュレーションした上で、適正予算を投資するのが理想です。
Google広告にどれぐらい予算をかけるべきか不明な場合は、弊社オーリーズにお気軽にご相談ください。
弊社はこれまで業種や予算規模を問わず、100社以上のGoogle広告アカウントの運用経験があるため、貴社の商材や目標、ターゲットなどの個別事情をふまえて最適な予算をご提案いたします。
Google広告の予算計画・シミュレーションに困ったら…
戦略設計から課題にコミットする「オーリーズ」
Google広告の予算を考えてみても、自社の状況に合っているかしっくりこない…
そんな悩みなら、担当者数をしぼり1社にしっかり向き合うオーリーズへ
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