P-MAXのアセットは「組み合わせ」で考える|既存アセットを組み直したら、獲得の主力になった話
Google広告のP-MAXでは、アセットやシグナルを充実させ、共通のテーマに沿ってアセットグループを作ることが推奨されています。
ある支援で、それまで広告の中心にしていなかった「料金情報」に着目し、既存のアセットを活かして組み合わせを見直しました。その結果、新しく作ったアセットグループが獲得の主力となり、P-MAX全体のCVの約7割を占めるようになりました。
同じアセットでも、どう組み合わせるかによって、配信のされ方は大きく変わります。今回は、その判断と結果を紹介します。
※事例の性質上、クライアント名や商材は伏せていますが、掲載している数値は実際のデータです。
目次
検索語句から料金訴求を捉え直す
Google広告で、検索広告とP-MAXを並走させていました。P-MAXは、サービスの主な強みを中心に、一つのアセットグループで配信していました。
アセットグループは、画像や見出し・説明文など、広告として組み合わせるアセットをまとめる単位です。
今回見直したのは、どの訴求を軸にアセットを組み合わせるかです。きっかけは、検索語句の実績でした。
このサービスでは料金の安さを主力の訴求としておらず、広告でも料金情報は補足的な伝え方に留めていました。一方、検索語句を確認すると、料金を軸にサービスを探す検索からも、一定数のCVが発生していました。
そこで、料金情報からサービスを探す人に向けて訴求を整えれば、さらに獲得を伸ばせるのではないか。この仮説を検証するため、アセットグループを新たに作りました。
料金訴求を軸に、アセットを組み直す
既存のアセットグループは残したまま、料金訴求を軸とする新しいアセットグループを作りました。
見出し・説明文は料金情報を軸に組み直し、一部を追加・調整。検索テーマも、料金を重視する人の探し方に合わせました。
たとえば、「初心者への手厚いサポートが強みのスポーツジム」を例に取ると、次のようなイメージです。
| 既存のアセットグループ | 新しいアセットグループ | |
|---|---|---|
| 訴求の中心 | 運動が苦手でも始めやすい | 月額○円でジムに通える |
| 画像 | 初心者向け、サービス紹介、料金など複数の画像 | 既存画像のうち、料金が伝わる画像を中心に流用 |
| 見出し・説明文 | 「初めてのジム通いをサポート」など | 「月額○円から始めるジム通い」など |
| 検索テーマ | 「ジム 初心者」など | 「ジム 安い」など |
料金に関する画像や広告文は、既存のアセットグループにも入っていました。今回はそれらを活かしながら、料金訴求を軸に見出し・説明文や検索テーマを組み直しています。
新しいアセットグループが、CVの約7割を獲得
新しいアセットグループを追加後、配信は大きく変わりました。
| アセットグループ | 広告費 | CV | CPA |
|---|---|---|---|
| 変更前・既存 | 3,931,284円 | 973件 | 4,042円 |
| 変更後・既存 | 1,088,864円 | 280件 | 3,884円 |
| 変更後・新規 | 2,558,614円 | 697件 | 3,673円 |
| 変更後・P-MAX全体 | 3,647,477円 | 977件 | 3,734円 |
変更後28日間で、新しいアセットグループは697件のCVを獲得。P-MAX全体の約71%を占めます。
とくに大きく配信が変わったのが、既存のアセットグループから流用した画像です。
| 流用した画像を含む広告 | 広告費 | CV |
|---|---|---|
| 変更前・既存 | 1,312円 | 0件 |
| 変更後・既存 | 53円 | 0件 |
| 変更後・新規 | 957,508円 | 343件 |
既存のアセットグループではほとんど配信されず0CVだった画像が、新しいアセットグループでは343件のCVを獲得しました。
この結果だけで「組み合わせを変えたから配信が増えた」と因果関係までは断定できません。ただ、既存のアセットを活かして組み直した前後で、配信のされ方が大きく変わったことは確認できました。
新しいアセットグループは伸びたが、全体のCVはほぼ横ばい
ここで確認しておきたいのが、P-MAXやGoogle広告全体で見てもCVが増えたのか、という点です。
新しいアセットグループの配信は伸びましたが、全体でCVが大きく増えたわけではありません。変更前後で比較すると、P-MAX全体のCVはほぼ横ばいでした。
| P-MAX全体 | 変更前28日 | 変更後28日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| CV | 973件 | 977件 | +0.4% |
| 広告費 | 約393万円 | 約365万円 | -7.2% |
| CPA | 4,042円 | 3,734円 | -7.6% |
Google広告全体でも、変更前後で大きな変化は見られませんでした。
| Google広告全体 | 変更前28日 | 変更後28日 | 変化 |
|---|---|---|---|
| CV | 3,012件 | 2,950件 | -2.0% |
| 広告費 | 約1,372万円 | 約1,254万円 | -8.6% |
| CPA | 4,556円 | 4,250円 | -6.7% |
つまり、今回確認できたのは、新しいアセットグループによるCVの純増ではなく、P-MAX内で獲得の構成が大きく変わったことです。
検索面が減る一方、Discoverで獲得が増加
配信面を見ると、検索面の獲得が減る一方、それまで実績のなかったDiscoverでCVが発生していました。
| P-MAXの配信面 | 変更前のCV | 変更後のCV | 変更後のCPA |
|---|---|---|---|
| 検索面 | 743件 | 370件 | 3,396円 |
| Discover | 0件 | 397件 | 2,868円 |
※各28日間の比較。P-MAX全体には、YouTubeなどの実績も含まれます。
検索面で減った分に近い件数をDiscoverで獲得し、CPAも同期間の検索面を下回りました。
P-MAXは、キャンペーン全体の成果を高めるよう配信を最適化します。新しい構成では、Discoverへの配信を増やすほうが、全体の獲得効率を高められると判断されたと考えられます。
獲得先が変わったことで、CVの質が下がっていないかも確認しました。成約データは配信面別では分けられませんが、少なくともP-MAX全体で申込後に成約へ進む割合に悪化はありませんでした。
Discoverでの獲得を、全体のCV増につなげられるか
今回の結果から、次に確かめたいこともあります。
Discoverでの獲得を維持しながら、P-MAXで減った検索面の獲得を、並走している検索広告で補えれば、Google広告全体のCVを積み増せる可能性があります。
今回は予算の上限があり、検索広告への増額までは試せていません。Discoverでの獲得を維持したまま、検索広告で獲得を積み増せるか。ここは次に確かめたい点です。
アセットは、単体ではなく組み合わせで考える
P-MAXのアセットは、何を入れるかだけでなく、どの訴求でどう組み合わせるかまで考える。 今回の結果から得られた示唆です。
料金に関するアセットは変更前から入っていました。それでも、料金情報を補足的に扱っていたときと、料金訴求を軸にアセットグループを組み直したときでは、配信のされ方が大きく変わりました。
既存のアセットでも、どの訴求でどう組み合わせるかによって配信のされ方は変わり、別の獲得機会につながる可能性がある。今回のケースは、その一例だと考えています。
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この記事が、広告運用に関わる方の参考になれば幸いです。