クライアントが求めていたのは、成果の保証ではなく「一緒にやり抜く覚悟」だった

クライアントが求めていたのは、成果の保証ではなく「一緒にやり抜く覚悟」だった

広告代理店で仕事をしていると、お客様から「今期の目標、広告でどこまでいけそうですか?」とシミュレーションを求められることがあります。

あるとき、担当案件のお客様から連絡をもらいました。「目標と現状を整理してみたんですが、このままだと達成が厳しそうで…」とのこと。

一緒に数値を確認しましたが、残り半期で期初に設定した目標を達成するのは、確かに難しいラインでした。

その後、広告でどこまでやれるのか、シミュレーションを出してほしいと依頼をいただき、状況を整理した上で、二つのプランを提案しました。

実現可能なCPAで配信計画を組み、予測通りの結果をきちんとお返しできるが事業目標には届かない「現実的なプラン」と、現在のCPAを大きく改善することを前提に、目標達成を目指す「挑戦的なプラン」

二つのプランを出したものの、私としては「現実的なプラン」を推したい気持ちがありました。支援会社として、できないことを「できる」と言うのは無責任だし、本当にできることをちゃんとやりきるのが誠実さだと思ったからです。

とはいえ、どちらを選ばれても全力でやりきる。そう腹をくくって、判断をお任せしました。

結果として、お客様は「挑戦的なプラン」を選択されました。

確証がない中で、動き続けた

腹をくくったとはいえ、不安がなくなるわけではありません。

打った施策が思うように効かず成果が出ない週が続く。「これ、本当に達成できるのか…?」と不安になることもありました。

それでも、信じて任せてもらったからこそ、クライアントの期待には応えたい。

そのためにまず意識したのは、現在地を見せ続けることです。

「もう少し粘って、数字が改善してから報告しよう」。そう思いたくなる気持ちはありました。でも、数字が悪くても、施策がうまくいっていなくても、ありのままを共有し続けました。

たとえ上手くいかなかったとしても、「やれることは全部やった。隠し事もしなかった」と思える状態にしたかったんです。

そして、次の一手を出し続けることも心掛けました。施策が失敗したとき、「ダメでした」で終わらせない。

「ダメでした。だから次はこれを試します」と、必ず次のアクションをセットで出す。どんな小さなものでも、自分で考えたアイディアを必ず伝えました。

成果が出ない時期の定例ミーティングは、毎回気が重かったです。それでも、逃げずにお客様と顔を合わせて、数字を見せ続けました。

結果よりも、姿勢を見ていた

小さな改善を積み重ねた結果、いろいろな幸運も重なって、なんと半期が終わる頃には目標を達成することができたんです。

プロジェクトの区切りに、クライアントからフィードバックをいただきました。感謝の言葉をいただきつつ、それ以上に話してくれたのは、あの苦しかったプロセスのこと。

「序盤は結構キツかったじゃないですか。でも、いつもアイディアを持ってきてくれて、次の一手を示してくれた。常に前に進めようとしてくれているのがすごく頼もしかった」

もちろん、結果が出たからこそのポジティブなコメントだったとは思います。でも、クライアントが強調してくれたのは、「目標を達成したこと」よりも、「前に進めようとしてくれた」という姿勢のほうでした。

だとしたら、たとえ結果が出なかったとしても、同じような言葉をかけてくれたんじゃないか。そんな気がするんです。

苦しかった時期を振り返って

でも当時の私は、そう考えられませんでした。「できる」と言ったからには絶対にやらなければならない、できなかったら信頼を失う。支援会社として責任を全うしようとするほど、そういう思考に陥ってしまう。

でも、仮に目標を達成できなかったとしても、クライアントはパートナーを「できなかったじゃないか」と責めたいわけではないはずです。

このことは、上司と部下の関係で考えると分かりやすいかもしれません。

上司部下のように同じゴールを目指している間柄であれば、部下が「この目標に挑戦してみます」と言って、結果として達成できなかったとしても、「やれると言ったじゃないか」と咎めることはしないはずです。

同じゴールを目指しているクライアントと支援会社も、本来は同じはず。でも不思議なことに、「発注者」と「受注者」という役割の間では、その感覚が薄れていく。

「一緒にやり抜こう」という気持ちよりも、「確実なものを説明しなければ」という気持ちが先に立ってしまうんです。

もしあのとき、「挑戦的なプラン」を提案しつつも、「難しいと思います」という予防線を張っていたらどうなっていたか。本当の意味で信頼してもらえることは、なかったかもしれません。

一緒にやり抜こうとする覚悟

確証がなくても、「やりましょう」と言う。できるかどうかわからなくても、一緒にやり抜こうとする。それが、クライアントと同じ船に乗るということ。

この学びは、オーリーズでこれから一緒に働くメンバーとも大事にしていきたいです。お客様が求めているのは、成果の保証ではなくて、一緒に戦い抜こうとする姿勢であり、覚悟なんだと思います。

この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト

挾土 結衣

新卒で大手クレジットカード会社へ入社し、新規CS部門の立ち上げを経験。日々お客様応対をするなかで、より深くお客様の課題に向き合い、戦略立案から実行まで一気通貫で支援できる人材になりたいという想いをきっかけに、デジタルマーケティング領域に興味を抱く。オーリーズの顧客と真摯に向き合う支援スタイル、アジャイルマーケティングの考え方に共感し、入社を決意。

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