広告運用者の採用で「誤字脱字」が気になる理由

広告運用者の採用で「誤字脱字」が気になる理由

私はCHROとして採用に関わっていますが、広告運用コンサルタントの採用で特に重視していることがあります。それは「細部への注意力」です。

もちろん、論理的思考力や批判的思考力といった能力も不可欠なのですが、広告運用という仕事の特性上、「注意深さ」も同じくらい大切な要素だと考えています。

なぜ広告運用は「注意深さ」が重要なのか

広告運用コンサルタントは、クライアントの広告の配信設計や運用をおこなう仕事です。注意深さが足りないと、日々の業務でこんなことが起きる可能性があります。

  • 日予算の桁を間違えて、想定以上の配信が発生
  • 配信地域の設定ミスで、ターゲット外への大量配信
  • キャンペーン期間の設定ミスで、終了後も配信が継続

クライアントの予算を預かる仕事である以上、本来はどれもあってはならないミスです。しかし、人間である以上は、こうした些細なミスを完全に防ぐことは難しい。

とはいえ、仮にこのような事故が発生した場合、どんなに成果を積み上げていても、たった一つのミスで信頼関係はリセットされてしまいます。

広告運用は「100-1=99」ではなく「100-1=0」になる可能性がある仕事なんです。

「履歴書の誤字脱字」で採用に迷いが出た

以前、最終面接で悩んだケースがありました。優れた経歴をお持ちで、ケーススタディでも優れた提案をされた候補者の方。面接での印象も良く、人事やマネージャーは採用に前向きでした。

ただ、私にはひとつ気になる点がありました。履歴書を改めて見返すと、誤字脱字が複数あったんです。会社名の誤記、学歴の年表記のズレ、てにをはの脱字など。それぞれは小さなミスでしたが、複数見つかりました。

履歴書は、自分のペースで何度でも見直しができる書類です。個別事情はあるとしても、提出までに時間的余裕もあり、必要なら第三者にチェックを依頼することもできる。

落ち着いて準備できる環境でミスが残るのであれば、プレッシャーのある現場でミスを防ぐことは、さらに難しくなるかもしれない。当時の私はそう考えました。

個人の意識ではなく、チームでミスを防ぐ

もちろん、履歴書の誤字脱字だけで採用を判断しているわけではありません。面接での受け答え、ケーススタディでの思考プロセス、過去の実績など、様々な要素から総合的に判断しています。

履歴書の誤字脱字は、あくまでその中の一つ。ただ、時間をかけて準備できる書類だからこそ、そこでの丁寧さには普段の仕事への向き合い方が表れやすいと感じています。

また、私たちが求めているのは「完璧な人」ではありません。ミスが起きるかもしれないと立ち止まれる人、危険を察知するセンサーを働かせられる人です。

チームで仕事をする以上、一人で完璧を目指す必要はありません。私たちは、個人の意識に任せるのではなく、組織でミスが起きないようにする仕組みや、チームで助け合う文化も大切にしています。

信頼を守るために、私たちが大切にしていること

広告運用は、クライアントからの信頼の上に成り立つ仕事です。その信頼を守り続けるために、私たちは採用で「注意深さ」を重視しています。

履歴書に誤字脱字があったからといって、それだけで判断しているわけではありません。でも、なぜミスが発生するのか、どう防げるのかを一緒に考えられそうな方かどうかは重視しています。

「100-1=0」になりうる仕事だからこそ、細部への注意力が大切。同時に、組織で助け合える関係性も大切にする。

完璧な採用基準は存在しません。でも、クライアントの信頼に応え続けるために、人材採用にはこだわりたい。それが私たちの考えです。