Meta広告のアドフラウド ── リンククリック最適化がBotクリックを増やしたケース

Meta広告のアドフラウド ── リンククリック最適化がBotクリックを増やしたケース

あるMeta広告のアカウントで、1ヶ月に5,500件のCVがついていました。実際の成果につながっていたのは、そのうち20件ほど。残りの多くは、Audience Networkに紛れ込んだBotのクリックでした。いわゆるアドフラウドです。

今回共有したいのは、アドフラウドの発生そのものではなく、Botクリックが増えた要因のほうです。浅いCVポイントと媒体の最適化が組み合わさったことで、Botのいる面へ配信が寄る構造になっていました。

同じような設定で配信しているケースも考えられるため、経緯と対策を共有します。(事例の性質上、クライアント名や業種は伏せていますが、掲載している数値は実際のデータです。)

LINEへの遷移クリックを、CVポイントにしていた

あるサービスで、求職者を集める目的でMeta広告を配信していました。

応募までの導線は「広告→LP→LINE友だち追加→応募」。LPから直接応募を取るのではなく、いったんLINEの友だちになってもらい、そこから応募につなげる設計です。

LPから直接応募したユーザーと比べて、LINEを経由したユーザーのほうが、応募後の歩留まりが良い傾向にあったためです。

本来なら、友だち追加そのものをCVポイントにしたいところです。ただ、友だち追加はLINEの中で完結するため、その成果をMeta広告側に返すには、専用ツールを介したCAPI連携が必要。

このアカウントはまだ運用基盤を整えている段階で、CAPI連携の設定には時間がかかる見込みでした。

そこで初期段階は、LP上にある公式LINEへの遷移ボタンのクリックをカスタムコンバージョンとしてCVポイントに設定。(この記事では「リンククリック」と呼びます)

連携が整い次第、最適化対象をLINE友だち追加に切り替える前提で配信していました。

CVは5,500件、友だち追加は20件だった

配信中に違和感があった広告セットについて、対象期間を1ヶ月で集計すると、次のような配信実績でした。

  • CTR:26%
  • CPC:3円
  • CV(リンククリック):5,500件

リンククリック最適化なので、CV件数が多くつくこと自体は想定どおりです。想定と違ったのは中身でした。

同じ期間のLINE友だち追加と突き合わせたところ、広告経由と確認できたのは20件ほど。5,500件のCVのうち、友だち追加まで進んだのは0.4%です。

CTR26%・CPC3円も、人間のクリックとしては違和感のある数字でした。はじめは計測の不備を疑いましたが問題はなく、この時点でアドフラウドの可能性が高いと判断しました。

残る問題は出どころです。GA4とMetaの管理画面を突き合わせると、はっきりしていました。

  • Meta広告経由のセッションは、iPhone比率が2%(国内のモバイルWebトラフィックは約6割がiOS・StatCounter調べ¹
  • セッションの上位は、型落ちのAndroid端末
  • 平均エンゲージメント時間は2秒
  • クリックの9割がAudience Networkに集中。CTR24%・CPC4円の異常値もAudience Networkだけ(それ以外の配置はCTR1.9%・CPC87円)

そこで、Audience Networkの配信を停止しました。前後の変化がこちらです。

AN停止前AN停止後
CV(リンククリック)5,500件250件
広告経由のLINE友だち追加20件69件
iPhone比率2%23%
平均エンゲージメント時間2秒17秒
※停止前後それぞれ約1ヶ月間のデータを集計(コストは前後で同規模)。

見かけのCVは約20分の1になりました。数字の上では悪化です。でも、実際の成果である友だち追加は3倍以上に増えた。Botのクリックが減少し、人間のアクセスが増えた結果と見ています。

浅いCVポイントが、Botのいる面へ配信を寄せていく

Audience Networkに、広告収益を目的としたBotトラフィックが紛れ込むことがある。これ自体は運用者の間では知られた話です。

通常は、BotのクリックがCVまで進むケースはそう多くありません。そのため、媒体はBotがいる面を「成果が出づらい面」と学習し、配信を減らしていくはずです。

では、なぜ今回はAudience Networkに配信が寄っていったのか。

影響していたのは、CVポイントの「深さ」だと考えています。

媒体の最適化は、CVが出る面へ配信を寄せ、出ない面への配信を減らす仕組みです。そしてこの仕組みは、CVポイントの深さによっては悪い方向に最適化されてしまう可能性もあります。

  • CVポイントが深い場合(購入、フォーム送信など):BotはCVまで偽装しづらい。Botのいる面には成果がつかず、配信は自然に離れていく
  • CVポイントが浅い場合(ページビュー、リンククリックなど):Botでも偽装しやすい。Botのクリックが「成果」として学習され、Botのいる面へ配信が寄っていく

今回は後者でした。BotのクリックがそのままCVになり、媒体はAudience Networkを「成果の出る面」と学習する。配信が寄り、CVが増え、さらに寄る。

クリックの9割がAudience Networkに集中していたのは、こうした最適化の影響とみると説明がつきます。

ただ、確認できた事実は、「Audience Networkを止めたら数字が正常に戻った」ところまでです。リンククリック最適化が主因だったのかは、厳密には切り分けられていません。

それでも今回の挙動を見る限り、浅いCVポイントがBot由来のクリックを成果として学習させる方向に働いた可能性は高いと考えています。

CVポイントを深くするか、Audience Networkを外す

同じことは、どのアカウントでも起こりえます。見直すポイントは二つです。

  • ページビューやリンククリックなど、Botで達成できる浅いアクションをCVポイントにしていないか
  • 配信面にAudience Networkが含まれていないか

両方に当てはまるなら、Bot由来のクリックが成果として学習されやすい構造です。

まずは、フォーム送信や購入など、Botで偽装しにくい深いCVポイントへ変更できないかを検討してみてください。変更が難しい場合は、Audience Networkを配信面から外しておくほうが安全です。

配置別の実績と、GA4のデバイス比率・エンゲージメント時間。この二つを見るだけでも、Botの兆候はつかめます。

なお、今回のようなLINE導線では、より根本的な選択肢もあります。友だち追加をCAPI連携で媒体に送り返すツールも、この1〜2年で増えてきました。友だち追加そのものを深いCVポイントにできれば、この問題は構造ごと消えます。

同じような設計をしている場合は、見直しの参考になれば幸いです。


¹出典:StatCounter「Mobile Operating System Market Share Japan」(2026年6月時点)

Written by

オーリーズ編集部
株式会社オーリーズ