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- 上久保 南海
Microsoft広告の広告最適化アルゴリズムを疑い、手動で広告を絞ることで成果改善を目指した事例
自動入札を導入している広告アカウントでは、理論上は機械学習によってパフォーマンスの見込める広告に配信ウェイトが寄っていくことが一般的です。ところが、Google・Yahoo!広告ではうまく機械学習が促進されていても、Microsoft広告だけ成果が悪い…といったケースも見られます。Microsoft広告で満足のいく広告成果を実現するためには、Google・Yahoo!広告の設定や運用方法を踏襲するだけでは不十分な場合もあります。
今回は、Microsoft広告においてパフォーマンスの高い広告に配信ウェイトが寄っていかない状況が続いていた中で、広告アセットの本数を絞ることで成果改善につながった事例をご紹介します。
この事例を通してお伝えしたいのは、(Googleと比べて)機械学習精度の低いMicrosoft広告では、あえて媒体の推奨設定と異なる打ち手を試すことで成果改善につながるケースがあるということです。
今回はクリエイティブの最適化を例にしていますが、他の類似ケースでも転用できる考え方です。Microsoft広告の運用で頭を悩ませている方はぜひ参考としてご覧ください。
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事例の概要
まず、今回ご紹介する事例の要旨からお伝えします。
今回は、Microsoft広告において、広告アセットの本数を削減することでパフォーマンスの高い広告の配信ウェイトを増加させることができ、結果としてCPAを低減させながらCV増加につながった事例をお伝えします。
手動で広告アセットの本数を絞ることは媒体の推奨設定に反するアクションではあるのですが、Google広告など他媒体の配信データを参考に仮説を立て、意図をもった打ち手を実行したことで当初狙っていた通りの状況を作りだすことが出来ました。
Microsoft広告で見られがちな独特の事象
とあるBtoBクライアントの広告運用支援で、Microsoft広告でRDA(レスポンシブディスプレイ広告)の配信を行っていました。該当のアカウントでは自動入札(コンバージョン数最大化)を導入していたため、機械学習が有効に機能していれば、理論上はCTR×CVRの高い広告に配信ウェイトが寄っていくはずです。
実際にGoogle広告ではパフォーマンスの高い広告に配信ウェイトが寄っている状態が続いていたのですが、Microsoft広告ではなぜか広告のパフォーマンスに関わらずIMPが均等に差配される事象が続いており、広告アカウント全体の改善点のひとつとして議論をしていました。
💡参考情報
手動入札で運用しているキャンペーンでは、クリエイティブローテーションという機能を有効にすることでパフォーマンスの高い広告に配信ウェイトを寄せることが出来ます。
今回の事例のように自動入札戦略を設定している場合、クリエイティブローテーションは無視されるため設定しても意味はありません。(参考:Microsoft広告ヘルプ)
上記の事象から考えられる仮説
媒体社からクリエイティブ最適化ロジックの詳細は開示されていません。そのため、これまでの運用経験に基づいた推測になりますが、コンバージョン数最大化(自動入札)を設定している場合、本来はCTR×CVRを最大化するように機械学習が働くはずです。
しかし、Microsoft広告では自動入札を導入しているにもかかわらず、広告のインプレッションが均等に配信されているという現象が見られ、違和感をおぼえました。
入札戦略/アセット/LPなど、Google広告とMicrosoft広告間で大きな差分は無い状態だったので、何らかの理由で、Microsoft広告では機械学習がうまく働いていない可能性があるのではないか?と仮説を立てました。
実施した施策
上記の仮説に対し、Google広告でCTR×CVRが高い広告に機械学習が最適化しているのは、RDA内のアセット表示の組み合わせが上手くいっているからではないかと考え、今回は試験的にGoogleの媒体評価が高い広告アセット以外のアセットを削除し、Microsoft側のRDAで表示できるアセット本数を絞ってみました。
一般的には、自動入札を導入している場合にアセットの本数を絞ることは非推奨とされていますが、今回はGoogle広告でパフォーマンス「最良」「良」以外のアセットを、Microsoft広告側では削除しました。
結果と考察
今回の施策は試験的な検証であり、データのN数が少ないため鵜呑みには出来ないですが、Microsoft広告でCTR×CVRが最も高いRDA③の配信ウェイトが大きくなりました。結果として、配信量が増加する中CPAを維持した状態でCV数を1.2倍まで増加させることができました。
今回の事例を通じた学びとしては、GoogleやYahoo!と比べて機械学習の挙動に癖のあるMicrosoft広告では、状況によって手動入札で運用するなど、媒体の推奨設定とは異なる方法で運用したほうが成果に繋がるケースもあるということです。
明確な失敗を防ぐうえでは、媒体の推奨設定を忠実に守り、原理原則にのっとった運用を行うことも重要ではあると考えるものの、今回のように媒体の機械学習がうまく機能しないケースもあるため、その場合は仮説ありきで媒体の推奨設定とは異なる運用にチャレンジする価値があると思います。
まとめ
広告運用で成果に繋げるためには、媒体の機械学習ロジックや推奨設定の理解など、原理原則を押さえることが重要ですが、配信データを観察し、機械学習の挙動を読みながら運用者の手でうまく制御していくことも大切です。
Google広告をはじめとする運用型広告では、近年自動化が進んでおり運用者の介在価値が無くなってきているという話もありますが、プロダクト開発が進歩過程にあるMicrosoft広告においては、まだ自動入札に任せきるという判断は難しい場面も出てきます。
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