アドエビスを活用して広告の間接効果を評価する方法

アドエビスを活用して広告の間接効果を評価する方法

マーケティングや広告に関わっている人であれば、潜在層ユーザー向けの広告施策の評価方法において、悩みを抱えた経験があるのではないでしょうか?
検索広告など顕在層ユーザー向けの施策はコンバージョン数やCPA(獲得単価)で評価できますが、潜在層ユーザー向けの広告施策では認知度や商品想起率の変化など、結果が見えづらいために施策中止となってしまうケースが多く見られます。

今回、潜在層ユーザー向けの広告施策において「コンバージョンへの貢献度」をより精度高く評価する方法として計測ツールの「アドエビス」を用いた間接効果の分析手法について紹介します。「アドエビス」を用いるため、媒体を問わずに実施可能です。是非参考にしてみてください。
参考:アドエビス(公式)

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間接効果とは

ユーザーがコンバージョンするまでに接触する広告は1つとは限りません。例えばSNSで広告に接触した後、ネットで検索をして検索広告でコンバージョンすることも考えられます。この場合の、検索広告でのコンバージョンを「直接効果」、それをアシストしたSNS広告を「間接効果」と言います。

参考:間接効果測定とは?(アドエビス公式)

間接効果を測定したい理由と評価の観点

今回、光回線サービスを提供する事業会社の支援において、新商品の提供開始に伴う広告の配信先を選定していたのですが、新商品であり認知度が低いため、検索広告だけでなく「Googleファインド広告」のような潜在層ユーザー向けの広告配信を計画していました。

一般的に、ファインド広告は検索広告と比較して獲得効率においては劣るため、クリック数など別指標を評価軸とすることが多いです。しかし、今回はファインド広告の継続要否を判断するために、コンバージョンへの貢献度(間接効果)を評価する必要がありました。

参考:ファインド キャンペーンについて(公式ヘルプページ)

間接効果の評価に用いた2つの観点

潜在層ユーザー向けの広告施策の評価では、以下2つの視点でコンバージョンへの貢献度(間接効果)をより精度高く評価できると考えました。

1.初回認知の貢献度

ファインド広告は性質上、ユーザーがクリックした後にそのままコンバージョンまで進みづらく、最終的なコンバージョンはオーガニックや検索広告など、別の流入元から発生するケースが多いです。
しかし、初回の認知はファインド広告によるものである場合、最終的なコンバージョンに貢献していると言えます。特にファインド広告は配信面が多くCPM(Cost Per Mile:広告が1000回表示されるごとにかかるコスト)も低い媒体であることから、コンバージョンのうち初回接触がファインド広告であるケースも少なくないと考えました。

2.デバイスをまたぐケース

例えば、通勤中に広告をクリックして商品を認知したものの、じっくり検討する時間がなくその場ではコンバージョンまで至らなかったユーザーも、休日に広告を思い出しパソコンで検索し直すというケースも考えられます。
つまり、デバイスが違う場合でもユーザーが同じである場合は、ファインド広告のクリックがコンバージョンに貢献していると判断できるよう、クロスデバイス分析を用いる必要があると考えました。

「アドエビス」を採用した理由

GoogleAnalyticsでもコンバージョン経路の分析を行う機能はありますが、最終的なコンバージョンに対してそれぞれの広告接触がどの程度貢献しているか分析することは難しいため、今回はより正確性の高いデータを計測するために「アドエビス」を使用しました。
なお、GoogleAnalyticsは、複数の広告媒体を効果測定している場合、計測結果が過小に評価されることがあるので注意が必要です。(GoogleAnalyticsが広告経由の流入と判断することができず、Direct(直接流入)としてコンバージョンが計測されてしまうケースがあるため)
「アドエビス」であれば、最新のCookie規制にも対応した高精度なデータ計測が強みです。ファーストパーティーCookieを活用したデータ計測が可能なため、広告クリックからの流入として正しくコンバージョンを計測することができます。
参考:アドエビスとGoogleアナリティクス(GA)を比較!違いを詳しく解説

「アドエビス」を用いた間接効果の計測方法

上記2つの観点をケアしながら同時に評価可能な「アドエビス」を用いた評価方法です。

1.「初回接触重視」で評価を重み付ける

「アドエビス」では接触タイミングごとの評価の重み付け(コンバージョンモデル)を以下から選択できます。

  • 均等配分‥全接触に均等に成果を配分します
  • 初回接触重視‥初回接触に80%の重みづけを行い、残り20%を他の接触で均等配分します
  • ラスト接触重視‥直接効果に80%の重みづけを行い、残り20%を他接触で均等配分します
  • 初回/ラスト重視‥初回/初回接触に40%、直接効果に40%、残り20%を他接触で均等配分します
  • カスタム‥自身で自由に成果を配分できます

今回の検証では、ファインド広告の評価であれば「初回接触重視」を用いることで、ファインド広告の接触におけるコンバージョンへの貢献度(間接効果)を評価できると考えました。
参考:再配分CVモデル設定(アドエビス公式)

設定方法

  • アドエビスホーム画面右上の設定/管理>基本設定>システム設定を選択
  • 表示オプションを選択のうえ、再配分コンバージョンモデルの編集(キャプチャ箇所)を選択
  • 任意のコンバージョンモデルを選択し、「OK」をクリック

参考:再配分CV算出モデルの係数を設定する(アドエビス公式)

2.クロスデバイス機能

「アドエビス」ではCookie情報(以下ユーザーID)で同一ユーザーのアクセスを紐づけていますが、デバイスやブラウザが変わると付与されるユーザーIDも変わるため紐づけが分断されてしまいます。しかし、「アドエビス」の「クロスデバイス機能」を利用すると、2つの方法により分断されたアクセスを紐づけることができます。

  • 機械学習
    • 「アドエビス」が収集したアクセスデータを、機械学習を使って分析することで、分断されたアクセスが同一人物かどうかを予測
  • ユーザー名
    • 「サイトの会員ID」などをコンバージョン属性のユーザー名に反映することでユーザーIDは違うが同じユーザー名のコンバージョンを同一人物からのアクセスと判定
    • ユーザー名はコンバージョン属性取得用タグを設定しサイトから取得しておく必要があります。詳細な設定方法はこちらをご確認ください

参考:クロスデバイス機能(アドエビス公式)

設定方法

  • 「機械学習」または「ユーザー名」から紐づけルールを選択する
    • アドエビスホーム画面右上の設定/管理>基本設定>システム設定を選択
    • 計測オプションを選択のうえクロスデバイス紐づけの編集(キャプチャ箇所)を選択
    • 「機械学習」または「ユーザー名」どちらかを選択し、「OK」をクリック

参考:クロスデバイス機能の仕様、画面確認方法、設定方法について(アドエビス公式)

集計結果の確認方法

  • フィルタで[クロスデバイス>分析結果を反映する]にチェックを入れて「OK」をクリックの後にフィルタを「適用」することでクロスデバイスの分析結果が画面に表示されます

注意点

クロスデバイス分析は機械学習の都合上、管理画面への反映までに数日必要です。
画面右上の時計マーク(反映時間)をクリックすると、過去いつまでの分析がどの紐づけルールで完了しているかを確認できます。
例えば2023年9月24日現在、確認すると下記キャプチャの通り、2023年9月18日までの機械学習による紐づけは完了しているということになります。

参考:クロスデバイス分析完了後の集計結果確認方法(アドエビス公式)

結果

今回の「初回接触重視×クロストラッキング」での評価では、ラストクリックコンバージョン(クロストラッキングなし)と比較してコンバージョン数の増加率が+324%となりました。
検索広告、P-MAXなどの施策は同様の評価を行ってもコンバージョン数の増加率は約100%~150%となっており、ファインド広告が最も変化率が大きい結果となっています。
これまで評価することが難しかったファインド広告の間接効果を、アドエビスを用いて可視化することが出来ました。

なおコンバージョンモデルを均等配分にすると増加率は236%に収まっており、ファインド広告はその性質上、初回接触によりコンバージョンに貢献している割合が高いことが判明しました。

まとめ

ファインド広告を始めとする潜在層ユーザー向けの広告施策は、その性質上ラストクリックでのコンバージョンが発生しづらく「直接効果」のみでは評価・判断が難しいケースが多いです。
今回紹介した「間接効果」での評価方法を取り入れることでより精度高く評価を行えると思いますので、広告施策の間接効果をどう評価すべきか悩んでいる方は是非施策評価に活かしてみてください。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト/チーフ

深堀 智広

新卒で株式会社ジェーシービーに入社し、海外旅行者のJCBカード利用促進に寄与する施策の立案、およびそのWEBマーケティング業務に従事。 WEBマーケティングに関する専門性の高いスキルを身に着け、顧客の課題解決ができる人材へ成長したいという想いから転職を決意。 数ある広告代理店の中でも「マーケティング戦略の立案から実行までを一貫して担うことで、はじめて価値を発揮できる」という考えに共感し、オーリーズへ入社。

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