インハウス広告運用におけるチーム組成のコツ

インハウス広告運用におけるチーム組成のコツ

はじめに

この記事ではインハウスで広告運用を実現する際に、抑えておきたいチーム組成の考え方について解説します。インハウスの体制、人員と役割の解説、インハウス化のよくある質問を紹介しています。

本記事の対象者

本記事で対象とするのは、広告代理店を利用して運用型広告を実施している方で、

  • インハウス化を検討しているが、何から始めればいいか迷っている
  • 中長期的な成長を見据え、広告運用をインハウスで行いたい
  • そもそもインハウス体制がどのようなものか知りたい

などの課題を抱えている方を想定しています。

運用型広告を実施したことがなく、新たにインハウスでの運用を開始したい方や、既にインハウスで運用を行っている方には対象外となる内容となっています。ご了承ください。

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インハウスの体制

まずは、インハウス運用における体制について解説します。

インハウス運用を検討している皆様は「インハウス=すべて自社で完結させるもの」と思っていませんか?

以前は「広告代理店などのパートナーへの委託」か「全て自社で完結させる」の2つが主流だったため、インハウス運用=全て自社で行うというのが一般的なイメージでした。

しかし、運用型広告の環境変化(例:クッキー規制、自動入札、BI/ダッシュボードの普及など)と共にインハウスの体制も変わってきました。たとえば、海外では「回答者の97%がデジタルマーケティングの少なくとも一部を内製化」というデータなどがあります。

(引用:https://inhouse.bannerflow.com/state-of-in-housing-2022-report/

現在のインハウス運用は、大きく分けてヘビー型、ミドル型、ライト型の3つの体制があります。

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それぞれの特徴をご紹介します。

ヘビー型インハウス(自社完結型)


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「インハウス運用」と言われて一番イメージされる体制になります。

ヘビー型は、自社で戦略立案から運用作業までを一貫しておこなう体制です。運用の柔軟性や俊敏性が高く、もっとも自社のビジネスやターゲットに適した運用が可能です。外部の情報収集や人材の採用・育成が課題になりやすく、固定コストは増大します。

ミドル型インハウス(パートナー併用型)


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ミドル型インハウスは、運用作業は自社にて行うが、戦略づくりや施策の立案などは外部パートナーのサポートを得る体制です。ヘビー型インハウス同様に運用の柔軟性や俊敏性は高いです。

運用作業を委託しないため、外部パートナーはコンサルティングの形態でサポートするケースが多くなります。

ライト型インハウス(パートナー協働型)


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運用作業や施策の立案などをパートナーに委託する体制です。いわゆる「運用代行」との違いは「自社で判断、決断する能力を持ち、主体的に広告運用に関わっている」という点が異なります。

自社でデータを保有し、成果や施策の良し悪しを評価できる知識を持ち、戦略~作戦レイヤーを主導します。

インハウス体制を決める際に覚えておきたいポイントは、休職や異動、広告成果などの事情によって常に体制が変化しやすいということです。

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したがって、一度決めたインハウス体制をずっと維持するのではなく、柔軟に体制を変化させながらチームを運営することが重要です。このようにインハウス運用では変化に対応する柔軟性が求められます。そして、インハウスを維持するには外部パートナーとの連携が不可欠です。

人員と役割

次にチームメンバーの人員と役割について解説します。まず、インハウスチームを組成する際に抑えておきたいポイントは、以下の①~④です。

①目的

どのような目的でインハウス化を行うのか初めに明確にしておきましょう。

目的が曖昧な場合、インハウスチームで必要なリソースや体制が不明瞭な状態になってしまいます。

②環境

現在の運用型広告の状況を整理しましょう。

出稿媒体数、予算、レポーティング環境、クリエイティブ制作環境、手数料などの要素を考慮します。たとえば、現行代理店がクリエイティブ制作も担当している場合、インハウス化においてはクリエイティブ制作の体制も検討する必要があります。引継ぎの際に漏れがないように注意しましょう。

③リソース

チームのメンバーは、専任か兼務か、増員か新規採用か、あるいは業務委託など事前に検討し、どの程度リソースを確保できるのか把握しておきましょう。また、チームを立ち上げたばかりの時期は、広告運用業務にリソースの70%を割り当てることが理想的です。チームメンバーが業務に慣れるために必要な時間や急な成果悪化への対応を考慮し、余裕を持った工数を確保することが重要です。

④役割

運用型広告の成果を拡大するために、インハウスまたはプロジェクトに従事するメンバーには、以下の役割が必要です。

役割必須/任意主な業務
プロジェクトマネージャー必須戦略・戦術立案、KGI、KPI設定、予実管理…など
広告運用者必須日々の入札調整、入札作業、モニタリング…など
デザイナー、クリエイター任意広告バナー、LP・サイト、動画の作成…など
エンジニア任意自社データの活用、APIを使用したレポートの自動化、タグ設定…など
ダッシュボード構築者任意データ分析用のダッシュボードの構築

プロジェクトマネージャーと広告運用者の2名は、インハウスで広告運用を行う上で必要です。もちろん広告予算と媒体数によっては、プロジェクトマネジメントと広告運用を1名で行う、あるいは広告運用者を増員するなど検討が必要です。

ここまでインハウスの体制と人員・役割について解説してきました。おそらく、読者の中には次のような疑問や懸念があるかもしれません。

  • インハウス運用って思ったより難しそう…
  • 社内リソース的に人員を確保するのは難しいかも…
  • 広告の知識がない状態でチームを組成するのは難しいのでは…

インハウス体制の実現には、たしかに高いハードルが存在するかもしれません。しかし、インハウス体制には大きなメリットがあります。

たとえば広告手数料の削減、社内ノウハウの蓄積、検証のPDCAの高速化、削減した手数料をツール導入などの体制強化に投資するなど。

だからこそ、インハウス体制の実現は短期的な取り組みではなく、中長期的に時間をかけて進めていく、という視点が大切です。最初から「ヘビー型」を目指すのではなく、まずは「ライト型」や「ミドル型」から始めていくことで、インハウス体制の実現可能性が高まります。

よくある質問

オーリーズは創業以来インハウス支援を行っており、その中で、よく頂くご相談の一部を紹介します。

  • インハウス化までどれくらいの期間がかかりますか?

    リソースが確保できる場合、期間だけで言えば最短1か月程度です。しかし、インハウス化して終わりではなく体制を維持することが重要です。中長期的な視点で無理のない体制を築いていきましょう。

  • 運用経験者がいません。それでも代理店から切り替えて、すぐにインハウス化できますか?

    はい、可能です。弊社では、広告運用の未経験者向けに座学やハンズオン研修を提供しています。また、アカウント移管前後のサポートも行っていますので、未経験者のチームでもインハウス運用が可能です。ただし、前述のように未経験者が兼務でインハウス運用を行う場合は、成果を安定させるまでの時間(理想的には工数の70%)をしっかりと確保してください。

  • インハウス化までの具体的な進め方が知りたいです

    進め方としては、主に2パターンです。

    1. 現行代理店から切り替えてすぐにインハウス化するケース
    2. 現行代理店からインハウス支援が可能な広告代理店にリプレイス後にインハウス化するケース

    それぞれイメージとしては、

種別リソース備考
①現行代理店→インハウス化・広告知識のあるメンバーが在籍
・メンバーの工数を十分確保できる
・代理店からアカウントを引き継げない場合、自社でアカウントの新規開設~運用、成果の安定化まで行う必要がある
②現行代理店→別代理店にリプレイス→インハウス化・広告知識のあるメンバーがいない
・メンバーの工数を確保できないが、インハウスを進めたい
・代理店からアカウントを引き継げない場合、リプレイス先の代理店がアカウント開設~運用、成果の安定化まで行う
・成果の安定化とリソースが確保できたタイミングでインハウス化を進めていく

他にも様々なご相談をいただきます。

  • 複数の広告代理店を利用中です。その場合、どのようにインハウス化を進めるべきですか?
  • 現代理店に対するディレクションに課題を感じており、インハウス化すべきか悩んでいます。

弊社では、中長期的なインハウス化に向けた広告運用代行支援や、広告運用業務の座学やハンズオン研修を提供しています。インハウス化を検討している方は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

ここまでインハウス体制、人員・役割について解説してきました。

最後に、本記事の内容を簡単にまとめると、

  • インハウス体制は「ヘビー型」「ミドル型」「ライト型」の3種類
  • 柔軟にインハウスの体制を変化させながらチームを運営することが重要
  • インハウス体制には外部パートナーとの連携が不可欠
  • チーム組成にはプロジェクトマネージャーと広告運用者の2名は必須
  • インハウス体制の実現は、中長期的な視点で取り組みことが重要

上記のポイントを抑えつつ、自社に合ったインハウス体制を検討してみてください。

もしインハウス化の実現に向けて、気になることがあればお気軽にお問い合わせください。

オーリーズでは、広告運用のインハウス支援を行っています。

「広告運用の担当者が退職したため後任を育成したいが社内にノウハウが無い」
「中長期の広告外注費を削減したいが、自社にとって適正な外注費がいくらか分からない」


このようなお悩みをお持ちの場合は、お気軽にオーリーズにご相談ください。

オーリーズではグループ会社のアタラと協業し、業界を問わず100社以上の広告運用のインハウス(内製化)支援を行ってきました。

将来的に広告運用の内製化を実現したい、既に広告運用は内製化しているものの社内にナレッジが少なく、セカンドオピニオン的な存在を求めている場合など、 オーリーズとアタラが貴社のインハウス体制の最適化に向けて伴走支援いたします。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

アドオペレーションズ・ストラテジスト

漏田 翔秀

新卒でWebマーケティング支援会社に入社し、広告運用やSEO業務を担当。その後、シンガポールの現地企業でマーケティングマネージャーを経験し、2018年にオーリーズに入社。人材、金融、不動産など多業種で広告主の事情に合わせた幅広い支援を提供。顧客に寄り添った支援を信条に、インハウス運用やクリエイティブ領域の支援も行っている。

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