Google広告でオンライン・オフラインデータを統合する4つの方法

Google広告でオンライン・オフラインデータを統合する4つの方法

株式会社サイカの発表した調査によると、広告宣伝担当者の「インターネット広告とオフライン広告とを横断・統合して分析したい」というニーズが、年々上昇傾向にあります。

引用:「企業の広告宣伝担当者212名に聞いた 広告の効果測定方法に関するアンケート調査 2020年版」

デジタルシフトにより、例えばBtoCならオンラインで広告を見たあとに実店舗で購入したり、BtoBならオンラインで問合せをしたあとに対面で取引が成立したりと、多くのケースでオンラインとオフライン施策が絡むようになっています。そして、その変化にともない、マーケティングテクノロジーの計測技術も進化しています。

このような背景から、オフラインアクションに対するWEB広告の貢献度の可視化や、オフラインデータをもとにしたWEB広告の最適化といったスキルが、広告運用の現場では求められています。

そこで今回は、Google広告においてオンライン・オフラインデータを統合する4つの方法についてご紹介します。

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オンラインデータとオフラインデータを統合する4つの方法

オフラインデータを加味してWEB広告の投資対効果を高めるために、まずはオンラインとオフライン双方のデータを統合して評価できる状態をつくる必要があります。
今回は4つの方法を紹介します。

  1. Google広告にオフラインデータをアップロードする
  2. Google Analyticsにオフラインデータをアップロードする
  3. Google Cloud Platformでオンラインデータとオフラインデータを突合する
  4. Ads Data Hubでオンラインデータとオフラインデータを突合する

下図は、それぞれのデータタイプやマッチングに必要な条件などを整理したものです。

1. Google広告にオフラインデータをアップロードする

まず、大まかな流れは以下のようなイメージです。(※オンライン上でフォームを送信するステップがある場合)

Google広告の管理画面にオフラインデータを直接アップロードする方法は、基本的には以下の4つです。

  • 手動アップロード
    CSV/Excel/Sheet形式でGoogle広告の管理画面上から手動でアップロードを行う
  • スケジュールアップロード
    GoogleスプレッドシートやHTTPかSFTP経由でのファイルの格納パスを利用し定期的なアップロードを行う
  • APIアップロード
    Google広告APIを利用し、コンバージョンのデータを送る
  • CRM統合
    Google広告の管理画面上から直接Salesforceのコンバージョンをインポートする
    マルケト、シュガーのようなCRMプロバイダーからインポートする

参考:オフライン コンバージョンのトラッキングを設定する
参考:広告のクリックを経由したコンバージョンのデータを Google 広告にインポートする

アップロードしたオフラインデータを加味してキャンペーンの最適化対象に設定するなど、Google広告で活用したい場合に利用します。

2. Google Analyticsにオフラインデータをアップロードする

続いて、オフラインデータをGoogle Analyticsにアップロードする方法です。
今回は「データインポート」と「Measurement Protocol」の2種類を紹介しますが、どちらもGA360を利用していることを前提としています。

データインポート

複雑な開発を必要とせず、ExcelやCSVなどをアップロードすることで、オフラインデータとGoogle Analyticsで収集されたオンラインデータを結合することができます。

以下、対象となるデータタイプです。

引用:データ インポートについて

例えば「ユーザーデータ」をインポートする場合、手順は以下となります。

  • ステップ 1: インポートするデータを決定する
  • ステップ 2: カスタムディメンションを作成する
  • ステップ 3: データセットを作成する
  • ステップ 4: CSVファイルを作成する
  • ステップ 5: データをアップロードする

参考:ユーザーデータのインポート例

インポートデータは、既に計測されているヒットデータにディメンションでデータ付与することができます。

Measurement Protocol

Measurement Protocolの概要は以下の通りです。

インターネット接続デバイスで発生したヒットを収集し、Googleアナリティクスに送信するための標準ルールセットです。
Measurement Protocolを使用して、インターネット接続デバイスからGoogleアナリティクスにデータを送信します。売店やPOSシステムなど、ウェブサイトとモバイルアプリ以外からGoogleアナリティクスにデータを送信する場合に特に役立ちます。ウェブサイトとモバイルアプリでのヒットは、GoogleアナリティクスJavaScriptとモバイル SDKが自動的に収集し、データをGoogleアナリティクスに送信しますが、その他のデバイスでは手動でヒットデータを収集しなければならないからです。Measurement Protocolを利用すれば、ヒットの生成方法とGoogleアナリティクスへの送信方法を定義することができます。

引用:Measurement Protocol

Measurement Protocolを使用することで、オフラインで発生した購買データなどをGoogle Analyticsにほぼリアルタイムで連携し、オンラインで計測しているCVと同じ扱いができるため分析/活用の幅が広がります。

参考:Google Analyticsにデータを送る方法(デベロッパーガイド)

普段から成果計測や分析で活用されることの多いGoogle Analyticsで統合管理したい場合に利用されますが、Measurement Protocolの設定にはコーディングが必須となるため、実装の際には注意が必要です。

3. GCPでオンラインデータとオフラインデータを突合する

Google Cloud Platform(以下:GCP)は、Googleアカウントがあれば誰でも簡単にアカウントを使用できます。
GCPでは、デジタル広告データ、3rd party計測データ、CRMデータなどをすべてBig Queryと連携し格納することが可能です。

また、BigQueryで集約したデータをデータポータルやtableau、DOMOといったBIツールでビジュアライズし、モニタリング環境を構築することで、オンラインとオフラインデータを加味した広告の費用対効果の可視化およびその作業工数を大幅に削減することができます。

以下、GCPを利用してオンラインデータとオフラインデータを突合し、広告の費用対効果を可視化する基盤を構築した弊社の事例です。

【glu×GCP×DOMO】実はカンタンに作れる!?LTV分析のダッシュボード基盤

上記の事例にも記載のとおり、GCPは「導入ハードルが低い」「費用が安い」「汎用性が高い」といった利点があります。またGoogle Analyticsとも自動連携することが可能なため、Big Queryを扱える場合においては有効なツールです。

4. Ads Data Hubでオンラインデータとオフラインデータを突合する

Ads Data Hubとは、プライバシーセーフな形でクライアントデータとGoogleデータを突合するクラウドベースの計測/分析ソリューションです。

Google側(広告ログデータなど)とカスタマー側(CRMなどビジネスデータ)の2つのBig QueryプロジェクトをAPIでリンクすることにより、プライバシーに配慮したかたちでオンラインデータとオフラインデータの突合を実現しています。

引用:Investing in the next generation of measurement on YouTube

Ads Data Hubの特徴として、プライバシー制限をかけて構築されているため、得られるのはレポート結果のみでユーザー単位でのローデータの抽出などは不可となっているなど、Googleが定義しているプライバシー保護のレベルを逸脱しない内容となっています。

アカウント設定の手順は以下です。

  • ステップ 1: Ads Data Hubアカウントを構成
  • ステップ 2: Google Cloudプロジェクトを設定
  • ステップ 3: Ads Data HubによるGoogle Cloudプロジェクトへの書き込みを許可
  • ステップ 4: ユーザーアクセスを提供
  • ステップ 5: Ads Data Hubアカウントにデータをリンク

参考:Account setup

Ads Data Hubは国内においては事例が少ないのが現状ですが、直近ではオーディエンスリスト作成ができるようになるなど、続々とアップデートが発表されています。また、Chromeでは2022年までには3rd party cookieの提供を廃止することが発表されており、昨今のプライバシー保護の潮流を鑑みると、今後の期待が高まるソリューションです。

さいごに

今回は、Google広告におけるオンラインデータとオフラインデータを統合する4つの方法についてご紹介しました。
データ統合により広告費用対効果を可視化し、そこから得ることのできる分析結果は、具体的なアクションにつながって初めて価値になるため、あらかじめ仮説や目的をもって取り組むことが大切です。

また、留意すべき点として、効果計測を含めたデータの利用については、プライバシーポリシーや、個人情報保護法の内容に則り、慎重に取り扱う必要があります。
これからもデータを取り巻く環境は変化していくことが予想されますが、広告運用者として、正しい知識のもと取り組んでいきたいと思います。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

マネージャー

川島 崇志

新卒にて株式会社PLAN-Bに入社、営業職としてキャリアをスタートし、様々な業種の広告主に対して、SEM、ウェブサイト制作やコンテンツマーケティングなど、Webプロモーションを経験。広告運用が日進月歩で高度化する中で、設計・運用・デリバリー業務と一貫して支援できるスキルの必要性を感じたことから、オーリーズに入社。 手段に囚われず課題を解決する運用者であることを自身のミッションとし、日々支援に臨む。

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