人材紹介広告で、面談につながるリードをどう増やすか ── CV値の重み付けとオフラインCVの比較検証
リード獲得型ビジネスでは、オンラインCVだけを増やしても、事業成果に直結するとは限りません。
特に人材紹介ビジネスでは、サービス登録の先に、架電、面談、成約といった後行程が続きます。
登録が増えても、面談につながらなければ意味がない。面談が増えても、その先の成果見込みが低ければ、最終的な事業成果にはつながりにくい。
だから広告運用では、登録だけでなく、「面談まで進むか」と「事業価値の高いリードが取れているか」をあわせて見る必要があります。
今回は、専門職種の人材紹介ビジネスで、広告媒体に「何を学習させるか」で、リードがどう変わったかを検証した事例を紹介します。
目次
「事業価値の高いリード」を、どう見ているか
まず、今回のケースで「事業価値の高いリード」をどう捉えていたかを説明します。
このケースでは、登録者の属性(雇用形態、入職時期、資格、年齢など)をもとにリードの質を点数化していました。ここでは、それを「エントリースコア」と呼びます。
具体的には、属性ごとに設定した「属性スコア」を掛け合わせて、登録ごとのエントリースコアを算出します。属性スコアは、過去の実績をもとに、その属性を持つリードが、どれくらい事業価値が高いと言えるかを表したものです。
たとえば、週2回のパート希望よりも、夜勤もできる常勤希望の方が、求人とのマッチ率が高く、成約時の単価も高くなりやすい。
エントリースコアは、そうした属性ごとの価値の違いをひとつの「ものさし」に集約した指標です。
どのキャンペーンで、エントリースコアの高いリードが集まりやすいのか。
登録単価は安くても、エントリースコアの低いリードに寄っていないか。
広告運用では、こうした観点でリードの質を判断していました。
媒体に「代理変数」を渡すか、「面談実績」を渡すか
今回の検証で確かめたのは、媒体に何を成果として学習させれば、面談への転換とエントリースコアを両立できるか、です。
比較したのは、2つの方法です。
1. コンバージョン値の重みづけ(以下、重みづけ)
重みづけは、エントリースコアをもとに、登録ごとに媒体へ返す価値に差をつける方法です。エントリースコアの高い登録ほど、価値の高い成果として媒体に学習させ、高スコアのリードが増えるように最適化します。
2. オフラインコンバージョン連携(以下、オフラインCV)
オフラインCVは、エントリースコアではなく、実際に面談へ進んだ実績データを媒体に返す方法です。面談に至った登録を成果として取り込み、面談につながりやすいリードが増えるように最適化します。
前者は、属性から見積もった「代理変数」を、後者は、実際に面談まで進んだという「実績」を媒体に渡します。
どちらも、単に登録数を増やすだけでなく、面談への転換率とリードのスコアを同時に高めるためのアプローチです。
それぞれに期待と懸念があった
2つの方法には、それぞれ期待と懸念がありました。
重みづけは、エントリースコアの高いリードは集まりそうです。一方で、高スコアのリードを優先しすぎて入札が上がり、かえって面談単価が高くなる懸念がありました。
逆に、オフラインCVは面談単価は良くなりそうな一方で、エントリースコアの低いリードに寄ってしまうのではないか、という懸念があった。
そこで、Google広告のテスト機能を使って、重みづけとオフラインCVを並行配信し、面談獲得とエントリースコアの両面で比較検証することにしました。
面談効率は上がり、懸念したスコアも落ちなかった
結果は以下の通りです。
なお、今回の検証は、登録が数千件、面談が数百件発生する規模で実施しています。
| 指標 | 重みづけ | オフラインCV | 変化率 (オフラインCV / 重みづけ) |
|---|---|---|---|
| 登録単価 | ¥22,254 | ¥22,269 | 100% |
| 面談転換率 | 15.07% | 21.21% | 141% |
| 面談単価 | ¥147,696 | ¥105,006 | 71% |
| 平均エントリースコア | 100 | 103 | 103% |
※平均エントリースコアは、重みづけを100とした指数です
まず、登録単価はほぼ同水準で、登録獲得の効率はほとんど変わっていません。
そのうえで、重みづけに対してオフラインCVは、面談転換率が141%、面談単価が71%と、大きな差分が出ました。
さらに意外だったのは、平均エントリースコアが落ちなかった点です。
面談実績だけで最適化したオフラインCVでは、エントリースコアの低いリードに偏ってしまうのではないか、という懸念は、今回の検証では結果として表れませんでした。
なぜオフラインCVは面談効率を上げつつスコアも崩さなかったか
では、なぜオフラインCVでエントリースコアが落ちなかったのか。
今回の検証だけで明確な理由までは言い切れませんが、結果の解釈として2つの仮説があります。
1. 面談に進みやすい属性と、高スコア属性の重なり
1つ目は、面談に進みやすい属性と、エントリースコア上、高く評価される属性が、一部で重なっていたことです。
たとえば、同じ入職時期の中で、常勤と非常勤・未定を比べると、常勤の方が面談転換率も属性スコアも高い傾向がありました。
| 区分 | 面談転換率 | 属性スコア |
|---|---|---|
| 半年以内 × 常勤 | 36.4% | 189 |
| 半年以内 × 非常勤・未定 | 18.5% | 24 |
| 1年以内 × 常勤 | 26.4% | 116 |
| 1年以内 × 非常勤・未定 | 4.5% | 10 |
※属性スコアの数値は、平均=100とした指数です。
常勤は、非常勤に比べて面談に進む割合が高く、属性スコアも高い。
すべての属性が完全に連動していたわけではありませんが、主要な属性において、「面談に進みやすいリード」と「属性スコアの高いリード」が重なっていました。
こうした重なりがあったことで、面談に進みやすいリードを増やすことが、結果的にエントリースコアの高いリードを集めることにもつながった可能性があります。
2. 複雑な代理変数より、シンプルな実績のほうが学習しやすい
もう1つは、媒体に返すデータの「分かりやすさ」の違いです。
媒体は、成果として返された登録の共通点を探し、それに近いユーザーへ配信を寄せていきます。
学習対象がシンプルなほど、「どんな人に配信すればいいか」を掴みやすくなると考えられます。
重みづけが返すのは、複数の属性スコアを掛け合わせたエントリースコアです。常勤だからなのか、入職時期が近いからなのか、資格なのか、それらの組み合わせなのか、高スコアの中身は登録ごとに違います。
そのため媒体は、「高スコアに共通する特徴」を掴みづらい。誰に配信を寄せればいいかが、定まりにくくなるのではないか。
対してオフラインCVが返すのは、面談まで進んだかどうか、という一つの事実です。共通点は「面談に進んだ人」の一点に定まり、誰に配信を寄せればいいかが掴みやすい。
複雑な代理変数よりも、面談という一つの実績を返した方が、媒体の最適化は機能しやすい。今回の結果は、そう解釈しています。
オンラインCVの先にある成果を、どう媒体に返すか
今回の検証から言えるのは、オフラインCVが常に正解ということではありません。
リード獲得後に後工程があるビジネスでは、オンラインCVだけを見ていても、その先の成果は見えてきません。
登録は増えても面談につながらない。面談は増えても事業価値の高いリードが増えていない。こうしたズレは、オンラインCVの数字だけを追っていると気づけません。
大事なのは、その先の成果を何で捉え、媒体に「何を成果として教えるか」を設計することです。媒体に返すデータを変えることで、結果が大きく変わることがあります。
オンラインCVを増やすだけでなく、その先の成果につながるリードをどう増やすか。後工程のある広告運用では、その視点が重要だと考えています。