- ナレッジ・ノウハウ
- 志村 一太
広告運用スクールで100人の生徒を見て分かった、「質問する人が成長する理由」

私はオーリーズに入社する前、広告運用スクールに通っていた時期があります。
スクール卒業後、古巣に学びを還元するため、現在は副業講師をしています。これまで100人以上の生徒を見てきて、成長する人とそうでない人の違いは、センスの差ではないことに気づきました。
成長の差を生んでいたのは、「質問をしているかどうか」という姿勢の違いでした。
目次
受講生時代は、典型的な「がむしゃら」タイプだった
当時の私は、課題は期限内に出すし、言われたことも素直にやっていました。けれど、知識やスキルは積みあがるのに、進んでいる実感が湧かない。
講師から貰うフィードバックシートには、「素直で吸収力があるが、情報コレクターになっている」と書かれていました。
講師になった今はその意味が分かります。目の前のことをこなすのに精一杯で、情報の取捨選択ができていない。
全体像が見えていないから、媒体知識、機能理解、設定手順、運用技術など、とにかく与えられた情報を詰め込んでいるだけ。成長したい気持ちが空回りしている状態でした。
講師になって、成長の差が見えるようになった
教える側に立って、成長する人とそうでない人の違いが分かるようになりました。
スムーズに成長する受講生は、不明点があったときに腹落ちするまで質問をします。また、質問の仕方も「ここまでは理解していて、ここから先が分からない」と現在地を整理した上で質問してくれるので、講師も適切な働きかけが出来ます。
一方で、つまづいてしまう人の多くは、質問そのものが出てきません。その背後には、「こんな初歩的なことを聞いていいのか」といった遠慮や恥ずかしさであったり、どこが分からないのか言語化できず、質問できないという人もいると思います。
分からないことを素直に質問する習慣がある人は強いです。質問によって自分の理解を補完していき、学んだことをもとに挑戦していくというプロセスは、何を学ぶにしても大切な姿勢です。
なぜ「質問できる人」が成長するのか
私が見てきて思うのは、質問する人が伸びるのは、質問が「わからない」を言葉にする行為だからということです。
もやっとした状態を、「ここまでは分かっているが、ここからが曖昧」と整理することで、次に埋めるべき穴がはっきりします。質問する際も引き出したい情報を伝えることができるので、回り道が減り、効率的に学習を進めることができます。
同時に、質問は講師と共同で答えを発見する作業でもあります。
講師に正解を教えてもらう姿勢ではなく、「自分はここまで分かっている。ただここから先は分からないので一緒に考えてほしい」と質問することで、講師は適切なサポートが出来ます。
質問がない、あるいは輪郭が曖昧なままだと、講師も受講生をどのように支援すべきか判断できないので、「質問したことでさらに分からなくなる」という沼にはまる可能性もあります。
また、質問は遠慮を越える小さな一歩でもあります。相手が忙しそうに見えるときや、「こんな初歩的な質問して良いのだろうか」と躊躇するときほど、勇気を出して質問することが大切です。
身銭を切ってスクールに通っている以上、「遠慮は損である」ことを理解している受講生はどんどん学びを吸収し、成長していきます。
もし今、受講生に戻るなら、こうやって学ぶ
もし私が受講生に戻るなら、質問を恐れず自分の学びを増やすために、こんな工夫をします。
▼理解度を整理するために
- 紙に書き出して自分の言葉でまとめて眺めてみる
- ボイスメモでつらつら話して、AIで整理してもらい穴を探す
- 人やAI説明してみて、上手く説明できないことを探す
▼質問を恐れないために
- 同じ問題で30分考えても分からない場合は必ず質問するルールを課す
- 事前に質問の時間をブロックしておき、強制的に質問する時間を作る
- 質問の目的だけ明確にして、何が得たいのかを講師に伝える
質問によって成長スピードを速める上では、意識に頼るのではなく、簡単に取り入れられる仕組みを取り入れることが重要です。
差は埋められる。習慣は後天的に身に着ければいい
私は未経験で広告代理店に入り、ありがたいことに早い段階で社内最大規模のプロジェクトで責任者を務める機会をいただき、最年少でマネージャーにも昇格できました。
これは、私が特別だったからではありません。環境に支えられながら、質問で前に進む習慣を少しずつ身につけていっただけです。
分からないことは恥ずかしいことではありません。むしろ、分からないと言えることが成長の第一歩。
最初から完璧を目指さなくて大丈夫です。私自身、完璧な受講生ではなかったし、講師の立場になった今でも学び続けています。
同じ未経験でも差が出る。でもその差は、才能や能力の差ではなく、姿勢の差です。そしてその姿勢は、今日からでも変えられます。