指名検索広告とSEOの食い合いを分析し、繁忙期だけの配信に変更

前提情報

項目内容
業種BtoCサービス
獲得の流れ広告で予約を獲得する(媒体CV:予約)
指名キーワードの状況競合の出稿がなく、自然検索では自社サイトが最上部に表示されていた
見ていた指標管理画面上の指名検索広告のCV

問題

指名キーワードには競合の出稿がなく、自社のSEOが強いため、自然検索では自社サイトが最上部に表示されていた。そのため指名検索広告はそれまで出しておらず、広告を出せばCVを上乗せできるかは確かめたことがなかった。

新たに指名キャンペーンを始めると、管理画面上では月5,000件規模のCVが出た。想定以上の成果に見えたため配信を続けたが、数ヶ月後にSEO経由の流入が減った。広告がオーガニックのCVを奪っている可能性があった。

打ち手

7ヶ月分の指名キャンペーンの配信データをもとに、SEO会社と共同で増分を事後に検証した。

繁閑差が大きいサービスのため、広告を出す前の月と出した後の月を単純に比べると、広告の効果と季節の影響を切り分けにくかった。そこで、広告配信後の各月について、広告がなかった場合のオーガニックCVを推定し、同じ月の実績と比べる方法を選んだ。

  • クリック数の推定:各月のオーガニックの表示回数に、広告開始前のオーガニックCTRを掛け、広告がなかった場合のオーガニッククリック数を推定した
  • 奪われたクリック:推定したクリック数と実際のオーガニッククリック数の差を、広告に奪われたクリック数とした
  • 純増減:奪われたクリック数にCVRを掛けて広告に奪われたCV数を出し、広告が生んだCVから差し引いた
  • 補正:Search Consoleと広告管理画面ではクリックの集計方法が異なるため、GA4のセッション数に揃えた

結果

指標結果
CV総数の純増減(7ヶ月通算)約−350件
CV総数の純増減(繁忙期の1月・2月)約+400件
CV総数の純増減(それ以外の月)約−750件

繁忙期の1月・2月は、広告を出したことでCV総数が通算約400件増えた。検索ボリュームが急増する時期には、オーガニックだけでは取りきれないCVがあった。それ以外の月は、広告経由のCVは出ていたものの、それ以上にオーガニックのCVを奪っており、CV総数は通算約750件減った。

推定の基準にしたCTRは1ヶ月分で、月ごとのCTRの変動などの外部要因を完全には除けていない。それでも、繁忙期はプラス、それ以外はマイナスという傾向は7ヶ月を通して一貫しており、指名検索広告は繁忙期のみ配信する方針に変えた。

考察

成果につながった要因

競合の出稿がない指名キーワードでは、自社サイトが自然検索の最上部に表示されるため、繁忙期以外はオーガニックだけでCVを取りきれていた。検索ボリュームが急増する繁忙期だけは、オーガニックで取りきれないCVがあり、広告による上乗せが出た。月ごとに広告がなかった場合のCVを推定したことで、季節の影響と広告の効果を分けて見られた。

この打ち手が合う状況

指名キーワードに競合の出稿がなく、自社サイトが自然検索で最上部に表示されている事業に合う。繁閑差が大きいサービスでは、増分の有無が時期によって変わりうるため、月ごとの純増減を見て配信する時期を決める判断につながる。

関連記事 【広告運用研究会】指名検索広告、どこまでが増分か?3社のインクリメンタル検証結果 allis-co.com