ショッピング広告を粗利率と価格帯で分割し、ROASを保ったまま粗利重視の配信を実現
前提情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 多品目EC |
| 獲得の流れ | Googleショッピング広告で商品の購入を集める |
| 見ていた指標 | ROAS(目標ROASを決めて自動入札で運用) |
問題
ショッピング広告の自動入札は、売上を最大化する方向に配信を寄せる。媒体が見ているのは売上で、商品ごとの粗利は見えていない。粗利率が大きく異なる商品が同じキャンペーンにあると、売れやすいが粗利率の低い商品に配信が寄り、ROASは良く見えても利益が残りにくくなる。このECでは、PB(自社開発商品)とNB(メーカー仕入れ商品)で粗利率に明確な差があった。
粗利基準で最適化するには、CV値を売上ではなく粗利にする方法がある。ただ、取り扱いSKUは数万点以上あり、仕入れ価格は変動し、セールによって販売価格も変わる。商品ごとの粗利を正しく算出し、データフィードに反映し続けるのは現実的ではなかった。
打ち手
粗利率が近い商品を商品フィード上で分類し、その商品群ごとにキャンペーンを分けた。粗利率を分ける軸にはPBとNBを使った。PBとNBで粗利率に明確な差があり、商品フィード上でも分類しやすかったためだ。
価格帯でも商品群を分けた。同じ粗利率の商品でも、低価格帯はCVが取れやすく学習が早く進むため、同じキャンペーンに入れると配信が低価格帯に偏り、高価格帯の商品に配信機会が回りにくくなる。
商品群を細かく分けすぎると、キャンペーンごとのCV数が足りず、学習が不安定になる。CV数を確保しやすい低価格帯と中価格帯はPBとNBで分け、CV数が少ない高価格帯はあえて1つにまとめた。この5つのキャンペーンごとに目標ROASを出し分け、予算を配分した。
- 低価格帯 × PB:採算が合う範囲で、配信機会を残す
- 低価格帯 × NB:目標ROASを高めに設定し、費用が寄りすぎないよう抑える
- 中価格帯 × PB:獲得効率を見ながら、余地があれば投資を強める
- 中価格帯 × NB:ROASだけで判断せず、費用が偏らないよう配分する
- 高価格帯:配信量とCV数を確保し、学習を安定させる
結果
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| ショッピング広告全体のROAS | 悪化なし |
| この設計での運用 | 3年以上継続 |
一般にはキャンペーンを統合したほうが学習が安定するとされるが、学習量を確保できる粒度で分けたため、ショッピング広告全体のROASは悪化しなかった。PBとNB、価格帯ごとに配信の寄せ方を調整でき、どの商品群を伸ばすかを事業側の判断で決められるようになった。
高粗利のPBの商品群は投資を強め、低粗利のNBの商品群は配信が寄りすぎないよう目標ROASや予算を見直す運用にした。この設計は3年以上、実用的な運用として続いている。
考察
成果につながった要因
粗利額を媒体に渡せなくても、粗利率と価格帯を掛け合わせた商品群をキャンペーンの単位にしたことで、粗利基準に近い単位で配信の寄せ方を決められるようになった。商品群は学習に必要なCV数を確保できる粒度に留めたため、分けてもROASは崩れなかった。
この打ち手が合う状況
取り扱う商品が多く、商品ごとの粗利を媒体に渡せない多品目ECで、商品によって粗利率に明確な差がある場合に合う。PBとNBのように、粗利率の差を商品フィード上で分類しやすい軸があると当てはめやすい。商品群を細かく分けすぎると学習量が足りなくなるため、事業上の管理の粒度と、媒体が学習できる粒度の釣り合いを取る必要がある。
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