リードは増えているのに、商談につながらない ── BtoB検索広告の「量と質のトレードオフ」に向き合った話
BtoBの検索広告には、量と質のトレードオフがついて回ります。件数を追えば無効なリードが増え、質を優先すると件数が伸びない。
今回は、このトレードオフを解消するために、あるクライアントで試行錯誤した過程を共有します。
目次
絞れば件数が頭打ち、広げれば質が落ちる
今回のケースは、複数の製品ラインを抱えるBtoB事業の検索広告アカウントです。長年、完全一致とフレーズ一致を軸に運用していましたが、ある時期から件数の伸びが鈍化していました。
そこで拡張の打ち手としてインテントマッチを試してみたところ、総リード数は増加しました。ただ、増えた分の多くは無効リードで、有効リードの獲得単価は1.4倍に上昇。
中身を見ると、対象とする企業規模ではない事業者や、導入検討というより情報収集に近い問い合わせが目立ちました。
件数を伸ばそうとするほど、商談につながらないリードも一緒に増えていく。この時点では、リードの量と質はトレードオフに見えていました。
検索語句だけでは、商談対象かどうかを判別しきれない
では、なぜリードの質が低下したのか。まず疑ったのは、インテントマッチで拡張された検索語句でした。
ただ、検索語句レポートを見ても、配信された語句自体が大きく外れているわけではありませんでした。製品カテゴリや業務上の課題に関連する語句が中心で、除外すべき語句はそう多くない。
問題は、検索語句ではなく「検索の背景にある動機や目的」を見分けづらいことでした。同じ検索語句でも、真剣に導入を検討している担当者もいれば、情報収集の段階の人や、学習目的で調べている個人もいる。
完全一致・フレーズ一致で絞っているうちは語句の範囲が狭く、このズレは表に出にくい。一方、インテントマッチは検索語句を広げて配信するぶん、このズレが大きくなり、表に出やすくなります。
つまり今回の質の低下は、検索語句が外れていたからではなく、検索語句だけでは商談につながる人を見分けられないことから起きていたのではないか、と考えました。
学習させたい。でも、時間がかかる
検索語句だけで質を見分けられないなら、次に取れる手段は、媒体の学習(最適化機能)を使って、商談につながりやすい配信に寄せることです。
具体的には、商談・成約したリードをオフラインCVとして返して、商談につながりやすいユーザーを学習させます。
ただ、今回対象になっていた製品ラインでは、使える商談データがまだ少ないうえに、商談まで半年〜1年かかることもあり、結果が媒体に返ってくるまでに時間がかかる。
つまり、最適化が効いてくる前の探索フェーズで、どうしても「商談につながりづらいリード」にも広告費を使ってしまいやすい状態でした。
そこで今回は、学習が進むのを待つだけではなく、配信対象を先に限定して、その範囲の中で媒体に学習させられないか、と考えました。
検索語句の広げ方は変えず、「誰に届けるか」を絞る
では、どんな相手に絞ればいいのか。手がかりを探すために、実際に商談・成約に至ったリードが、問い合わせの前にどんな行動をとっていたかを遡って確認しました。
過去のサイト接点が、商談につながる手がかりだった
行動ログを見ると、商談化・成約に至ったリードには、CVの直前だけではなく、それ以前から自社サイトに接点があったケースが多く見られました。
これは単に「一度訪問していた」というよりも、商談化まで時間がかかる商材なので、過去のサイト接点から、商談になりそうな層の兆しを先に捉えられると考えられます。
さらに、このクライアントは製品ラインが複数あるため、製品をまたいで検討が進むこともあります。検索の時点で調べている製品が違っていても、過去にサイト接点があるユーザーは商談につながりやすい傾向がありました。
過去にサイトと接点があれば商談につながる。検索語句には表れない差が、サイトを訪れたかどうかという行動に表れていました。
検索語句の拡張は任せたまま、届ける相手を絞る
そこで、インテントマッチにRLSA(検索リマーケティング)を組み合わせ、配信先を「過去のサイト訪問者」に絞ることにしました。検索語句の拡張はインテントマッチに任せたまま、広告を届ける対象を絞る、という組み合わせです。
特定の製品ページ訪問者だけに絞る案もありましたが、製品をまたいだ検討が起きている以上、それでは別の製品につながる可能性を狭めてしまう。
今回は、特定ページではなく、サイト訪問者全体をリストにしました。また、商談化までに時間がかかるため、リスト期間は取得できる最大期間にしました。
リード量を増やしながら、質も保てた

配信先をサイト訪問者に限定した結果、完全一致・フレーズ一致と同じ有効リード単価のまま、有効リードは約1.3倍に増えました。
完全一致・フレーズ一致で守っていた質を大きく崩さずに、インテントマッチで探索できる範囲を広げられた。検索語句ではなく、過去のサイト接点を手がかりに配信対象を決めたことが、量と質の両立につながった要因だと考えています。
インテントマッチに任せる前に、探索させる範囲を決める
今回のケースで重要だったのは、インテントマッチの良し悪しではなく、誰に配信するかを先に決める設計でした。
BtoBビジネスの場合、検索語句の拡張だけで配信を広げると、リード数は増えても、商談につながりにくい層まで一緒に拾ってしまう恐れがあります。特に今回のように、検索語句だけでは動機や検討度合いを測りきれない状況では、このブレが表に出やすくなります。
そこで今回は、インテントマッチの拡張力を活かしつつ、その広がりをコントロールするために、RLSAで配信対象を過去のサイト訪問者に限定しました。検索語句では見えない「検討の温度感」を、過去の行動シグナルで補う設計です。
検索語句で動機が測りきれないなら、拡張は「行動シグナル」で制御する。
特にBtoBのように、検索語句だけでは動機や検討度合いを測りきれなかったり、商談化までに時間がかかったりする場合は、こうした考え方が重要だと思います。