運用型広告の代理店が、広告ではなく「郵送DM」を提案した理由
私たちは運用型広告の代理店として、デジタル施策を中心に提案してきました。
今回、あるクライアントから広告運用の相談をいただき、ターゲット理解のためにデプスインタビューを実施。
インタビューの結果、「デジタルだけでは届かない層もいる」という発見があり、そこから郵送DMという選択肢が生まれました。
試した結果、有効リード獲得単価はデジタル広告の半分ほど。特定の条件下ではありますが、顧客理解を起点に施策を設計して成果につながった事例を共有します。
目次
「新しいチャネルを開拓したい」という相談
あるBtoB向けSaaS企業から、カンファレンス集客について相談をいただきました。業界内では認知度が高く、管理部門の担当者であれば一度は名前を聞いたことがある会社です。
ミッションは商談につながる有効リード(MQL)の獲得。
クライアントはこれまでMeta広告中心で一定の成果を出していましたが、今後の集客拡大を見据えると、Meta広告だけに頼るのは限界がある。RFPでも「Meta広告以外のチャネルを開拓したい」との要望がありました。
私たちは運用型広告の代理店。顧客も広告運用を想定した相談をしていたので、当初はGoogle広告やMicrosoft広告など、デジタルの別チャネルを想定していました。
「デジタルだけでは届かない層がいる」という発見
効果的なメディアプランを設計するうえではターゲットの解像度を上げる必要がある。そこでまず、デプスインタビューを行いました。
デプスでは、大手企業の管理部門に勤める方など4名に話を聞きました。ターゲットの情報収集経路やカンファレンス参加の動機を把握するためです。
事前の想定では、Facebookや業界メディアなど、デジタル媒体で情報収集する人が多いだろうと考えていました。ところが実際に話を聞くと、デジタル媒体以外の情報収集源を利用している人も多かったんです。
特に大手企業に勤務している人や40代以上の部長クラスの場合、情報収集でデジタルにあまり頼っていない。主に日経新聞や、証券会社・コンサルタントからのレポートを読んでいる人が多いことが分かりました。
デジタル広告だけでは、本当に届けたい層にリーチしきれない可能性がある。ただ、この時点では具体的な打ち手は見えていませんでした。
デプスインタビューの情報がヒントになった
そんな中、ある対象者が「興味のあるテーマであれば、デスクに届いた手紙の案内を見てセミナーに参加することもある」と話していました。
ターゲットは大手企業の管理部門で、リモートワークが普及した今も出社頻度は比較的高い。
オフィスのデスクに届いた郵便物であれば、デジタル広告よりも目に触れる可能性が高いのではないか。
デジタルで届かないなら、物理的に届ければいい。デプスインタビューで得た情報がヒントになったんです。
私たちは運用型広告の代理店ですが、子会社で郵送DM施策の実績がありました。子会社と連携しながら、まずはハウスリスト内のターゲットに向けて郵送DMを送付することにしました。
MQL獲得単価は、デジタル広告の半分ほどだった
デジタル広告や外部媒体と並行して郵送DMを送付した結果、全MQLのうち約20%を郵送DM経由で獲得。
デジタル広告でのMQL獲得単価が2.8万円だったのに対し、郵送DMは1.5万円。デジタル広告と比べて半分ほどの獲得単価でMQLを獲得できました。
もちろん獲得量の観点ではデジタル広告に劣りますが、少なくとも獲得効率の観点では、想定していた以上の成果を得ることができました。
ただし、郵送DMも万能ではない
ただ、これは「郵送DMが万能」という話ではありません。今回うまくいった背景には、いくつかの条件が重なっていました。
まず、ハウスリストに送ったこと。ターゲットの役職、部署などを把握できているので、送付先の精度が高い。外部から購入したリストだと、ターゲットではない方に送付されるケースもありました。
次に、主催企業の認知度。今回のクライアントは業界で知名度があり、ターゲットである管理部門の担当者であれば「あ、あの会社か」となる立ち位置でした。
また、DMのデザインでも主催者情報を全面に出していたので、開封・確認のハードルが下がったと思います。
そして、ターゲット特性との相性。大手企業の管理部門は出社率が高く、デスクで郵便物を確認する習慣がある。紙媒体での情報収集に抵抗がない層だったことも大きいと思います。
固定観念にとらわれず、ターゲットの行動特性に合わせて手段を選ぶことの重要性を改めて感じたケースでした。