Advanced TVの最新動向 ~Google『Advanced TV Inventory Report』より~

Advanced TVの最新動向 ~Google『Advanced TV Inventory Report』より~

2020年は、コロナウィルスの感染拡大が広告エコシステムに大きな影響を与えました。そんな中でも、巣ごもり消費によって「リビングでのAdanced TV(※)視聴」が増加したことは重要な変化の一つです。

そんな中、Googleも着実にCTVへの広告リーチを広げています。Google Marketing Platform公式ブログによると、米国におけるDisplay & Video 360のCTV広告ソリューションは、CTV世帯の80%、広告モデルのCTVだと92%にリーチできるそうです。

そんなGoogleが、先日、第2回目のAdvanced TV Inventory Reportを発表しました。

Google Ad Managerを利用している世界的なTVパートナー35社のデータを分析し、Advanced TVコンテンツの利用実態についてまとめています。Google Ad Managerに接続された動画パートナーの広告インプレッションデータを用いて、Adanced TVの視聴環境や広告取引の傾向を分析しています。

この調査では、分析対象とするコンテンツを「よりテレビに近いもの」にするため、長編番組やエピソード番組(単発の番組)の中で発生するコマーシャルの広告インプレッションに限定しています。

本記事では、レポート内の印象的なデータをいくつか取り上げたいと思います。

※Adanced TV:従来のリニアTV(決められた時間とチャンネルでTV番組を放映する古典的なシステム)から進化したテレビコンテンツを指す言葉。IABでは、地上波やケーブル・衛星放送を介さないテレビ視聴形態を総称している(参考:A Guide to Advanced TV Targeting )。

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視聴環境の傾向

Advanced TVは、すべてのデバイスでインプレッションを伸ばし続けていますが、2020年にはCTVが最大のシェアを獲得しました。

グローバル全体で見ればCTVがトップですが、地域ごとに見るとかなり状況が異なるようです。北米およびEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)ではCTVが大数を占め、一方でAPACではモバイルが圧倒的です。さらにLATAM(ラテンアメリカ)ではデスクトップがトップになるなど、状況は様々です。

一方、日本の状況は、APACとはやや異なるようです。こちらの記事によると、国内の動画配信サービスをテレビで視聴する人は23%。また、別の記事では国内のCTVデバイスを利用している消費者は57.8%と半数を超えています。Apple to Apple の比較ではないので参考程度にはなりますが、日本のCTVシェアは「北米およびEMEA未満、APAC以上」といった状況でしょうか。グローバル平均からすると、まだモバイル優勢なのが日本の状況と言えそうです。

また、2020年は初めてアプリでのAdvanced TV視聴がWEBを超えました。ちなみにこの「アプリ」の定義は「iOS, Android, CTV, その他」を指しています。つまり、より具体的に言えば、スマートデバイスで利用されるあらゆるOTTストリーミングアプリと、Roku、Amazon Fire TV、Apple TV、ChromecastなどのCTVデバイスの合計が、デスクトップやモバイルウェブを超えたことを指しています。

トランザクションの傾向(広告在庫の販売傾向)

Advanced TVの広告取引は、依然として予約型が主流ですが、プログラマティック取引が急速に成長しています。

広告主の間で直接取引される「予約型取引」は、Advanced TVインプレッション全体の80%以上を占めています。しかし、前年同期比で最も急成長したのは「プログラマティック型取引」で、プログラマティック経由でのインプレッション数は70%以上増加しました。

プログラマティック取引の内訳を見てみると、Programmatic Guaranteed(IMP保証)とPreferred(IMP非保証)の、固定価格取引がリードしています。今後のプログラマティック取引の拡大は、広告主の多様化と取引の効率向上をもたらし、さらなる需要拡大が見込まれます。

ライブストリーミングの成長

パンデミック発生直後は、世界中でライブイベント(スポーツ中継やコンサートなど)が中止となりました。しかし、徐々にライブイベントが再開されると、Advanced TVがその視聴機会を提供し、ライブコンテンツのインプレッションが急伸しました。成長率では、VODコンテンツ(ビデオ・オン・デマンド)よりも速く成長しました。

特徴的なのは、ライブコンテンツの視聴デバイスです。VODコンテンツはモバイル視聴がトップであるのに対し、ライブコンテンツは45%以上がCTV経由で見られています。ライブコンテンツはリビングルームでの視聴が好まれることが示唆されました。

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Advanced TVの中でも、CTVの伸びがこれほど顕著だったことには驚きです。テレビ画面が広告マーケットプレイスの主戦場になり始めています。日本ではまだモバイル優勢の状況ですが、国内ニュースの動向を見ると、リビングでの可処分時間は今後もグローバル水準に近づいていくことが予想されます。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

取締役副社長

足立 誠愛

在学時に現代広告の研究室に所属。実践主導の研究活動を通じて広告コミュニケーションを学ぶ。その後にワークスアプリケーションズのインターンシップに参加し、最高ランクの評価を獲得し、同社に入社。ERPパッケージ「COMPANY」導入・保守運用部門のコンサルタントを経て、アカウントマネージャーとして顧客の最終責任を担い、クライアントと組織のROI向上に邁進。2013年より株式会社オーリーズ取締役副社長に就任、事業開発を担う。

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