安定した広告配信のための33のチェックリスト

安定した広告配信のための33のチェックリスト

一人前の広告運用者になるまでには、大きく3つのステージに分けることができそうです。

  • ステージ1: 広告配信の仕組みやアカウント構造、入稿方法を理解している
  • ステージ2: 不具合とムダのない広告配信を維持できる
  • ステージ3: 広告運用に関する課題に対して適切な施策を立案・実行できる

ステージ1~2が「初級者」で、ステージ3で「一人前」という感じでしょうか。ステージ3より先は、それぞれの得意分野や興味関心に応じて専門性が分岐していきます。

この記事では、ステージ2の「不具合とムダのない広告配信を維持する」ために必要なチェックリストをご紹介します。

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「不具合とムダのない広告配信」とは?

「不具合とムダのない広告配信」とは、

  • やるだけで確実に効果の出る作業を、漏れなく実施できている
  • 事故やトラブルを起こさない

が実現できていることです。端的に言えば、「当たり前のことをやる」、「ミスをしない」ということ。

例えば、

  • 配信金額を日予算上限に当てない
  • 3rd party計測ツールと媒体との計測値の乖離を定点観測する
  • 休日前には大きな変更を加える作業をしない

などに気を払うことです。

熟練した広告運用者は当たり前のようにチェックをしたり、注意を払ったりしていることですが、初級者にとっては見落としてしまうことのあるポイントです。また経験値の程度に関わらず、担当の引継ぎによって業務習慣がリセットされてしまい、思わぬ事故やトラブルを招いてしまうこともあります。

ということで、「不具合とムダのない広告配信を維持する」ためのチェックリストをシェアします。日次、週次、月次でまとめました。広告代理店に従事している人向けの項目もありますが、基本的には広告運用社であれば誰でも使えるような内容です。

チェックリスト

日次で確認する

まず、毎日確認したいポイントです。これらの項目について問題を確認したら、すぐに対応するか関係者と連携して対応方針を検討しましょう。

(1) 配信金額が日予算上限に当たっているキャンペーンはないか
(2) 月中に予算増額・減額があった場合、レポートに反映をしているか
(3) 月中に予算増額・減額があった場合、グロス・ネットを正しく認識をしているか
(4) 7日以上の残高はあるか
(5) 審査に落ちている広告クリエイティブやキーワードはないか
(6) 検索広告のキーワードのメンテナンスをしているか(追加と除外)
(7) 除外キーワードによってIMPの大幅減少が発生していないか
(8) 追加キーワードによってIMPの大幅増加が発生していないか
(9) 作業内容を作業履歴管理表に記入しているか
(10) CVが極端に減少していないか
(11) 大きな数字変化を認識しているが、その原因が分かっていないものはないか
(12) 移動平均で成果を確認しているか(累積データだけで成果を評価していないか)

(1) キャンペーンの日予算上限に収まる範囲で配信量を調整することは、日次タスクの王道ですね。もちろん、入札戦略のタイプやキャンペーンの方針によっては、日予算上限に当たることが問題ではないケースもあります。ですが、基本的には配信金額が日予算上限に当たっていたら、「入札単価を下げる」か「日予算上限を上げる」かすべきです。これをやらないと、ほとんどの場合は機会損失、または広告効率の悪化に直結します。

(2)(3) 月中で予算の変更があった場合、忘れがちなのが各種レポートや管理シートへの反映作業です。また、広告代理店の場合は、グロスとネットを勘違いして反映してしまうケースもあります。月末になって、あれ、もしかして予算使いすぎている…?といったことが起きないように、変更が入った時に関係者間で認識を合わせておきましょう。

(5) 主要な広告プラットフォームでは、審査に落ちたタイミングで通知メールが飛んだり、管理画面に通知が表示されたりしますので、見逃すこと少ないかもしれません。しかし、担当の引継ぎによって通知先のメールアドレスの設定が漏れてしまったり、管理画面を確認する習慣がリセットされてしまったりして気づけなかった、といったことも発生し得ます。審査に関するトラブルは広告配信そのものに直結することなので、毎日漏れなくチェックしたい項目です。

(10)(11) 日次チェックの中でも特に大切な項目が、この「変化の察知」と「原因の特定」です。

例えば、こんな経験はないでしょうか?

” WEBサイトの部分改修によって、広告運用担当者の知らないところでリターゲティングタグが外れてしまい、日に日にリターゲティングキャンペーンのインプレッションが減少していた。 数値の減少は認識していたものの、担当者は『なんでだろうなあ』『まあ、そんなこともあるか』と考える程度で、そのまま数週間が経過。あるMTGで関係者がこの違和感に気づき、本格的な調査に乗り出した結果、タグが外れていたことが発覚した。 “

熟練した広告運用者であれば、豊富な経験からこの現象をパターン認識して、「これは、何かあるぞ…」と直感することができるでしょう。しかし、経験の浅い運用者は「まあ、そんなこともあるだろう」「競合がオークションを強めたのかな」というように、根拠の乏しい主観的な判断によってやり過ごしてしまうことがあります。

このようなトラブルを回避するために大切なことは、「数値の変化には必ず原因がある」という思考を癖づけることです。しかし、再発防止策として「癖づけること」を求めることはある種の精神論であり、なかなかうまくいきません。

初級者がこのようなミスを避けるためには、客観的な視点を入れ、問題を認識するトリガーを外部化する必要があります。そのために、毎日のルーティンとして「大きな数字変化を認識しているが、その原因が分かっていないものはないか」というチェック項目を自身に問います。慣れるまでは、デイリーで他のメンバーに報告する機会を設けるなど、チェックの強制力を働かさせると良いでしょう。

週次で確認する

続いて、週次で確認したいポイントです。「日次だとちょっと手間」「月次だと問題が大きくなりすぎる」ようなチェック項目が対象です。

(1) 予算進捗と暦日進捗との間に大きな乖離はないか
(2) 媒体と3rdparty計測ツールとの間に、数値の乖離は発生していないか(広がっていないか)
(3) デバイス毎の成果状況を確認し、調整はできているか
(4) オーディエンスリスト毎の成果状況を確認し、調整はできているか
(5) ユーザー属性毎(性別, 年齢, 世帯年収)の成果状況を確認し、調整はできている
(6) 時間および曜日毎の成果状況を確認し、調整はできているか
(7) 配信地域毎の成果状況を確認し、調整はできているか
(8) 配信期間の決まっている広告を配信し続けていないか
(9) SNS広告において、ネガティブなコメントがつけられていないか
(10) 月末・月初が休日の場合、監視および調整の役割認識が取れているか
(11) 休日前に大きな変更を加える予定はないか
(12) 休日作業日が広告プラットフォームのメンテナンス日と被っていないか
(13) 大型連休前に各媒体の審査受付期限を確認しているか
(14) 大型連休時の役割認識が取れているか

(2) 意外と侮れないのが、この「3rdparty計測ツールとで数値の乖離」のチェックです。私も長らく広告運用の現場に携わってきていますが、この「3rdparty計測ツールとの数値乖離」は、何度も経験しました。そして、それは突如訪れます。パラメータに問題があることもあれば、計測タグに問題があることもあります。きかっけや原因は様々です

なので、この問題については演繹されたパータンから回避策を考えるのではなく、定期的に乖離状況をチェックする仕組みを設け、乖離を確認したらすぐに調査する、という仕組みがベストプラクティスだと思います。週次のチェックはちょと頻度が高いかも知れませんが、定期的にチェックしたい項目です。

(3)~(7) これらは、「やるだけで必ず効果や効率が上がること」の典型例です。昨今の広告プラットフォームは機械学習によって、このような顧客属性も加味しながら自動的に広告配信を効率化してくれることが多いです。ですが、プラットフォームや入札戦略によっては手動での調整が望ましいこともあります。広告効果の差がはっきりと出やすいこれらの項目は、定期的にチェックしてメンテナンスすることが期待されます。

(10)~(14) これらは「休日への配慮」です。特に(11)は意外と抜けがちな観点です。例えば、金曜日や祝日の前日などに「キャンペーン構成の変更」や「広告クリエイティブの一括更新」「ランディングページの一括変更」といった大掛かりな作業をおこなう場合は注意が必要です。もしトラブルが発生した場合、休日対応が発生してしまいますし、関係者の協力を得ることも難しくなります。特に初級者が心がけるべき大事なポイントです。

月次で確認する

最後に、月次で確認したいポイントです。主に「月が変わる」ことによる影響の確認です。

(1) 1ヶ月以上のアカウント残高はあるか
(2) 予算のグロス・ネットの認識に相違はないか
(3) 各種レポートの日付を新しい月に更新しているか
(4) 各種レポートの予算や目標数値は更新できているか
(5) 予算のグロス・ネットの認識に相違はないか、また正しく入力できているか
(6) 期間限定の広告クリエイティブを配信し続けていないか
(7) 予算の上振れ、下振れの許容範囲について合意はできてるか

広告代理店の場合、(7)の確認はとても重要です。広告主からお預かりした予算について「どの程度、計画とのブレが発生していいのか」については、広告主ごと、時には担当者ごとに認識が違うことがあります。昨今の運用型広告の仕様では、設定した日予算どおりにピッタリと金額を調整することが難しくなってきています。意外と忘れがちですが重要な確認事項です。

以上です。

広告運用従事者の効率的な広告運用業務の一助になれば幸いです。

オーリーズは、クライアントの「ビジネス目標達成」に伴走するマーケティングエージェンシーです。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

取締役副社長

足立 誠愛

在学時に現代広告の研究室に所属。実践主導の研究活動を通じて広告コミュニケーションを学ぶ。その後にワークスアプリケーションズのインターンシップに参加し、最高ランクの評価を獲得し、同社に入社。ERPパッケージ「COMPANY」導入・保守運用部門のコンサルタントを経て、アカウントマネージャーとして顧客の最終責任を担い、クライアントと組織のROI向上に邁進。2013年より株式会社オーリーズ取締役副社長に就任、事業開発を担う。

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