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思い込みを排除することで見えてくるGoogleAnalyticsのより良い「読み方」と「評価」の地平
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目次
よく利用されるGA三大指標のおさらい
運用型広告を扱う上で切っても切れないGoogle Analytics(以下GA)。正しく理解すれば、データからたくさんのことが読み取れます。今回は、GAの主要な指標の読み方について、基本に立ち返って考えてみましょう。
今回は、利用頻度の多いGA三大指標とも言える、「平均ページ滞在時間」、「直帰率」、「離脱率」を取り上げます。
上述の3指標は、GAで使う機会の多い「新規ユーザ」と「リピーター」などの概念に比べると、複雑に感じる人も少なくないと思います。
これらの指標は、GA利用者にどのような使われ方をしているのでしょうか。
Google検索のサジェストから、GA利用者のお悩みポイントを探ってみます。
この様子からGA利用者は、平均ページ滞在時間の「計算根拠」や「その目安」及び直帰率と離脱率の「計算根拠」や「2つの違い」について知ろうとしているように見受けられます。
「定義(計算根拠)」と「目安」が知りたいポイントのようです。
まずは、それぞれの指標の定義をおさえておきましょう。
◆平均ページ滞在時間
ユーザがページに滞在した時間の平均です。直帰分、離脱分は含みません。
下記の図表は、あるユーザの閲覧ページ履歴と滞在時間です。
(実際のGAでは、秒数以下の詳細までカウントされています)
図表(1)
このユーザの場合は、ページAでは1分、ページBでは2分、ページCでは4分がそれぞれのページの「ページ滞在時間」となります。しかし、ページDでは離脱をしたため、滞在時間はカウントされません。
図表(2)
続いて上記ユーザの場合は、ページAだけに滞在してそのまま直帰しているので、滞在時間のカウントはなされません。GA上では、便宜上0秒と表示されます。
上記のように、離脱分、直帰分については、「滞在時間は0秒」と集計されるため、平均ページ滞在時間にも組み入れられません。この点は、意外と知られていない事実ではないでしょうか。
このような「平均値」を用いて算出される指標は、多くの人がイメージする「語句通りの平均」という訳ではないのです。このことを念頭において、数字を読み解く必要があるでしょう。
続いては「直帰率」と「離脱率」について、定義のおさらいをしましょう。
◆直帰率
直帰率は、そのページから始まったすべてのセッションで、そのページがセッションに存在する唯一のページだった割合を示します。
この1ページのみのセッションでは、Google アナリティクスによるセッション継続時間の計算に必要な2回目のヒットが発生しないため、セッション継続時間は0秒になります。
◆離脱率
離脱率は、個々のページのすべてのページビューで、そのページがセッションの最後のページになった割合を示します。
どちらを評価する?~ケースから学ぶ数値評価の考え方~
これまでの定義のおさらいを踏まえて、次の問いを考えてみましょう。
上図のページA、Bにおける3指標は、それぞれどちらのページの数値を評価すべきと言えるでしょうか。
一見すると、「平均ページ滞在時間」は時間が長い方のページA、「直帰率」、「離脱率」は数値の低い方のページBが良さそうに思えます。
しかし、この場合は、「この情報だけでは判断はできない」が正しい評価と言えるでしょう。
何故なら、ページAの「役割」とページBの「役割」が考察の前提条件に含まれていないからです。
もしも、ページAがサイトの「トップページ」で、ページBが「商品一覧ページ」だった場合はどうでしょうか。この場合でも、「どちらが良いか判断はできない」が正しい評価となります。決していじわるをしているわけではありません。
例えば、各ページに遷移する目的で作られたトップページであれば、「平均ページ滞在時間」が短くても不思議ではありません。また、リンクを極力廃したLPでは一般に「直帰率」が高くなりがちです。そのほか、商品購入後のサンクスページなどで「離脱率」が高くなるという結果は、ごく自然なことです。
これらの例のように、別々の役割を持った異なるページの指標同士を競わせて、どちらがより良いかという議論をすることには意味がありません。
より良い運用者たろうとするのであれば、このようなまやかしに煙を巻かれないように気をつけたいですね。
続いて、別のケースで考察します。
下の期間Xと期間Yの数値は、連続した1ヶ月分のデータで、商材はビジネス向けサービスのページのものです。また、年間を通して、大きく需要が変動しないサービスの問い合わせをコンバージョンとしてカウントしています。
ページAが「トップページ」、ページBが「問い合わせフォーム」の数値です。
なお、トップページではメイン商材の紹介を行っているとします。
(期間X)
(期間Y)
ページAとページBをそれぞれ期間X、期間Yという期間軸で比較してみましょう。
「平均ページ滞在時間」、「直帰率」、「離脱率」の3指標の観点では、どちらを高く評価すべきでしょうか。
ページAの場合、ページ滞在時間がより長い期間Yが良いでしょう。直帰率も離脱率も低いため、その面でも期間Yが良さそうです。
(もっとも、両期間における差は小さいため、必然的に評価の差も小さくなります)
ページBであればどうでしょうか。こちらは、期間Yが良さそうです。なぜなら、ページBは「お問い合わせフォーム」であることから、ページ滞在時間が短く、離脱率が低いことが期待されるためです。期間Yでは、より迷いなく、ユーザがコンバージョンしていると言えます。
(直帰率は高いですが、問い合わせフォームに直接アクセスするユーザが少ないページ構成のため、ここでは参考になりません)
GA指標の正しい読み方
同じ指標であっても、しっかりと閲覧してほしいページについてなのか、アクションを決めて欲しいページについてなのかで読み取り方が異なります。
例えば、どのサイトにも必ず存在する「トップページ」ひとつをとっても、「滞在時間」の目安を設けることや、絶対値によって善し悪しの一般化することは難しいでしょう。ファッションECのサイトなどでは、トップページがナビゲーション機能を主たる役割として担っているケースがあります。そのような場合、ユーザにブランド毎の特設ページや商品などの個別ページで、じっくりと検討してもらうことを意図していることも少なくなさそうです。
このような場合、ページの意図を適切に汲み取れば、トップページの平均ページ滞在時間は短い方が良いという読み方が自然になるでしょう。
また、「LP内にフォームが存在する」ページ構成などの場合も、指標の読み取り方に注意が必要です。
商品・サービスの説明を読んで「検討」をしてもらうことに重きを置けば、平均ページ滞在時間は長い方が良いと言えますが、ページにアクセスしてすぐに「アクション」を取ってもらうことを想定していれば、平均ページ滞在時間は短い方がいいという全く逆の読み取り方になるでしょう。
GAの数値は、管理画面で数字を確認する前に、そもそも個々のページがどのような役割を持っているのかを正しく理解しておく必要があります。
GAの指標に目安はありません。必要なのは、相対的な比較です。
この読み取り方をおさえた上で、仮説を立てるところから始まるデータ分析のプロセスに入りましょう。
私たち広告運用者は、ついつい、広告運用の側面からばかりでデータを見ようとしてしまいます。
例えば、広告チャネルやキャンペーン別に平均ページ滞在時間を見たり、直帰率、離脱率を見て比較したりすることがあります。そのようなデータは、広告施策軸で各々の属性別にユーザのトレンドを知るという面では確かに有効です。しかし、そのような視点だけではページの本来の目的を理解したうえでの評価を行うことはできません。
そのページの役割は何なのか。ユーザに実行させたいアクションは何なのか。
そもそも今、何を目的にして施策を行っているのか。
しばしば忘れがちになってしまいますが、原点に立ち返ることを忘れずにいれば、自然と正しいGAの読み方が見えてきます。
運用型広告で指標を読む際に、気をつけるべきたった一つのこと
GAを始めとして、「指標」を読む際に気をつけるべきことがあります。
それは、比較の軸を揃えるということです。
軸となるのは、比較する指標そのものはもちろんのこと「比較対象とするもの」と「比較の時期」です。
もちろん、前後比較をするのであれば、期間の長さを同一することは必須です。
揃えるべき、比較の軸の粒度は、その時々で異なるでしょう。
けれども、まったく無意味な比較をして、結論を出すことのないようにしたいものです。
日々の慌ただしい運用業務の中で、私たちは気づかぬうちに「思い込み」をしてしまいそうになったり、「思い込み」に惑わされたりしがちです。考えに近い数値が得られれば、そこに何かを見出したくなったり、都合の良い解釈をしたくなったりするものです。
しかし、指標を読む際には、思い込みを排除して、思考の軸を正しく持つ必要があります。
広告運用をしている私たちの目の前に現れる数値は、「人の動き」そのものです。
曖昧な認識で、重要な指標を読み違えることのないように心がけましょう。
広告運用実務において、直感は時に必要とされますが、思い込みは全く必要ないのですから。
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オーリーズは、「代理店はマーケティング戦略の立案から実行までを一貫して担うことで、はじめて価値を発揮できる」と考えています。
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また、広告運用という手段に縛られずにクライアントの目的を実現するため、クリエイティブ制作ブティックのQeticやインハウス支援に強いアタラ、 BtoB向けインサイドセールス支援を得意とするセールスリクエストなど、豊富なグループアセットも抱えています。
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