- ナレッジ・ノウハウ
- 肥田 悟志
アトリビューションとは|広告における重要性や利用シーンを解説

インターネットの普及に伴いメディアやSNSが多数登場し、コンバージョンまでの経路は多様化しました。
ユーザー目線ではさまざまな情報を手軽に得られて嬉しい反面、広告主の目線では、チャネルの複雑化によって広告の効果計測が難しくなってきているというのも事実です。
広告の効果計測が困難になった結果として、以下のようなお悩みを抱える広告主も少なくありません。
- チャネルが複雑化する中で、どのように広告の効果を測定すればよいのか
- 広告の間接効果も含めて正しく評価するにはどうしたらよいのか
- TVCMなど、Web広告以外の間接効果も含めて評価するにはどうすべきか
そこで今回は、多様なユーザー接点を正しく評価する手法のひとつとして、アトリビューションについて解説します。
「アトリビューションとは」「アトリビューションのメリットや利用シーン」「アトリビューションの導入事例」などを解説していますので、広告の効果計測でお悩みの方はぜひご覧ください。
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目次
アトリビューションとは

アトリビューションとは、ユーザーがコンバージョンするまでに、各広告やメディアがどれだけ影響を与えたかを測定する分析手法です。間接効果と呼ばれているケースもあります。
近年、インターネットやSNSの普及によって、ユーザーがコンバージョンに至るまでの経路は複雑化してきています。
多くの消費者は、購買行動に至るまでに複数の広告やメディアと接触した上で、最終的にコンバージョンするケースが一般的です。
企業のWebサイト、広告、SNS、YouTubeなど、商品やサービスの情報収集ができるチャネルが多様化する中で、「リスティング広告を見てそのままコンバージョンする」といった直線的な購買行動は少なくなってきています。
アトリビューションを活用すれば、複雑なユーザー行動を可視化して、各広告やメディアがコンバージョンにどの程度貢献したのか明らかにすることが出来ます。
アトリビューションが注目されている背景
アトリビューションが注目される背景としては、「ユーザー行動の多様化」「マルチデバイス化」「クッキーレス」が主な要因として考えられます。
ユーザー行動の多様化
インターネットやスマートフォンの普及により、ユーザーの行動は多様化しています。
現代では複数のメディアを比較したり、SNSで実際に利用しているユーザーの1次情報に触れたりして、多数の情報を見比べたうえで意思決定をおこなう消費者が多いです。
商品やサービスを購入する前に多様なチャネルで広告に触れるため、広告の貢献度を正しく評価するのが難しい状況となってきています。
マルチデバイス化
近年、動画配信サービスなどを中心に、複数のデバイスからサービスを利用することができる「マルチデバイス化」が進みました。
一つの購買プロセスでも、複数のデバイスを行き来することが当たり前となり、従来の効果計測手法では、ユーザージャーニーを正確に把握することが困難になってきています。
こうした動きの中で、ユーザー行動を正しく把握し、広告やメディアの貢献度を適切に評価する仕組みとして、アトリビューションが注目されています。
クッキーレス
Web広告業界が「クッキーレス」環境へと移行する中、アトリビューションはこれまで以上に重要な課題となっています。
従来、サードパーティクッキーはユーザーのオンライン行動をトラッキングし、アトリビューション分析を行うための主要な手段でしたが、プライバシー保護の観点から、主要なブラウザがサードパーティクッキーのサポートを段階的に中止しています。
その結果、従来のクッキーに依存したアトリビューション手法では、ユーザーの行動を正確に追跡することが難しくなり、広告の効果を適切に評価できないという問題が生じています。
アトリビューションが効果的なケース、そうでないケース
アトリビューションは商品やメディアの特性によって効果的なケースとそうでないケースがあります。
効果的なケース
アトリビューションが効果的なケースは「ユーザーの購買行動が長期」「マーケティング施策が多様」な場合です。
ユーザーの購買行動が長期
ユーザーが複数メディアを見比べたり、同じメディアで何度も訪問し検討したりする商品の分析にはアトリビューションが向いています。
それぞれの広告やメディアがどれだけユーザーに影響を与えたか分析することで、コンバージョン貢献度の高いメディアに対して予算を多く割り振るなど、マーケティングの投資効率を高めることが出来ます。
既存のメディアでコンバージョン率が低いメディアは購買行動が長いと考えられるため、アトリビューション分析を検討しましょう。
マーケティング施策が多様
広告、SEO、SNSなど、多様なマーケティング施策を実施している場合はアトリビューションがおすすめです。
通常、CVの直前に接触するメディアはリスティング広告や指名検索などが一般的ですが、アトリビューションを活用すれば、CVに直接効果を与えた施策だけでなく、間接効果も含めて貢献度を評価することが出来ます。
効果的ではないケース
アトリビューションが効果的ではないケースでは、実装してもあまり成果が得られず費用や労力が無駄になるリスクがあります。
具体的にどのようなケースでアトリビューションが向かないか確認しましょう。
ユーザーの検討期間が短い
単価の低い日用品や雑貨など、サイトを訪れた段階である程度行動を決めている場合、アトリビューションは向きません。
検討期間が短い商材では、そもそもユーザーがCVまでに接触するメディアの数が少ないため、アトリビューション分析をおこなっても有益な結果を得られる可能性が低いと言えます。
マーケティング施策が少ない
リスティング広告しか配信していない場合など、自社で実施しているマーケティング施策が限定される場合も、アトリビューションは不向きです。
ユーザーの購買行動が短い場合と同様に、自社が実施している施策が少ない場合は、ユーザーがCVに至るまでに接触するメディアが限定されるため、アトリビューション分析を行う意義は薄くなってしまいます。
ユーザーが接触する経路が少ない
特定のマーケティング施策に経路が集中している場合は、評価する経路そのものが少ないため、アトリビューション分析が有効に働きづらいです。
例えばGoogleアナリティクスでの「経路の数」が1回と表示される割合が80%以上の場合は、アトリビューション分析を行っても新しい気付きを得るのは難しいです。
アトリビューション分析3つのメリット
アトリビューションを行うことで具体的に何がわかるのでしょうか。そのメリットは大きくわけて3つです。
マーケティング施策を適切に評価
アトリビューションを導入すれば、どの広告やメディアがCVに貢献しているのかを正確に把握することが出来るため、マーケティング施策の効果を適切に評価することにつながります。
たとえば、以下のようなケースにおいて、従来のラストクリック評価でCV貢献を評価すると、CVの直前にユーザーに接触したリスティング広告の影響しか評価することが出来ません。

一方、アトリビューション分析を活用すれば、ラストクリック以前にユーザーに接触しているディスプレイ広告やSNSの貢献度も含めて施策の効果を測ることが出来るため、より正確な評価をすることが出来るようになります。
このようなコンバージョンパスがわかることで、
- 各タッチポイントがコンバージョンにどの程度寄与したか可視化できる
- 最初の接触から最終的なコンバージョンまでのどれくらいの期間がかかっているのか把握できる
といったメリットがあります。
正確なCPAの算出とROIの最大化
アトリビューションの活用によって、各広告やメディアの正確なCPAを算出し、ROIの最大化につなげることができます。
アトリビューションを行わない場合、各施策はラストクリックのCPAで評価することが多いですが、その際の典型的な問題として、CVにつながりやすい指名検索やリターゲティング広告を高く評価しすぎてしまったり、ディスプレイ広告などを過小評価してしまうケースがあります。
より具体的なイメージを持っていただく上で、とある航空会社がリスティング広告を配信しているケースを単純化してご説明します。

図の左下にある数値は、広告の管理画面で確認できるCVやCPAのデータです。
これを見ると、投資している予算は各キーワードで同じですが、CPAはサイト名→飛行機チケット→海外旅行の順で高くなっており、「海外旅行」キーワードは1件もCVが発生していないため出稿停止の判断をしています。
一方、線形モデルで各キーワードのCV貢献度を再評価すると、右図の赤枠のようになります。
今回のサンプルケースで利用する線形モデルとは、コンバージョンに至るまでに接触した広告に評価を均等配分するモデルです。
具体的には、「海外旅行」→「飛行機チケット」→「サイト名」の経路でCVに至ったケースでは、1CVが発生するまでに3回広告が接触しているため、サイト名のCV貢献度は0.33CVとカウントします。
同様に、「海外旅行」→「海外旅行」→「サイト名」の経路でCVに至ったケースも1CVに対して3回広告が接触しているので、サイト名のCV貢献度は0.33CVとカウントできます。
その他、上記のケースではサイト名は広告接触をしていないため、上記の0.33CV+0.33CVで0.66CVの価値があると算出できます。
このアトリビューション分析で再評価した後のCVをTCV(トータルコンバージョン)と呼び、予算をTCVで割ったCPAをTCPA(トータルCPA)と言います。
「サイト名」と同じく、「飛行機チケット」や「海外旅行」のキーワードも配分評価を行った結果、広告管理画面上は「海外旅行」がコンバージョンに結びついていないので出稿停止という判断になりますが、配分評価後は出稿停止どころか「サイト名」より広告貢献性が高いということになります。
上記のようにCV貢献度を可視化することで、ROIの低い施策から高い施策へ予算配分を行うことができるため、マーケティング予算をより効率的に活用し、高いROIを実現できます。

不要なマーケティング施策のコストカット
もう1つのメリットとして、アトリビューションにより、不要なマーケティング施策を削減することもできます。
アトリビューションは評価方法やその時の事業状況によってどう評価するかが変わるため、先述した「ROIの最大化」のような売上向上は結果に繋がりにくいことはありますが、「ユーザーの行動につながっていなそうだ」、「相対的に貢献度合いが低そうだ」といった継続する価値の低い施策を可視化することは期待できます。
そのため、アトリビューションというと、価値が見えづらいものを可視化することで伸びる効果を期待される方も多いですが、意外と、貢献性が低い施策のコストカットが定量的にわかりやすい結果として満足されることも多いです。
アトリビューションの代表的な6つのモデル
アトリビューションには「ラストクリック」「ファーストクリック」「線形」「接点ベース」「減衰」「データドリブン」と、6つの代表的なモデルがあります。

それぞれのモデルの違いについて見ていきましょう。
注意点:
Google広告・GA4では「ファーストクリック」「線形」「接点ベース」「減衰」のモデルは現在利用できなくなっているため注意しましょう。
参考:アトリビューションモデル「ファーストクリック」、「線形」、「減衰」、「接点ベース」のサポートは終了します
ラストクリック
ラストクリックはコンバージョンに至る過程で、最後にクリックされた広告だけ評価するモデルです。
直接コンバージョンにつながったキーワードや、広告の効果を重視したい場合にラストクリックモデルを活用します。
広告をはじめて配信する場合や、どのキーワードが成果に繋がるか分からない場合などにおすすめのモデルです。
ファーストクリック
ファーストクリックは、コンバージョンに至る過程で最初にクリックされた広告やキーワードだけ評価するモデルです。
ユーザーが初回に調べたキーワードや広告について重視するなら、ファーストクリックを採用します。
ただし、ファーストクリックで表示されるメディアや広告はユーザーの興味は引くものの、コンバージョンの決定打とは考えにくいため、採用されるケースは稀です。
線形
線形は、コンバージョンに至るまでの全経路に貢献度を均等に割り当てるモデルです。
線形はユーザーと接触したすべての広告を同等に評価したい場合は有効ですが、どの広告やキーワードがCVに貢献したのか分析が難しくなるため、線形モデルを活用しているケースはそう多くはありません。
接点ベース
接点ベースは、コンバージョンに至る最初と最後の広告に40%の貢献度を割り当て、間の経路に残りの20%を均等に割り当てるモデルです。
コンバージョンにつながった経路として最初と最後が両方とも重要で、間の経路が比較的重要ではないと考える場合、接点を用います。
減衰
減衰は、コンバージョンに近い経路に貢献度の重みを付けるモデルです。
すべての経路を評価しつつも、直接コンバージョンにつながった経路をより評価したい場合に採用されます。
データドリブン
データドリブンは、過去のデータに基づいて貢献度を割り当てるモデルです。google広告やGoogleAnalytics4で設定することが出来ます。
アカウントに蓄積されている大量のデータに基づいて、コンバージョンに関連があると判定される広告を評価します。
Google広告やGoogleAnalyticsにおいて、アクセス数が不十分でデータ蓄積されていない場合、設定がラストクリックモデルに切り替わる点は注意しましょう。
アトリビューションモデルの使い分け方
ここまで代表的なアトリビューションモデルについて紹介してきましたが、それぞれどのように使い分けるべきか、あくまで目安ではありますが、判断ポイントを紹介します。
まず、短期的なコンバージョン増加を重視するなら、コンバージョン直前の広告を評価するラストクリックモデルが有効です。ECサイトなどコンバージョン数の多い、検討期間の短い商材に適しています。
認知拡大を目指すならファーストクリックモデルが考えられますが、初回接触のみを評価するため、他の接点ベースモデルの検討も必要です。業界内シェアの高いブランドに向いています。
線形モデルは全ての接点を均等に評価するため、認知と獲得の役割分担が不明確なキャンペーンに適しています。検討期間の長い商材に向いています。
減衰モデルはコンバージョンまでの時間も考慮し、直近の接点を高く評価します。短期間でコンバージョンを期待する認知施策、検討期間が短めの商材に適しています。
接点ベースモデルは最初と最後の接点を重視し、認知施策と獲得施策の役割が明確な場合に有効です。検討期間の長い商材、ブランド認知の高い企業の新規商材に適しています。
データドリブンモデルは機械学習を用いて最適な貢献度を割り当てます。十分なデータがあれば、あらゆる商材で最も効果的です。ただし、過去30日間で3,000クリック、300コンバージョン以上が必要です。
主流はラストクリックorデータドリブンに
現在Google広告では、ラストクリックおよびデータドリブンが主流です。
データが蓄積しておらず、コンバージョンに至ったキーワードや広告が不明瞭な場合はラストクリックが採用されます。
運用間もない段階ではラストクリックを基準に分析しましょう。広告運用によりデータを蓄積すれば、データドリブンに切り替えられます。
アトリビューションの利用シーン
アトリビューションは大きく分けると「Google広告など特定チャネル単位での活用」と「GoogleAnalyticsなどを利用し、施策横断での活用」の2パターンがあります。それぞれの具体的な利用シーンについて確認しましょう。
Google広告など特定チャネルでの利用
Google広告やYahoo!広告など、特定チャネルの改善を目的にする際は、広告媒体のアトリビューションレポートを活用するのがおすすめです。
主要媒体にはアトリビューションを確認する機能が搭載されていることも多いため、特定チャネルのアトリビューションは始めやすい施策です。
利用にあたっての詳細手順は下部の「アトリビューションの導入方法」で説明しています。
参考:Meta広告マネージャでアトリビューションの結果を把握する
特定チャネル内でアトリビューション分析を行う場合は、その施策だけの評価に留まるものが相性良いため、下記のような課題におすすめです。
- どの広告やキーワードがCVに貢献しているのか可視化したい
- アトリビューションモデルを変更することで、どのようにCV数が変わるのか確認したい
- 特定媒体内における施策同士の貢献性を知りたい(例えばディスプレイ広告の配信がどれくらいリスティング広告のCVに貢献しているかなど)
こういった特定媒体内でのユーザー行動に起因するものを確認するのにおすすめです。
もし広告予算の配分を決めたい、どの施策に注力するべきか考えたいなどは、施策横断で確認するほうが好ましいため、次章の内容を参考にしてください。
GoogleAnalyticsなどを利用し、デジタルマーケティング全体での利用
デジタルマーケティング全体の予算配分の見直しや施策評価を目的とする場合は、計測ツールを利用するのがおすすめです。この場合、いくつか選択肢はありますが、無料で利用できるGoogleAnalyticsを活用したアトリビューション分析が一般的です。
GoogleAnalyticsのアトリビューション利用方法も同様に「アトリビューションの導入方法」で説明しています。
計測ツールを利用してアトリビューションを行う場合は、施策全体の示唆を得るのにおすすめで、下記のような課題解決に貢献できます。
- コンバージョンに至るまでの全体像を知りたい
- 予算配分を見直し、成果の良い施策でより多くの予算を活用したい
- 認知施策がCV増加にどれくらい貢献しているか確認したい
このようにアトリビューション分析を行うことで、より効率的な予算配分を実現し、ROI向上を果たすことができます。
アトリビューションの導入方法
Googleでは、アトリビューションで分析可能なツールを導入しています。
Google広告とGoogleAnalyticsでの具体的な導入方法について、確認しましょう。
Google広告
Google広告でアトリビューションを導入する場合、「目標」から「測定」>「アトリビューション」の順に選択します。
アトリビューションモデルをデータドリブンに切り替えたい場合は、「DDAに切り替え」から設定変更することが出来ます。

アトリビューションモデルを設定後、コンバージョン経路を確認したい場合は「コンバージョン経路」から確認できます。
GoogleAnalytics4
GoogleAnalytics4でアトリビューションを設定する場合、まずは左側メニューの「管理」を開き「アトリビューション設定」を選択します。
アトリビューション設定画面でモデルを選択しましょう。デフォルトはデータドリブンです。
次に、ルックバックウィンドウを設定しましょう。ルックバックウィンドウとは、コンバージョンが発生する何日前までデータをさかのぼって反映させるかの指標です。
ルックバックウィンドウを再設定する場合、過去にさかのぼって集計しなおすことは不可能な点に注意しましょう。
アトリビューション以外で知っておきたい広告の評価観点
この記事をご覧いただいている方の多くは、広告の売上への貢献性を正確に捉えたい、施策間のROIを適切に評価したいなどの目的をお持ちだと思います。
今回ご紹介したアトリビューションも上記の目的を達成するための手段のひとつではありますが、広告の貢献性や施策の評価を行う際にあわせて知っておきたい評価観点も紹介します。
CVが売上に直結しない場合はCV獲得以降のROIも評価する
BtoB、不動産、人材ビジネスなど、Web広告のCV=成約では無いケースでは、広告のCV以降のプロセスも考慮した上で広告施策の評価をすることが重要です。
たとえばBtoB事業の広告運用においては、多くの企業がリード獲得施策を実施していますが、獲得したリードがその後、実際に商談や受注にどれだけ結びついているかを適切に把握できていないケースが見られます。
その結果、リード数そのものの最大化を目的にしてしまう状況が発生し、本来の目的である「リード獲得後にどれだけ商談数や受注数につながっているか(=売上の最大化)」という視点から離れてしまうことがあります。
イメージとしては、以下のように広告CVだけではなく、商談数や受注数などのその後のプロセスも含めて施策の良し悪しを判断することが重要です。

実際に弊社でご支援していたクライアントでも、広告のCPAで評価すると効率の良い施策と評価していたものが、商談単価や受注単価もふくめて評価をすると、実は施策効率が悪いことが分かった事例もあります。
手前味噌ながら、弊社では広告媒体・GA4・CRMそれぞれのデータを統合したBIダッシュボードを構築して、広告のCV以降のデータも含めて施策のROIを可視化するレポートをご提供しています。
以下のリンクからモニタリングレポートのイメージを確認できるデモ動画にアクセスできますので、気になる方はあわせてご確認ください。
マス広告が指名検索数に与える影響を考慮する
一部の広告主では、TVCMなどのマス広告やYouTube広告を配信して、ブランドの認知拡大を企図するケースも散見されます。
マス広告やYouTube広告はマーケティングファネルの潜在層にタッチする施策であるがゆえに、実際に施策の影響がどの程度あったのかを評価することが難しい傾向にあります。
以下は弊社でご支援していたBtoB企業のクライアントの事例ですが、結論として、マス広告(TVCM)の配信によって、指名検索広告に以下のような影響が現れました。
- フェーズ1(CM放映直後)
- インプレッション数(IMP)とクリック率(CTR)が向上
- クリック数が増加したことで広告コストは増加したものの、広告ランクに影響を与える「推定クリック率」の向上によりクリック単価(CPC)は低下
- 一方、潜在層ユーザーの流入が増加したため、リード獲得率と有効リード獲得率は低下し、獲得単価は上昇
- フェーズ2(CM放映から1週間経過)
- 高いCTRが継続したことで「推定クリック率」の評価がさらに向上し、CPCはフェーズ1よりも大幅に低下
- それに伴いリード獲得単価と有効リード獲得単価も低下
- フェーズ3(CM放映終了直後)
- CM放映は終了したものの、リード獲得率と有効リード獲得率が大幅に向上し、リード獲得単価と有効リード獲得単価はさらに低下
- これは、CMの残存効果により導入意向の高い顕在層ユーザーの割合が増加したためと考えられます
- フェーズ4(CM放映終了から1週間経過)
- リード獲得単価と有効リード獲得単価は上昇に転じる
- IMP、CTR、獲得率が放映前の水準に戻りつつあることから、CMの残存効果が薄れてきたと考えられる
- しかし、CPCは放映前の半分程度を維持しており、CM放映による何らかの影響が残っている可能性が考えられる
結論として、マス広告の配信は指名検索広告のCTRを向上させ、CPCを低下させる効果が期待できる一方で、一時的に潜在層の流入が増加し、獲得率が低下する可能性もあります。
また、CM放映終了後には残存効果により獲得単価が抑制される期間があることが示唆できます。
よくある質問
最後に、アトリビューションに関してよくいただく質問とその回答をまとめました。
アトリビューション分析に必要なコストは?
アトリビューション分析に必要なコストは、分析のレベルによって大きく変動します。
主に3つの選択肢がありますが、まずは無料で活用できるGoogle Analyticsや広告プラットフォームに搭載されている機能から活用する①がおすすめです。
①Google Analyticsや広告プラットフォームなどの無料ツールを利用
無料で利用ができますが、担当者の人件費や学習のためのコストはかかります。
②ADEBiSやAdobe Analyticsなどの有料ツールを利用
分析するサイトのデータ量によりますが、月額数万円から数百万円のツール利用料がかかります。これに加えて、初期導入費用、データ連携費用、そして運用・保守のための費用がかかることもあります。
③独自のアトリビューションモデルを構築する自社開発/カスタマイズ
開発費用、インフラ整備費用、専門知識を持つ人材の人件費など、②と比べても高額な費用が発生します。
アトリビューションのおすすめツールは?
まずは無料のGoogle Analyticsから始めるのがおすすめです。コストをかけずに基本的なアトリビューション分析ができるため、多くの企業がスタート地点として活用しています。
Google Analyticsを活用する中で「もっと詳しく知りたい」「この機能が足りない」といった課題を感じたときが、有料ツールへの切り替えタイミングです。
例えば、「計測精度を高めたいので、ADEBiSやAdobe Analyticsを導入する」、「自社のCRMデータと連携して分析したいので、SalesforceやMarketoを活用する」といったケースはよく見受けられます。
このように、ビジネスの成長や課題に合わせてツールをステップアップしていくことで、効果的にコストを管理しながらアトリビューション分析の質を高められます。
アトリビューションの実施頻度は?
アトリビューション分析は、1度きりで終わらせるのではなく、継続的に実施することが重要です。
具体的な頻度は自社のマーケティング活動の状況によって左右されますが、アトリビューションの目的が意思決定にあることから、月次や期毎など定期的な頻度や特定施策のレビューのために行われることが多いです。
アトリビューションはいつ頃から開始すべき?
いつからという明確な判断軸はございませんが、「効果的なケース」で紹介したような状況が当てはまるようでしたら実施を検討するのがおすすめです。
特に下記のような課題を多く感じるようになっていたらアトリビューション分析が解決の一助になると思います。
「どの広告が本当に効果があるのか分からない」
「費用対効果の高いチャネルに予算を集中したい」
「マーケティングROIを改善したい」
もし、いつからアトリビューション分析を始めるべきか、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせて、最適なアドバイスをさせていただきます。
まとめ:アトリビューションを導入して広告効果を正しく測定しよう
アトリビューションの導入により、複雑な条件下でも適正な広告効果の判断が可能です。
とくにユーザーが検索してからコンバージョンするまでの経路が長い商品では、アトリビューションの導入によるマーケティング施策の最適化が期待できます。
投資や人件費を抑えつつ、広告効果を最大限発揮したい方はぜひアトリビューションを導入してみましょう。
弊社オーリーズでは、アトリビューションの導入から運用までのご支援が可能です。まずは気軽にお問い合わせください。
アトリビューションの導入・活用なら
100社以上の支援実績を持つ「オーリーズ」へ
アトリビューションの設定、活用方法に不安があるなら、スピーディーな仮説検証が強みのオーリーズへ。
1社1社に向き合える体制で、各社にあわせた分析・運用をします。
【広告成果を最大化するオーリーズの特徴】
- 顧客の課題にコミットするため、担当社数は最大4社
- 運用者=顧客窓口だからスピーディーな仮説検証が可能
- 顧客の半数以上が「強く」おすすめしたいと評価