- ナレッジ・ノウハウ
- 漏田 翔秀
インハウス化に向けて初期段階(移管期)でやるべきこと
インハウス運用を軌道に乗せるまでには、やるべきことがいくつかあります。
具体的には、下記の図のように準備期、設計期、開始期、改善期の4つのフェーズがあり、それぞれやるべきことが異なります。
今回は「移管期」に焦点を当てて解説します。
アカウント移管は、媒体ごとに異なるため、本記事ではアカウント移管で抑えておきたいポイントを解説します。
(過去記事はこちらをご覧ください)
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目次
広告アカウントの「移管」に向けて情報を整理する
インハウス化を進めるにあたり、まずは、
- これまで配信した媒体
- アカウントの所有者は誰か
- インハウス化する媒体はどれか
などを整理しましょう。
インハウス化の際は、以下の4つの手順で整理していくのがおすすめです。
1.媒体の確認
現在配信中の媒体を確認します。広告代理店から送付されるレポートや日々のやり取りを通じて、概ね把握できていると思いますが、移管をするにあたり改めて確認しておきましょう。
また、過去に配信した媒体の中で、再開見込みがある媒体も併せて整理しましょう。
これまで長らく配信をしていたものの、成果が芳しくないため一時的に停止した媒体なども忘れないようにしてください。広告代理店に確認すれば、過去の配信媒体も含めて回答を得られると思います。
もしくは請求書に媒体ごとの配信費の記載があれば過去分も含めて請求書から配信媒体を振り返るのも良いと思います。
配信実績のある媒体を整理できたら、媒体のうちどの媒体をインハウス化するのか目星を付けましょう。
2.アカウント所有権の確認
目星を付けた媒体が移管できるのか確認します。その際に重要なのが、広告アカウントの「所有権」という概念です。
自社で開設したアカウントを広告代理店が使用している場合は、アカウントの所有権が自社にあるため移管作業がほとんどありません。
しかし、多くの場合、広告代理店が開設したアカウントを使用して配信しています。広告代理店が開設したアカウントは、広告代理店側に所有権があります。
そのため、インハウス化するにあたり、所有権を移譲してもらう必要があります。まずは、広告代理店にアカウントの所有権を移譲できるか確認しましょう。
アカウントの委譲が難しい場合には新規でアカウントを開設することになり、媒体にもよりますが、新規アカウントは過去実績を引き継ぐことができません。
機械学習がリセットされた状態で配信を開始するため広告パフォーマンスが低下する可能性があるため、交渉余地がありそうであれば、可能な限り所有権を移譲してもらいましょう。
また、注意点としては、広告アカウントによっては、媒体側の仕様によって所有権の移譲がそもそもできないケースがあります。
たとえば、Goolgeでは所有権の移譲ができますが、Metaではできません。自社でインハウス化したい媒体を整理した上で、所有権の移譲ができるか新規開設が必要か整理しましょう。
3.移管計画の策定
1と2の手順で、配信中あるいは過去配信した媒体のうち、移管できる媒体と新規開設が必要な媒体とが整理ができたはずです。
次にどの媒体からインハウス化するのか計画を立てましょう。媒体単位で段階的にインハウス化するのか、全広告アカウントを一斉に移管するのか計画を立てます。
ポイントは、移管する媒体数と、担当者が広告運用に割り当てられる工数です。
ここでは詳細な説明は割愛しますが、インハウス化の初期段階では、担当者が広告運用に慣れるまでしっかりと工数を確保することが理想です。
自社のチーム体制(人数や広告運用にかけられる工数など)を参考に全媒体を一度に移管できそうか判断してください。
過去記事のインハウス広告運用におけるチーム組成のコツをあわせてご確認いただくことで、どの程度担当者の工数が必要そうか判断をつけることが可能です。
4.支払い方法の確認
アカウント移管を行う際に見落としがちな点のひとつに、支払い方法への対応があります。
移管作業が始まった後で障壁になりやすい部分ですので、移管予定の媒体については事前にチェックしておきましょう。
媒体への広告費の支払いは、基本的にはアカウントの所有者が行います。Google広告をはじめとして、多くの媒体では、基本的に請求書払いに対応していませんので、クレジットカード払いになります。(出稿実績と各社の条件を満たせば請求書払いも可能)
カードの利用実績によっては利用上限額の影響で、月の途中で広告が停止する恐れがありますので注意しましょう。
広告アカウント以外の整理
広告アカウント以外にも事前に確認しておくべきこと、必要に応じ新規で準備したいものがあります。
広告クリエイティブの確認
アカウントの移管までに配信していた広告クリエイティブを、そのまま利用できるか確認しましょう。PSDデータなど広告クリエイティブを作成した元データと合わせて確認することをおすすめします。
また、インハウス運用を行う際、社内にクリエイティブ制作体制がなければ制作パートナーを選定することも視野に入れましょう。アカウント移管前に制作パートナーの選定を行っておくと、アカウント移管後からすぐにクリエイティブ改善に着手できます。
レポーティング環境の整備
インハウス化する場合、レポーティング環境は必須になります。毎回手動データを取得していると時間が掛かるため、自動でレポーティングできるツールを導入しましょう。
自社ですでに利用しているツールがあれば、そのツールに広告アカウントを連携できるか否か確認してください。もしツールがない場合、インハウス運用開始前までに導入することをおすすめします。
計測タグ管理ツールの確認
最後に、計測タグ管理ツールに関してです。有名なツールはGTM(Googleタグマネージャー)です。
これまで外部パートナーに広告運用をすべて委託していた広告主には、あまり馴染みがないかもしませんが、広告の効果計測にはタグの設定が不可欠です。
サイト上に直接タグを設置する場合は、媒体ごとにタグを設定する必要があるため管理が煩雑になります。そこでタグを管理するためにGTMを使います。(タグ管理以外に、タグの発火タイミングの調整、タグの挙動確認などいろいろな機能があります)
インハウス運用では、広告の計測タグを自社で管理することになるため、アカウント移管を開始する前までに事前に準備しておきましょう。(各媒体でGTMを利用してタグ設置する方法はこちらをご覧ください)
まとめ
アカウント移管移管を行う際に抑えておくべきポイントを解説しました。移管作業を開始する前に必ず、本記事で伝え情報を整理しておきましょう。
作業を開始した後に抜け漏れが発覚して慌てて準備を始めると、うまくアカウント移管ができない、あるいは移管が完了して配信開始した後に問題に気づくなど、色々と不都合が生じます。
次回は、実際にアカウント移管作業で抑えるべきポイントを解説します。
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