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Criteo Senior Sales 河野正寛氏が語る~Criteoの運用の本質は”入札”ではない、エンジンへの”インプット”だ~
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インタビューの背景
Ad JORNALでは ~広告運用に本質的な視点を~テーマとし、急速に多様化・自動化・断片化が進むデジタルマーケティングの環境を乗り越えていくため、運用型広告の今にフォーカスを置いた情報を発信しています。今回は業界インタビューとして自動最適化、パーソナライズレコメンドの代名詞といえるCriteo社にインタビューを行いました。
本インタビューは2016年7月14日に収録した内容となります。
【鈴木】本日は業界インタビューとしてCRITEO株式会社、弊社代理店担当の河野正寛さんに「自動化テクノロジーと広告運用」というテーマで、Criteoと河野さんご自身のキャリアから今日のCriteoに至る背景、そしてCriteo運用のポイントついてお話しを伺いたいと思います。河野さんよろしくお願いします。
【河野様(以下、敬称略)】ありがとうございます。よろしくお願いします。
Criteoと河野正寛氏
【鈴木】まずはCRITEO株式会社と河野さんの自己紹介からお願いできますか?
【河野】Criteoは、自社WEBサイトに来たユーザーに、その人が見た商品やその人にとっておすすめの商品をバナーに掲出することで、ユーザーの関心を引きWEBサイトへの再来訪を促すリターゲティング広告を行っております。クリック率が非常に高いことでコストを下げ、広告主様の「ROIの最大化」及び「売上げの最大化」をサポートしています。
Criteoの実施のために準備頂くものは2つです。1つは自社サイト上でユーザーの動きを把握するための「タグ」をサイトに実装して頂くこと。そしてもう1つは、広告に表示するための商品マスターリストである「データフィード」です。データフィードには商品名、商品画像、価格などが含まれており、これを更新することで、広告に表示される内容を簡単に変更することができ常に新しい商品情報で広告掲載が可能です。
弊社は初期費用など一切なく、広告がクリックされた場合のみ、クリック単価に応じて費用を頂いており、国内では、大手ECモールをはじめ、人材系、不動産、旅行、金融など様々なお客様に継続してご利用頂いております。
次に私のキャリアですが、2007年大学卒業後、人材採用コンサルティング会社に入社したのが始まりで、2009年よりアイモバイルに入社し、フィーチャーフォン広告主向けアドネットワーク営業に従事しました。当時iPhoneなどスマートフォンがまさに広がろうとするときでスマートフォンアドネットワーク事業の立ち上げを経験し、WEB/アプリの広告主様に対する自社アドネットワーク広告の提案営業を行っていました。
その後2012年よりCRITEO株式会社に入社し、大手・中堅代理店及び直営業にて新規広告主に対してダイナミックパフォーマンス広告の提案営業に従事しております。弊社の商品数の少ない広告主様向け提案商材のシングルレイアウトやモバイル配信の立ち上げ、社内ワークフローの整備を行う傍ら、直近では新規代理店様拡充のプロセス設計を行っております。
プライベートでは、昔から人が知らない場所やモノ、スポーツなどを知り、伝えることが非常に好きで、直近ではイスラム圏のチュニジアやイランに旅に行き、その土地の文化を知る機会を作っています。
【鈴木】ありがとうございます。では河野さんがどうしてCriteoにご入社されたのか、その背景含めてお聞かせ頂けますか?
【河野】私自身、この業界(デジタルマーケティング)において、合計2社、足掛け7年以上在籍していますが、そのどちらもディスプレイ広告かつ広告主様向けの自社広告の提案営業でしたので、Search(検索連動型広告)の圧倒的な効果と利用金額を横目で見つつ自社のポジションをどこにとるかを常に考えつづける毎日でした。
私の場合、主たる広告提案プロダクトがフィーチャーフォンから始まり、スマートフォンWEB、アプリ、パソコン(PC)へと変化したため一般的な流行のデバイスの流れと逆行しつつも、網羅的に経験できたのかなと思っています。キャリア当初は、キャリア決済の始まりやアプリ初期のネイティブ/WEB論争や電子書籍などの渦中にありました。その後は、DSP/ダイナミック広告のテクノロジーの勃興から動画広告等、本当にたくさんの広告主様・ベンダーとマーケティングを一緒に考えさせていただく体験が出来、有り難いことだと思っています。
Criteoの入社についてですが、デバイスが変わればそれに応じて広告主のマーケティングも大幅に変わるデジタルマーケティング業界において、スマホ広告経験後、そのままのソリューションであるアドネットワークでPCに行かず、ダイナミック広告を主に販売するCriteoに入社したことは、自分のキャリアにとっても非常に大きなチャレンジでしたね。
私が入社したタイミング(2012年)はまさにこれからCriteoが日本国内で展開しようとするタイミングでした。いまだから言える話ですが、入社前の面接でCriteoのバナーを見せてもらい、当時はなにがどう動いているのか全く理解できなかったのですごく興奮したのを覚えています。私自身新しいこと、誰もやったことがないことをしたいという性分のため、それをやれる環境=Criteoに入ったというところでしょうか。
今でこそ広告主様に少しはCriteoも認知されたと思いますが、当時(2011~2012年)は国内では業界の一部の方以外、データフィードなどほぼ誰も意識していない中、その重要性とディスプレイ広告への活用法の提案は、機械学習を用いた配信後のシンプルさとエンジンへのインプット、システム設定の複雑さとをあわせ持つ、未知な存在に対して、どう向き合い、押し進めるかの始まりだったと思います。
これからは先日のエージェンシーカンファレンスで発表しましたが、私たちCriteoはSearch(検索行為)などネット上でユーザーとの接触点を増やすだけではなく、Beaconなどを使い、リアル店舗とデータをどう融合して、広告主様にパフォーマンスを返していくかも考えていかなければなりません。これもまた非常に大きなチャレンジですね。
未知の広告プロダクトをシステム部門に伝える難しさと代理店制度の立ち上げに奮闘する日々
【鈴木】面白いですね。先ほど「データフィードなどほぼ誰も意識していない中、その重要性とディスプレイ広告への活用法の提案は、機械学習を用いた配信後のシンプルさとエンジンへのインプット、システム設定の複雑さとをあわせ持つ、未知な存在に対して、どう向き合い、押し進めるかの始まりだった」と。是非、未知のプロダクトのCriteoを日本でどうやって拡販されたかお聞きしたいんですが?
【河野】そうですね、Criteoの拡販については日本展開当初から代理店様をベースに拡げる戦略をとっていて、私は入社間もなく様々な代理店様への拡販を担当しました。そういう背景がある中で、Criteoの日本への参入初期(2011年)と現在(2016年)とでは意識していることは実は全くと言っていいほど異なっています。
まず、Criteo参入初期に苦心したのは、クライアントのマーケティング部門の方々はCriteoを導入したいといってくれるが、システム部門の方々、そして何よりシステムそのものが動かないという問題に直面するケースが多数あったことです。
これは当時、データフィードを使う広告が他になかったこともありマーケティング部門とシステム部門の連携ができていないことに起因していて、今でこそ少なくなりましたが、広告を打つのになんでこんなにタグを実装する必要があるのか?データフィードを含め自社データを何故わざわざ他社に渡す必要があるのか?という仕様理解面の課題からダイナミックパフォーマンス広告を配信する上で必要な商品IDがそもそもないことや、商品マスタが存在しないこと、自動的にサーバーにアップロードできないといった技術面の課題が非常に多く、そのたびに解決案を提示するという毎日でした。
そういう背景があって、立ち上げ当時はCriteoに対する理解から始まり、システム改修が必要であった場合はマーケティング部門からなのかシステム部門からなのか、どのように予算を取ってくるか、お申込後のシステム導入を如何にスムーズに解決していくかを代理店様・広告主マーケティング担当者と一緒に考えるパートナーになれるよう常に意識していました。広告を提供することの重要性はもちろん、技術とシステムに対する理解の重要性が高まっていく時代の流れを痛感しましたね。
今では代理店様のおかげである程度Criteoも聞いたことはあるよという方が増えまして、マーケティング部門とシステム部門の組織的な課題は超えて2つのこと、「正しい仕様理解」と「それに基づくCriteoエンジンへのインプット」を伝えることを常に意識しています。
1つ目の「正しい仕様理解」ですが、ご存じのとおり、Criteoは機械学習アルゴリズムが絶えず新しいデータを学習しています。配信開始までフィードの取り込み、タグの実装などご対応頂く業務は対象となるクライアントのシステム状況の難易度こそあれどやるべきことは変わらないので、いかに基本仕様を理解していただいたうえで「忠実に設定して頂くか」です。ここは強く申し上げたいのですが、配信ボリュームを調整したいからトップページのタグを外したり、一部の商品をフィードから除外するなどはデータ学習の質を落としますので、基本的な仕組みをしっかりと理解していただいた上で「忠実に設定して頂く事」が重要です。
2つ目はインプット、つまり「Criteoのパフォーマンスを上げるためにCriteoのエンジンに何のデータを与えるのか」です。
各方面から「Criteoって一度始めたら効果よいのでCPCの変更をするってだけの運用で楽ですよね。」とか「Criteoは手離れがいい」とか言われるんですが、そのたびに、「いやいや、そんなことない。Criteoの運用の本質はCPCの”入札”変更ではない、エンジンへの”入力”つまり” インプット”だ。」とお伝えしています。
そもそもCriteoはクリック率が非常に高いことでコストを下げ、パフォーマンスを最大化することができると冒頭にお話ししましたが、例えば、データフィードの観点から言えば人材系のお客様でデータフィード上の求人画像がない場合、テキスチャルバナー(画像がないテキストのみの広告)で配信することになります。その場合は配信されるバナーレイアウトに限りがあり、CTRが下がる可能性がありますし、配信できないパブリッシャー(配信面)があるためオーディエンスも減ります。本来すごくいい求人情報なのにそれがデータとして欠損があった状態で学習・蓄積されたときに発生する機会損失ってイメージつきますよね。
【川田】”インプット”については、弊社のクライアントでCriteoの導入から半年ほど立ったタイミングでアフィリエイトの出稿を強化した事例がありまして、急激に管理画面上のオーディエンスデータが増えたんですが、一方でCVRが急低下しました。その後、2か月ほど様子をみたんですが、CVRは戻らなかったので、特定のアフィリエイト経由のユーザーはインプットしないようにしたところ、CVRが戻るという顕著な事例がありました。
【河野】おっしゃるとおりそれも”インプット”の一つの形ですね。要するに、仕様理解とインプットは、一言で、「Criteoの学習機会を最大化すること」と言えます。パフォーマンスの高い広告配信を行う上で、必要となるデータをいかに正しく、Criteoにインプットしていくのかが運用上極めて重要です。
これからのCriteoと自動化テクノロジーの目的
【鈴木】なるほど、”入札”ではなくて” インプット”というのはすごく興味深いですね。そのうえで、今後Criteoの展開で注目すべきところはどこですか?
【河野】ユニバーサルマッチですね。これはハッシュ化されたEmailアドレスをいただき、弊社内でユーザー同士をマッチングし、これまでブラウザごとに蓄積されていたCookie情報を統合、活用するというものです。これにより今まで配信できなかったブラウザに対し広告配信ができるというだけでなく、より最適なタイミング・価格での広告配信が可能になります。次に直近ではInstagramへの配信が開始しました。弊社の蓄積してきたCookie情報、入札ロジックを使い、CriteoからInstagramに配信が可能です。これはいくつかの設定を済ませた広告主様のみに提供しておりますが、順次配信する広告主様が増えております。
【鈴木】ありがとうございます。そうですね、弊社も積極的に導入を進めており、成果を期待するところです。
最後に、今回は運用の話を中心にお話しお聞きしましたが、先日のCriteo Certified Partners(スター代理店制度)のカンファレンスに参加させて頂いたとき、広告代理店ではなく、ツール・システムベンダーさんも代理店として活躍されておられるのが印象的でした。
本日のインタビューを通して、言葉をお借りすれば広告プロダクトのテクノロジーや基本仕様を正しく理解し、”入札”ではなくてエンジンへの”インプット”がますます重要になり、Criteoに限らず自動最適化機能が実装された広告チャネルはどんどん増えていくなかで広告代理店とツールシステム・ベンダーの垣根がなくなりつつあるのかなと感じていまして、その辺りについてもまた改めて是非ご意見お聞きしたいと思います。
【河野】はい、是非お願いします。「Criteoの運用の本質は”入札”ではない、エンジンへの” インプット”だ」とお伝えしましたが、こういった自動化テクノロジーが作業的負荷を解き放ち、知的負荷へと移り行くのは不可逆であると思います。
もう一言加えると、エンジンの「目的」は何か。これも重要な最適化の一つです。この目的とは、マーケティングの課題から導かれるものですが、もちろんそれらは企業の戦略からブレークダウンされたものであるはずです。先ほどの多聞さんのご指摘にありましたが、広告代理店もツール・システムベンダー、それこそコンサルティング会社も垣根はなくなるといった議論がよくなされていますが、事実私はその流れを強く感じています。実際にCriteoの代理店も、各社広告領域にとどまらず、それぞれに領域や強みが違ってきているのが実態です。それらのテクノロジーと共存しながら、私たちヒトが考えるモノであったりサービスを通じてどういう価値や世界観を提供できるのを考えることかがより重要になってくるのかもしれませんね。
【鈴木】なるほど、本日もすごく勉強になりました。お時間頂きましてありがとうございました。
【河野】こちらこそ、このような機会を頂戴しありがとうございました。
結びに
株式会社オーリーズは2016年7月12日にCriteo Certified Partnersに認定されました。これを機に一層運用技術の向上に努めてまいります。
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オーリーズは、「代理店はマーケティング戦略の立案から実行までを一貫して担うことで、はじめて価値を発揮できる」と考えています。
そのため、オーリーズでは非分業の支援体制をとっており、運用者1人あたりの担当社数を4社までに制限することで、 運用者が作業のみに追われるのではなく、よりマーケティング戦略の立案を行える仕組みを取っています。
また、広告運用という手段に縛られずにクライアントの目的を実現するため、クリエイティブ制作ブティックのQeticやインハウス支援に強いアタラ、 BtoB向けインサイドセールス支援を得意とするセールスリクエストなど、豊富なグループアセットも抱えています。
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