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- 挾土 結衣
Google広告の「予算による制限」とは?放置してはいけない理由と対策方法を解説
Google広告を運用していると「予算による制限」というアラートが表示されることがあるかと思います。
このアラートは、設定されている日予算が想定される広告配信費用よりも少額であるため、広告の表示機会に制限がかかっていることを意味します。
「予算による制限」が表示された場合、予算起因で広告の配信が抑制されている可能性が考えられます。できるだけ早急に対策をすることが重要です。とはいえ、広告予算をすぐに増額することが難しいケースもあるかと思います。
そこで本記事では、Google広告で「予算による制限」が発生した場合に、
- なぜ「予算による制限」が発生するのか
- 「予算による制限」が発生するとどういうデメリットがあるのか
- 予算増額する以外に有効な対策方法はあるのか
を解説していきます。
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目次
Google広告の「予算による制限」とは?
「予算による制限」とは、Google広告の管理画面で表示されるアラートの一種です。
「予算による制限」がかかっているキャンペーンでは、設定している日予算が少ないために広告の配信機会が制限されている状態であるため、広告の掲載機会を逃している状態と言えます。
詳しい機能の仕様について理解を深めたい方は、以下のGoogle広告ヘルプページをご覧ください。
参考:「予算による制限」に関する入札単価調整のトラブルシューティングを行う(Google広告ヘルプ)
「予算による制限」が表示される場所
自社で運用している広告アカウントで「予算による制限」がかかっているかどうか確認するには、キャンペーンを選択し「ステータス」列を確認しましょう。予算による制限がかかっている場合は、下図のように「予算による制限」アイコンが表示されます。
「予算による制限」が表示される理由
「予算による制限」は、設定した日予算がGoogleの推奨額より低い場合に表示されます。日予算の推奨額の詳しい算出ロジックは開示されていないため不明ですが、Googleのヘルプページによれば、以下の情報を参考に算出されているようです。
- 最近の掲載結果
- 現在のキャンペーンの予算
- キーワード
- キャンペーンのターゲット設定
出展:「予算による制限」ステータスを修正する(Google公式ヘルプ)
日予算の推奨額は、キャンペーンのステータス欄に表示されている「予算による制限」ボタンをクリックすることで確認でき、右下の「適用」ボタンをクリックすれば、Googleの推奨額に沿って日予算を引き上げることができます。ただし、広告配信を開始して間もないキャンペーンなど、十分にデータ蓄積していないアカウントでは推奨額が表示されないこともあります。
右下の「適用」ボタンで、Googleの推奨額に沿って日予算を引き上げることができます。こちらも、広告配信を開始して間もないキャンペーンなど、十分にデータ蓄積していないアカウントでは推奨額が表示されないことがあります。
💡日予算の推奨額を確認する際の注意点
Googleから提案される日予算の推奨額は、あくまで「推奨の金額」です。詳しくは後述しますが、予算による制限の対策は日予算を上げる以外にも存在するため、①予算に余裕がある②表示されているキャンペーンが獲得効率が良く日予算を引き上げても差支えが無い場合以外は、鵜呑みにせず他の対策も検討するようにしましょう。
「予算による制限」のデメリット
ケースバイケースではありますが、広告運用に慣れている運用者の間では「日予算による制限」はできるだけ発生させないようにするのが通例とされています。なぜなら「日予算による制限」がかかることでデメリットが生じるからです。
日予算による制限がかかることのデメリットを大別すると、以下の3つです。
1.広告掲載の機会損失になる
予算による制限が発生しているキャンペーンは、予算不足が原因で「本来参加できるはずであったオークション」に参加できていない状態と言えます。
たとえば、広告運用の現場で時折みられる事象として、設定している日予算が少ないことが原因で「午前中など1日の早い時間帯で使用可能な予算を使い切ってしまい、夕方や夜間に広告配信がほとんど行われない」というケースがあります。
この場合、予算が十分であり広告配信することが出来ていればコンバージョン獲得に繋がっていた可能性が考えられるため、広告の配信成果に対して機会損失が生じている状態と言えます。
2.機械学習の学習効率が阻害される
日予算による制限がかかり本来コンバージョン獲得できていた時間帯の表示機会が抑制されると、コンバージョンが獲得できないことで、予算による制限が発生していない(=広告効果が最大化できている)状態と比較して、学習データが欠損し、機械学習の学習効率が下がる可能性があります。
以下の図のように、日予算による制限がかかり続けると、機械学習が広告配信を抑制する可能性があるため、日予算に対しての未消化分が必要以上に発生し、本来配信できたはずの広告掲載機会を逃している状態と言えます。
💡上記のような挙動が発生するのは、予算制限がかかり続けると自動で広告配信を抑制する「ビッドローワリング現象」というGoogle広告のプロダクト仕様があるためです。設定している日予算に当たり続けると、日予算に当たらないように配信が抑制され、本来広告配信できる配信分までも余計に機会損失が発生するリスクがあります。
3.分析データの不揃いにより、打ち手を誤る可能性がある
予算による制限によって本来獲得できるはずであったコンバージョンデータが得られない状態では、広告の配信状況を正しく分析することが難しく、場合によっては打ち手の優先順位を誤ってしまうケースがあります。
たとえば、Google広告には競合他社の広告出稿状況を示す「オークション分析」という機能がありますが、予算による制限が発生している場合、そもそも同じオークションに参加することが出来ていないため、予算による制限がかかっていない状態と比べてデータの精度が低下し、競合の広告出稿状況を正しく補足できない可能性があります。
予算による制限の解消方法
予算による制限が発生した場合の解消手段には大きく分けて2つあります。
- 予算を増額する
- 予算の増額以外の方法を試す
上記2つのうち、予算を増額する方法としては、①キャンペーンの推奨予算を適用する②キャンペーンの共有予算を使う③他媒体・キャンペーンから予算アロケーションをするなど様々ありますが、予算状況や広告の配信実績によっては予算を増額する方向性で対処するのが難しい場合もあると思います。
その場合は、限られた予算内で効果的に成果を出すための方法として、以下4つの対策方法があります。
- 入札単価の引き下げ
- 入札戦略の変更
- 広告の配信対象を絞る
- 広告の品質の向上
1つずつ掘り下げて解説します。
1.入札単価の引き下げ
一番シンプルな方法としては、入札単価を引き下げるのも効果的な打ち手のひとつです。
以下の図のように、自動入札を導入している場合では入札単価の引き下げに応じてコンバージョンに繋がりやすいユーザーに広告配信を絞ることになるため、より低CPAで獲得できるユーザー層に広告配信が集中し、予算上限にあたる可能性を下げることが出来ます。
一方、①極端に低い入札単価を設定すると、オークションの勝率が悪化し、広告のインプレッションが著しく減少する可能性がある②手動入札を導入している場合は、入札単価を引き下げても低CPAのユーザー層に広告配信が集中せず、CPAが悪化する可能性があることは前提として認識しておきましょう。
2. 入札戦略の変更
入札単価の引き下げでも予算による制限を解消できない場合、入札戦略自体を変えてしまうという対応策もあります。
たとえば、もともと目標コンバージョン単価を設定している場合に、入札単価を引き下げても予算による制限を解消できないケースや、機械学習がうまく進まず、CPAが目標CPAと乖離するケースもあります。
そのような場合は、一度入札戦略を目標コンバージョン単価からクリック数の最大化やコンバージョン数の最大化など他の入札戦略に変更することも有効です。
ただし入札戦略の変更は機械学習に対する影響が比較的大きい要素なので、基本的には入札単価の引き下げや他の対応策でなんとか出来ないか検討したほうが良いです。
3. 広告の配信対象を絞る
オーディエンスやキーワードなど、広告の配信対象を絞ることで予算による制限の解消を図る方法です。
広告の配信範囲を絞る方法のため、潜在的なコンバージョンユーザーの獲得損失のリスクも一定ある方法です。広告効率の良し悪しがある程度認識できている、または配信ターゲットが明確な場合には有効な手段です。
⑴オーディエンスの縮小
予算が限られている場合にオーディエンスが多すぎると、予算内で全体にリーチするのが難しくなり、その分、コンバージョンが得やすいユーザーに学習が最適化されるまでに必要なコンバージョンデータ・予算も多くなります。
その過程で、コンバージョン意欲の低いユーザーに接触する機会も避けられず、予算が早期に使い切られる可能性が高くなります。購買意欲の高いユーザーやターゲット層を厳選することで、広告費の無駄を減らし、コンバージョン率を向上させやすくします。
⑵プレースメント・配信面の精査
明らかに成果が悪いプレースメントや配信面がわかっている場合は、配信を除外し、予算を効果的なプレースメントに集中させることで無駄な予算損失を避けられます。クリック率やコンバージョン率の低いサイトや配信面を除外し、予算効率を上げましょう。
⑶デバイスごとの入札単価引き下げ
同様に、成果が得にくいデバイスが判明している場合には、特定デバイスでの入札単価を調整することで、より効果の出やすいデバイスに予算を集中させます。詳しくは以下の記事で説明していますが、自動入札戦略を設定している場合は、デバイスごとの入札単価調整の引き下げは、-100%しか設定できない場合があるため注意しましょう。
⑷キーワード、検索クエリの精査、マッチタイプを絞る
一定のコストを占めているキーワードや検索クエリで、CPAが極端に高いものや、コンバージョンに全く繋がっていないものがあれば除外しましょう。
キーワードから関連性の低いクエリへの拡がりがみられる場合には、マッチタイプをインテントマッチ→フレーズ一致のように絞ることも一つの方法ですが、その分学習シグナルの減少に繋がるため、成果を見極めて実装の判断をするようしてください。
4.広告の品質の向上
広告の品質を改善することは、予算による制限がかかっているかに関わらず継続的に行うべき事項ではありますが、広告の品質改善をおこなうことで、低CPCで広告掲載できる可能性が高まるため、予算による制限の解消につながる場合があります。
具体的な項目としては、広告文やランディングページの改修をする、未実装の広告表示オプションを実装するなどが該当します。
💡「広告の品質」と「品質スコア」は別物ですので混同しないようにしましょう。品質スコアは広告の品質を高めるうえでの参考材料にはなりますが、広告オークションの評価材料にはなっていないので、品質スコア自体を高めようとするのは合理的ではありません。品質スコアの基本概念については以下の記事で解説していますので、理解が曖昧になっている方はあわせてご一読ください。
意外に知らない「品質スコア」に関するよくある勘違いと、広告オークションとの関係 | 運用型広告に特化した広告代理店 株式会社オーリーズ|運用型広告を起点に、目標達成への最短距離を描くパートナー
予算による制限がかかっている場合の対応策の判断基準
予算による制限が発生しているキャンペーンにおいて、どの方法で解消を図るべきか迷った場合は下記のチャートを参考にしてください。
広告の配信実績データから適正予算をシミュレーションする
今回ご紹介した方法は、どれも「予算による制限」が発生した後の事後対応としての対処法です。
「予算による制限」は広告掲載の機会損失、機械学習の効率観点ではできるだけ発生させないことが重要です。
適切な予算を設定する際の参考として、「広告の配信データをもとにして広告の適正予算をシミュレーションする方法」を以下の記事にまとめていますので、あわせてご確認ください。
まとめ
予算による制限が発生した場合には、ただ予算を増やすだけでなく、入札戦略やターゲティング、広告の品質改善といった多角的な視点から対策を取ることが重要です。
予算を増やせないからといって諦めず、少ない予算でも予算による制限をできるだけ解消し、効率よく成果を上げてきましょう。
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