【EC事業者必見】GA4で新規顧客に関するデータをトラッキングする方法

【EC事業者必見】GA4で新規顧客に関するデータをトラッキングする方法

ECサイトの新規顧客の獲得は、取扱商品やサイトの規模にかかわらず重要な要素です。

とはいえ、新規顧客に関するデータを正確に測定するためには、多くのリソースや技術が必要です。

今回は、広告経由で獲得した顧客について、そのユーザーが「新規顧客かどうか」をGoogle Analytics4(以下GA4)上で判別し、新規顧客に関するデータをトラッキングしてレポーティングする仕組みを構築した事例をご紹介します。

ECマーケターの方でも特に

  • 新規顧客の獲得施策に関する、最適な予算を知りたい方
  • ECサイトの顧客データをより解像度高く分析したい方

は、ぜひご覧ください。

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ECサイトで「新規顧客のモニタリング」はなぜ必要?

ECサイトで新規顧客のモニタリングシステムを構築する方法の前に、そもそも「なぜECサイトで新規顧客のモニタリングを行う必要があるのか?」という点から解説します。(モニタリングシステムの構築方法についてのみ知りたい方は、こちらをご覧ください)

結論からお伝えすると、顧客数の頭打ちを防ぐためです。

一般的なECサイトの広告運用では、売上金額やROASをKPIに運用・広告効果の評価を行うことが多いと思います。

ROAS最適の運用は、機械学習のアルゴリズムで広告効果が高い(=コンバージョンに繋がりやすい、購入に繋がりやすいetc)と予測されるユーザーに対して広告配信が最適化される仕組みです。

つまり、獲得効率の良いユーザーに対して広告配信を行うことはできますが、新規顧客の獲得に最適な配信になっているとは限りません。

広告配信を続けていくと、いずれ新規顧客数が減り、売上の伸び悩みが発生する可能性が考えられます。

そのため、長期的な視点で売上拡大を目指すには、獲得効率の良いユーザーに対して広告配信を行うとともに、新規顧客の獲得に向けた広告施策を並行して実施していくことが重要です。

今回ご紹介する「新規顧客のモニタリング」により、自社のECサイトが実際にどれくらいの割合で新規顧客を獲得できているのかが把握でき、収集したデータは学習サンプルとして機械学習の最適化にもつながります。

「新規顧客のモニタリング」は、継続的な売上拡大を狙うEC事業者に必要なナレッジと言えます。

ECサイトで新規顧客を計測する難しさ

新規顧客をモニタリングするためには、難易度の高い実装が必要です。

第三者計測ツールを使って計測する場合は、購入完了ページに新規購入フラグ(=新規購入か否かのフラグ)の情報を出力し、第三者計測ツールに渡す方法が一般的になります。

しかし、新規購入フラグはサーバーの購入情報を参照し出力しなければなりません。そのため、システム開発が伴うことがほとんどです。

そこで今回は、マーケターの方に馴染みの深いGA4を使って、新規顧客のモニタリングを行う方法・手順をご紹介します。

ECサイトで「新規顧客のモニタリング」をする方法

ここからは、実際に弊社のクライアントにおいて新規顧客(*)のモニタリングシステムを導入した事例をご紹介いたします。

今回の事例では、GA4でサンクスページ上に専用のフラグを立て、新規顧客に関するデータを自動レポートとして抽出させる形を取りました。

*ここでの「新規顧客」は、クライアントのECサイト上で購入履歴が過去に1度もないユーザーを指します。

前提

本事例の前提は以下の通りです。

  • 業種:コスメEC
  • 媒体:検索広告・ショッピング広告・ディスプレイ広告・SNS広告
  • KGI:ECサイトの売上金額
  • KPI:ROAS

当初の課題

当初、広告成果の評価は売上金額・ROASのみで行っており、広告アカウントにおいてもtROASを入札戦略として運用をしていました。

かねてから足元の売上拡大だけではなく中長期の顧客拡大が課題となっていましたが、そのうえで障害となっていたのが顧客データの利活用でした。

冒頭でお伝えした通り、中長期の顧客拡大プランを検討するためには新規顧客のモニタリングを行う必要があったのですが、本件では当時GA4で必要なデータをトラッキングできておらず、CRMから意図したデータを抽出するには一定の技術的知見やリソースが必要になるため、社内では対応ができていませんでした。

課題について弊社にご相談いただいたため、クライアントと議論を重ね、今回はGA4から必要なデータを抽出し、新規顧客のモニタリングレポートを自動作成できる仕組みを構築する提案をしました。

レポートの活用イメージは以下通りです。

<新規顧客モニタリングレポートの活用案>

  • ECサイト全体の売上構成比に占める新規顧客の割合を算出。広告経由の新規獲得施策の評価を行う
  • 今後継続的に売上拡大を図っていくために、広告経由でどれくらいの新規顧客を獲得していく必要があるのか算出
  • 新規獲得のためのメディア施策において、適正予算と許容CPAのシミュレーションを行う

新規顧客のモニタリングシステムの構築の流れ

具体的なモニタリングシステムの構築方法をご紹介します。
※以下、Google Tag Manager(以下GTM)を使って、GA4を実装しているケースで記載します。

1.購入完了画面に、新規購入フラグの情報を追加する

これはサイト管理者・エンジニア担当が対応する領域ですが、購入完了画面に新規購入フラグの情報を追加することが最初のステップです。

実装方法はいくつかありますが、今回のケースでは、下図のようにデータレイヤーを用いました。

※どういう条件でフラグを出力するかはサイトの仕様に依存するため、サイト管理者・エンジニア担当に相談の上で判断しましょう

2.GTMでGA4にデータを送る

まず、GTMで新規購入フラグの変数を作ります。

続いて、GA4のpurchaseイベントのイベントパラメータに、新規購入フラグを追加します。

3.GA4でデータを受け取る

GA4のカスタム定義にて、新規購入フラグのカスタムディメンションを作ります。

ここまでで、GA4に新規購入の情報が送られる状態になりました。

4.GA4からレポートデータを出力する

ここまでで新規購入フラグのディメンションが追加されているため、GA4のデータ探索機能にてレポートを作成します。

このレポートローデータを使って集計すれば完成です。

新規顧客のモニタリングシステム導入後の変化

今回新規顧客に関するデータをGA上でトラッキングすることができるようになったことで、以下のようなメリットがありました。

新規顧客の獲得予算を最適化できた

まず、GAで新規顧客に関するデータをトラッキングできるようになったことで、ECサイトの売上構成に占める新規・既存顧客の割合を割り出すことができるようになりました。

当初、売上は右肩上がりで増加していたため一見サイトの健康状態は良いように見えていましたが、今回のレポートデータを基に現状の売上構成を新規顧客と既存顧客で分けて算出したところ、ECサイト全体の売上のうち約8割が既存顧客によるものであることが判明し、リピート施策は上手く機能している一方で、新規獲得施策に対する投資を強めていく必要があることが分かりました。

また、収集したデータから新規獲得施策の許容CPAを割り出すこともできたため、売上目標の達成のために必要な顧客数、確保できる予算とのバランスをみながら、各施策に対する予算配分のシミュレーションを実施し、中長期の広告戦略の解像度を一段高めることにも繋がりました。

新規顧客用のKPI設定が、新規獲得施策の継続判断につながった

これまではROASのみで広告施策の良し悪しを評価していたため、「短期・長期いずれにおいてもROASが低い施策はストップする」という意思決定の基準を設けていました。

一方で、今回の新規顧客に関するモニタリングシステムを導入して以降は、ROAS評価だけでなく、新規獲得CPAによっても施策の効果を評価することができるようになったため、「ROASは低いが新規獲得にはポジティブな影響があるので続けよう」といった施策判断をすることができるようになりました。

冒頭でも記載したように、ROASは短期目線での施策判断になりがちな評価指標であるため、中長期の顧客獲得を目指す上では、今回の事例のように新規獲得CPAなどの別指標も踏まえて意思決定することが重要です。

新規獲得向け施策の学習データとして活用できた

GAから自動出力した新規顧客に関するデータは、広告アカウント内部の自動入札にも活用することができます。

当クライアントでは新規顧客の獲得用のキャンペーンを新設し、GAで抽出した新規顧客に関するデータをオフラインコンバージョンとしてインポート、あわせてコンバージョン値を新規顧客と既存顧客で重みづけすることで、新規獲得に対しても積極的に入札できるように機械学習の方向付けを行いました。

参考:Google広告ヘルプ オフラインコンバージョンのインポートについて

まとめ

ECサイトの売上を継続的に伸長させていくためには、リピート施策だけでなく新規顧客の獲得も重要です。

新規顧客に関するデータを収集し、中長期の顧客拡大のプランを練り上げていきたい場合は、ぜひ今回ご紹介したGAレポートを実装してみてください。

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オーリーズは、ECサイトの広告運用を得意とする広告代理店です。

アパレル、化粧品、インテリアなど豊富なEC支援の実績・ノウハウを基に、ECサイトの集客最大化やリピーター増加、顧客単価の向上を実現します。

また、「顧客分析のためにCRMツールを導入したけれど使いこなせていない」という場合には、CRMツールの活用方法に関するアドバイスや、 見たい指標をカスタマイズしてレポーティングする体制整備のご支援など、分析のための基盤づくりもお手伝いできます。

ECサイトの売上を最大化する上で、自社だけでは限界を感じている場合はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

マネージャー

中野 亮

新卒で株式会社ロックオン(現イルグルム)に入社。広告効果測定プラットフォーム 「AD EBiS」の広告主・広告代理店向けの営業を担当。 業務を通してデジタルマーケティングの世界に強い興味を持ち、 オーリーズであれば「自分を叶え」つつ、お客様のビジネスも叶えられる環境があることに感動し、入社を決意。 「代理店の担当者」ではなく「お客様のマーケッター」になることを目標に邁進中。

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