P-MAXの改善施策を解説!分析手順と対策方法7選

P-MAXの改善施策を解説!分析手順と対策方法7選

P-MAXキャンペーンはGoogleの広告配信を自動最適化してくれる便利なキャンペーンタイプです。一方で、

  • P-MAXを運用しているのに、成果が上がらない…
  • データ分析の方法がわからず、何の情報を見るべきか悩んでいる
  • 自動化されている分、どこをどう改善すればいいのか分からない

と感じている広告主・運用担当者がいらっしゃるのも事実です。

そこで今回は、P-MAX改善に必要な「データ分析の正しい方法」「すぐに実践できる7つの改善施策」「成功事例」などを詳しく紹介します。

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適切な分析をもとに成果改善をサポート。広告成果の最大化を目指します。

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  • 顧客の半数以上が「強く」おすすめしたいと評価

P-MAXとは?

P-MAX(Performance Max)は、Googleが提供する自動最適化型の広告キャンペーンタイプです。

従来の検索広告やディスプレイ広告など、複数の広告形式を一元管理し、自動でユーザーにリーチできるようにしたものです。適切に設定することで、効率的に潜在顧客にアプローチできる点が特徴となっています。

自動最適化の仕組み

P-MAXの核となるのは高度な自動最適化の仕組みです。従来の広告キャンペーンでは人間が細かく設定していた要素を、機械学習が自動で最適化する点が最大の特徴です。

この最適化では、例えば次のようなことが行われています。

リアルタイムのシグナル分析

P-MAXは、ユーザーの検索意図、興味関心、過去の行動履歴など、数百もの「シグナル」をリアルタイムで分析します。例えば、あるユーザーがスマートフォンで「ランニングシューズ 初心者」と検索した場合、検索語句だけでなく、デバイス、時間帯、過去の閲覧履歴など複合的なシグナルを元に最適な広告を表示するかを判断します。

クリエイティブの自動組み合わせ

アセットグループに登録したテキスト、画像、動画などの素材を、AIが自動で組み合わせて最適な広告を生成します。例えば、検索面に表示するか、YouTubeに表示するかによって、広告のフォーマットを変える。同じ検索面に表示するときでも、どのテキストを使用するか、画像とともに表示するかテキストのみにするか、といった判断をシステムが行っています。

入札と予算配分の自動調整

設定した目標(コンバージョン数の最大化やROASなど)に基づいて、入札額や予算配分を自動で調整します。例えば、特定の曜日や時間帯、デバイスでコンバージョン率が高い傾向があれば、そこに自動的に予算を多く配分します。

このように、機械学習によって人間の手作業では困難な調整がなされることで、少ない運用負荷で高いパフォーマンスが期待できるのです。しかし、この自動化は与えられたデータやシグナルに基づいて最適化するため、オーディエンスシグナルなどの設定やコンバージョンの実績が重要となります。

つまづきやすいポイント

P-MAXキャンペーンは機械学習によって最適化される便利なキャンペーンですが、その自動化の仕組みゆえにつまづきやすいポイントがあります。

学習量が足りない

P-MAXは機械学習によって自動最適化されるため、十分なデータが必要です。しかし、「なかなか学習データが貯まらない」という課題に直面している方も多いのではないでしょうか。

特に新規アカウントや、コンバージョン発生率が低い商材では、Googleが推奨する6週間以上の学習期間を経ても、十分な最適化が行われないケースがあります。

コンバージョン数の最大化を目標にしている場合、少なくとも30〜50のコンバージョンが必要と言われていますが、実際にはそれだけのデータを集めるのが難しいケースも多いと思います。

しかし、コンバージョン数が少ないからといって、短期でパフォーマンスを判断し、キャンペーン停止をするのは慎重になるべきです。適切なシグナル・配信の設定をしたり、数ヶ月経過したりすると一気に成果改善することもあります。

分析が難しい

P-MAXの特徴として、配信面や入札戦略、ターゲティングなど多くの要素を自動化しているため、従来の広告キャンペーンと比べて分析できる項目が限られている、という点があります。「どのデータを見れば改善点が見つかるのか」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

従来の検索広告やディスプレイ広告と比べて、キーワードや配信面ごとのデータなど、詳細データへのアクセスが限られているため、「なぜ急にパフォーマンスが低下したのか」「どのアセットがどの配信面で効果を発揮しているのか」といった分析が難しく感じられるかもしれません。

しかし、利用可能なレポートを適切に活用することで、一定の分析は可能です。後述するレポートの見方や分析手法を活用し、限られた情報の中でも改善方向性を見出すことができます。

改善方法がわからない

従来の検索広告では、KWの停止・追加、入札を強める・弱める、CTR・CVRを見て広告見出しや説明文を変更するなどとできることが多くありました。一方、運用がほぼ自動化されているP-MAXでは、判断のためのデータが不十分なだけでなく、手動で調整できる範囲も限られています。

Google側からの改善提案も「アセットを追加してください」「予算を増やしてください」など限られた内容のみで、本当に成果につながるのか迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、設定を変更した後、実際に効果が出たのか明確に判断するのも難しい傾向にあります。

この記事で紹介する分析方法・改善方法が、これらのポイントでつまづく方のヒントになれば嬉しく思います。

レポートの種類と見方

キャンペーンレポート

確認できるデータ:キャンペーン全体の主要指標

具体例:表示回数、クリック数、コンバージョン数、費用、CPA、ROAS など

アクセス方法:管理画面 ▶︎キャンペーン

検索語句インサイト

確認できるデータ: 検索カテゴリ別の表示回数・CV

アクセス方法: キャンペーン ▶︎「分析情報」▶︎「検索語句に関するインサイト」

注意点: トグルを開くとより詳細の検索語句が確認可能

検索語句レポート

確認できるデータ: 個別検索語句ごとの表示・クリック・費用・CV・CV値

アクセス方法:キャンペーン ▶︎「分析情報とレポート」▶︎「検索語句」

注意点:まだ使用できない場合は媒体担当者に機能開放を依頼する必要がある。プライバシーしきい値を下回る語句はレポートに出ない。

アセットグループレポート

確認できるデータ:グループごとの表示回数・費用・CV・ROAS等(テーブル表示で列追加可)

アクセス方法: キャンペーン ▶︎「アセットグループ」▶︎ 上部「Tableに切替」

アセットレポート

確認できるデータ:各テキスト・画像・動画資産の評価(最良/良/低など)+ CV・CV値

アクセス方法: キャンペーン ▶︎「アセット」タブ ▶︎ パフォーマンス、もしくは、上記アセットグループレポート ▶︎ 「アセットの詳細を表示」

注意点: 評価(最良/良/低など)は相対指標。差し替え後は 1–2 週の学習期間を確保。

アセット組み合わせレポート

確認できるデータ: 上位 6 の組み合わせとプレビュー

アクセス方法: アセットグループレポート ▶︎ 「アセットの詳細を表示」▶︎ 「組み合わせ」

リスティンググループレポート

確認できるデータ:リスティンググループ別に表示回数・クリック・売上・ROAS

アクセス方法:アセットグループレポート ▶︎ 「アセットの詳細を表示」▶︎ 「リスティンググループ」

ランディングページレポート

確認できるデータ: URL ごとのクリック・表示回数・費用・CVR・CPA

アクセス方法: キャンペーン ▶︎「分析情報とレポート」▶︎「ランディングページ」

プレースメントレポート

確認できるデータ:Webページ、アプリ、YouTube動画、Google所有のコンテンツ(Gmail、Discoverなど)への掲載回数

アクセス方法: キャンペーン ▶︎「レポートエディタ」▶︎「P-MAXキャンペーンのプレースメント」

注意点: ブランドセーフティ目的で意図しない配信面が含まれている場合の除外対応が中心。表示回数のみで成果は判断できない。

デバイスレポート

確認できるデータ:デバイス別の表示回数・クリック・CV・CPA

アクセス方法:キャンペーン ▶︎「分析情報とレポート」 ▶︎「広告が表示された日時と場所」

注意点:デバイス除外の機能はβ版。

地域レポート

確認できるデータ:デバイス別の表示回数・クリック・CV・CPA

アクセス方法:キャンペーン ▶︎「オーディエンス、コンテンツ、キーワード」 ▶︎「地域」

分析の流れ

P-MAX広告の分析を効果的に行うためには、大きな視点から小さな視点へと段階的に分析を進めることがポイントです。

階層構造で確認

P-MAX広告の分析においては、階層的な視点で分析を進めることが重要です。以下の手順で階層構造の上から下へ順に状況を確認していきます。

1. キャンペーンレベルの全体傾向を確認
 ・コンバージョン数、CPA、ROASなどの主要KPIの状況
 ・配信金額
 ・時系列での改善/悪化トレンド
2. アセットグループレベルの分析
 ・各アセットグループのパフォーマンス比較
 ・強いグループと弱いグループの特徴抽出
3. 個別要素レベルの分析
 ・アセット(テキスト、画像、動画)のパフォーマンス
 ・オーディエンスシグナルの有効性
 ・デバイス、地域、曜日・時間帯別実績

このように上位階層から下位階層へと順を追って分析することで、全体像を把握しつつ、具体的な問題点を特定できます。

データ比較の軸

効果的な分析のためには、比較軸を明確に設定することが重要です。

  • 目標との比較:設定したKPI目標に対する達成状況
  • 時間軸での比較:日別、週別、月別のトレンド
  • 空間軸での比較:アセットグループ間、他キャンペーンタイプとの比較

特にP-MAX広告は学習期間があるため、時間軸での比較が重要です。短期的な変動と長期的なトレンドを区別して評価しましょう。

分析3ステップ

各階層での分析においては、以下の3ステップで整理することが効果的です。上位階層の事実を確認し、仮説を立て、次の階層の事実を確かめる、これを繰り返します。

1. 事実の把握: 数値の変化を「変化量」と「変化率」で正確に捉える
 ・「CVが前月比20件減少(-30%)」のように具体的に
 ・インプレッション数、クリック数、コンバージョン数などの基本指標の変動
2. 解釈と仮説: 内部要因と外部要因に分けて整理
 ・内部要因:アセット変更、入札調整、予算変更など自社でコントロール可能な要素
 ・外部要因:季節性、競合動向、市場環境の変化など
3. 次の階層の分析方針: 各階層での仮説から、次の分析方向性を決定
 ・「アセットグループAのパフォーマンス低下が全体のCPA悪化の主因。次にそのグループのアセット別パフォーマンスを確認する」など

このように、分析から得られた事実と解釈を基に、次の改善アクションへとつなげます。具体的な改善アクションについては、次の段落で紹介します。

改善方法

分析によって課題が特定できたら、次はそれに対する具体的な改善アクションを選択します。ここでは、P-MAXを改善するための主な方法を紹介します。

アセットの追加・変更

P-MAXに入稿するアセットを追加もしくは変更することで成果改善が期待できます。

テキストアセット

以下の観点で、テキストアセットを追加もしくは変更します。評価の高いアセットはそのままに、評価の低いアセットを変更することで改善を図ります。

  • パフォーマンスの低いアセットの特定: 「評価が低い」「コンバージョン数が少ない」「表示回数が少ない」アセットを特定します。アセットグループの詳細レポートで確認できます。
  • アセットのバリエーション増加: 短い見出し、長い見出し、説明文のそれぞれでバリエーションを追加することで、最適な組み合わせを機械学習が見つけやすくなります。
  • 訴求ポイントの多様化: 価格訴求、機能訴求、解決できる課題など、異なる訴求ポイントを複数用意します。
  • USP(独自の強み)の明確化: 競合と差別化できるポイントを強調したテキストを入れることで、クリック率や成約率の向上が期待できます。

画像・動画アセット

視覚的なアセットは、特にディスプレイネットワークやYouTubeでの表示において重要です。

  • 高品質な画像の追加: 商品や利用シーンを明確に伝える高解像度の画像を複数サイズ(正方形、横長、縦長)作成・追加します。
  • 自社制作の動画投入: P-MAXは動画アセットがない場合に自動生成することがありますが、品質が低いことが多いため、動画の配信が伸びている場合は自社で制作した質の高い動画を入稿しましょう。
  • ブランドの一貫性: すべての視覚アセットでブランドカラーやロゴを一貫して使用し、ブランド認知を高めます。
  • テキストとビジュアルの連携: テキストアセットで訴求するポイントと、画像・動画が伝えるメッセージに一貫性を持たせるようにしましょう。

シグナルの追加・改善

シグナルはP-MAXの機械学習に方向性を与える重要な要素です。シグナルによってP-MAXの配信をコントロールすることはできませんが、適切にシグナルを追加・更新することで成果改善のスピードアップが期待できます。

検索テーマ

検索テーマは、ユーザーがどのような検索意図を持っているかを示すシグナルです。

  • コア検索テーマの設定: 自社商品・サービスに直接関連するキーワードカテゴリを設定します。コンバージョンにつながった検索語句を追加することで、キーワードの幅を広げられます。
  • 関連検索テーマの追加: コアテーマだけでなく、関連する周辺テーマも追加することで、顧客層を広げられる可能性があります。
  • 検索テーマのパフォーマンス分析: どの検索テーマがコンバージョンに貢献しているかを定期的に分析します。

オーディエンスシグナル

オーディエンスシグナルは、どのようなユーザー層に広告を表示するかの指針となります。

  • 顧客データの活用: 自社の既存顧客データを参考に、機械学習が関連性の高いオーディエンスを探します。顧客リストが古くなっていないか確認し、必要に応じて更新しましょう。
  • 興味/関心: 興味関心、ライフイベントなどをシグナルとして追加することができます。
  • ユーザー属性: 年齢・性別などをシグナルとして追加することができます。ただし、ここで特定の年齢や性別を入力したとしても、それ以外の属性でコンバージョンの可能性があると機械学習が判断すれば、そちらに予算を配分することがあります。

LPの改善

ランディングページ(LP)の質はコンバージョン率に直結するため、継続的に改善していくことが必要です。

改善の観点は多岐にわたりますが、代表的なものを紹介します。

  • ファーストビューの最適化: ユーザーが最初に目にする画面のため、提供価値がわかりやすい状態か確認します。
  • フォームの簡素化: 入力項目を必要最小限にし、ユーザーの離脱を防ぐことができます。
  • 広告との一貫性確保: 広告のアセットとLPの内容に違和感がないように修正します。たとえば、広告で使用した人物画像と同じ人物をLPでも使用するなどが挙げられます。
  • ページ読み込み速度の改善: 特にモバイルでの読み込み速度を最適化し、離脱率を下げます。
  • CTA(行動喚起)の明確化: ユーザーに次に取るべきアクションを明確に、わかりやすく表示します。

予算と入札戦略の適正化

予算設定はP-MAXの学習と成果に大きく影響します。

予算

  • 予算制限の解除: 予算制限によって配信が制限されている場合は、一部の時間帯で配信が出ていないなどの可能性があります。十分な学習機会を得るために予算を増やします。
  • 季節変動への対応: 商品需要の季節性に合わせて予算を調整します。できれば段階的に増減させるのが望ましいです。

入札戦略

入札戦略の選択と設定値は、広告の表示機会とコスト効率に直結します。

  • 入札戦略の選択: コンバージョン最大化、目標CPA、目標ROASなど、ビジネス目標に合った入札戦略を選びます。
  • 目標値の適正化: tCPA(目標コンバージョン単価)やtROAS(目標広告費用対効果)の値が厳しすぎないか、緩すぎないかを確認します。厳しすぎる目標値はリーチを制限する可能性があります。
  • 商材別の戦略調整: 複数の価値が異なる商材を扱う場合は、tCPAよりもtROASの方が適している可能性があります。
  • データ蓄積期間の確保: 入札戦略を変更した後は、少なくとも1〜2週間は同じ設定で運用し、十分なデータを蓄積してから効果を判断します。

配信設定の変更

P-MAXは自動最適化が特徴ですが、いくつかの配信設定は手動で調整可能です。

配信エリア

地理的なターゲティングの最適化により、効率的な予算配分が可能になります。

  • パフォーマンス分析に基づく設定: 地域レポートを確認し、CPAが高い、またはCVRが低い地域を除外する
  • ビジネス特性の反映: 実店舗のある地域や、サービス提供可能な地域に絞った配信設定
  • エリア拡大: パフォーマンスが良い地域と類似した特性を持つ新規エリアへの配信拡大

曜日・時間帯

時間軸での最適化も効果的です。

  • 配信スケジュールの設定: 実店舗の営業時間や問い合わせ対応可能時間に合わせて配信を制限
  • 季節性の調整: 成果が見込める・見込めなくなる期間の入札をスポットで調整
  • イベント対応: 特定のイベントやキャンペーン期間に合わせて配信を強化

年齢

年齢層は従来制限ができず、シグナルとして追加するにとどまっていましたが、現在一部のアカウントで年齢の除外設定が可能になっています。

  • ターゲット年齢層の設定: 商品・サービスのターゲット年齢層をオーディエンスシグナルとして登録
  • 年齢層の除外: 商品・サービスと関連性の低い年齢層を除外。キャンペーン設定から除外が可能。

デバイス

デバイス特性を考慮した配信設定の最適化も重要な要素です。

  • デバイス別分析: デバイスごとのパフォーマンスを詳細に分析
  • デバイス除外: パフォーマンスが著しく悪いデバイスの除外を検討
  • デバイス特性に合わせたLP: デバイスごとの使用環境や操作性を考慮したLP最適化

コンバージョンの量と質の向上

適切なコンバージョン設定はP-MAXの学習効率を左右します。

コンバージョン設定

  • コンバージョン定義の再検討: 最終的なビジネス目標に近いアクションをコンバージョンとして設定します。
  • コンバージョン計測の確認: コンバージョンタグが適切に設置され、正確に計測されているか確認します。
  • コンバージョン価値の設定: 異なるコンバージョンアクションに適切な価値を設定し、最適化を支援します。
  • 重複カウントの除外: 同一ユーザーによる複数回のコンバージョンをどう扱うかを設定します。

mCVの活用

マイクロコンバージョン(mCV)は、メインコンバージョンへの途中段階のアクションです。

  • 適切なmCVの設定: メインコンバージョンに強く相関するアクション(フォーム入力開始など)をmCVとして設定します。
  • mCVとメインCVのバランス: mCVだけを最適化目標にすると本来のゴールから外れる可能性があるため、両者のバランスを考慮します。
  • mCVの価値設定: mCVの価値はメインCVより低く設定し、最終的なゴールを優先させます。
  • 段階的な活用: 初期はmCVも活用し、十分なデータが蓄積されたらメインCVへ移行することも検討します。

除外コンテンツの設定

不適切な配信先を除外することで、予算効率と広告品質を向上できます。

プレースメント

配信先サイトやアプリの管理は重要です。

  • パフォーマンスの低いプレースメントの特定: レポートエディターでプレースメントレポートを確認し、表示回数が多いにも関わらずコンバージョンが少ないサイトを特定します。
  • 除外リストの作成: 除外したいURLをリスト形式で準備し、アカウントレベルで適用します。
  • ブランド毀損リスクのあるサイトの除外: ブランドイメージを損なう可能性のあるサイトは積極的に除外します。
  • 除外の定期的な見直し: 新たに発生する不適切なプレースメントを捕捉するため、定期的にレポートを確認し除外リストを更新します。

※注意点:P-MAXのプレースメント除外はアカウント全体に適用されるため、同一アカウント内の他のキャンペーンにも影響することを考慮する必要があります。

検索クエリ

不適切な検索クエリを除外することで、予算効率を向上させます。

  • 無関係なクエリの特定: 検索クエリレポートを確認し、商品・サービスと関連性の低いクエリを特定します。
  • 除外キーワードの設定: 「オーディエンス、キーワード、コンテンツ」メニューから「除外キーワード」を設定します。
  • ブロードマッチでの除外: 除外キーワードはブロードマッチで設定することが多いため、意図しない除外が発生していないか注意します。
  • 定期的な検索クエリの確認: 新たに発生する不適切なクエリを捕捉するため、定期的に検索クエリレポートを確認します。

効果検証のタイムライン

P-MAXキャンペーンの改善を行う上で、「いつ効果が出るのか」「どのタイミングで判断すべきか」という時間軸の視点は非常に重要です。適切なタイムラインを理解することで、早すぎる判断や改善の機会損失を防ぐことができます。

効果が出るタイミング

P-MAXの改善施策は、その種類によって効果が表れるまでの期間が異なります。大まかな目安として以下のようなタイムラインが考えられます。成果につながるまで、一時的に成果が悪化する可能性もあるため、念頭においておきましょう。

短期(数日〜1週間程度)で効果が表れやすい施策:

パフォーマンスの著しく悪いアセットの削除・差し替え

予算の増額(学習を加速させる場合)

明らかに不適切な配信先の除外設定

中期(1〜2週間程度)で効果が表れる施策:

新しいアセットの追加

オーディエンスシグナルの調整

入札戦略の変更

配信設定(地域・時間・デバイス)の最適化

長期(1ヶ月以上)かかる可能性がある施策:

コンバージョンの再設定

キャンペーン構造の大幅な変更

新たなランディングページの追加

重要なのは、それぞれの施策を実施後、適切な期間を設けて効果を観察することです。例えば、アセットを追加した場合、少なくとも1週間は様子を見ましょう。性急に判断して次々と変更を加えると、学習のリセットを招き、かえってパフォーマンスが低下する可能性があります。

PDCAサイクル

P-MAXを継続して改善していくのであれば、改善のためのアクションを続けるだけでなく、機械学習による最適化がかかるのを「待つ」時間も必要です。

そのうえで、次のようにPDCAサイクルを確立していくのが効果的です。

Plan(計画)

  • データを分析し、改善必要な状態かを判断
  • 改善が必要な箇所を特定・仮説出し
  • 取り組む施策を1〜2つ選定

Do(実行)

  • 選定した改善施策を実施
  • 一度に複数の大きな変更は避ける

Check(評価)

  • 施策の種類に応じた適切な期間(上記タイムライン参照)を設ける
  • 施策実施前後のデータを比較

Act(改善)

  • 効果があった施策は継続
  • 効果がない・悪化した施策は見直し
    • 成果が出ない要因を分析
    • 新たな課題・改善点を特定し、次のPlanへ

重要なのは、このサイクルを「適切な間隔」で回すことです。「適切な間隔」は学習が最適化されるのにかかる期間によって変わるため、予算や1日あたりのCV数、配信しているアセットのバリエーション、さらには実行する施策によって異なります。

そして、成果がよくなっている時は、機械学習に任せて見守ることもP-MAX運用には重要なDo(実行)です。意図しないアセットグループの配信に偏っている、意図しないユーザー属性に最適化させている、などがなければ、分析の結果、見守るという選択肢も検討しましょう。

改善事例

シグナルの追加でCVR上昇

こちらは、toC向け無形商材を提供するクライアントの支援事例です。顧客リストをオーディエンスシグナルとして追加したことで成果が改善しました。

  • 背景:P-MAXの予約完了率(≒CVR)をいかに向上するかが課題だった
  • 対策:オーディエンスシグナルとして過去の商材利用ユーザーのリストを使用
  • 結果:対策後、予約完了率が0.3pt改善

予算の適正化でCPA低下

この事例は、予算減少に伴い、一時的に予算による制限にあたる期間が続き、それと同時期にCPAが上昇していました。

  • 背景:予算による制限に達する期間が続き、同時期にCPAが上昇していた
  • 対策:入札を弱めるとともに、3日間限定で予算による制限を開放した
  • 結果:対策後、CPAが以前の水準に戻った

配信エリアの変更でCPA低下

こちらの事例では、P-MAXの配信エリアを拡大したことでCPA低下に繋がりました。

背景:配信開始後、学習量をいかに増やすかが課題だった

対策:配信エリアを倍に拡大した

結果:対策後CV数が増加したことで学習量が担保でき、CPAが低下

コンバージョン数の向上でCPA低下

こちらの事例では、配信期間の経過によって徐々にCPAが低下した事例です。

背景:P-MAX開始直後で配信が不安定だった

対策:大きな変更は加えず、CV数が増加・学習が進むのを待った

結果:他キャンペーンよりも低いCPAで獲得できるようになった

よくある失敗

ここでは、P-MAXを運用する中で陥りがちな失敗パターンと、その回避策について解説します。

一気に複数の改善策を実施

「早く成果を向上させたい」という思いから、改善のための変更などを同時にいくつも実施してしまうケースがあります。

想定される結果

  • どの施策が成果の改善・悪化につながったのかわからなくなる
  • 機械学習が混乱し、最適化の学習期間が長期化する
  • 配信バランスが乱れ、一時的にパフォーマンスが大きく低下する可能性がある

回避策

  • 改善施策は優先度の高いものから1つずつ実施する
  • 特にキャンペーン全体に影響する大きな変更(入札戦略の変更、コンバージョン設定の大幅な変更など)は単独で実施し、効果を見極める
  • 変更履歴を記録し、パフォーマンスの変化と施策の関連性を追跡する

パフォーマンスの良いアセットの変更

「もっと良くなるはず」と考えて、現在良い成果を出しているアセットを変更してしまうケースです。特に商品やサービスの変更や、画像・動画素材の契約期間に伴う入れ替えなどで発生しやすい問題です。

想定される結果

  • 最適化が進んでいたアセットがなくなり、学習が一部リセットされる
  • 特定のアセットに獲得が集中していた場合、成果が大幅に低下する可能性がある
  • 新しいアセットの学習に時間がかかり、成果改善までに時間がかかる

回避策

  • パフォーマンスの良いアセットが複数ある状態を維持、特定のアセットに依存しない
  • 複数のアセットグループを用意し、一部のみを変更することで全体への影響を緩和する
  • 新しいアセットを追加する際は、既存の高パフォーマンスアセットは残したままにする
  • 期間限定の訴求をする場合は、専用のアセットグループを作成する

短期で配信継続可否を判断

「2週間経っても成果が出ないから」と早期に判断してキャンペーンを停止してしまうケースです。

想定される結果

  • 学習が完了する前に中止してしまい、本来得られたはずの成果を逃す
  • 短期判断を繰り返すことで、長期的な最適化の機会を失う

回避策

  • 最低でも6週間、予算が少ない場合は2〜3ヶ月の学習期間を確保する
  • 完全に中止するのではなく、予算を調整しながら継続する選択肢も検討する

成果悪化で他キャンペーンへ予算アロケーション

一時的な成果悪化を見て、P-MAXの予算を削減し、他のキャンペーンへ予算を移してしまうケースです。

想定される結果

  • 予算減少により学習に必要なコンバージョン数が確保できなくなる
  • 機械学習の最適化サイクルが中断され、成果が回復しにくくなる

回避策

  • 予算による制限がかからないようにする
  • 成果悪化の要因を分析し、予算減少の前に改善策を実行する

P-MAXの応用方法

P-MAXの運用・改善方法を理解したら、その改善を他のキャンペーンにも広げるなど、次のステップに進んでみましょう。P-MAXの自動最適化をさらに有効活用することができます。

検索キャンペーンと同時に成果改善

P-MAXと検索キャンペーンを併用することで、相乗効果を生み出すことが可能です。

検索キャンペーンでは、キーワードを追加・停止などのコントロールができる一方、P-MAXでは機械学習によって検索キャンペーンでは拾いきれない潜在的なニーズを捉えることができます。

有名な手法は「Max Magic」と言われるものです。P-MAXキャンペーンでコンバージョンに繋がった検索クエリを検索キャンペーンのキーワードに追加することで、検索キャンペーンの成果最大化を狙います。

また、検索キャンペーンで得られたデータをP-MAXに活かすこともできます。

検索キャンペーンで高いコンバージョン率を示したキーワードを、P-MAXの「検索テーマ」に追加することで、類似のキーワードでも配信される可能性が高まります。

同様に、検索キャンペーンのアセットで効果の高かったものをP-MAXでも活用するという方法も有効です。

複数のP-MAXキャンペーンを運用

一般的には1つのP-MAXキャンペーンで十分ですが、複数のP-MAXキャンペーンを運用することで、より細かな戦略が可能になるケースもあります。例えば、以下のような場合に複数のP-MAXキャンペーンが効果的です。

商材や配信エリアが明確に異なる場合

例えば、BtoBとBtoC向けの商材を扱っている場合や、エリアごとに訴求する内容が変わる場合は、それぞれに専用のP-MAXキャンペーンを作成することで、アセットやシグナルをターゲットに合わせて最適化できます。

コンバージョンの種類が異なる場合

例えば、資料請求と商品購入など、コンバージョンの性質や価値が異なる場合は、それぞれに特化したP-MAXキャンペーンを作成することで、より精度の高い最適化が可能になります。

まとめ

P-MAXキャンペーンは自動化が中心で、自分たちで改善できる箇所はアセットの改善くらいしかないと思われがちです。

しかし、データ分析を丁寧にすることで、次に何をすべきかが見えてきますし、アセットの中でもテキストか画像か、何から着手すべきかの優先度がつけやすくなります。

まずは、成果が上がらない要因をデータで特定し、優先度の高い改善策から実行してみましょう。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

ストラテジスト

大花 ちなみ

新卒で大手インフラ企業に入社し、カスタマーサポート部門にて複数の顧客満足度向上プロジェクトに参画。その後スタートアップのアパレル事業会社にて1人目のSNS運用担当者として売上向上に取り組む中、事業成長を左右するマーケティングの奥深さを実感。マーケティング支援を通じて顧客の本質的な課題に向き合うオーリーズのスタンスに共感し入社を決意。

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