SA360による検索広告のオフラインコンバージョンを活用した運用について[概要編]

SA360による検索広告のオフラインコンバージョンを活用した運用について[概要編]

はじめに

現在のインターネット広告において、機械学習を用いた自動入札の利用は非常に重要なものとなっています。しかし、現在行われている運用のほとんどは広告媒体がトラッキングできるデータのみを機械学習の学習対象としたものです。
広告媒体単体ではトラッキングできないコンバージョンデータ(※)をインポートし、自動入札における機械学習の学習対象とする運用は、よりビジネスの目的に近い数値をターゲットにできることから通常の改善施策の範疇を超えた大きな改善をもたらし得ます。
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オフラインコンバージョン
広告媒体単体ではトラッキングできないコンバージョンのことをオフラインコンバージョンと言います。(詳細は次項にて)
しかしながら、設定の複雑さから実践している例は多くなく、設定について日本語で解説したものも少ない状態です。
特にGoogleのプロダクトであるSA360を用いた方法については、公式のヘルプを除いてほぼ情報がありません(22年7月現在)。
そのため、導入を検討していても「SA360が気になるけど、オフラインコンバージョンを利用した運用についてどのような機能があるのか分からない……」「自分の運用に本当にSA360が必要なのだろうか?」とお悩みの方も多いかと思います。
オーリーズでは、BtoBの事業を行うお客様を中心にオフラインコンバージョンを利用した広告の配信を行ってきました。その知見を元に、本稿では以下の内容を解説します。
  • そもそもオフラインコンバージョンを利用した広告運用とは?
  • SA360とは
  • SA360を使うメリット・デメリット
  • 注意点
⚠️
なお、当サイトでは、本記事以外にもオフラインコンバージョンについて解説した記事が複数あります。そちらは本稿の末尾にまとめてありますので、必要に応じてご覧ください。
本記事ではSA360を扱う関係上、検索広告に絞った記述となりますが、他の記事にはそれ以外の広告形態のオフラインコンバージョンを利用した運用に関するものもございます。

そもそもオフラインコンバージョンを利用した広告運用とは?

オフラインコンバージョンとは、Google広告などの媒体が、広告主のデータベースから1st Partyデータのインポートなしではトラッキングできないコンバージョン(例:実店鋪での購入、SFAで管理する商談データなど)のことです。
それをGoogle広告(GSA)やYahoo広告(YSA)などにインポートすることで、オフラインコンバージョンを自動入札における機械学習の学習データとして利用できるようにすることができます。以下はそのイメージです。
インポートしたオフラインでのコンバージョン情報と広告配信の紐づけは、GoogleやYahooの場合は、GCLIDやYCLIDといった広告がクリックされるとURLに渡されるパラメータを利用して行われています。
GoogleのプロダクトであるSA360を用いると、GSAとYSAを一元的に管理し、オフラインコンバージョンを利用することができます。
👉
ここにおける【オンラインコンバージョン】と【オフラインコンバージョン】の定義 【オンラインコンバージョン】:Google広告などの媒体が、Cookieやタグなどのオンライン情報だけでトラッキングできるコンバージョン 【オフラインコンバージョン】:Google広告などの媒体が、広告主のデータベースから1st Partyデータのインポートなしではトラッキングできないコンバージョン 例:リード獲得が【オンラインコンバージョン】とした場合、SFAで管理する商談データなどが【オフラインコンバージョン】
Google クリック ID(GCLID)を使用してオフライン コンバージョンのインポートを設定する
Google 広告では、コンバージョンのインポート機能を利用して、オンライン広告のクリックがどのようにオフラインでの成果につながるかを分析することができます。 この記事では、 GCLID(Google クリック ID)を使ってインポートによるオフライン コンバージョン のトラッキングを行うために、Google 広告アカウントとウェブサイトを設定する方法について説明します。この手順に沿って設定を済ませると、コンバージョン データを Google 広告にインポートできます。その他の方法については、次のリンクをご覧ください。 Salesforce からコンバージョン データをインポートするには、こちらの手順に沿って Google 広告と Salesforce のアカウントをリンクし、Google 広告キャンペーンが販売の目標到達プロセスのマイルストーン達成につながったらそれが記録されるように設定します。 Zapier からコンバージョン データをインポートするには、こちらの手順に沿って Google 広告の Zapier オフライン コンバージョン データのインポートを設定します。 GCLID(Google クリック ID) を使ってビジネスのオフライン コンバージョンをインポートするには、次の要件を満たしている必要があります。 自動タグ設定が有効になっている。オフラインのコンバージョン データをインポートするには、自動タグ設定を有効にする必要があります。 すべてのウェブページのコードに変更を加えることができる。ユーザーがクリックする広告の URL に追加される Google クリック ID(GCLID)パラメータを取得する必要があります。 各 GCLID をウェブサイトで集めた見込み顧客の情報に関連付けて保存できる。この操作は、独自の顧客管理システムなどで必要になります。GCLID は大文字と小文字が区別されるため、正しくアップロードされているかどうかを確認してください。 クリックからコンバージョンまでの期間が 90 日以内である。最後のクリックから 90

SA360とは

SA360は”Search Ads 360”の略称で、複数のエンジン(広告媒体)やメディア チャネルで大規模な検索広告を効率的に管理できるGoogleのプロダクトです。
具体的には、複数のキャンペーンをまとめて全体で一つの目標CPAに合うように入札戦略を設定できたり、複数の広告媒体を横断して広告やキーワードの掲載結果を分析できます。
オフラインコンバージョンに関しては、YSAに対してもGCLIDを発行することでGSAと一元的に管理することができます。
このように「複数の媒体をまとめて運用すること」にメリットがあるプロダクトなので、どちらかというと大規模な運用に向いています。弊社では検索広告のキャンペーンが各媒体に30近くある大型BtoB案件などにおいてSA360を利用しています。

SA360では複数の媒体の配信を統合して機械学習を用いた入札ができる

まずオフラインコンバージョンを自動入札における機械学習の学習データとして利用する方法には、「各媒体で学習をさせる方法」「SA360で学習をさせる方法」の2通りがあります。
各媒体で行う場合は、各媒体で広告がクリックされるたびにIDを付与する設定を行います。GSAならGCLID、YSAならYCLIDがこれに相当します。そして、それらのIDとオフラインコンバージョンを紐づけたデータを各媒体にアップロードします。
SA360で行う場合は、広告がクリックされるたびにGCLIDを付与する設定を行ったうえで、GCLIDとオフラインコンバージョンを紐づけたデータをSA360にアップロードします。
それぞれにメリット、デメリットがあるので、以下にてSA360で行った場合のメリット、デメリットを紹介します。

SA360のメリットデメリット

メリット

  • 一元的に管理できる
    • 先述の通り、SA360はGSAとYSAを集約して一元的に管理できます。そのため、オフラインコンバージョンの管理も一元的に行えます。
  • キャンペーンごとに細かなコンバージョン設定が可能
    • オフライン・オンラインを問わず複数のコンバージョンの値それぞれに重みづけした上でそれを組み合わせて、入札の目標とするコンバージョンの値を作成することができます。また、そのようなコンバージョンの値を複数用意し、キャンペーンごとに設定することが可能です。同様の設定はGSAでも可能ですが、データをアップロードする際に工夫が必要となり煩雑ですし、YSAでは設定できません。
  • オフラインコンバージョンの件数が少ない際の対応策がある
    • オフラインコンバージョンの定義次第では、その件数が少なく、学習に支障が出ることがあります。SA360では複数のキャンペーンをまとめて一つのキャンペーンのように運用する「入札戦略」が設定できるので、複数キャンペーンでまとめた分、オフラインコンバージョンの件数が多い状態で学習ができます。
  • レポーティングが容易
    • オフラインコンバージョンを含めたレポートをSA360上で作成できる他、データのエクスポートの自由度も高いので、外部BIツールとの連携も可能です。

デメリット

  • SA360の利用料がかかる
    • 代理店にもよると思いますが、配信量の数%が利用料金として必要となります。
  • やや設定が煩雑
    • SA360に情報を集約するために各媒体とSA360を連携する必要があります。

SA360でオフラインコンバージョンを利用した運用をする際の注意点

一般的なオフラインコンバージョンを利用した運用の注意点も含め解説します。

オフラインコンバージョンが出るまでのタイムラグを考慮する

どのようにオフラインコンバージョンを設定するかにもよりますが、一般的にオフラインコンバージョンはオンラインコンバージョンよりも「クリックされてからコンバージョンするまでの期間」が長くなります。設定によっては月をまたぐこともあります。
そのため、クリックされた日時を基準として集計するか、オフラインコンバージョンした日時を基準として成果を集計するかによって、成果の見え方が大きく変わることがあります。
打ち手を正しく評価しPDCAを回すためには、クリックされた日時を基準として集計することが望ましいですが、SA360の媒体画面での表示は自動的にオフラインコンバージョンした日付を基準としたものになってしまいます
媒体画面からコンバージョンのレポートをダウンロードすると、”Conversion date”と”Conversion visit date”がカラムとして存在しており、後者がクリック日時に当たるので、これを基準としてBIツールに読み込ませることでクリックされた日時を基準とした集計ができます。
弊社運用ではこれを利用して「クリックされた日時基準」「オフラインコンバージョンした日次基準」それぞれのレポートを作成し、合わせて「クリックされてからオフラインコンバージョンするまでの日数」もモニタリングできるような環境を用意しています。

複数のコンバージョンを組み合わせる際、重みづけは慎重に

オフラインコンバージョンを運用に生かす場合、オフラインコンバージョンとオンラインコンバージョンを組み合わせたり、複数のオフラインコンバージョンを組み合わせて学習対象とすることが多いと思います。
重みづけの重要性と、その方法については別の記事がありますのでご参照ください。
以下ではSA360での設定方法について記載します。

SA360で複数の種類のコンバージョンを組み合わせた値を自動入札の学習対象とする設定方法

SA360では数式列を利用して重みづけをします。
コンバージョン当たりの単価を目標とする場合、入札戦略を「収益」に設定します。その場合、目標ROAS運用となります。
複数のコンバージョンを学習対象とする場合、この目標ROASを設定する必要があります。目標ROASは「コンバージョン数×コンバージョン当たりの価値」の足し合わせの形をとります。
 
オフラインコンバージョンを活用した広告運用は簡単に導入できるものでもないため、特にSA360での事例などはなかなか情報が少ないと思いますが、ぜひ本記事をご参考いただき、オフラインコンバージョンの活用を進めていただければと思います!
本サイトでは他にもオフラインコンバージョンの活用に関する記事がございますので、ぜひご覧ください!

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オフラインコンバージョンを導入する意義について

運用におけるTips

  • 【B2Bの広告運用】オフラインCV数が少ないときの対処法 ~媒体CVとオフラインCVを重み付けして学習させてみる~ https://learning.allis-co.com/d5d4ea1255da40e5917958daca265ba8 オフラインコンバージョンの重みづけを行う方法とその重要性について説明した記事です。

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