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- オーリーズ編集部
【BtoB/SaaS】コンテンツごとに広告経由のリード・商談獲得分析をした話
BtoBの広告配信において「より多くの商談が獲得できるコンテンツはどれなのか?」というご質問をよくいただきます。そんなお悩みにお答えするために、この記事では「コンテンツごとに広告経由リードの商談化分析をした事例」についてシェアします。
目次
前提
本事例の前提は以下の通りです。
- 業種
- SaaS(非バックオフィス向け)
- 広告配信の目的
- 有効リード・商談獲得
- 検証媒体
- Google検索広告(指名/一般検索)※一般検索は部分一致主体
- 検証したKPI
- リード数・有効リード数・商談数・それぞれの転換率
- 検証期間
- 2020年1月から12ヶ月以上(※明確な期間は敢えて伏せています)
- その他の施策
- 大規模な認知施策を並行して実施
商談化分析をしたコンテンツは以下の通りです。
- ノウハウ・市場調査資料
- 事例集
- 比較資料
- 製品資料
- 問い合わせ
- 共催セミナー
- 製品紹介セミナー
コンテンツ毎の商談化率分析の実施
とあるSaaS企業の広告支援において、運用型広告のROIを把握するため広告データとセールスデータを連携を行い「どの媒体の、どの広告で、どんなリードが、いくらで獲得できたか」を可視化するためのダッシュボード構築を行いました。
加えて、「TOFU」「MOFU」「BOFU」それぞれのファネルに対応したコンテンツを広告配信し、構築したダッシュボードによって各コンテンツの商談化率分析を行いました。
広告配信を行ったコンテンツ
広告配信を行なったコンテンツの詳細は以下の通りです。
<TOFU向けコンテンツ>
潜在顧客のリード獲得を想定したコンテンツ
- ノウハウ・市場動向資料
- 共催セミナー
<MOFU向けコンテンツ>
情報収集や比較検討を行っているリードの獲得を想定したコンテンツ
- 事例集
- 比較資料
<BOFU向けコンテンツ>
3つのファネルの中で最も商談に近いリードの獲得を想定したコンテンツ
- 製品紹介セミナー
- 製品資料
- 問い合わせ
開始当初の想定としては、一般検索においてはBOFU<MOFU<TOFUの順番でリード獲得数が多くなり、TOFU<MOFU<BOFUの順番で商談化率が高くなると想定しました。
理由としては、ブログによるコンテンツマーケティングでは「トラフィックを多く獲得しリード獲得に有効なお役立ち情報系」と「トラフィックは少ないものの有効リードや商談獲得に繋がりやすいPR系」の二つにコンテンツタイプを大別できるため、運用型広告においても同様の事象が起きると考えたためです。
また、指名検索においては購買ファネル後半のユーザーが多いと仮定し、リード数・商談数ともにBOFU向けのコンテンツが多くなるのではないか?と考えました。
BtoBのコンテンツマーケティングについては、以下の記事で紹介しておりますので併せてお読みいただけますと幸いです。
SaaSにおけるコンテンツマーケティングの重要性と戦略
まず「コンテンツの種類」には大きく2つあり、「お役立ち情報系」と「PR系」に分ける事ができます。 それぞれの大まかな特徴は以下の通りです。 2017年のCobloomによる調査では、 世界的SaaS企業トップ250社のうち 「お役立ち情報系とPR系の両方」をブログで公開するアプローチが全体の45% …
https://learning.allis-co.com/5d574cd6c7164d2b81646f217eb4ab4c
結果と考察
結果は以下の通りでした。
Google 一般検索広告
- リード獲得においては、予想に反しMOFU向けのコンテンツが最多となった
- 商談化率は予想通りTOFU < MOFU < BOFUとなったが、MOFUとBOFUであまり差が無かったため、商談獲得数はBOFUと比較しMOFUが僅かに少ない結果となった
- TOFUはリード・商談獲得ともに最も少なかった
※商談化率:「リード」からの「商談化率」で算出
MOFU向けコンテンツ
MOFU向けコンテンツのリード獲得が最多であったことを受け、本支援における一般検索広告では「製品を比較したい」「活用事例を知りたい」などの検索意図を持ったユーザーが多かったと考えられ、「比較資料」や「事例集」がユーザーニーズにマッチしていたと言えそうです。
また、MOFUコンテンツの商談化率はBOFUと比較しても見劣りせず、商談獲得にも有効なコンテンツであったと言えます。
TOFU向けコンテンツ
一方でTOFU向けのコンテンツはリード・商談獲得ともに最も少なかったため、本支援での一般検索広告における有効性は認められませんでした。
また、TOFU向けコンテンツの配信を安易に行うとインサイドセールスの負担が増したり、CAC(Customer Acquisition Cost)をいたずらに増加させる要因になると考えられるため、今後も活用するシチュエーションを調査していく必要があると感じました。
Google 指名検索広告
- リード獲得・商談獲得ともに予想通りBOFUコンテンツが最多となった
- TOFUとMOFUで比較するとリード・商談ともにTOFUが僅かに多い結果となった
※商談化率:「リード」からの「商談化率」で算出
BOFU向けコンテンツ
予想通りBOFUコンテンツからのリード・商談獲得が最も多かったため、指名検索では購買ファネルの後半のユーザーが多く「製品資料」「問い合わせ」「紹介セミナー」などの顕在層向けのコンテンツが有効であると考えられます。
今回は3つのコンテンツのみでしたが、「見積もり」や「トライアル」などのコンテンツも追加することでさらに商談獲得数を増やすことができるかもしれません。
TOFU向けコンテンツ
一方で予想に反しTOFU向けのコンテンツのリード獲得が想定よりも多かった点については、認知施策の影響があるのではないか?と思われます。
大規模な認知施策を同時並行で行なった結果、「具体的な検討段階までは至っていないが、製品に興味を持ったユーザー」のトラフィックが増え、サイト回遊する中で自分の業務に関連するノウハウ系資料(TOFUコンテンツ)を見つけてリード化したものと考えられます。
実際に大規模な認知施策を行なったタイミングで、大幅なトラフィック増加に比例してコールドリードの数も増えていました。
このことから、幅広い層がリード化できるようにサイト内にノウハウ系資料を複数用意しておくことでCMなどの大規模な認知施策の効果を余すことなく享受することができそうです。
MOFU向けコンテンツ
MOFUコンテンツについては、汎用検索の結果と相対してリード・商談ともに最も少なく、指名検索広告における有効性は認められませんでした。
恐らく、指名検索をしているユーザーは既にある程度の情報収集や比較検討を終えている可能性が高く、「比較資料」や「事例集」が検索意図にマッチしなかったと考えられます。
なお、弊社のBtoB事業者向けメルマガでは、登録者限定で上記以外の媒体やコンテンツごとに商談化率や有効リード率、獲得単価などの実数字を公開するなど、あまり公に出すことができないBtoBマーケティングの実例を広告主限定で公開しております。
BtoBの広告配信にも役立つ内容となっておりますので是非ご登録ください。
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まとめ
ここまで、実際の支援事例をもとに、「コンテンツごとの商談獲得」についてご紹介しました。
SaaSやBtoBの広告配信で成果を出すうえでは、コンテンツマーケティングの視点が欠かせないため、今回の検証結果を広告配信の参考にしていただけますと幸いです。
しかし、実際の広告配信においては外部環境や戦略に応じてカスタマイズしていく必要がある点に注意が必要です。
例えば、業界によっては競合他社との紳士協定で「比較資料」が活用しにくい場合があり、安易に広告配信を行うと企業間のトラブルにつながる可能性もあります。
また、「エンプラ向けのバーティカルSaaS」のようなセグメントが狭く高単価になりやすい商材では、そもそも運用型広告の有効リード・商談獲得単価が上昇しやすい傾向があるため、運用型広告よりも先にBDRやブログなどの無料で行えるコンテンツマーケティングに取り組むことが優先であると考えられます。
今回は「コンテンツごとの広告経由のリード・商談獲得分析」についてお話しましたが、引き続き実際の支援で経験した実践に役立つ情報を順次公開していきたいと思います。
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