Google 広告 動画プロダクトの全体理解|よくある勘違いと注意点

Google 広告  動画プロダクトの全体理解|よくある勘違いと注意点

ここ数年で、ずいぶんとGoogle 広告の動画フォーマットが増えました。

  • バンパー広告
  • TrueView インストリーム(スキップ不可)
  • TrueView インストリーム(スキップ可能)
  • TrueView リーチ
  • TrueView アクション
  • 動画広告シーケンス
  • Video Reach Campaign
  • ショッピング向け TrueView
  • アウトストリーム広告
  • TrueView ディスカバリー広告

などなど。

種類の増加にともなって、管理画面で確認できる「フォーマット名」と、「プロダクト名」が一致しないケースも出てきて、少しわかりづらくなってきている印象があります。 (たとえば、「TrueView リーチ」というプロダクト名は聞いたことあるけど、管理画面ではそれを確認することができない、など)

また、種類が増えたことで、誤った理解でフォーマットを選定したり、効果を評価したりする危うさもでてきてるな、と感じます。

この記事では、これらの動画広告フォーマットを分かりやすく整理するとともに、運用上の注意点について触れたいと思います。

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Google 広告の動画広告フォーマット一覧

こちらが、現行(20年8月時点)のGoogle 広告の動画広告フォーマットを一覧化したものです。(アプリ、ファインドは除いています)

図表右側の「キャンペーン設定時の『目標の選択』」について補足をしておくと、動画キャンペーンの設定はウィーザード形式になっていますので、それぞれの選択肢にどのフォーマットが対応しているかを一目できるようにしています。

※対話形式で選択肢を選んでいくことで、最適な設定がおこなわれる仕組み。

まず「スキップできるか、できないか」で分けるとわかりやすい

これらの多様なフォーマットをシンプルに理解するための方法として、最初に、「スキップできるか、できないか」から区別すると分かりやすいと思います。

なぜかというと、「スキップできない(させない)」フォーマットは以下の特徴を持っているためです。

  • 「視聴」という考え方がない ※1
  • 「入札方式」は「目標インプレッション単価」のみ

スキップできない(させない)ということは、このタイプの広告が表示されたら、視聴者は広告を必ず最後まで見なければ(流さなければ)なりません。つまり、このタイプの広告には「視聴」という考え方がないことを意味します。スキップボタンのように、広告を「見た or 見なかった」の判定を入れる仕組みがないためです。ですので、管理画面の「視聴」カラムにはデータが表示されません。見るべき主な指標は「表示回数」になります。

つまり「スキップできない(させない)広告フォーマットを選択する」ということは、必然的に「広告を見てくれたかどうか」ではなく、「どれだけ多くのYouTubeユーザーに効率的に(≒低単価で)インプレッションしたのか」が論点になります※2

ちなみに、スキップ不可の広告フォーマットには、「6秒(バンパー広告)」と「6~15秒(スキップ不可のインストリーム)」の2種類のプロダクトがあります。

※1 Google 広告の「視聴」の定義はこちらです

※2 スキップ不可の広告フォーマットでも「動画の再生時間の割合(25%, 50%, 75%, 100%)」を確認することができますが、あくまでも「再生の長さ」のデータであり「視聴回数」や「視聴率」のデータではありません。

もう一点、スキップ不可のフォーマットについて理解しておくべき重要なことは、「入札方式は目標インプレッション単価だけ」ということです。「視聴」の考え方がないわけですから、当然ながら「上限広告視聴単価= より効率的に視聴してもらうための入札方式」は選択できません。

また、「TrueView アクション」のような行動を促す広告フォーマットではないので、「目標コンバージョン単価」や「コンバージョン数最大化」といった入札方式も選択できません。スキップ不可の広告フォーマットは、「いかに効率的に(≒低CPMで)インプレッションを取るのか」に特化しています。

参考までに「スキップ不可」と「スキップ可能」のそれぞれの広告フォーマットCPM感を表現すると、こんな感じかなと思います。(※同じようなターゲティング設定、予算設定、クリエイティブにて配信をしたケースをイメージしています。あくまでも個人の知見に基づくイメージです)

  • スキップ不可 バンパー広告(6秒)       :¥600 – ¥800
  • スキップ不可 インストリーム広告(5~16秒) :¥800 – ¥1,000
  • スキップ可能 インストリーム広告(6秒)    :¥1,000 – ¥1,200 

このような背景から、スキップ不可の広告フォーマットでは、「目標の選択」では「ブランド認知とリーチ」のみが対象となります。

「スキップ可能なインストリーム」は2種類ある

続いて「スキップ可能なインストリーム」です。これには2種類のプロダクトがあります。

  • TrueView リーチ
  • TrueView インストリーム

目標設定では、「TrueView リーチ」は「ブランド認知とリーチ」の目標下で、「TrueView インストリーム」は「商品やブランドの比較検討」の目標下で設定を進めます。

同じフォーマットではあるのですが、プロダクト名が異なります。これらの違いは「入札方式」です。「スキップのできるインストリーム型の動画広告」というフォーマットは同じですが、入札方式が異なることで、プロダクトの役割(=広告目標)が変わります。具体的には以下の通りです。

  • TrueView リーチ
    入札方式:目標インプレッション単価
    広告目標:ブランド認知とリーチ
  • TrueView インストリーム
    入札方式:上限広告視聴単価
    広告目標:商品やブランドの比較検討

前者は「いかに効率的にインプレッションを取るのか(=ブランド認知とリーチ)」を優先し、後者は「いかに効率的に広告を視聴してくれる人のインプレッションを取るのか(=商品やブランドの比較検討)」を優先します。違いは入札方式だけです。アカウント設計者が、これらを然るべき広告目標下で適切に使い分けることができるよう、ウィザードによって区別されています。

※ちなみに「TrueView リーチ」というプロダクト名は、メディアガイドやブログ記事などに出てくる名称ですが、管理画面上では見つけることができません。通称として理解しておきましょう。

TrueView アクションもスキップ可能なフォーマットの一つ

次は、「スキップ可能なインストリーム」の発展形フォーマットです。おそらく、今もっとも広く利用されているであろうプロダクト「TrueView アクション」です。特殊なプロダクトのように見えますが、違いはシンプルです。「TrueView リーチ」と「TrueView インストリーム」と比較して、以下の点が異なります。

  • 行動促進に重きをおいたアクショナブルな要素
  • 行動促進に重きをおいた入札方式(目標コンバージョン単価 or コンバージョン数の最大化)

TrueView アクションは、とにかく、WEB上のアクションを誘引することを目的としています。

前者の「アクショナブルな要素」については、ここでは細かく説明しませんが、商品やサービスを宣伝する見出しテキストを掲載したり、動画広告終了後にCTAが表示されたりします。(ヘルプ:TrueView アクション

加えて、後者の入札方式に対する理解が特に重要です。これまでご説明してきたフォーマットは、「リーチ効率」や「視聴効率」といった「動画広告の指標に対して効率化する入札方式」でしたが、TrueView アクションは「アカウント設計者が設定する指標に向かって広告配信を効率化する入札方式」になります。この「独自の指標(マイクロコンバージョンなど)を設定する」ことが、TrueView アクションの最大の特徴と言えます。

どんなフォーマットでも「視聴率」を比較してしまうことの問題

ここまでの話で大事なポイントを整理すると、

  • ウィザード上の「広告目標」によって「入札方式」が決まり、「入札方式」によって「見るべき指標」が決まる

ということです。

動画広告運用で犯しがちな誤りの一つに、「異なるフォーマット同士で視聴率を比較してしまうこと」があります。これは良くありません。なぜなら、例えばまったく同じ動画クリエイティブとターゲティングで広告配信をしたとしても、入札方式が異なれば(利用する動画フォーマットが異なれば)、視聴率は上がりもするし下がりもするからです。どんなときも評価指標として利用しがちですが、広告目標に応じた使い分けが大切です。

もう一点、動画広告運用で勘違いしがちなのが、「フォーマットが増えてきたので、課金方式もまた複雑になってきている」という思い込みです。フォーマットの種類は多様になってきましたが、課金形態は2つしかありません。「インプレッション課金(CPM)」と「視聴課金(CPV)」です。検索やディスプレイに慣れていると、CPC課金やCPA課金もありそうな感じがしますが、課金はあくまでも上記の2つのみです。

複数のフォーマットを組み合わせる

最後に、スキップ「可能なもの」と「不可能なもの」を組み合わせたフォーマットです。これには、現在2種類あります。

  • Video Ad Sequencing(通称:VAS)
  • Video Reach Campaign(通称:VRC)

前者の「VAS」は、「スキップ可能なインストリーム」「スキップ不可のインストリーム」「バンパー」を組み合わせて、個々のユーザーに特定の順序で表示して、ストーリー形式でメッセージを伝えることができます。入札方式も「目標インプレッション単価」と「上限広告視聴単価」の2つを選択できます。

後者の「VRC」は、まだアルファ版のプロダクトです(20年8月現在)。「スキップ可能なインストリーム」「スキップ不可のインストリーム」「バンパー」を1つの広告グループで併用することができます。VASは「シーケンス=順番」を指定して動画広告を配信しますが、VRCは複数の動画クリエイティブを平行して配信し、Googleの機械学習が目標(≒入札方式)に対して最も効率的な組み合わせを提供します。

VRCについては、まだヘルプページに情報がありませんので、こちらの記事が参考になります。

以上です。

種類が増えてきたGoogle 広告の動画フォーマットですが、本記事が皆さんの動画広告活用の一助になれば幸いです!

※今回は、「ショッピング向けTrueView」と「アウトストリーム広告」の説明は割愛しました。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

取締役副社長

足立 誠愛

在学時に現代広告の研究室に所属。実践主導の研究活動を通じて広告コミュニケーションを学ぶ。その後にワークスアプリケーションズのインターンシップに参加し、最高ランクの評価を獲得し、同社に入社。ERPパッケージ「COMPANY」導入・保守運用部門のコンサルタントを経て、アカウントマネージャーとして顧客の最終責任を担い、クライアントと組織のROI向上に邁進。2013年より株式会社オーリーズ取締役副社長に就任、事業開発を担う。

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