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- 頼富 穰
クライアントワークを加速するチャット術 – 即レスをもらう12の工夫
かれこれ5年近く広告代理店で働いていて、思うことがあります。
チャットのやり方一つで、支援の成果は変わる。大げさに聞こえるかもしれませんが、僕はわりと本気でそう思っています。
僕らの仕事は、自分たちが手を動かすだけでは完結しません。クライアントに意思決定してもらう、承認してもらう、情報を提供してもらう。
この「クライアントに動いてもらう」工程が必ず発生します。そして、クライアントが動くスピードが、そのまま施策のスピードになり、成果に直結する。
ところが、クライアントは忙しい。支援会社の僕らにとっては支援が仕事のすべてでも、クライアントにとっては数ある業務の一部でしかありません。
大量のタスクをさばきながら、社内会議に出て、上司への報告資料を作って、その合間にSlackを確認している。この非対称性を、私たち外部パートナーはつい忘れがちです。
工夫しないと、僕らへの対応は忙しさの中で埋もれやすい。だからこそ、クライアントの脳内リソースを奪わない工夫が必要になります。それができるかどうかで、対応スピードも、信頼も、大きく変わってくる。
僕が意識しているのは、大きく分けて2つ。「後回しにさせない」 ための工夫と、「不安・モヤモヤさせない」 ための工夫です。ここからは、僕が実践している具体的なTipsを紹介していきます。
目次
後回しにさせない工夫
画像を直接貼って「開かせない」
「添付ファイルをご確認ください」で終わらせず、バナーや修正箇所のキャプチャをチャットに直接貼る。
クライアントは移動中のタクシーでスマホを見ていることもあるかもしれません。そうでなくとも、ファイルを開かずに「見るだけ」で確認が完了すれば、その場ですぐに返信してもらえる可能性が高まります。

添付だけで終わらせず、チャット上で判断できる状態をつくることが大事です。
テキストを「絵」にする
文字量が多い、漢字が多い、改行がない。これだけで「読むのが大変そう」と感じさせてしまいます。パッと見て構造がわかると、内容が頭に入りやすい。

箇条書きや改行で構造化する、あるいは図解にしてしまう。やり方はいろいろありますが、大事なのは「パッと見て構造がわかる」状態をつくること。
送信前にひと呼吸置いて「文章のデザイン」を整えるだけで、相手の負荷は大きく変わります。
スレッドを立てる
タイムラインにバラバラとメッセージが流れてくると、後から追いかけるのが大変です。どこからどこまでが、どの話に関連しているのか分かりづらい。
スレッドでトピックごとにまとめておくと、やり取りの流れを一覧で追いやすくなります。
「後から探す人」を想像してスレッドで整理すると、クライアントが後追いする手間を減らせます。

ちゃんとプロフィールアイコンを設定する
例えばSlackの場合、デフォルトのままだと色違いの同じアイコンになります。

これだとチャットが流れてきた瞬間、「誰からの連絡?」と一瞬考えさせてしまいます。また、スクロールしながらやりとりを遡るときなども、アイコンがデフォルトだと少しだけ探しづらくもなります。
顔写真や特徴的なアイコンを設定しておくだけで、クライアントは「あ、○○さんからだ」と瞬時に認識できる。
些細なことですが、塵も積もれば山となる。アイコンのユニークさは意外と大事です。
コンテキストをセットで渡す
「先日の〇〇の件、いかがでしょうか?」といきなり聞いてしまうと、人は「何の話だっけ?」と思い出すのに負荷がかかります。
特に、複数のプロジェクトを抱えていると、数日前の会議の内容は記憶から薄れていることも多い。
「〇〇の宿題になっていた件、前回のMTGでは・・・の着地になっていましたが」など、前回の着地とボールの所在を明示する。相手の記憶に頼らず、文脈を添えるだけですぐに本題に入れます。

また、質問するときは「質問の意図」を一言添えるだけで、相手の負荷が大きく下がります。
たとえば、「御社のプロダクトの強みを教えてください」だけだと、何を知りたいからその質問をしているのか分からず、回答の切り口を探すところから考えないといけません。
一方、「LPのファーストビューに使うメインコピーを検討したいので、御社のプロダクトならではの便益を教えてほしい」と意図を添えると、クライアントは思考の範囲を絞り込めるので、「それならこの話をすればいいな」と回答負荷が下がります。

選択肢に番号をふる
「案としてや〇〇や〇〇がありますが、どれにしますか?」と聞いてしまうと、クライアントは選択肢を頭の中で整理しながら返信文を考えないといけません。
一方、「①案 ②案 ③案、どれがいいですか?」と番号を振れば、クライアントは「➀で」と即答できます。ちょっとしたことですが、返信のハードルがグッと下がります。

おすすめを提示する
選択肢を並べて「どれがいいですか?」と聞いてしまうと、クライアントはゼロから考えないといけません。
「我々としてはこういう理由でA案を推奨します」と専門家としての見解を添えれば、クライアントは「それを起点に」判断できるようになります。

最終的に決めるのはクライアント自身だったとしても、プロの意見があることで、ゼロから考えるのではなく「検討のたたき台」がある状態で判断に臨めます。
先読みして提案する
用件を伝えて終わりではなく、「次に何が必要か」を先回りして提案すると、頼りにされます。
たとえば、詳細なレポートを送るタイミングで「社内報告用にサマリー版も用意できますが、お作りしましょうか?」と添えてみる。
クライアントは「次に何を頼もうか」を考えなくていい。「お願いします」と言うだけで次に進める。

その一手間の省略が、やり取りのテンポを軽くしてくれます。
不安・モヤモヤさせない工夫
リアクションは爆速で
すぐに回答できない状況でも、「対応中」「確認します」といったスタンプを押すだけでクライアントは安心できます。
「メッセージ届いてるかな?」「見てくれてるかな?」というモヤモヤをなくすだけで、安心して待ってもらえます。
回答に時間がかかるときこそ、まずリアクションだけでも即座に返すのが大事です。

納期目処だけ先に返す
「確認して回答します」だけだと、クライアントはいつまで待てばいいかわからず、その件を頭の片隅にずっと置いておかないといけなくなります。
「最速で明日の午前中までに、遅くとも明日中には回答します!」と目処を伝えるだけで、クライアントはその時間まで他のタスクに集中できます。

ノリを合わせる
クライアントが「OKです!」と返しているのに、毎回「承知いたしました。何卒よろしくお願い申し上げます。」と返していると、「こっちも丁寧に返さないと…」と気を遣わせてしまう。
それだけでなく、「この人、自分との距離感を読んでくれていないな」という違和感にも繋がります。

文体だけでなく、絵文字やスタンプの使い方も含めて、クライアントの「心地よいトーン」を読み取って合わせる。それだけでやり取りの摩擦が減ります。
テキスト以外の選択肢も提案する
クライアントによっては、チャットで文面を考えて返信するより、口頭で話した方が早いと感じる人もいます。
質問を投げるときに、「テキストで回答しづらければ、お電話やハドルでも大丈夫です」と一言添えておく。
クライアントは「テキストで頑張って書かなきゃ」というプレッシャーから解放され、自分が楽な方法で回答できます。

さいごに
一つ一つは小さな工夫です。でも、その積み重ねが「この人とのやり取りは楽だな」という印象をつくり、対応スピードを上げ、信頼を積み重ねていくんです。
成果を出すのは当然として、日々のチャットで「後回しにされない存在」「不安にさせない存在」になれるか。ここが、忙しいクライアントに選ばれ続ける分かれ目だと思っています。