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- オーリーズ編集部
【B2Bの広告運用】オフラインCV数が少ないときの対処法 ~媒体CVとオフラインCVを重み付けして学習させてみる~

Google広告では、オフラインコンバージョンをインポートすることで、広告配信の自動最適化の学習を促進させることができます。ただし、その期間は「90日以内(クリック基準)」となっています。
BtoB事業の場合、媒体コンバージョンから売上発生までのリードタイムが長く、インポート可能な過去90日間の間にアポや商談が発生しないこともあるため、インポートできるオフラインCVの数がどうしても少なくなってしまうことがあります。
そのような「オフラインCVのみで学習させることが難しい」ケースでは、「媒体CVとオフラインCVの総数を利用しつつ、それぞれに重み付けをして学習をさせる方法」が有効です。本記事ではその方法をご紹介します。
①媒体CVとオフラインCVで重み付け留意点媒体CV1件の価値の決め方重み付け算出時のデータ抽出期間CV1件の価値の差分が大きすぎる場合、挙動が不安定になる可能性がある②オフラインCVアップロードとCVアクション作成③キャンペーン設定留意点(a) 選択可能な戦略(b) 必要なCV数は30件/月まとめ
①媒体CVとオフラインCVで重み付け
使用した指標は「媒体CV」「アポ数」「商談数」の3つです。媒体CV1件の価値を10,000円としたとき、それぞれ転換率の逆数をかけて重み付けしました。
- 例)媒体CV100件中、アポ数20件、商談数5件の場合
- アポ転換率:20/100=20%
- 商談転換率:5/100=5%
上記より、それぞれ価値は以下のようになります。
- アポ1件の価値:10,000円/20%=50,000円
- 商談1件の価値:10,000円/5%=200,000円
留意点
媒体CV1件の価値の決め方
今回、媒体CV1件の価値を一律10,000円としていますが、重要なのはあくまでもオフラインCV1件の価値との比率なので、100円でも1,000円でも問題ありません。
後述しますが、オフラインCVの最適化を実施する場合に選択可能な戦略は「目標ROAS」、もしくは「ROAS値最大化」となります。目標ROASで運用する際に、実際に上記の価値でROASを算出してみると、「5,000%」などの不自然な数値になる可能性があります。
上記ROASは重み付けするための便宜上の値であり、実際の売上数値を用いたROASとは異なることから、両者を区別するために以後は「仮ROAS」と呼びます。
見た目の問題ですので運用上は何も問題ありませんが、違和感がある場合は、必要に応じて媒体CVの価値を決めましょう。
重み付け算出時のデータ抽出期間
オフラインCVは「過去90日間(クリック基準)」までしかインポートできないため、90日以内のデータを用いて算出した方が望ましいでしょう。
とはいえ、媒体CVからのリードタイムが長いB2B商材もあるため、その場合は「過去1年」など長期間で抽出することになりますが、Googleにアップロードできない過去90日以前のデータも含まれるため、推奨されない利用方法である(機械学習の挙動が思惑通りにならない可能性がある)ことを認識しておく必要があります。
CV1件の価値の差分が大きすぎる場合、挙動が不安定になる可能性がある
今回の例で言うと、媒体CV1件の価値「10,000円」に対して、商談1件の価値は「200,000円」と20倍になっています。
その場合、Googleの広告配信は、
- 商談が1件出る → 仮ROASが大幅に改善 → 配信金額が伸びる
- 商談数の出ない期間が長い → 仮ROASは上昇 → コスト縮小
といった動きをする可能性があり、配信金額や成果が不安定になることが考えられます。そのため、ある程度CV1件の価値が大きくなりすぎないよう調整する必要があります。
③キャンペーン設定
対象キャンペーンを選択し、設定>目標から「キャンペーン固有の目標設定を使用」を選択します。使用するコンバージョンアクションを選択し保存します(複数選択可)。

あとは単価設定>目標広告費用対効果の戦略を選び、目標仮ROASを設定してください。

留意点
(a) 選択可能な戦略
先述の通り、複数のオフラインCVを用いた最適化を実施する際に使用できる戦略は、「目標広告費用対効果」、または「コンバージョン値の最大化」のどちらかとなります。「目標CPA」の戦略は使用できませんのでご注意下さい。
(b) 必要なCV数は30件/月
必要な最低限のCV数は30件/月です(2021年6月時点、Googleによる回答)。ただし、例えば「媒体CV15件」「アポ数8件」「商談数7件」の場合、「合計30件」になりますが、実際は「媒体CV15件の内訳にすぎない」ため、30件とみなしてよいかは議論の余地があります。
ちなみに実際の経験として、30件/月ギリギリのCV数で目標CPAから目標ROASに切り替えたところ、広告配信がほとんどがされなくなったケースもありました。(その際は、いったん目標CPAに戻したのですが、「コンバージョン値の最大化」にすることで解決できる可能性もあるので、今後試してみたいと思います)