なぜBtoB事業においてオフラインCVの実装を急がなければならないのか?

なぜBtoB事業においてオフラインCVの実装を急がなければならないのか?

オフラインCVを利用した広告運用とは

これまでオーリーズでは、BtoB事業を行うお客様を中心に、オフラインCV(商談等のデータ) を利用した広告の配信を数多くおこなってきました。また、近頃Googleでも、リード獲得目的の広告を配信している広告主たちに、オフラインCVの利用をこれまで以上に推進しています。
本記事では、「成果が上がるから」というポジティブな理由だけではなく、たとえすぐに成果が上がらないとしても、はやいうちにオフラインCVの利用に取り組まなければならないネガティブな理由について、現在のインターネット広告を取り巻く環境に触れながら解説していきます。
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ここで言う【オンラインCV】【オフラインCV】の定義は以下のとおりです。リード獲得を【オンラインCV】とした場合、SFA (セールスフォースオートメーション)で管理する商談データなどが【オフラインCV】と定義します。 【オンラインCV】:Google広告などの媒体が、Cookieやタグなどのオンライン情報によってトラッキングできるコンバージョン 【オフラインCV】:Google広告などの媒体が、広告主である企業の1st Partyデータのインポートによってのみ、トラッキングできるコンバージョン ※1st Partyデータ:自社のウェブサイトで収集したユーザーの情報。企業自身が自由に管理、コントロールすることができる。 ※各々の環境に応じてオフラインCVの定義が異なる場合があるため、このような定義づけをしています。
オンラインCVがリード獲得である場合、オンラインCVだけを見て広告配信を行っていると、本当に広告が売上に繋がっているかが分からず、売上に繋がっていない広告へのコストが多く発生してしまいます。
それを避けるためには、リード獲得後のオフラインCVを考慮して、広告運用することが重要です。Google広告などの広告媒体にオフラインCVを(手動やAPI連携などで)インポートすることで、オンライン以外での行動を測定し、その情報を踏まえて機械学習が働くため、自動入札の予測とターゲティングの精度が高まります。
しかし、オフラインCVを導入したからといって、すぐに成果が良くなるというものではないのです。

“オフラインCVの導入”を成果視点だけではおすすめしづらい理由

オフラインCVの導入はした方が良いものの、目に見えるような成果改善は簡単には達成できないのが現実です。最大のネックはCVボリュームにあります。
当然のことですが、オフラインCVはオンラインCVよりもCV数が小さくなります。例えば商談というオフラインCVで最適化しようとすると、商談はせいぜいオンラインCVの10%程度のボリュームになります。場合によっては、1ヶ月でキャンペーンに貯まるCV(商談)の数が1桁になることもあり、これでは商談に対して機械学習を最適化させても、機械学習がうまく回らずに成果が悪化しかねません。
そうなると、GoogleはROAS運用を推奨してくるケースが多くあります。オフラインCVに重み付けをして(例えばオンラインCV1件の価値を1、商談1件の価値を10とする)、tROASで運用する方法です。理屈上ではオンラインCVだけで運用するよりも商談を意識して学習をしてくれるため、幾分か成果が改善しそうに思えますが、実はこれも一筋縄ではいきません。(もちろん上手くいくこともあります)。
理由としては、機械では解釈できないような、データ化できないコンテクストを人間は持っており、属人的な運用の方が精度が高くなることが考えられます。
例えば、自動入札はキーワードが持つ意味そのものを理解してビッディングをしているわけではなく、指定された目的変数に対して、過去の結果から統計的に寄与度を評価し、ビッディングするかしないかを判断しているに過ぎません。
“AI”と聞くと賢いものに聞こえますが、AI≒機械は人間と違い、持っているデータから統計的な判断をするしかできないのです。そのため必ずしもROAS運用にしたとしても、オフラインCVでの運用が成功するとは限りません。
しかし、オフラインCVでの運用を成功させる有効な打ち手は、ほかにも存在します。それは、もう少し手前のCVポイントを作る、ということです。
例えば「商談ではなく初訪」「初訪でなく有効リード」をCVポイントとすると、オフラインCVのボリュームを増やすことができ、最適化が進んで成果を向上させられるケースがあります。
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この場での有効リードは、オンラインCVであるリード獲得の中から、“顧客対象でない個人”や“自社の競合”、“メールアドレスなどの情報がでたらめ”なリードを省いたものを指します。
有効リードであれば、オンラインCVの半分程度にはCV数を得られることが多く、機械学習が十分に回るほどのCV数を担保できます。しかし、これも実際にやろうとすると多くのハードルがあり(例「SFAで商談以外にフラグが立っていない」)、容易には実装できないケースがほとんどです。

Googleによる自動化の推進はまぬがれない

ここからは、導入ハードルの高さを多方向から説明したオフラインCVの導入を、“あえて”薦めるネガティブな理由について、Googleを中心としたインターネット広告を取り巻く状況に触れながらお話します。 私の推論を含む解説にはなりますが、今Googleが推し進めているオフラインCV活用の背景が理解できるはずです。
オフラインCVの導入をすぐにでも進めるべき最大の理由は「自動化は不可逆だから」です。
近頃のGoogleは、広告における自動化の領域を大きく広げようとしています(P-MAXしかり)。 例えば、検索広告におけるマッチタイプの大幅アップデートもその一つです。これまではフレーズ一致や絞り込み部分一致で細かく「オンラインCVはするが商談につながらないクエリ」には広告が出ないように調整できていました。しかしアップデートにより、絞り込み部分一致が廃止され、フレーズ一致が拾うクエリの範囲が広がったことにより、細かな調整がしづらくなりました。
そして、このような不可逆な自動化は今後も進んでいくと思われます。
例えば「手動によるオフラインCVを加味した入札調整の機能がなくなり、否が応でも自動入札に委ねなければならなくなる」という未来も十分にあり得ます。
オフラインCVを導入せず、オンラインCV後の歩留まりを踏まえながら商談に繋がりそうなキャンペーンや広告グループ、キーワードやオーディエンスを個別で入札強化している企業は、そのような未来に直面した際、オフラインCVがGoogleに受け渡されていないために、その入札調整を機械が代替できず、売上につながらないオンラインCVが増えてしまうのです。
また、そのような機能アップデートが発表されたあとにオフラインCVに取り組もうとしても、オフラインCVで成果を出すのは容易では無いため、手遅れになってしまう可能性が高いと考えられます。
自動化の背景を考えてみましょう。そもそも、Googleは広告施策の拡張を進めたいと考えています。なぜなら、広告運用を行う企業が適切に広告施策を拡張できれば、ROIが改善できるか、もしくはROIを悪化させることなく売上のトップラインを伸ばせ、その結果として広告費が増えれば、Googleとしても収益が上がるからです。しかし、こういった広告施策の拡張は運用リソース、経験、ノウハウの不足など、運用側の理由で実施できない、または実施しても成果が上がらないということが多々あります。
そのような従来の属人的要素が残った運用のままでは広告施策の拡張が進まないため、P-MAXなどの自動化を推進することで、解消をはかっていると考えられます。
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ここで言う「広告施策の拡張」とは、検索広告であれば部分一致への拡張であったり、ディスプレイ広告やYouTube広告の積極活用などを意味しています。
そうしたGoogleの「自動化を推進したいという思惑」をふまえると、Googleに渡っていないオフラインCVの存在は目の上のたんこぶとも言えます。
自動化は不可逆、だからこそ手遅れになる前からオフラインCVの運用に対して知見を貯めるべきなのです。Google広告で売上を拡大させている以上は抗えない波といえるのではないでしょうか。
弊社ではGoogle広告に限らず、Yahoo!、Facebook、Googleの上位プロダクトであるSearch Ads360等を使った、オフラインCVでの運用を積極的に展開しています。興味のある方はぜひご相談ください。
オフラインCV活用の実例を、もっと具体的に知りたいかたはこちらの記事もぜひご覧ください。
 
【BtoB】オフラインCVを活用して成果が向上した事例 | 株式会社オーリーズ~運用型広告に特化した広告代理店~
広告クリックID(GoogleならGCLID)等を使って媒体にオフラインCVをインポートして媒体の最適化対象に設定し、機械に運用させる この記事では、それぞれの方法で成果が向上した事例を紹介していきます。 通常のオンラインCVがメールアドレス収集でSaaSを提供するA社様の事例です。 メールアドレス収集のポイントは資料ダウンロードフォームや問い合わせ、セミナー予約など複数あり、CVの計測はAD
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最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

株式会社オーリーズ

執行役員/COO

宇賀田 徹

東証一部上場不動産系事業会社にて入社。経営企画室に所属し新規事業の立ち上げを行う。 主にBtoBビジネス領域のWebメディア運用を通じて、SEMやCRMを含むマーケティング施策の企画・ディレクションを中心とした業務を遂行。 事業拡大と同時に、デジタルマーケティングの可能性について追求している中、オーリーズと出会い入社を決意。マネージャーを経てCOOに就任し、経営企画とデジタルマーケティングに携わった経験を活かし、オーリーズを発展させるべく日々邁進中。

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