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  • 川田 昌光

「デジタル神無月」2ndDay – 運用パートにお邪魔してきました

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2016年10月19日~20日の2日間、福岡にてデジタルマーケティングの大型カンファレンス「デジタル神無月」が開催されました。

今回が第1回目の開催となる本イベントは、九州のデジタルマーケティング人材の底上げにつなげたいという想いのもと企画され、400名ほどの参加申込が集まり、その参加者は九州に留まらず全国各地、海外は台湾からの参加者もいたと聞きました。

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※上記画像は、デジタル神無月より拝借しました。

デジタルマーケティングの中でも錚々たるスピーカーを迎えたイベントということで、1stDay – 戦術パート、2ndDay – 運用パートと2日間ある中、広告運用者である私もこれは参加せねばと、2ndDay – 運用パートに参加してきました。

 

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(出典:http://xn--yckow0mp48yexm1sn.jp/program/

2日目の運用パートだけでも、クリエイティブ・運用型広告・ソーシャル・データフィード・アクセス解析・人材と一日を通して数多くのセッションが展開されており、特に興味深かったセッションの感想を簡単に書いていきたいと思います。

 

プログラム01. クリエイティブ ~マーケティングにおけるクリエイティブの「今」と「これから」~

マーケティングにおけるデジタル領域は重要度を増し続け、その中でクリエイティブが担う役割の変化に対して、マーケッター目線、クリエイター目線、包括目線と多角的に語られたセッションでした。

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左から株式会社サイバーエージェント 宮本氏(パネラー)、株式会社クリエイターズマッチ 中川氏(パネラー)、株式会社アブソルートワン 本松氏(パネラー)、クリエイティブセンター福岡株式会社 渡辺氏(モデレーター)

 

まず初めに、株式会社アブソルートワン 本松氏により、「クリエイティブを最適化していくと、ワンパターン化する傾向にあるが、それは本当に適切なコミュニケーションか?」という仮説から、どういう顧客とコミュニケーションをとっていくのか、顧客とクリエイティブの接点を把握し、適切なコミュニケーションが形成できているか、という観点からDMP、アトリビューションを駆使しながら、コミュニケーション設計を見直した支援事例を基に語られました。

本事例では、上流のコミュニケーション設計から施策、クリエイティブに落とし込む中で、まずはデータを可視化し、計測の土台を作った上でPDCAを回していくことが重要であると結論づけられました。

続いて、株式会社クリエイターズマッチ 中川氏から、コミニュケーションプランを考えた上で、クリエイティブをどのように決定するかについてセッションは進んでいきます。

クリエイターズマッチでは、合格率10%程度の厳しいパートナーシップテストを通った外部クリエイターからクリエイティブを募ります。ハイレベルのクリエイターからバナー案を集め、バリエーションを広く発散しつつ、反応率からパターンを分類し、徐々に絞り込んでいくまでの過程をクリエイターの目線で語られました。

クリエイティブを展開していく上で、まずはバリエーションを広く展開して、徐々に絞って行くプロセスを辿った方が、初めから決め打ちでクリエイティブを展開するより、結果的に後から結果を検証しやすいとのことです。

そして本セッションの最後は、株式会社サイバーエージェント 宮本氏から、アトリビューションの普及によりコミュニケーションの可視化が進む中、コミュニケーション設計の中でクリエイティブをどのように改善していくかについてお聞きしました。

最終的には蓄積された大量のデータを基に、コミュニケーションパターンの抽象化からクリエイティブパターンの自動化も視野に入れているというのが印象的でした。

クリエイティブの「今」と「これから」と題したセッションに参加し、運用者として私が感じたことは、クリエイティブの重要度自体は今も昔も変わらないものの、媒体の多様化に伴い広告フォーマットも増える中、アトリビューションの普及によってユーザーの広告接触の可視化が進んだことで、今後更にクリエイティブの重要度が高まると感じました。

 

プログラム04. データフィード ~事業主も代理店も知れば始めるデータベースを使った売上改善~

本セッションは、データフィードの基礎に始まり、導入・整備・利用するメリット・デメリット、効率的な運用方法や事例について語られました。

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左から株式会社フィードフォース 川田氏(パネラー)、AZ株式会社 藤堂氏(パネラー)、CRITEO株式会社 中嶋氏(パネラー)、アタラ合同会社 岡田氏(モデレーター)

 

まずは、モデレーターの岡田氏から、データフィードとは?という定義と仕組みの解説、なぜ今データフィードが前傾化しているのかについて述べられました。

もはやデータフィード施策による売上は、「やれば伸びる」ではなく、「やらないと落ちていく」環境になっていて、データフィードの導入はもはやマストであるという語り口の中、データフィードという「データ元からデータ受取先へ更新されたデータを送受信する仕組み」については、画期的な仕組みではないが、デバイスやメディアの発達による情報の断片化への対応としてデータフィードの重要性が増しているとのことでした。

続いて、株式会社フィードフォース川田氏よりGoogleAdWordsの商品リスト広告、CRITEO株式会社中嶋氏よりCriteoの最適化のポイントを、AZ株式会社藤堂氏よりデータフィードの始め方からつまずきポイントについてセッションは移りました。

データフィード施策は、その性質上ターゲティングへの情報やクリエイティブ作成の元になる情報がフィードの内容に依存します。データフィードの最適化には、配信のシステムを理解して、フィードからインプットするデータの質を上げていくことが重要だということに結論づけられました。

中でも、私が特に興味深いと感じたテーマは、藤堂氏の「データフィードの重要度が高まっているのは分かるけど、データフィードは誰が用意・運用していくのか?」について語られた点でした。

まず、データフィードを準備する段階で、システム改修が必要となりそこで多くの企業がつまずきやすく、更にシステム改修をする上で初めから情報の抽出・変換を網羅しようとして改修費がかさみ、結局断念してしまうケースが多いようです。

こういったケースに陥らないようにするためには、媒体の仕様アップデートの頻度も高いので、まずはコンパクトスタートをすることが大事とのことです。ただし、コンパクトスタートはするものの、代理店側も広告主側もその後の改修が発生することを意識してロードマップを共有することが肝だとのことです。

その上で、今後追加していくであろう項目とデータフィードに項目を追加していく過程でシステムの改修が実現可能か、企業特有の個別事情を整理しながら、代理店、広告主・フィード事業者の誰がどのように用意・運用していくことがベストか、互いにすり合わせを行なっていくことが重要だと結論付けられました。

データフィードは誰が扱うのか?については、自身で運用していく上で、クライアントとしっかりと認識合わせを取らなくてはいけないと課題を感じていた部分で、今まであまり触れられて来なかった話題だったこともあり、聞き入ってしまうセッション内容でした。

 

プログラム05. アクセス解析 ~30分でECサイトを即興分析!プロのリアルな分析ポイントと手法を大公開~

本セッションは、プロのアクセス解析士が「どういう視点で、どういった手順で数字を見て、何を考え、何を導き出すのか?」の分析過程を実際にGoogleAnalyticsを公開しながら解説されていきました。

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左から株式会社リクト 山田氏(モデレーター)、株式会社グラシズ 土谷氏(パネラー)、Faber Company Chief Analytics Officer 小川氏(パネラー)

このセッションでは、実在する印鑑を販売しているECサイトとそのECサイトに実装されたGoogleAnalyticsを基に株式会社グラシズ 土谷氏とFaber Company Chief Analytics Officer 小川氏が「広告比率を下げるための施策を見出すこと」というお題目から、各15分の持ち時間の中で実際にアクセス解析を行いつつ、アクセス解析のポイントについてディスカッションを繰り広げました。

まずは先攻、小川氏からの分析が始まります。

アクセス解析の流れは、初めにGoogleAnalyticsでデバイス別の流入・CV比率、集客構造の把握、新規とリピートの購入比率といったWebサイト概要を確認した上で、ユーザー目線でWebサイトを実際に使ってみて、サイトのURL構造を把握し、気になる点をメモしつつ、どのコンテンツが有用か、あるいは不要なのかを判別するという手順でした。

小川氏は、「ずっとデータを眺めていることほど無駄なことは無い。ユーザー、集客、行動、コンバージョン全てのレポートに細かく目を通すよりも、概要を確認したらWebサイトを見て、分析観点のアタリを付けに行くのが大事」と結論づけました。

そして後攻、土谷氏に移ります。

土谷氏も小川氏と同様に、まずはGoogleAnalyticsでWebサイト概要を確認した上で、お題目である印鑑のECサイトのCVRが高い点に着目、「大きくCVRを上げる改善は難しいのではないか?」という仮説の基、まずは、購入に近いポイントから課題がないかを探っていきました。

その上で、ターゲットとなる個人・法人それぞれの目線で、競合サイトと比較して使いやすいサイトであるかどうかを確認していきます。結果、印鑑のECサイトは競合の印鑑のECサイトと非常に構成が似通っていて、差別化がされていないことが課題点として発覚しました。

そして、印鑑という差別化のつきにくい、ある種コモディティ化した商品特性から、どうすればユーザーに選ばれるかという観点から、ECサイトは決まった商品で売り上げ構成が高くなる可能性が高いという前提から、「そもそも商品点数がこんなに必要なのか?売れている商品を目立たせることで売上を伸ばせるのでは?」という仮説を立てていきました。

この仮説をGoogleAnalyticsで確認したところ、実際に売れ筋の2種類の商品が、売上の6割程度を占めていたため、売れている商品をより目立たせるという改善案に至りました。

土屋氏は「改善インパクトの大きい箇所のアタリをつけ、競合サイトや自社サイトを確認し、分析を進めていくこと」が特徴的でした。

本セッションは、プロのアクセス解析者の解析方法を実演で見るという貴重な体験が出来たセッションでした。まず、サイト上の欠点となっている箇所を改善していき、ユーザー体験を向上させるというのは共通しつつも、アクセス解析とは?という質問に対し、小川氏は「解析は気持ちを動かすこと」、土谷氏は「解析は力点を見つけること」というそれぞれの解析に対する見解をお聞きすることが出来、大変有益でした。

アクセス解析からのサイト改善はあくまで売り上げを上げるための一つの手段で、サイト改善が全てではなく、状況によってはサイト改善以外に目を向けることも重要だということを認識したセッションでした。

 

デジタル神無月に参加して

第1回目となるデジタル神無月の2ndDay – 運用パートは、まさに運用型広告の現場にフォーカスされた内容で、現場の最前線に立つプレイヤーの考えや感覚といった「生の声」を聞け、参加して良かったと心から思えるイベントでした。

都合が悪く1日目の戦術パートには参加できなかったのが、残念で仕方がないです。

九州発のデジタルマーケティングイベント、デジタル神無月、次回の開催を心待ちにしています!

この記事を書いた人

アドオペレーションズ・ストラテジスト

川田 昌光

新卒にて株式会社オーリーズに参画。自動化テクノロジーやフィードを取り入れた広告運用を得意とする。EC小売・旅行予約・求人業種に実績多数。どちらかというと猫より犬派。

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