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  • 足立 誠愛

機能に宿る、アドワーズの思想 ~見逃されがちな機能からアドワーズを理解する~

>機能に宿る、アドワーズの思想 ~見逃されがちな機能からアドワーズを理解する~

 

Googleアドワーズには、多様な運用変数があり、それを支える機能もまた数多く用意されています。

それらの機能は、単に「便利だから」というだけで用意されているのではなく、ひとつひとつに理由があります。そして、その理由には一貫した軸があり、プラットフォームの思想があります。

運用の自由度が高く、優れた機能を有するGoogleアドワーズであっても、正しいアカウント設計と機能の活用ができていなければ、機能不全を起こしてしまい、十分なパフォーマンスを発揮できなくなることもあります。

今回は、アドワーズの「見逃されがちな機能」から、その機能の存在意義を理解し、より良いアカウント作りのヒントをお伝えできればと思います。

※本記事を「機能と仕様から学ぶシリーズ」と題し、2回に分けてお届けします。今回は「機能」を、次回は「仕様」をピックアップしてお届けします。

 

見逃されがちな機能①:検索クエリの「追加、削除済み」フラグ

アドワーズの運用経験のある方であれば、この機能の存在はご存知かと思います。(積極的に活用しているかどうかはさておき…)

キーワードタブの「検索語句」を表示すると、デフォルトで必須項目として表示されているキーワードの「追加、除外済み」のフラグです。(以下、キーワードフラグ)

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この機能は文字通り、実際に広告のインプレッションやクリックを発生させた検索クエリが、キーワードとして設定されているか否かを確認することのできる機能です。そのクエリがキーワードとして設定されていれば「追加済み」となり、されていなければ「なし」と表示されます。(除外されている場合は「除外済み」と表示されます)

想定される利用シーンとしては、例えば…

  • フィルタ機能を併用して、コンバージョンした検索クエリだけを抽出し、一括でキーワードとして登録する
  • フィルタ機能を併用して、フラグが「なし」のクエリだけを表示させ、良質なクエリと判断したものにチェックを入れ、一括でキーワードとして登録する

などが挙げられ、良質なクエリを手軽にキーワードとして追加することのできる素敵な機能です。

しかし、この機能について勘違いをしがちなのが、この「追加済み or なし」のフラグは、アカウント全体における情報ではなく、そのクエリを発生させたキーワードが所属する「広告グループ内」で、そのクエリと同一の文字列がキーワードとして存在しているかどうかを指しているという点です。

つまり、この機能を有効に活用するためには「キーワード “軸” で広告グループが構成されている」ことが前提となります。この前提が守られていなければ、このキーワードフラグ機能は途端に使い勝手が悪くなります。もはや、使えなくなると言っても過言ではありません。

なぜでしょうか。その状況について、下記に例を挙げて説明します。

下記のような A,B,C 3つの広告グループが存在し、それぞれに対し、いくつかのキーワードが部分一致で設定されていたとします。

 

広告グループAには、「オフィス家具」というキーワードが部分一致で設定されているため、検索クエリ「オフィス家具 格安」で広告が表示されました。

 

一方、広告グループCには、「オフィス家具 格安」というキーワードが部分一致で設定されており、先ほどの検索クエリ「オフィス家具 格安」に対しては、本来こちらのキーワードで広告表示を獲得したいところです。

 

しかし、何らかの理由で広告グループAの「オフィス家具」の広告ランクが勝ってしまい、広告表示が広告グループAに引っ張られてしまいました。

 

さて、ここでキーワードフラグを見てみると、検索クエリ「オフィス家具 格安」がキーワードとして設定されているか否かの評価は、インプレッションを発生させた「広告グループA」に対して行われるため、キーワードフラグには「なし」と表示されます。広告グループCには存在しているのに、です。

 

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このように、近い意味を持つキーワード(=キーワード軸)が複数の広告グループで設定されてしまっている場合(部分一致を利用している場合は特に)、クエリに対して期待したキーワードが反応しない事態が発生し、結果として、キーワードフラグが「アカウント内のどこかにはキーワードとして設定されているのに、”なし” と判断されてしまう」ことが発生します。

 

…さて、上記の広告グループ構成を見ると、キーワードフラグ云々の前に、そもそも「この広告グループ構成はどうなんだ、イケてないんじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、おっしゃるとおり、改善の余地のある構成だと思います。

アドワーズでは、広告グループは、

広告グループ=キーワードと広告のまとまり=訴求単位(伝えたい事)=ユニークなURL(理想)

で設計されていることが期待されるのですが、現実には、運用の合理性を追求した結果として、以下のような広告グループ構成が採用される(されてしまう)ことがあります。

《例1》キーワード軸が同じでも、マッチタイプごとに分けるケース

完全一致などの(特にトークン数が少なめの)成果の読みやすい広告グループの入札を強化することでCVとCVRを担保しながら、マッチタイプの広狭に併せて入札を手動で管理し、CPAをコントロールしながら全体のCV件数の底上げを狙うという、「広告グループ×マッチタイプ」でポートフォリオを組んで運用するケースです。

《例2》キーワード軸が同じでも、「少しの意味の違い」で分けるケース

キーワード軸は同じでも、「少しの意味の違い」や「言葉の付与」で広告グループを分けることで、キーワードと広告文の文字列合致を追求するケースです。(このケースは、誘導先が同じであることも多いです)

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…どちらの例も、上述の通り合理的な理由があるため、完全に否定されるべきものではありませんが、アドワーズが理想とする構成とは言えません。(アドワーズの理想とするアカウント構成ついては、第二回「仕様から学ぶ」で詳しく触れたいと思います)

そして、このようにキーワード軸によって広告グループが構成されておらず、同一キーワード軸のキーワードが広告グループを跨いで散乱している状況だと、キーワードフラグは有効に機能しません。(理由は先述のとおりです)

広告グループがキーワード軸によって適度に構成されていないことや、キーワードフラグ機能を有効に活用できないことが、運用において致命傷になることはないでしょう。しかしながら、この状態はアカウント運用において重要な、「良質なクエリをキーワードとして追加し続ける」というアクティビティが難しくなる、もしくは継続的に実施できなくしてしまう恐れがあります。

なぜ難しくなってしまうのかについて、キーワ―ド追加の業務フローを、

  • 広告グループがキーワード軸で管理されている場合
  • 同一キーワード軸が広告グループを跨いで散乱してしまっている場合

のそれぞれで比較してみることでイメージしてみます。

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※参考:Grow Business with Google – アカウント構成変更による検索パフォーマンス改善

上図の通り、複数の同一キーワード軸グループがある場合のキーワード追加フロー(下段)における、「他グル―プとの重複確認」と「そのグループに追加すべきか判別」のアクティビティで、多大な労力を要します。この作業にかかるパワーは、運用経験のある方であればお分かりいただけるかと思います。とっても面倒なのです…。

しかし、広告グループがキーワード軸で管理されており、キーワードフラグが有効に活用できる状態であれば、チェックしてポン、で良質なキーワードを追加することができます。そして何より、キーワード追加のアクティビティを継続させることができます。キーワード追加をイベント化させるのではなく、日常的なものにすることができるのも、キーワードフラグ機能のメリットの一つです

 

…さて、長々と説明をしてきましたが、キーワードフラグ機能のメリットと、それが有効に機能するための前提条件についてはご理解いただけたかと思います。

では続いて、このキーワードフラグ機能が存在する理由、つまり「良質なクエリをキーワードとして追加し続けることの重要性」についてご説明します。

そもそもそれって重要なことなの?部分一致で広くクエリを集めて、除外キーワードでフィルタリングしていけば、キーワ―ドを追加することはそれほど重要なことではないのでは?という声も聞こえてきそうです。

以下に、その「良質なクエリをキーワードとして追加し続けることの重要性」について、意外と見逃されがちな機能その②である、「完全一致のインプレッションシェア」と合わせて考えてみます。

 

見逃されがちな機能②:完全一致のインプレッションシェア

インプレッションシェア指標の中でも、少し違った意味を持つ「検索広告の完全一致のインプレッションシェア」(以下、完全一致シェア)ですが、この指標を理解することは、先述の「良質なクエリをキーワードとして追加し続けることの重要性」を理解することにも役立ちます。

完全一致シェアの仕様ですが、AdWordsヘルプには以下のように説明されています。

■ AdWords ヘルプ 完全一致のインプレッション シェアについて
https://support.google.com/adwords/answer/7103898?hl=ja&ref_topic=3123050

慣れない方には少し難しい印象があるかと思いますので、完全一致シェアを簡単に説明すると…

設定しているキーワード(群)について、それらのマッチタイプが何であろうと、それらを「すべて完全一致として考えた場合」に、そのキーワード(群)でどれだけインプレッションシェアを獲得できているか

を確認することのできる指標です。下記に例を用いて説明します。

下記の図ですが、上段・下段はそれぞれ同じ広告グループを表しています。

(図の上段)通常のインプレッションシェアは、設定しているキーワード「オフィス家具(部分一致)」に対するシェアです。部分一致ですから、インプレッションする可能性のあるクエリは多様に存在し、その多様なクエリすべてに対するシェアを指しています。

(図の下段)一方で、完全一致シェアは、設定しているキーワード「オフィス家具(部分一致)」が「オフィス家具(完全一致)」であったと仮定したときのインプレッションシェアです。「オフィス家具」のクエリに対してのみ、どれだけシェアを獲得したのかを把握できます。

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…と、仕様が理解できたとして、まだその使い道にピンとこないかもしれません。ですので、もっと抽象化して考えてみます。

完全一致シェアを…

「確実に広告を表示させたいキーワード(文字列)で、どの程度広告を出せているか」を知ることのできる指標

と捉えてみます。(機能の理解と活用イメージを持つことを優先するために、厳密な定義は横に置いて、抽象化して説明をします)

例えば、ある広告グループの完全一致シェアが40%であったとすると、「確実に広告を表示させたいキーワードでは40%のシェアを獲得している(または40%しか獲得できていない)」と認識するイメージです。ポイントは、この広告グループの中のキーワードがどんなマッチタイプで構成されていても、それを気にすることなく直観的に認識できることです。

なぜなら、多くの場合はマッチタイプが何であろうと、設定している「文字列」、つまり「完全一致」として見れば、施作者の発想のもとに用意された親和性の高いものであるはずなので、「それらがすべて完全一致だった場合のシェア=完全一致シェア」は、「確実に広告を表示させたいキーワードのシェア」とも考えることができます。つまりそれは、ROIの高いキーワードのシェアであり、それを高めることが期待されます。

では、どうやって完全一致シェアを向上させていけばいいでしょうか。

多くの場合、この完全一致シェアを低下させている要因は、広いマッチタイプで設定されているキーワードの存在にあります。部分一致などのキーワードが多様なクエリを拾うことで、そのキーワードがクエリと完全に一致する際に、オークションに勝利できない可能性を高めていることが考えられます。

(もちろん、キーワードの入札単価や広告との関連性が低いことによって、そもそもインプレッションシェアを獲得しづらい環境である場合は、マッチタイプ云々以前の問題と言えますので、まずはこの点の見極めが必要です)

結論として、完全一致シェアを高めるためには、部分一致などのマッチタイプの広いキーワードが誘引したクエリを精査し、親和性の高いものを選定したうえで、そのクエリを新たなキーワードとして設定していきます。

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このプロセスを辿ることで、設定しているキーワードが、ますます「狙いたいキーワード」によって構成されていくようになり、それらのキーワードに対して入札を強化するなどして、しっかりと広告表示を獲得することで、完全一致のインプレッションシェアを高めることができます。(上図の中段)

そして、上記の手順でクエリ追加を繰り返し、最終的に、広くクエリを集めていた部分一致などのマッチタイプの広いキーワードを完全一致などの狭いマッチタイプに変更することで、狙いたいクエリを確実に集めることのできる「ターゲティング純度の高い広告グループ」に成長していきます。(上図の下段)

(もちろん、検索の世界では、毎日新たなクエリが生まれ続けている事実からも、最終的に「完全一致だけ」にすることは、理想ではあるものの難しいと思います。しかし、アドワーズプラットフォームの思想である「ユーザーニーズを捉えて、関連性が高い広告を返す事」を実現するためには、限りなくそれに近づけることが期待されます)

そして、ターゲティング純度の高い広告グループに成長すれば、実績CTRにも、推定CTRにもポジティブな影響を与え、広告とキーワードの関連性も整いやすい環境になっていきます。その結果、広告グループ内のキーワード群の品質スコア向上が期待できます。

つまり、完全一致シェアの高まりは、その広告グループを構成している「キーワード軸」に沿った「設定キーワードとクエリの合致度」が高まっていくことを表しており、その合致度の高まりは品質スコア向上に寄与し、結果としてROIの向上が期待できます。

そして、このプロセスを実現し易くしているのが、先述のキーワードフラグなのです。

 

これらの機能から理解できる、アドワーズの前提やルール

さて、キーワードフラグと完全一致シェアの2つ機能について、その仕様と存在意義、活用方法についてご説明しました。

なんとなく、「便利な機能」程度に見えていたかもしれない機能ですが、これらから、以下のようなアドワーズ利用する上での「前提」が存在していることが理解できます。

  • 広告グループは「キーワード軸」でひとまとまりになっているべきである
  • キーワードは常に追加されていくべきで、また、マッチタイプは固定され続けるものでもない

上記の前提の上で、キーワードフラグ機能も完全一致シェアという指標も、いかに「クエリに対して、関連性の高い意図した広告を出すか」を実現するための重要な機能であることが理解できます。

アドワーズは、運用変数が多く柔軟性が高い広告プラットフォームですが、自由度が高い反面で、しっかりと理解しておくべき前提があり、それらを腹落ちさせてからアカウント設計に臨むことが大切です。

昨今では、プラットフォームネイティブな自動化機能がその範囲を拡大し、精度を向上させ続けていることからも、それら自動化機能がフル回転するための「前提やルール」を理解することが、ますます重要になることでしょう。

次回は、「機能と仕様から学ぶシリーズ」の第2回として、「仕様」にフォーカスし、より良いアカウント作りのヒントをお伝えできればと思います。

※本記事内容に関連するセミナーを開催予定ですので、ご興味ある方は是非ご参加ください↓

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この記事を書いた人

取締役副社長

足立 誠愛

ERPパッケージを提供するコンサルティング会社を経て、株式会社オーリーズに参画。運用型広告事業の立ち上げに東奔西走。極度の猫好き。

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